<男体化>わたしより可愛いなんて許せない

”わたしより可愛いなんて許せないー”

幼馴染に嫉妬する女子大生ー。

彼女は、”自分より可愛い”幼馴染を
”男”に変えてしまい、彼女を蹴落とそうとしたー…!

・・・・・・・・・・・・・・・・・

女子大生の花坂 佳鈴(はなさか かりん)は、
”嫉妬深い”性格の持ち主だったー。

「ーーーあ、佳鈴~!」

今日も佳鈴はー
”嫉妬”していたー

小さいころから一緒の幼馴染・能登 美織(のと みおり)に対してー。

「あ、美織ー」
佳鈴が、美織のほうを見て微笑むと、
美織は”自分が嫉妬されている”などとは夢にも思わず、
佳鈴の近くに寄ってくるー。

いつものように雑談をする美織ー。
だがー
佳鈴は、そんな美織のことを
”心の中”では睨みつけていたー。

”わたしより可愛いなんて許せないー”

佳鈴はー
自分よりも可愛くてー
自分よりも人気があってー
自分よりも何でもできる美織に、小さいころから嫉妬していたー。

そしてー
極めつけはー
先日、美織が、とある男子から”告白”されたことだったー。

その男子はー
佳鈴が一方的に行為を抱いている男子大学生だったのだー。

いつも、サークル活動で仲良くしているにも関わらずー
その男子は、佳鈴ではなく、美織に告白したー。

佳鈴は、そのことを知った時、激しい嫉妬の炎が
自分の中で燃え上がるのを感じたー。

しかもー
告白された美織が、
”ごめんなさい…今はお付き合いとか、考えてなくて”
と、告白を断ったことも、余計に佳鈴を怒らせてしまったー。

”わたしの好きな彼に告白されてー
 それを断るなんてー
 どこまで高飛車な女なのー!?美織ー”

一方的に逆恨みのような感情を膨らませていく佳鈴ー。

容姿はー
佳鈴も美織も”同じぐらい”な感じで、
あとは”人それぞれの好み次第”という感じー。
決して、佳鈴が劣っているとか、そういう感じではないー

けれどー
昔から決まって人気が出るのは美織のほうー。
佳鈴はいつも”人気者の美織と一緒にいる女子”ー

その原因がーー
”佳鈴の性格”にあることをー
佳鈴は気づくことができていないー。

佳鈴の我儘でプライドの高い性格がーー
周囲を遠ざけてしまっているのだー。

「ーー美織も、わたしを見下してるのよ!」

帰宅後ー
そんな風に不満を口にしていた佳鈴ー。

そんな時だったー。

”男体化”ー
その液体を飲んだ女を、男に変えてしまう力を持つ、
悪魔のような薬を見つけたのはー。

「ーーー飲んだ女を、男に変えることができるー?」
佳鈴は、そう呟くと、すぐに笑みを浮かべたー

「美織をー男に変えることができるー?」
気が付いたときには、佳鈴はその薬を注文していたー

「美織ー
 あんたばっかりチヤホヤされるのは、もう終わりよー」

佳鈴は、不気味な笑みを浮かべながらー
静かにそう呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

「あ、美織!」
佳鈴が笑いながら手を振るー

「佳鈴!今、ちょうど、お昼?」
大学の食堂にいた美織が笑みを浮かべながら
駆け寄ってきた佳鈴のほうを見つめるー。

「ーうん!そう。どう、いっしょに?」
佳鈴が言うと、美織は微笑んで頷いたー。

「ーーーー」
佳鈴はニヤリと笑みを浮かべるー。

昨日の夜
届いた”飲んだ人間を男に変えてしまう薬”ー

これを、美織に飲ませればー。

”透明な液体”の入った容器を手に、
佳鈴は「あ、そうだ!美織!お水持ってくるよ!」と
笑いながら、食堂にあるウォーターサーバーから
水を持ってこようととするー

「ありがと~!よろしくね~!」
何も知らない美織が微笑むー。

佳鈴はウォーターサーバーの前で水を2つ用意すると、
そのうちの一つにー
”男にする薬”を盛ったー。

既に家で”水に混ぜても見た目では分からない”ことは確認済みー。

自分が飲んでしまったら
佳鈴が男になってしまうから、味までは分からなかったが
仮に万が一味がしても、
飲んだタイミングなら、もう手遅れだー

美織は、男になるー。

「ーお待たせ~!」
水を持って、美織のいるテーブルに行くと、
美織は「ありがとう」と、微笑みながら、
佳鈴が渡した”男体化薬”の入った方のコップを受け取ったー

食堂で注文した昼食が完成したのを確認すると、
美織はそれを受け取りに行きー、

「ーーーー」
佳鈴は雑談をしながらー
その時を待つー

そしてー

「ーーーー!!!!」
佳鈴は、心の中でガッツポーズをしたー

美織が”男体化”の薬が入った水をーー
飲んだのだー

”あんたはもう、終わりよー”
佳鈴はニヤリと笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

佳鈴はスマホをいじりながら、笑みを浮かべていたー

男体化薬の効果は半日程度で起きるー、と書かれていた。

”その場で男体化すれば、色々とリスクがある”からなのかどうかは
分からないが、
これは佳鈴にとっては好都合な性質だったー。

夜ー
今頃、自宅で男になって戸惑っているであろう美織も、
まさか、”お昼の時間に佳鈴が、水の中に入れた薬が原因”とは
思わないだろうー。

「ふふふふふふー
 美織ー
 もう、チヤホヤされなくなっちゃうねー…?」

”これでもう、わたしが美織と比べられることはない”

そう思いながら、佳鈴は、
男になった美織が困惑する様子を、頭の中で思い浮かべるー

大学には来るだろうかー。
いや、さすがに来れないだろうー。

もしかしたら、犯人がわたしだと知らずに、
助けを求めてくるかもしれないー。

「わたしより可愛いなんて、生意気よー」
佳鈴はそう呟くと、不愉快そうに舌打ちをしたー。

今日も、美織に対する嫉妬が止まらないー
だが、それも今日で終わりだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

佳鈴が大学に到着するー。

今日はまだ、美織の姿を見かけていないー
美織に連絡しても、返信もなかったしー
相当悩んでいるのかもしれないー

「ーーーふふふふ…さすがにいきなり男になって、
 大学に来ることなんて、できないよねー」
ご機嫌そうに大学内を歩く佳鈴ー。

「ーー?」
大学内の一角に人だかりができているのを見て、
佳鈴は首をかしげるー。

「ー何?」
佳鈴がボソッと呟くと、偶然近くを通りがかった佳鈴の友人が、
「あ、佳鈴!ねぇ聞いた?美織のこと!」と、叫びながら、
人だかりの方に向かっていくー

「え?何?」
佳鈴が表情を歪めながら、人だかりの方に向かい、
輪のようになっている場所の中心部を見つめるとー

そこにはー
見知らぬ”美青年”がいたー。

「ーーあ、佳鈴!」
その美青年が手を振るー

「ーーーえ?誰?」
佳鈴が思わず、変な声を出すー

がー
すぐにハッとしたー

”まさか、これが男になった美織ー”

「ーーえ…み、、美織ー?」
佳鈴が唖然としながら言うー。

「ーーーそうそう、わたし、美織!
 全然分からないよね」

苦笑いする美青年のような姿になった美織ー。

「ーーあ……」
佳鈴は唖然としながら”男になった美織”のほうを見つめるー。

”い、、イケメンー…
 イケメンすぎるー…”

美織は”イケメン”に男体化したのだったー

その事実に佳鈴は歯ぎしりをするほどのくやしさを味わいながらも
平静を装い、続けるー

「ーき、急に男になったってー…だ、大丈夫なの?」
自分で、男体化を仕組んでおきながらそう呟く佳鈴ー。

美織は「え…?まぁ、大丈夫だと思うよ!みんなへの説明は
大変だけどー…女子と男子、両方経験できるなんて、
人生2倍、得した気分でしょ!」と、笑うー。

「ーーそ、、、そう…」
佳鈴はそう言いながらも、表情を引きつらせたー

”な、なによこの余裕ー。
 てっきり落ち込んで大学に来ないと思ってたのにー”

佳鈴は、チラリと美織のほうを見つめるー。
美織は、既に大学にも話を通してある様子だったー。

「ーということでーいつ戻れるか分からないけど、
 わたし、今日から男子だから、よろしくね」

美織の言葉に、佳鈴は「ーーう、、う、、うんー」とだけ頷いたー。

「ーー全然、ショック受けてないじゃないー」
悔しそうな佳鈴ー

佳鈴は、その日から”男になった美織”の様子を
それとなくチェックし続けたー

悩む様子はなくー
男子とも、女子とも今まで通り仲良くしているー。

しかもー
佳鈴と一緒にいるときもー
やっぱり、美織の方が”人気者”であることに変わりないー

「ーーなんでー…」
佳鈴は怒りの形相を浮かべるー

「美織の人気は、女子だから、ってわけじゃないってこと…?」
”内面も大切”ー
そのことに、気づけないままの佳鈴は、
その日から”男体化した美織は、美織の偽物”だという
噂を大学中にばらまきはじめたー

もちろん、信じる者と信じない者に分かれたー。

だが、結果ー
美織は”本当に美織なのか”一部の大学側の職員や、友人たちに
疑われ始めたー。

辛そうにベンチに座っている美織ー。

夕暮れの大学近くの公園で、
佳鈴は、その姿を見つけて笑みを浮かべるー

「ー(やっと、わたしの勝ちー)」

そう思いながら、勝ち誇った表情で、佳鈴は、美織に声を掛けようと
近付いていこうとするとー

「お、君、かわいいねぇ」

佳鈴が振り向くと、そこには柄の悪い男ー。

「君、ひとりー?」
いかにも怪しい感じの男に、
佳鈴は「用事があるので失礼します」とだけ答えて
足早に立ち去ろうとするー。

しかしー
柄の悪い男が、佳鈴の腕を掴むー。

「ちょっと!」
佳鈴が声を上げるとー
「いいじゃんいいじゃん。ちょっと俺と付き合えよー」と、
強引に佳鈴の腕を引っ張ろうとしたー

その時だったー

「ーーやめろよ」
低い声ー

佳鈴と、柄の悪い男が振り向くとー
そこには、男になった美織の姿があったー

「へっ!なんだよお前ー
 関係ないやつは引っ込んでろ!」

柄の悪い男がそう叫ぶとー
美織は、柄の悪い男の腕を力強く掴んで、睨みつけたー

「ーー”俺の彼女”に手を出すなー」
とー。

その言葉には、言い表せない迫力があったー

「えっ…」
”ドキッ”としてしまう佳鈴ー

「ーーな、なんだよ…じ、冗談に決まってるじゃねぇか」
柄の悪い男は、男になった美織に気圧されて、
そのまま立ち去っていくー

「ーーあ、ありがとうー」
佳鈴が言うと、美織は「ううんー友達だしー」と、笑いながら答えたー。

「い、、いま、彼女ってー」
佳鈴が言うと、美織は「それしか助けるための言葉、浮かばなかったから」と、笑うー

佳鈴はドキドキしながらも、深呼吸して一息つくと、
美織に対して口を開こうとしたー。

しかしー

「ーーー何も言わないでー」
美織がそう言ったー。

「ーわたし、友達をーー佳鈴を、信じてるからー。
 だからー
 何も、言わないで」

美織の言葉に、佳鈴は「え…」と、戸惑うー。

「ーーわたしが男になったのもー
 大学で変な噂が流れたのもー
 きっとーー
 ”偶然”だからー。

 だから、何も言わないでー。」

美織はそれだけ言うと
「怪我がなくて、よかったー」とだけ微笑んでー
そのまま家の方向に向かって歩き出したー

「ーーーー美織ー」

佳鈴は美織の後ろ姿を見ながら目を見開くー

美織はー
気付いていたー

男体化したのが、佳鈴の仕業だとー。
美織を陥れたのも、佳鈴の仕業だとー。

そのことを悟り、佳鈴は呆然とするー。

美織は、立ち去りながら、涙をこぼしていたー。

”ほぼ100%佳鈴の仕業”
美織はそう気づいていたー

でも、それでも美織は佳鈴を信じたかったー

”本人の口からー”
聞いてしまえば
”ほぼ100%”が”100%”になってしまうー

だから、言わないでほしかったー。

佳鈴とことを、美織はまだー
親友だと思っているー

だからー
”ほぼ100%”のままにしておきたかったー。

公園に残された佳鈴はー
男になった美織の後ろ姿を見つめながらー
”わたしは、くだらない嫉妬でなんてことをしてしまったのだろうー”
と、思いながら、公園で一人、涙を流し続けるのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

たまには男体化モノを…!ということで書いてみました~!
1話完結なので、あっさり展開が限界でしたが、
こんな感じになりました!

お読みくださりありがとうございました~!

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小説

コメント

  1. 匿名 より:

    誤字です。最初の方の

    その男子はー
    佳鈴が一方的に行為を抱いている男子大学生だったのだー。
            
           ↑正しくは好意ですね。

    そりゃあ、基本的な容姿が良ければ、原型なくなるような変身ならともかく、性転換しても美形ですよね。おまけに内面の良さがあれば人気者であることに変わりはないでしょう。

    美織は性格が良すぎますね。自分を陥れたのが親友だと確信しつつも、そのことに目をつぶって親友を信じようとするなんて。

    涙こぼしてるのはやっぱり平気なように見えても男体化したことや親友に陥れられたことがショックだったからですかね?

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      誤字の報告もありがとうございます!
      修正しておきますネ~!

      どんなに人が良くても、やっぱり親友の所業には
      美織もショックを受けているようデス~!