リクエスト頂いておりました
「婦警に憑依して痴漢冤罪のでっちあげ」を題材とした
憑依小説です!
1話完結ですが、お楽しみ下さい!
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伊崎 栄太(いざき えいた)は、
会社で変態男のレッテルを貼られて、日々、ストレスを溜めていた。
なぜ、彼が変態男のレッテルを貼られてしまったのか。
その理由は、簡単だった。
彼を生理的に受け付けないという理由で嫌うギャル系女子社員、
都美(とみ)が、嘘の噂を会社中に流し、
それがきっかけで、栄太は変態男扱いされるようになってしまった。
特に、都美の彼氏である先輩社員、
芳賀 良次(はが りょうじ)が、事情を知っていながら
「痴漢野郎!」と毎日のように罵ってくることに、
彼は怒りすら感じていた。
これは、会社内痴漢冤罪だ。
栄太はそう思っていた。
そして、栄太はついに復讐のチャンスを手に入れたー。
とあるオークションサイトで購入した憑依薬ー。
人に憑依できるこの薬を使い、
彼は、毎日通勤時間帯に出会う、まだ新人に見える婦警に
憑依して、あることをしようとしていた。
婦警のからだを使って、
電車通勤の芳賀を陥れてやるのだ。
人に、痴漢冤罪の屈辱を味あわせた芳賀を、
地獄に送ってやるのだ。
「目には目を、
痴漢冤罪には痴漢冤罪をー」
栄太は、そう呟いて微笑んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新人婦警の粟野 奈津(あわの なつ)は
早朝からの出勤にも関わらず、元気に
出勤していた。
「--今日もいつもの場所のパトロールをお願いできるかな」
上司の男がコーヒーを飲みながら言う。
「はい!わかりました!」
まだ少女っぽさも残る奈津は元気良く
そう返事をすると”いつもの場所”に向かっていく。
先輩刑事の能登(のと)もついてくる。
能登は、若手の将来を期待される警官で、
年齢が近いことから、奈津のサポート役を
任されていた。
「--よし、行こうか」
能登が言うと、
奈津は、「はい!」と元気良く返事をした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつもの場所に到着する。
しかしー
2人は気付いていなかった。
このとき既に、栄太の霊体が
上空をさ迷っていることにー。
「ちょっと、お茶でも買って来る。
えーと、粟野さんは何がいい?」
能登が尋ねると、奈津は微笑みながら
「同じもので大丈夫です」と答えた。
自動販売機のほうに向かう能登。
そのときだったー。
奈津の体に激しい悪寒が走る。
「---ひっ!?」
奈津は、思わず笑顔を消して、
苦しみの表情を浮かべた。
「の、、のとさーー」
そう言いかけたが…
奈津は…
歩いていた能登が呼ばれた気がして振り返る。
「--ん?」
能登が振り返ると、そこには”いつも通りの笑顔”を浮かべた
奈津の姿があった。
「ふふ、なんでもありませんよ」
奈津は微笑んだ。
能登も微笑み返して、そのまま歩き始めた。
ーーー能登の後姿を見ながら、
奈津は悪態をついた。
「バカなやつ!」
そう吐き捨てるように言うと、
奈津は、警察官としての氏名を忘れ、
憎き芳賀が乗る電車に乗るため、
能登の帰りを待たず、駅のほうに歩き始めた。
「--っ、スカートって歩きにくいな」
ぼやきながら、イライラした様子で、奈津は駅へと
向かっていく。
「---にしても。」
街角の鏡を見つめて微笑む奈津。
「可愛いな…」
頬を触り、奈津は顔を赤らめた。
「--あっ・・・」
自分の胸を触ってみて、
少し変な声が出てしまう。
「----」
周囲の通行人が不審そうな表情で奈津を見る。
奈津は、見られていたことを知り、
顔を赤らめた。
「--ま、恥ずかしいのはこの子だし、
どうでもいいか」
そう呟くと、彼女は、婦警の格好をしたまま、
嬉しそうに歌を歌いながら駅までスキップしていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
芳賀はいつものように電車に乗ろうとしていた。
奈津はそれを見つめて、微笑む。
「--あんたを地獄に落としてあげるわ」
そう呟いた。
別に女言葉で話す必要はないのだが、
その方が雰囲気が出るし、
興奮もするー。
復讐するついでに、自分も楽しんでおきたい。
「---粟野さん!今、どこに居るんだ?」
先輩警官の能登が電話をかけてきた。
電話を耳に当てながら
奈津は微笑んだ。
「--粟野さん!聞こえてるのか!粟野さん」
必死に叫ぶ能登。
奈津は鼻でそれを笑った。
「---」
無言で電話を切ると、奈津は駅のゴミ箱に
自分のスマホを投げ捨てた。
「--わたしは、復讐のための道具になるの!
ふふふ…♡」
そう言うと奈津は、嬉しそうに電車に乗り込んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
電車は混雑していた。
奈津は、芳賀の近くに寄ろうとしたが、
混雑していて、なかなか近寄れない。
周囲のおじさんの体が接触する。
「--くそっ、邪魔くせぇ」
奈津は小声で呟いた。
電車は、そうこうしているうちに停車した。
あと、二駅。
しかし、そのとき、偶然にも芳賀と奈津を
隔てていた乗客たちが電車から降りた。
「ラッキー」
奈津はそう呟くと、すかさず芳賀の近くへと
歩いていった。
芳賀は特に気にしていない。
芳賀は何故か森のくまさんの鼻歌を歌いながら
ご機嫌そうだ。
「-ーこれから起こることも知らずに、バカなヤツだ」
電車の車窓に反射した奈津の表情は、
婦警とは思えないぐらいに、邪悪なものに
染まっていた。
次の駅で、大量の乗客が乗ってきた。
そのタイミングを見計らい、奈津はからだを密着させた。
「--ん?」
芳賀は婦警が、自分にからだをくっつけてきた
ことに違和感を感じたようだが、特に気にする様子はなかった。
奈津は、あえて、おしりのあたりを芳賀に押し付けた。
(芳賀が自ら欲情しておしりを触ってくれれば満点、
そうでなくても逃げようとしなかったら及第点…)
奈津は心の中でそう呟きながら、
おしりを芳賀の手のあたりに押し付けた。
「---?」
芳賀も流石に”この婦警おかしくね?”と
感じ始めたようだ。
だがー。
芳賀は鼻歌を歌うのをやめただけで特に何も
しなかった。
(可愛い顔してケツを男に押し付けるなんて
変態女ね・・・!うふふふふ♡)
奈津は内心で、そんなことを思いながら、
今度は向きを変えて、胸を押し付けるような体勢を取った。
(ふふふ…わたしは変態♡
男に体を売る、変態女よ♡)
興奮のあまり
「わたしは変態女よ!」と大声で叫びたくなってしまった。
それをしたとき、
奈津の人生はどうなってしまうのだろう。
だがーー
そんなことをしている場合ではない。
本来の目的を忘れてはならない。
芳賀を地獄に落とすというとても
大切な目的を…
「はぁん…♡」
思わず甘い声が口から漏れてしまう。
周囲が少し不審そうな顔をした。
(だめだ、もっとだ、我慢しろ。
芳賀、俺のからだを触れ…)
奈津は顔を真っ赤にしながら笑いをこらえた。
(芳賀、触れ…
おれの…わたしの体を触るのよ…)
(早く…触って、ほら、触りなさい!
うふふふっふっ…!!!)
その時だったー
芳賀が手を伸ばした。
たまたまだったのか、
芳賀に下心が芽生えたのか。
それは、分からない。
けれどー。
奈津は手をつかんだ。
「---この人、痴漢です!」
と。
大声で叫んだ奈津。
芳賀は、驚きで目を見開いている。
「なっ…ちがっ…」
芳賀は顔を真っ赤にしている。
「観念しなさい」
奈津は、警察手帳を堂々と掲げる。
周囲が騒然となった。
そして、芳賀に対する批判の言葉が
周に乗客から述べられた。
「ち、違う!この女が!」
芳賀が奈津を指差して叫んだ。
「--あら?わたしが自分からあなたに
体を押し付けたとでもいいたいの?」
奈津は心外、という様子で腰に手を当てながら言った。
「--そ、そうだろうが!」
芳賀が叫ぶ。
周囲から「冤罪じゃね?」という声まで聞こえてくる。
「確かにあの女が妙にくっついていたような」
「でも婦警さんだぜ?」
色々な声が聞こえてくる。
「--ちっ」
奈津は舌打ちをした。
バカどもが…。
「---わ、、わたしだって…」
奈津は涙を流して見せた。
「--わたしだって、怖いの…!
あなたみたいな人が、わたしたち女性を…
うっ…」
目からボロボロと涙を落としてみせる。
女の涙に、周囲の論調は変わった。
「--お、おい…!」
芳賀がどうしていいかわからず、
慌てふためいている。
程なくして、芳賀は駆けつけた警察官によって確保された。
連行される直前、
芳賀は叫んだ
「ふざけるな!あの女は悪魔だ!!
くっそぉ!俺が何したってんだ!」
芳賀はわめく。
そして警察官たちを振り払って、
芳賀が奈津のほうに向かってきた。
奈津は、誰にも見えないように、
勝ち誇った表情で囁いた。
「…復讐…
この”痴漢野郎”!」
汚い口調で芳賀を罵った奈津。
芳賀はハッとした表情を浮かべた。
”痴漢野郎”とは、
いつも芳賀が栄太を罵るときに使っていた言葉。
勝ち誇った表情を浮かべ、芳賀の方を見て
鼻で笑う奈津。
芳賀は目に恐怖を浮かべたまま連行されていった。
ーーー帰路。
奈津の体のまま、奈津のお金を使い
買ったワインをボトルごと裏路地で飲んでいた。
勝利の祝杯だ。
「はははっ、バッカみてぇ!
こいつの涙見て、皆、コロリと意見を変えやがった!
ひひひひひひ、あははははははは!」
すっかり酔いが回った奈津は、
大声で一人、笑う。
「ははは、芳賀のやろう 思い知ったか!ばーか!」
汚い言葉を深夜の路地裏で叫ぶ奈津。
飲み干したワインボトルをその辺りに放り投げる奈津。
奈津は酔っ払って、近くのゴミ置き場の上に転倒した。
「うへへへへへ…
ざまあみろ!ざまあみろ!」
酔いと興奮と達成感で狂った奈津は、
その場で服を引きちぎり始めた。
「うははははは、
わたしは、わたしは変態女よ~~~!
あはははは!ほら!私の綺麗なからだ!
御覧なさい!
あはははははは!ひははははははははは~~~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
通報を受けた先輩刑事の能登は
信じられないものを目にした。
ボロボロに服を引きちぎった状態で、
奈津がいびきをかいて、ゴミ置き場の上で寝ていた。
能登は、心底失望した表情で、
事態の処理に当たり始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
栄太は愉快に出社した。
会社は大騒ぎ。
芳賀が痴漢で逮捕されたからだー。
芳賀の彼女でもあるギャル系社員の都美は
大きなショックを受けたようだった。
「ざまあみろ」
栄太はそう呟きながら、仕事を始めた。
いつものようにー。
あの婦警がどうなったかは知らない。
だが、彼にはそんなことは、どうでも良いことだった。
おわり
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コメント
リクエスト作品、お待たせいたしました!
少しでもお楽しみ頂けると、私も嬉しいです!
コメント
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投稿お疲れ様です!
目の調子はいかがでしょうか?
憑依空間さんの小説これからも楽しみにしてます!
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> 投稿お疲れ様です!
> 目の調子はいかがでしょうか?
> 憑依空間さんの小説これからも楽しみにしてます!
ありがとうございます!
体調のほうはある程度回復しました!
ご心配おかけしました!