入れ替わり薬実用化のための
様々な”実験”が行われている施設ー。
今日もそこでは
様々な入れ替わりの実験が行われていたー。
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”三島 宗平”
”山塚 希海”ー。
二人の入れ替わりの”実験”が行われている場所に
足を運ぶ研究員の和美ー。
所長の莉々(陣)から、
”二人の実験の経過が良くない”と聞かされて和美も
心配して、その場所を訪れていたー。
「ーーーーあぁ、松浦ー」
そこにいたのは小柄の女性研究員・麻紀(まき)
この研究所では入れ替わった状態で身体だけ若さを取り戻した
所長の莉々(陣)を除く、最年少の研究員だー。
がー、何故かとても偉そうな態度で、愛想もないー。
先輩である和美のことも平気で”松浦”と呼び捨てにするし
敬語も一切使わないー。
所長に対しても、だー。
しかし、研究者としては非常に優秀であるため、
所長の莉々(陣)も「ここは変わりモノの巣だからね。私も含めてー」と
気にせず、そのまま重用しているー。
「ーー二人の状況が良くないと聞いて見に来たのー
どんな感じ?」
和美がそう言うと、
心配そうに、宗平(希海)と、希海(宗平)のほうを見つめるー。
二人が参加している実験は
”入れ替わり薬を毎日使った場合どうなるのか”のテストで、
期間は1ヵ月ー。
毎日1回ほど入れ替わり薬を服用ー、
入れ替わりを繰り返して、
”その影響”を確認するという実験だー。
「ーー数日前から”記憶の混濁”が見られるようになったー」
最年少の女性研究員・麻紀が腕組みをしながら言うと、
「混濁ー…?」と、和美がそう言葉を口にする。
「あぁー自分が元々どっちだったのか二人とも
分からなくなり始めてるー。
さっきも、山塚 希海の身体になっている三島 宗平が、
”わたしー…山塚ですよねー?”って不安そうに言ってたし、
このままだと、二人とも壊れるかもしれない」
麻紀のそんな報告を聞いて、
和美は心配そうに、常駐している医師の診察を受けている二人のほうを見つめるー。
「ーわたしは…わたしは…どっちなのー…?分からないー」
希海(宗平)が頭を抱えながらそう言葉を口にするとー、
宗平(希海)は「君が山塚さんのはずだよー」と、
自信満々にそう言葉を口にするー。
つまり、今、自分たちは自分の本来の身体にいると
そう思ってしまっているものの、
実際には今日は入れ替わっている状態で、
宗平(希海)の言っている言葉は間違っているー。
「ーー連用すると深刻な症状が出るようだな」
麻紀は腕組みしながらそう言うと、
「松浦、あんたの担当している被験者たちは?」と、
偉そうにそう質問してきたー。
”ー最年少なのにこの堂々とした感じー、なんだかすごいなぁ”
和美はそう思いながらも、
「え~っと、わたしが担当してる人たちは
特に問題は出てないかなぁ」と、そう言葉を返すー。
「そうかー」
麻紀はそれだけ言葉を口にすると、
宗平(希海)と希海(宗平)がいる部屋のほうを見つめながら
「早く、入れ替わり薬が実用化されるといいな」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーーーうんーそうだねー。
ーーーところで、麻紀ちゃんは
入れ替わり薬が実用化されたら使おうと思ってたりするの?」
和美がそう呟くー。
麻紀は寝る間も惜しんで研究を続けていて
”開発部”とここ、”試験部”を掛け持ちしているー。
「ーあぁー
わたしは、男になりたかったからー。
だから入れ替わり薬が実用化されれば
男の身体になれるだろ?」
麻紀は腕組みをしたまま、
診察を受けている被験者二人がいる部屋のほうを
見つめながらそう呟くー。
「ー別に望んじゃいないのに、
わたしの身体はそこそこ可愛いと思うし、
この身体と交換してくれる男はいくらでもいるだろ」
麻紀はそう言葉を口にすると、
「だからさっさと安全性を確認して、実用化にこぎつけたい。
そうすればわたしは男の身体で過ごせるからなー」
と、そう続けると、「じゃ。開発部の方でも仕事あるから」と、
そのまま立ち去って行くー。
和美も「あ、ごめんねー邪魔して」と、
そう呟くと小さく息を吐き出したー。
「ーー」
和美にも、当然入れ替わり薬が実用化された時には
”やりたいこと”はあるー。
ただー、まずは実用化にこぎつけないといけないー。
「ーーー」
和美はふと、所長の莉々(陣)が言っていた
”この研究所は変わり者ばかり”と言う言葉を思い出すー。
「ーー…わたしも含めてーーね…」
和美は、自分自身も”変わり者”だと、
一人そう呟くと、ゆっくりと廊下を歩き始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
和美は”被験者”たちの元を順番に回っていたー。
「ーまぁ、変な気分ですけど、問題はありませんよー」
「僕もですー」
そう言葉を口にするのは兄弟で治験に参加した
双子の兄と弟だー。
”双子の入れ替わり”で、何か特別な影響が
出たりしないかどうかの”実験”だー。
「ーー順調そうでよかったですー。
やっぱり見た目はそっくりでも入れ替わってみると違うものですか?」
和美は穏やかな口調でそう質問すると、
中身は弟の兄の方が「えぇー。兄貴の身体の方がなんかこうー
僕と比べると味覚が微妙っすね」と笑いながら答えるー。
「ははーまぁでも確かに、お前の身体の方が飯は旨いよなー」
弟の身体になった兄も笑いながらそんな言葉を口にしているのを見て、
和美も笑うー。
そんな二人の経過観察を終えると、和美は
さらに別の被験者の元に向かうー。
「ーーーーー」
和美の視線の先には赤ちゃんのように泣きじゃくっている
20代後半の女性・沙耶(さや)の姿が見えるー。
和美は思わず少し苦笑いしてしまうと、
その近くのベビーカーに座っている赤ちゃんのほうを見つめるー。
この二人は母親と娘ー。
”赤ちゃん”との入れ替わりに対する影響の実験の治験に
参加しているシングルマザーとその娘だ。
「ーーーー沙耶さんー…調子はどうですか?」
和美が、赤ちゃん(沙耶)の方にそう確認すると
「だぁ!」と、赤ちゃん(沙耶)は嬉しそうに返事をするー。
ジェスチャーで多少の意思疎通は出来ているものの、
会話はまともに成立しない状態ー。
”大人”が中身になれば大人のように行動し、
ペラペラと喋る赤ちゃんー…になるかと予想する
研究員もいたものの、そうはならず、
まだ身体が十分に発達しておらず、脳の機能も未発達な部分が
あるため、中身が母親になっても、
コミュニケーションの手段は限られている状態だったー。
ただ、普通の赤ちゃんとは違い、
”身体の許す範囲内で”ちゃんと大人らしい行動をすることもでき、
和美や研究員がやってくると、ぺこりと頭を下げたりもするー。
「ー今日の午後、元に戻る予定になってますから
よろしくお願いしますねー」
和美はそう言葉を口にすると、
そのままその部屋から出て行くー。
そして、さらに次の被験者の元へと向かうー。
その場所には二人組の女性がいたー。
このうちの一人が、半年ほど前から
ある出来事がきっかけで精神的に病んでしまっていて、
彼女の親友が偶然この研究施設の治験を発見ー、
本人と共に応募し、
”精神的に病んでいる状態の人間との入れ替わり”の実験対象として、
被験者に選ばれたー。
もしも、入れ替わることで精神的な不調が
回復するのであれば、と、そんな部分を確認するための実験だー。
ただーー…
「ー身体が入れ替わっても、変わんないみたいー」
親友と入れ替わった彼女はそう言葉を口にしたー。
”メンタルが鋼な親友”の友達と入れ替わっても、
精神的な部分は”身体”ではなく”中身”の方の影響が
強いのだろうー。
親友の身体になっても状況は変わらず、
塞ぎ込んだままの状態で、
逆に精神的に塞ぎこんでいた彼女の身体になった親友は
普通にいつも通り元気なままだー。
和美はそんな二人の様子を見つめながら
会話を続けると、記録を行っていくー。
そして、二人のいる部屋から退出すると、
「やっぱり、心は中身の方と強く結びついているってことかなー」と、
そんな言葉を口にするー。
そして、さらに”次”の被験者の元に向かおうとすると、
廊下の反対側から、髪も髭もボサボサのおじいさんのような男が
やって来るー。
彼はー、”仙人”などというあだ名で呼ばれている”元・被験者”の
おじいさんだー。
「ーあ…千代田(ちよだ)さんー。こんにちはー」
和美は少しだけイヤそうな表情を浮かべたものの、
”仙人”にそれを気付かれないように笑顔で挨拶すると、
「あぁ、和美ちゃんー。今日もエロいねー」と、
”仙人”はそう言葉を口にしたー。
「ーあ、あははーそういうこと、あんまり言っちゃダメですよー?
中には怒る人もいますからね???」
和美も内心では”何なのこの人ー?”とは思いつつも、
笑いながらそう言葉を口にするー。
「ふぉっふぉっふぉっー、
和美ちゃんが綺麗なのが悪いんじゃよ」
冗談めいた口調で”仙人”はそう言葉を口にすると、
そのまま立ち去っていくー。
”仙人”は、かつてここで他の被験者たちと同じように
”実験”に参加した老人だー。
”歳の差”がある入れ替わりのテストに参加し、
70代の彼と、女子高生の入れ替わりが実施されたー。
その子の親が、”報酬”に目がくらみ、
娘を半分無理矢理に治験に参加させるという
とんでもない感じだったー。
その入れ替わり実験はー、変態な”仙人”との入れ替わりで
あったために”色々”ありはしたものの、
とりあえずは無事に終了したー。
がー、”仙人”はそのままこの施設に住み着くようになってしまい、
まるでホームレスのようにここで勝手に暮らしているー。
和美も含めて研究員たちからは迷惑がられているものの、
所長の莉々(陣)が
”面白いじいさんじゃないかー”と、笑いながら、
”まぁ、ここは私も含めて変態ばかり。好きなようにさせてあげればいい”
などと、そんなことを言ってしまい、
”仙人”は、そのままこの施設に住み着いているー。
一応、施設のゴミ処理の仕事だとか、
施設内の清掃だとか、
そういうことの手伝いはしているものの、
ほとんどの時間は自由に過ごしていて、
まさに”勝手に住み着いている”に近い状態だったー。
「ーーー…所長、変人集めるの好きだからなぁ…」
和美は苦笑いしながら、”仙人”と別れて
次の被験者の部屋に向かうと、
そこには、妊婦と夫がいたー。
この二人は”長期”この施設で暮らしているー。
と、言うのも、”入れ替わった状態のまま妊娠・出産は可能なのか”という点と、
それで生まれた子供への健康や脳への影響、
出産後の入れ替わっている当事者たちへの影響など、
色々なテストを行うためだー。
入れ替わり前には妊娠していないことを確認、
その後、入れ替わって貰い、妊娠するための生活を続け、
晴れて妊娠が発覚ー、現在は出産に向けて色々準備をしている最中だー。
当然、妊娠していない状態からの妊娠、出産には
相応の時間がかかるー。
そのため、二人は長期間この施設で暮らしていたー。
もちろん”莫大な報酬”と、この施設での”快適な生活”は保障されているー。
「ーー今日の調子はどうですかー?」
和美がそう言葉を口にすると、
妻(夫)の方が苦笑いしながら
「それにしてもー、男の僕が出産することになるなんて不思議な気分ですよー」
と、そう言葉を口にするー。
夫(妻)は「何だか変わって貰っちゃってごめんねー」と、
そう言葉を返すと、妻(夫)は「いいさー。」とそう返事をした上で、
「入れ替わり薬が実用化されれば、こうして代わってあげることも
できるようになるってことですね」と、
和美のほうを見て呟くー。
「そうですねー。他にも色々な使い方ができると思うので、
実用化まで慎重にテストを重ねてー」
和美はそう言葉を口にすると、少しだけ表情を曇らせるー。
”実用化されたらしたいこと”ー。
和美はーー…
「ーーー!」
ふと、自分のことを考えていると
突然、施設内に警報音のようなものが
鳴り響いたのが聞こえたー。
「な、何ですかー?この音ー」
妻(夫)が不思議そうに言うと、
和美は「ー職員向けの警報ですねー。
皆さんは部屋にいて下さいー」と、そう言葉を口にするー。
何かあったのだろうかー。
和美はそう思いながら不安そうに施設内を走り始めるのだったー…。
③へ続く
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コメント
色々な入れ替わり実験が行われている施設…!
入れ替わり好きの人がここに就職できれば、
毎日楽しそうですネ~!!
明日が最終回デス~!!

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