<憑依>勇者さまご乱心~新たなる勇者~・前編

あれから、2年が経過したー

憑依の魅力に憑りつかれた勇者クロウは、
今日も、仲間だった巫女・イリーナの身体で
好き放題していた。

しかしー…

※「勇者さまご乱心」の新作デス
(過去作品はカテゴリからご覧ください!)

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「んああああああっ♡ ああああああっ♡♡」

巫女・イリーナは身体をがくがく震わせながら
幸せそうな表情を浮かべていたー

「--あぁぁぁぁっ…全体回復魔法ぅぅ♡♡」

錫杖をアソコに突っ込み、全体回復魔法を体内に
直接放つことで、回復魔法以上の快感を得ていた
イリーナは乱れた格好のまま、ぶるぶる震えて
涎をこぼしていたー

勇者・クロウが、この城にやってきて2年ー。
あれからも、セレス姫に憑依している魔王フォーティスと共に
好き放題を続けていたー

エレンとイザベラは、半年ほど前に、
完全に廃人になってしまったため今は”地下牢”に幽閉
してあるー。

だが、そんなことはどうでもいいー

「イリーナ様」
現在の第3騎士団長・ジャッカルがやって来るー。

「--ノックぐらいなさい!」
イリーナは、高飛車な口調で答えたー

魔王フォーティスが憑依している
セレス姫の手回しにより、
イリーナは、今や王国の”女神”として
姫に次ぐ地位を与えられていたー

「は、申し訳ございません」
ジャッカルがそう言いながら、頭を下げる。

「それで…何の用ですか?」
イリーナは、あくまで高貴な巫女を装い、
ジャッカルの方を見るー。

ジャッカルは答えたー

「勇者ご一行が到着なされますー」
とー。

「勇者・・・?」
イリーナは笑みを浮かべたー

かつての自分と同じようにー
最近、魔王との戦いで成果を挙げている
”勇者”がいたー。

勇者クロウの時と同じように、
”新たなる勇者”は、この城に招待されたのだー。

勇者・ラッシュ…。

地方の村の出で、
仲間3人と共に魔王との戦いを続けてきたー

セレス姫は、その勇者・ラッシュの一行を
城に招待したのだったー

大広間ー
セレス姫が玉座の前に立ち、
その横に、巫女・イリーナが控えているー

イリーナが、勇者たちを見定めるような視線で
”上”から見つめるー。

「---わたしが王女のセレスです。
 皆様の活躍は聞いていますー」

セレス姫が”表向き”の慈愛の笑みを浮かべながら
勇者・ラッシュ一行に言葉をかけているー

勇者ラッシュは「光栄でございます」と
頭を下げているー
礼儀正しそうな青年だー。

2年前ー
自分が”あそこ”にいたー

だが、今は違うー

イリーナを乗っ取った勇者クロウは、
笑みを浮かべながら、”頭を下げる勇者たち”を見つめるー

「--わたしは、イリーナと申します」
イリーナも、笑みを浮かべながら
”表向き”の穏やかな巫女として
挨拶をしたー

今や、イリーナがこの王国のNo2だー。

勇者ラッシュが、ここまでの状況を報告するー

「俺たちが、魔王フォーティスを必ず倒してやるぜ!」
野蛮そうな男・バーゼルが声を上げるー

「こら!静かに!」
気の強そうな女・リンの言葉に、バーゼルが「へいへい」と
苦笑いしながら口を閉じるー

もう一人は、巫女服姿の女ー

”ふふ…俺たちに似てるな”
イリーナは2年前のことを思い出すー

勇者クロウはー
幼馴染のエレン、学者のフォグ、そして巫女見習いのイリーナと共に
この城にやってきた。

当時は、ただ純粋に魔王フォーティスを倒したいー
その想いだったー。

だが、クロウは出会ってしまった。
”憑依薬”とー。

憑依薬に魅入られたクロウは、イリーナを乗っ取り、
事態に気づきかけたフォグを抹殺しー
そして、エレンをもおもちゃにしてー
”真実”を知ったのだー。

セレス姫に憑依している魔王フォーティスは、
”セレス姫”
”魔王フォーティス”
その二つの立場を利用して、
”永遠の戦乱”を演出しているー

人間が有利になれば、魔王軍に反撃させ、
魔王軍が有利になれば、人間に反撃させるー


魔王
2つの立場を使えば
戦況をコントロールすることぐらい、
簡単なことなのだー

・・・・・・・・・・・・

謁見が終わり、イリーナが廊下を歩いていると、
背後から声をかけられた。

「先輩!」
とー。

「--?」
イリーナが振り返ると、
そこには、勇者・ラッシュ一行のひとり、
巫女服姿の女がいた。

「先輩?」
イリーナが首をかしげると、
「やっぱり先輩だ~!お久しぶりです!」と
巫女服の女は嬉しそうに言った。

「……」
見た目はイリーナでも、今のイリーナは
身も心も勇者クロウが完全に乗っ取っている。

”後輩”のことなど知らないー

「あ~!先輩!忘れちゃったんですか~?
 わたしですよ!エリーゼですよ!」

巫女服の女がエリーゼと名乗ったー

「----」
イリーナは表情を歪めるー
 
イリーナに憑依しているクロウは、
冒険を始めたばかりの頃に
イリーナと出会った時のことを思い出すー

確かに、いたー。
名前はとっくに忘れていたが、
イリーナを先輩と慕う、うるさい巫女見習いが、いたー。

「--あ、、あぁ~エリーゼ!久しぶりね」
イリーナとして反応するー。

エリーゼが笑う。

「先輩ったら、忘れっぽいんですからぁ~!
 わたしも、先輩みたいになりたいな!って
 偶然、私たちの街を通った勇者さまに 
 頼み込んで、仲間に入れてもらったんですぅ~!」

エリーゼが嬉しそうに言う。

「戦いも、回復魔法も、すっごく練習したんですよ!」
エリーゼが錫杖を持ちながら得意げに言うー

「ふ~ん、そうなんだ~」
イリーナはそう言いながら
内心で邪悪な笑みを浮かべたー

”無邪気な女だな…
 お前にも、回復魔法の”本当の使い方”
 教えてあげようか…?”

イリーナは、今やすっかり回復魔法エッチの虜ー。
エリーゼにも、その快感を教えてあげたいー

無意識のうちにニヤニヤしていたイリーナ。

「先輩?どうかしましたか?」と
不思議そうなエリーゼ

「あ、ううん!なんでもない!
 一緒に妥当・魔王、頑張ろうね!」
イリーナはそう言うと、エリーゼが「は~い!」と嬉しそうに笑うー

立ち去っていくイリーナ。

エリーゼは首をかしげるー

「先輩…わたしにも丁寧な話し方だったのに…
 変わっちゃったのかな?」
とー。

・・・・・・・・・・・・・

「---姫様」

夜ー
イリーナが、セレス姫の部屋にやってくるー

セレス姫は、闇のオーラを噴き出しながら
何かを唱えていたー。

”念”で、魔王城にいる部下たちと
通信で会話をしているのだー

「将軍・テュールよ…。
 グランデル山脈を強襲するのだ」

魔王フォーティスとして、指示を下すセレス姫ー

セレス姫に憑依している魔王フォーティスは、
魔王城にはいないため、
こちら側から、念により、部下たちに声をかけ、
そして、指示を下しているー

”永遠の戦乱”を演出するためにー

セレス姫の闇のオーラが消えて
セレス姫が振り返る。

「あら、クロウ」
セレス姫が笑う。

「--失礼しました」
イリーナが頭を下げる。
魔王フォーティスとしての仕事を邪魔してはならない。

「ーー構いません。
 それよりも…新たな勇者一行とは会いましたか?」
セレス姫の言葉に、
「この女の後輩巫女がいたようです」と、
イリーナが自分の胸を触りながら言う。

「そうですか」
セレス姫は頷くー

「姫様、まさか、また」
イリーナが言うと、
セレス姫は邪悪な笑みを浮かべたー

「ーー人間は、欲には勝てぬもの。
 それは、あなたが一番よく知っているでしょう?
 イリーナ…いえ、勇者クロウ」

セレス姫の言葉に、イリーナは笑みを浮かべるー

セレス姫は”また”やるつもりなのだー
勇者ラッシュを、グランデル山脈に向かわせるー
そこで、憑依薬を拾わせるー

”憑依薬の虜”にしてー
また、”遊ぶ”つもりなのだー

「ふふ、そうですね」
イリーナは笑みを浮かべたー

勇者ラッシュを落とすー
あの時の勇者クロウと同じようにー

そしてー
”支配下”に置いた方が都合がいいー

勇者ご一行として、勝手に魔王軍を壊滅
させられては、困るー

だから、王城に呼び、
セレス姫の目の届く範囲で、”管理”する必要が、あるのだー

「---イリーナ。あなたも同行なさい」
セレス姫が冷たい笑みを浮かべながら言うー

美人のセレス姫が、
こんなに冷たい表情と声で語り掛けて来るだけで、
ゾクゾクするー

「--姫様…」
イリーナはうっとりしながらセレス姫の方を見るー

「安心なさいー
 わたしの一番は、あなたよ」

セレス姫は、そう囁くと、
イリーナを抱きしめて、キスをしたー

イリーナに憑依している勇者クロウは
幸せでいっぱいになるー

イリーナの身体も、クロウの意志に従って
ゾクゾクするー

この世の美を体現したかのような
セレス姫に抱きしめられてキスをされるー

イリーナの身体が激しく興奮して、
だらしのない笑みを浮かべるー

「---はぁい…ひめさまぁ…」
うっとりとしたまま、イリーナはそう呟くと、
勇者・ラッシュ一行と共にグランデル山脈へと向かったー

セレス姫は笑みを浮かべるー

「--全ての人間はー
 全ての魔物はー
 我が、”玩具(おもちゃ)”ー」

セレス姫は自室で、足を組みながら
優雅に、チェスのような駒を動かしているー

この世界の、貴族の遊び、だー。

「--人間も、魔物も、
 わたしの”駒”

 わたしがー
 我がー

 欲求を満たすためのーーー

 駒」

セレス姫の口元が歪みー
背後に魔王フォーティスの邪悪なシルエットが浮かび上がるー

全てはーー
セレス姫のー
魔王フォーティスの意のままにー

・・・・・・・・・・・・・・・・

グランデル山脈で、王国軍と魔王軍が激突したー

セレス姫と
魔王フォーティス
2つの顔を使い、
両軍団がちょうど激突するように仕組んだのだー

勇者ラッシュが魔物たちと戦いを繰り広げているー

「--先輩!」
後輩巫女のエリーゼが、イリーナを援護するー

イリーナは「ありがとう!」と呟きながらも
ラッシュの方を見るー

”さぁ、後輩勇者よー
 憑依薬を拾えー”

イリーナが笑みを浮かべるー

”そして、俺と一緒に
 この快感を味わおうぜ”

イリーナに憑依している勇者クロウが邪悪な笑みを浮かべるー

いいやー
もはや、彼は”勇者”などではないー

魔王に魅入られた、愚かな”元・勇者”-

新たな勇者一行の
バーゼルが、拳で、魔物たちを打ち砕いていくー

華奢な見た目の女・リンが
鞭のようなものを華麗に振るいー
周囲の魔物を蹴散らすー

”くくく…”

巫女・イリーナは、笑みを浮かべたー

勇者ラッシュを、憑依薬の方に上手く誘導するー

その魔力で、戦場全体の空気を作りながら、
イリーナは、ラッシュと仲間たちを分断させたー

「うぉぉぉぉぉぉ」
王国の第3騎士団長・ジャッカルが
炎を纏った剣を手に、魔王軍の将軍・テュールに勝負を挑むー。

魔王軍将軍のテュールは、剣から、レーザーのようなものを発射するー。

レーザーを潜り抜ける第3騎士団長・ジャッカルー

そんな戦いの最中ー
勇者・ラッシュは、”宝箱”を見つけたー

「これはーー」

イリーナが背後の木の影から、
ラッシュを見つめるー

巫女とは思えないようなー
邪悪な笑みを浮かべるイリーナ

「お前も来いよ…こっちに」
イリーナが低い声で呟くー

もはや、彼女は巫女などではないー
欲望に支配されたー
魔王のしもべー。

「---”憑依薬”-」
勇者・ラッシュは、宝箱の中から憑依薬を取り出して、
そう、呟いたー

<中編>に続く

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コメント

勇者さまご乱心の新シリーズデス!

毎週火曜日は私の都合上、リアルタイムで
書くことができないので、予め時間のあるときに
執筆しておくのですが、
~新たなる勇者~は、1話で無理やり圧縮するのが
難しかったので、来週に続きます~!

少しお待たせしてしまいますが、
ぜひ来週もお楽しみください!

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憑依<勇者さまご乱心>

コメント

  1. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    今回はどう堕ちる?のか楽しみですねぇ

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!
    どう堕ちるのでしょうネ~笑