<憑依>憑依歴1000年の先輩①~出会い~

憑依歴1000年ー。

彼は、そんな先輩から憑依能力を手に入れて、
欲望の日々を過ごしていたー。

憑依能力初心者と、
憑依歴1000年の先輩の物語ー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー~~~~~~」
ファミレスの店内でソワソワとした様子を
見せている女子高生ー。

そんな彼女に対して、
反対側に座っている別の女子高生は、
少しニヤニヤしながら言葉を口にするー。

「おいおい、何そんなにソワソワしてるんだよー?」
とー。

その言葉に、ソワソワしていた方の少女ー、
藤本 紗友里(ふじもと さゆり)は
ドキドキした様子で、
「だ、だってー…」と、そう言葉を返すー。

「い、今、みんな俺のこと、女子高生に見えてるってことですよねー?」
紗友里がそんな言葉を口にするー。

もちろん、女子高生なのだから、
女子高生に見えることは何もおかしなことではないー。

けれどー、”今の紗友里”の場合は
そんな風に見られていると思うと
ドキドキしてしまって仕方がなかったー。

「ーーへへーまぁなー。
 ”女子高生に憑依してるんだから”当たり前だろー?」

そう言葉を口にするもう一人の女子生徒・野崎 美冬(のざき みふゆ)ー

美冬は、紗友里とは違い、
ソワソワした様子を見せておらず、
今、この状況を楽しんでいるようだったー。

「周囲からJKとして見られるって、”俺たち”にとっちゃ
 凄いことなんだから、もっと楽しめよー。な?」

ニヤニヤしながら美冬がそう言葉を口にすると、
紗友里は恥ずかしそうにしながら
「せ、先輩はいいですけどー…お、俺はまだ”2回目”なのでー」
と、そう言葉を口にするー。

ファミレスにいるー、というこの状況だけではなく、
自分自身が着ている服や、髪、胸ー、声、
あらゆるものに落ち着かない様子を見せる紗友里ー。

「へへー。そんなに可愛い”身体”を使ってるんだから
 もっと大胆におしゃれしても良かったのになー」
そう言葉を口にしながら、自分が履いている
可愛らしいミニスカートに手を触れる美冬ー。

「む、む、無理ですって!
 俺、スカート履くだけでドキドキしてヤバいんですからー!」
顔を真っ赤にしながら紗友里はそう叫ぶー。

そんな会話に、近くにいた男子大学生のグループが
少し気まずそうな、そしてどこか不思議そうな表情を浮かべているー。

確かに、女子高生二人”が、自分のことを”俺”と言っていたり、
”周囲からJKと見られる”とか言っていたり、
少し訳の分からない会話をしている以上、
無理もない反応かもしれない。

「ーーーー~」
その男子大学生の反応に気付いたのか、紗友里は
「せ、先輩ー…こ、こんな会話しててもいいんですかー?」と、
周囲に聞こえている、ということを
心配そうに指摘して見せるー。

が、”先輩”と呼ばれている美冬は
腕組みをしながら注文したパフェのほうを見つめると、
「多少聞こえたって問題ねぇさー」と、そう言葉を口にしてから
パフェを口に運ぶー

「ん~~~JKの身体だと大抵甘いもの、美味しく感じるんだよなー」
美冬は感慨深そうに、そんな言葉を口にして頷くと
「ーお、俺はそれどころじゃないんですけどー」と、
紗友里はそれだけ言葉を口にするー。

「ーーははは、まぁ、俺も”最初のうち”はそうだったかもなー」
美冬は笑いながらそう言うと、
「ーお、俺もいつか先輩みたく慣れること、できるんですかねー?」と、
紗友里はそう言葉を口にするー。

美冬は「まぁなー。俺みたいになるには時間が掛かるかもしれねぇけど
憑依を繰り返してりゃ、慣れるさー。色々となー」と、
そう言葉を口にしたー。

美冬のことを”先輩”と呼ぶ紗友里ー。
しかし、美冬と紗友里は同級生で、
何らかの先輩と後輩でもないー

それなのに、紗友里は美冬を”先輩”と呼んでいるー。

その理由はーー…
ここにいる紗友里と美冬ー…
二人は”憑依”されていたからだったー。

二人ともその身体も、心も、
自分に憑依した人間に乗っ取られている状態ー。

”紗友里”に憑依している方の男は、
”憑依歴”1年目ー。
それどころか、憑依自体がまだ2回目で、
憑依して乗っ取った身体で”外”に出たのはこれが初めてだー。

対する”美冬”に憑依している男は、
”憑依のベテラン”ー。
遠い昔に自分の身体を捨てて、
それ以降は次々と身体を乗り換えて
普通の人間ではあり得ないほどの長い時間を生きているー。

「に、しても便利になったよなー
 俺の生まれた時代が嘘のようだぜー」
美冬はニヤニヤしながらそう言葉を口にすると、
ファミレスの注文用のタッチパネルを見つめながら
それを楽しそうに触ってみせるー。

「ーーせ、先輩ってどのぐらい前から生きてるんでしたっけー?」
紗友里が少し苦笑いしながら、
そんな言葉を口にすると、
美冬は「ーー前にも言わなかったかー? 1000年前だなー」と、
腕組みをしながらそう言葉を口にしたー。

「せ、千年ー…」
紗友里は、少しだけ戸惑いの表情を浮かべると、
「ーせ、1000年も生きていて飽きないですかー?」と、
そんな言葉を口にするー。

すると、美冬はニヤニヤしながら、
椅子に寄りかかると、パフェを口にしながら言ったー。

「ーへへー飽きるわけねぇだろー?
 1000年どころか、1万年生きたって飽きねぇよー。」
とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

紗友里に憑依している男はー、
少し前までは”ニート”だった男ー、
田邊 龍太(たなべ りゅうた)ー。

大学卒業後、就職はしたものの
会社に馴染むことが出来ずに半年もせずに退職、
その後はバイトをしている期間としていない期間ー…
”フリーター”と”ニート”を行き来するような、
そんな生活を送っていたー。

自分がなかなか社会に馴染めないだけー、というのは
分かっているー。
就職した会社も、ブラック企業ではなかったし、
パワハラがあったわけではなかったー。

悪いのは、自分だー。
それは分かっているー。

ただ、どうすることもできないまま、
時間ばかりが過ぎていく現状にうんざりして、
その日龍太は、居酒屋に入って
一人、飲んで、飲んで、飲みまくっていたー。

散々飲みまくって、店を出た龍太は
ふらふらとしながら近くのフェンスに激突すると、
その場に座り込んだー

「あ~くそっ…俺も麻美(まみ)みたいに可愛かったらなぁ~!!」
不満そうに、大声を出す龍太ー。

麻美とは、龍太の妹の名前だー。

龍太の妹の麻美はとても可愛いー。
昔から麻美は”可愛い”ことで、得をしていることも多くー、
そんな姿を間近で見ていた龍太は、
麻美に嫉妬のような感情も抱いていたー。

もちろん、普段はそんなことは口にしないー。
けれど、この日は酔いつぶれるほどに酒を飲んでいたため、
普段は言わないようなことまで、口にしてしまっていたー。

「ーー俺も美少女に生まれたかったな~~!!
 こんな身体捨てて、幽体離脱できたらな~~~~!!!
 人生、今よりずっと薔薇色だったはずなのにー」

明らかに酔っ払っている様子で、フェンスの前に座って
寄りかかった状態でそんな言葉を口にするー。

もちろん、”明らかに酔っ払っている”と、
分かるからだろうかー。

そんな龍太のことを相手にする人間はいなかったー。

がーーー

「ーー自分の身体を捨てて、美少女になりたいのー?」
そこに、姿を現したのが”美冬”だったー。

夜に遊び歩いているような子には
とても見えない雰囲気の優しそうな子ー。

そんな子に突然声を掛けられたことで、
酔っていた龍太は、いきなり酔いが醒めるような感じになって、
美冬のほうを見つめたー。

「ーーえ…えっとー…」
美冬のような美少女から話す機会などー
滅多にないー。
いやー、そもそも異性と話す機会すらほとんどないー。

妹の麻美は既に一人暮らしをしているし、
異性と会話するとすれば、お店の店員との事務的な会話ぐらいで
他に会話する機会などないー。

だからこそ、異性にー、
しかもこんな美少女に急に話しかけられて戸惑ってしまうー。

「ーーその身体を捨てて、女になりたいならー
 わたしがその方法、教えてあげようかー?」
ニヤッと笑う美冬ー。

そんな美冬を前に
”あぁ、そうかー。あれだなー
 何か売りつけられたり、怪しい団体に勧誘されるんだなー”と、
龍太はそんな風に思った。

一瞬、浮かれてしまいそうになったものの、
こんな美少女が自分に急に話しかけてくれるわけがないー。

あるとすれば、何か高値で売りつけられるか、
それとも変なグループへの入会でも求められるか、
あるいは、この女についていったらゴツイ奴らが待ち構えていてボコボコにされるか。

そうに決まっている、と、龍太はそう感じたー。

そしてー、龍太は酔っ払っているからだろうかー。
それを口にしてしまうー。

「ー俺に何を売るつもりですか?
 謎の絵画?それとも置物ー?

 いや、奇跡の力を使う会とかそういうのへと勧誘か何かですか?

 それとも、ついていくとボコボコにされる???」

不貞腐れた様子でそんな言葉を口にする龍太を見て、
美冬は思わず笑うと、
「ーあはははーそんな風に思っちゃうかぁ」と、そう言葉を口にするー。

「ー”現代人”は昔と比べて警戒心が強いから仕方ないかー」
美冬のそんな言葉に、龍太は少しだけ表情を歪めるー。

そしてー
美冬は笑みを浮かべながら
「何も売らないし、何に入れとも言わないし、ボコボコにするような仲間もいないー
 で、わたしは見ての通り、こんな華奢な身体だから、
 ボコボコにされるのはわたしのほうー」と、そう言葉を口にすると、
「ーーさっき、そこで言ってた言葉を聞いて、思ったのー」
と、そう続けながら、
龍太に”わざと”顔を近づけてから
「俺と一緒に憑依を楽しめるってー」
とー。

「ーーーえっ…?」
急に美少女に男のような話し方をされたことー、
そして、顔を至近距離まで接近させられたことにドキッとしながら、
「い、い、いったいどういうー?」と、そう言葉を返すと、
「ーー自分の身体を捨てる覚悟があるならー…
 ”憑依能力”をお前に与えてやるー」と、美冬は笑みを浮かべながら言うー。

「憑依能力さえあれば、俺みたいに、どんな女だって
 自由自在にできるー

 ーーま、もちろん男に憑依してもいいけどなー」

とー。

「ひ、ひ、ひ、憑依ー…???
 じ、じ、じゃあー…そ、そ、その身体はー…?」

龍太が美冬のほうを見つめながらそう言葉を口にすると、
「ー”半年前”から使っている今の俺の身体ー。可愛いだろ?」と、
笑みを浮かべながら美冬は自分を指差したー。

憑依ー。
あり得ないー
絶対に詐欺に決まっているー。

龍太はそう思うと、
「よ、酔ってる大人を揶揄うもんじゃないぞー
 も、もう帰るんだー」と、そう言い放つー。

がー、そんな言葉を聞いた美冬は
自分の髪を触りながら
少し呆れた様子で半笑いを浮かべたー。

「ーーいやいやいやいや、
 俺のこと、詐欺か何かだと思ってるみたいだけどさー…
 ”詐欺”なら、”憑依”とか、明らかに嘘臭くて
 疑われるような言い方するわけないだろ?

 こんなに可愛い身体使ってるんだから、
 いくらでももっとマシな嘘をつけるー」

美冬のその言葉に、
龍太は「た、た、確かにー」と、そう言葉を口にするー。

「で? その身体を捨てて俺みたいに
 他人を乗っ取り放題の”憑依の力”欲しいだろ?」

美冬はそう言葉を口にすると、
龍太はゴクリ、と唾を飲み込むー

そしてーー

「お、お、お、お、お願いしますー」
と、そう叫んだー。

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そんな、”先輩との出会い”を思い出しながら、
紗友里に憑依した龍太が感慨深そうな表情を浮かべていると、
「ーお前、俺のこと滅茶苦茶疑ってたよな」と、
美冬はパフェを完食しながらそう呟くー

「す、す、すみません!な、何度も謝りましたよねー!?」
紗友里がそう言うと、
美冬は「ははー。ま、でも気持ちは分かるー。
”今まで”の相棒たちもそうだったからなー」と、
そう言葉を口にするー。

「ー今までの相棒ー?」
紗友里に憑依している龍太がそう聞き返すと、
「ん?あぁー。お前みたいに憑依能力を分け与えた仲間が
 これまでにも何人かいてな」
と、美冬は腕組みをしながらそう言葉を口にしたー。

憑依歴1000年の先輩ー。
そんな彼との出会いで、
龍太の人生は大きく変わったー。

”憑依を繰り返した先に”
彼にどんな未来が待ち受けているのか、
龍太はまだ、知らないー…。

②へ続く

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1000年も憑依を続けている男と出会った男の
憑依物語デス~!

この先もぜひ楽しんで下さいネ~!!

今日もありがとうございました~!★!

「憑依歴1000年の先輩」目次

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