<入れ替わり>入れ替わり実験室③~事故~(完)

②にもどる!

入れ替わり薬の実用化を目指してー。

入れ替わりの様々な実験が行われているその施設ー。

しかし、そこに警報音が鳴り響きー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「何かあったんですかー?」

施設内に警報音が鳴り響く中、
廊下を移動していた和美は、
所長の”莉々”の姿を見つけてそう言葉を口にしたー。

「ーーおぉ、和美ちゃんー」
莉々(陣)は相変わらずギャルのような格好で
そう言葉を口にすると、
「ーどうやら”被験者”の一人が暴れ出して、
 被害が出ているようでなー」と、
莉々(陣)は少し困惑した表情を浮かべたー。

和美は戸惑いながらも、
そのまま莉々(陣)と共に、
その場所へと向かうー。

すると、そこにはー…

「ーーわたしは、わたしは希海よ!!
 山塚 希海!!!
 三島 宗平なんかじゃない!!!」

と、そう叫びながら暴れ回っている女の姿が見えたー。

「ーあの人はー…」
和美はそう言葉を口にしながら、
髪を振り乱しながら暴れている希海(宗平)を見つめるー。

山塚 希海と三島 宗平ー。
二人は、”入れ替わり薬を毎日使用した場合どうなるのか?”という
実験を1ヵ月の期間で行っていた被験者たちだー。

先日、和美も担当者の麻紀から
”記憶の混濁が見られる”と、状況の説明を受けたばかりー。

この二人に関しては実験の中止も検討されていたものの、
実際に実験が”中止”となる前に、
希海(宗平)が発狂して暴れ出してしまったー。

自分のことを”希海”だと思い込んでしまった宗平はー、
自分が宗平であると告げられて、
それを受け入れることが出来ずに、ついに暴れ出してしまったー。

「ーーチッー…」
最年少の女性研究員・麻紀が腕を押さえながら
和美と所長の莉々(陣)が到着したことに気付くと、
「松浦ー。それにギャルー」と、
そう言葉を口にしたー。

先輩の和美にも、所長の莉々(陣)にも平気でため口な麻紀ー。
が、所長の莉々(陣)はいつも通り”変人ばかりだから”と
気にしていないー。

「ーーわたしは山塚 希海よ!!!!
 みんなみんなーわたしを騙そうとしてる!!!」

施設内で暴れたことで、希海(宗平)の近くには
入れ替わり薬の容器が転がっているー。

”今日の入れ替わり”として、麻紀が二人に
投与しようとしていたものだー。

「ーえへへへーギャルだよ~」
莉々(陣)は、麻紀から”ギャル”と呼ばれて嬉しそうにしているー。

が、そんな二人を余所に
和美は険しい表情を浮かべながら
希海(宗平)のほうを見つめていたー。

”ここで、騒ぎを起こされるわけには行かないのー”
和美は内心でそんなことを呟くー。

ここで、”事故”や”事件”が起きればー、
入れ替わり薬の研究はストップさせられてしまう可能性があるー。

けれど、和美は早く”実用化された完成品”を欲していたー。

”この研究所は変人ばかりー”
所長の莉々(陣)はそう言っていたー。

和美はー、この研究施設に所属しながら、
”別の企業”とも通じている”内通者”ー。

研究を円滑に進めて、
”入れ替わり薬が完成・実用化”されたタイミングで
その技術を奪い取るー、
その目的のために、この施設の研究員として潜り込んでいる女だー。

”早く、完成して貰わないと、困るのー”
和美は内心でそんな言葉を口にするー。

入れ替わり薬の”完成データ”ー、
それを手に入れて、和美の”本当の雇い主”に提供することで
和美は莫大な報酬を得る約束になっているー。

入れ替わり薬が完成し、実用化したら和美がやりたいことー。

それはー…
入れ替わり薬の技術を盗み出して、
それを売り飛ばし、大金を得ることー

そして、その”スリル”を味わうことー。

善人のフリをして、
何喰わぬ顔で、人を裏切ることに快感を感じるー…
和美はそんな人間だったー。

”裏切られた”人たちが浮かべる表情がたまらなく大好きだー。

だから、和美は学生時代も彼氏を作っては
数か月間の間、その彼氏にとっての”素敵な彼女”を演じて、
急に振る、ということを繰り返して来たー。

そんな人間だからこそ、
和美は所長の莉々(陣)が言う、
”この研究所は変人ばかり”という言葉には共感していたー。

和美は今、この職場が好きだー。
同僚も、被験者たちもー

でも、それをいずれ裏切ろうとしているー。
その日が楽しみで楽しみで仕方がないー。

自分が”おかしい”と分かっていても、
それをやめることが出来ないー。

「何かあったのか?」
ふと、背後から声がしたー。

すると、そこには以前、被験者としてここに来て以降
住み着いている70代の老人、通称”仙人”が姿を現したー。

「ーあ!仙人!今、大変な状況で~」
所長の莉々(陣)がギャルのような口調で話すー。

”仙人”はいつもの通り
「へへー所長ー今日もエロイのぉ」とニヤニヤしながら
莉々(陣)の胸を触るー。

「も~~!仙人ってば~!」
所長の莉々(陣)も、楽しそうにそんな言葉を口にしていると、
「おい!ギャル!それにクソジジイ!真面目に対応しろ」と、
誰にでもため口な最年少の女性研究員・麻紀が不満そうに
そう言葉を口にするー。

「うっほ♡クソジジイ頂きましたぁ」
仙人が嬉しそうに興奮した様子で、笑みを浮かべるー。

和美も内心で”何なのこの人たちー”と思いつつも、
暴れている入れ替わり被験者・希海(宗平)のほうを見つめるー。

「一度、落ち着いてー」
和美がそう声を掛けるー。

「ーまずはじっくり話をしようー。」
麻紀もそう声を掛けるー。

がーー、
「あんたたちはー、あんたたちは、わたしが、山塚 希海じゃないって
 決めつけるから!」
と、希海(宗平)が泣きながらそう叫ぶー。

そしてーーー
希海(宗平)は信じられない行動を起こしたー。

足元に転がっていた入れ替わり薬の容器を手にすると、
それを、和美、莉々(陣)、”仙人”、麻紀が
いる方向に向かって泣きながら投げつけて来たのだー。

「ーーえっー」
それを見た和美が唖然とした表情を浮かべるー

「なっ…」
最年少女性研究員の麻紀も、
流石に驚いた表情を浮かべるー。

「ー!?!?!?」
”仙人”と楽しく雑談をしていた所長・莉々(陣)は
口をぽかんと開いてその光景を見つめるー。

「おぉぉ?何じゃ???何じゃ????」
”仙人”は何が起きているのか分からず、
首を傾げながらそう言葉を口にするとー、
ちょうど、4人が立っている位置に
入れ替わり薬の入った容器が落下ー、
それが音を立てて割れてー、
入れ替わり薬が周囲に飛び散るのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

「えへへへー麻紀ちゃんの身体も最高だなぁ」
麻紀の身体で、すっかりギャル化した麻紀(陣)は
嬉しそうに金髪になった髪を触るー

「ーオェッー…この変態所長めー…」
それを見つめながら、相変わらず所長にもため口な麻紀が
不満そうに言葉を口にするー。

麻紀は希海(宗平)が投げた入れ替わり薬によって、
所長が元々使っていた”莉々”の身体になってしまっていたー。

「ーくそっーどうしてまた女なんだー。
 わたしは男になりたいのにー」
莉々(麻紀)がそう言葉を口にすると、
横にいた”和美”がバニーガール姿で自分の胸を揉みまくっているのが見えたー。

「ふほほほほほほほ♡ ほほっ♡ うへへへへへ♡」
普段の和美とは思えないような、歪んだ笑みを浮かべながら
自分の胸をひたすら揉み続けているー。

口元からは涎が零れ落ちー、
下品な笑みを浮かべ続けている”和美”ー

「ーーまぁでも、クソジジイと入れ替わるよりマシかー」
男になりたかった”麻紀”は、所長が使っていた莉々の
身体になってしまったけれど、
それでも、”入れ替わり”に巻き込まれた4人の中で
唯一”男”の身体であった”仙人”と入れ替わるよりはマシだと
そう思ったー。
仙人も所長も変態ではあるけれどー、
所長は”莉々”の身体を使っていたから、
所長と入れ替わるのはまだマシだー。

しかし、”仙人”は、麻紀がいくら男になりたいと言っても
高齢すぎるー。
さすがに、寿命があと10年あるかどうか分からないような身体になるのは
麻紀もごめんだったー。

そうー、”和美”の身体の中には通称・仙人と呼ばれている
施設に住み着いていた老人がいるー。

そして、和美はーーーー

「な、なんでこんなことにー…なんでこんなことにー」
”仙人”になってしまった和美がそう叫ぶー。

普段の穏やかな和美の振る舞いが嘘かのように、
仙人(和美)は取り乱して
「しょ、所長!入れ替わり薬を今すぐ使わせてください!」と、
そう叫ぶー。

がー、この数日、仙人(和美)は何度も所長に
それを頼み込んでいるものの、
所長である麻紀(陣)はそれを許可してくれなかったー。

”事故”は、当事者たちだけの秘密として、所長の陣は
処理するつもりだったからだー。

”事故”について上に報告が入れば
入れ替わり実験や研究は中断、あるいは中止になってしまう
可能性が十分にあるー。

そうなってしまえば、ここまで積み重ねて来たものが
パーになってしまう可能性もあるのだー。

それだけは避けたいと、麻紀(陣)は
被験者の希海と宗平の二人に異常が生じたことによって
起きた事故を隠し通すことに決めていたー。

そしてー、
”だからこそ”入れ替わり薬の使用をすることはできなかったー。

入れ替わり研究所には、試験段階とは言え、
確かに実際に入れ替わることのできる入れ替わり薬は
たくさん保管されているー。

入れ替わった4人がそれを使えば
”元に戻ること”は可能だー。

ただしー、
入れ替わり薬は、試験段階ー。
悪用されることは絶対に避けなければならず、
持ち出し・使用はコンピューター管理されていて、
使用すれば、上層部の人間にも当然知れ渡ることになるー。

そのため、事故を隠すためには
入れ替わり薬を使って4人が元に戻る、ということは
できなかったー。

そしてー、
入れ替わった4人のうち、3人は”入れ替わり”に納得していたためー、
仙人(和美)が、入れ替わり薬を使いたいと言っても、
それを所長が認めることはなかったー。

「ーーまぁ、前の身体も気に入ってたけど、
 君の身体も最高じゃよー」
最年少女性研究員・麻紀の身体になった所長の陣は、
莉々の身体も良かったけれど、麻紀の身体も最高だと、
満足そうにしているー。

「ーわたしは、実用化が最優先なので」
莉々の身体になってしまった麻紀は、
ほぼ同年代の身体だし、私生活の友達もほぼいないために、
”どっちでも問題ない”と、”この前の事故”を隠すことを優先していたー。
事故が発覚すれば入れ替わり実験は中止になるからだー。

「えへへへへへ♡えへへへへへっ♡」
バニーガールの格好をして、和美の身体の胸を
揉みまくっている”仙人”が今の状況に満足しているのは
言うまでもないー。

こうしてーー…
先日の事故は隠蔽されて、
入れ替わり研究と入れ替わり実験は続いていくのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」

入れ替わった状態で1年間経過観察を続けている
加奈(泰樹)と泰樹(加奈)は今日も楽しそうにしているー。

そんな光景を見つめながら”仙人”になってしまった和美は
大きくため息を吐き出すー。

”きっと、バチが当たったんだー”
仙人(和美)は内心でそう思うー。

和美は小さい頃から人を裏切ることを楽しんで来たー。
そして、この研究施設でも、入れ替わり薬が完成・実用化された段階で
裏切り、他の組織にそれを売り払おうとしていたー。

だから、天罰が下ったのだと、
仙人(和美)は自虐的に笑みを浮かべたー。

もちろん、入れ替わり薬が完成するまでここにいて、
それを盗み出せば、
元の身体に戻ったり、別の身体を奪ったりすることはできるかもしれないー。

けれどー…仙人(和美)には、そんな気力もなくなってしまい、
それからしばらくしたある日退職しー、そのまま姿を消したー。

和美が姿を消した後も、
この施設では入れ替わり薬の研究と実験が続けられているー。

いつの日か、入れ替わり薬が正式に完成し、
実用化されるまで、それが止まることはないー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

入れ替わり薬完成のための
実験をしている施設の物語でした~!

まだまだ、実用化までは時間がかかりそうですネ~!

お読み下さり、ありがとうございました~!☆!

「入れ替わり実験室」目次

作品一覧

コメント