憑依の力に溺れー、
魔王フォーティスと共に欲望に満ちた日々を送る
かつての勇者ー。
”勇者さまご乱心”
最終章…!
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「---姫」
巫女・イリーナが、セレス姫の元にやって来るー。
セレス姫が、「あら、イリーナ」と笑みを浮かべるー
玉座に座り、足を組むセレス姫ー
その、慈愛に満ちた美貌とは裏腹に、
セレス姫は、魔王フォーティスに憑依されていて、
”永遠の戦乱”を演出しているー
魔王フォーティスとして魔王軍に、
セレス姫として王国に命令を下しー
”絶対にどちらかが有利にならないように”しているのだー
目的はひとつー
”どちらかが”勝ってしまえば”戦乱”は終わるー
そうなってしまっては、困るのだー
魔物の世界ー
人間の世界ー
どっちかが誕生すれば、戦争は終わるのだー
だからー
”終わらせないー”
戦いこそー
永遠に終わらない戦乱こそ、魔王フォーティスの望む、地獄なのだからー。
「---姫は最近、エリーゼとばっかり遊んでいるようですけど」
イリーナが不貞腐れた様子で言う。
イリーナには、かつての勇者・クロウが憑依しているー。
回復魔法エッチを生み出し、セレス姫とも何度もエッチを繰り返してきたー
だがー
最近は違う。
新たにやってきた勇者・ラッシュ一行の一人だった
バーゼルという男が憑依しているエリーゼとばかり、遊んでいるのだー
イリーナは”疎外感”を感じるとともに
”危機感”を抱いていたー
”セレス姫に…いや、魔王フォーティスに自分は飽きられているのではないか”
という危機感だー
確かに、エリーゼに憑依したバーゼルの探求心は見事なものだー。
衝撃波の魔法を使って、巫女服を内部から破裂させて見せたり、
毒魔法エッチで、苦しみながら、喘ぐドMっぷりを披露したりー
”新しい快感”をいつも追求しているー
「--わたしは、先輩です」
イリーナが不貞腐れた様子で言う。
「--憑依歴も、巫女としてもー」
勇者クロウの方が、バーゼルより先に憑依しているー
そして、身体も…。
勇者クロウが乗っ取っているイリーナは、
バーゼルが乗っ取っているエリーゼの”先輩”だー。
全てにおいて、”先輩”なのだー
「--ふふ」
セレス姫はほほ笑んだー
セレス姫の脇には、
第6騎士団長のオリオンが控えているー。
「-------」
イリーナが、第6騎士団長オリオンの方を見つめるー
”オリオンがいるこの場で、これ以上深い話をしてもいいのか?”という
イリーナに憑依している勇者・クロウの戸惑いだー。
それを見透かしたかのように、セレス姫はほほ笑むー
「構いません」
とー。
”憑依”のことは
セレス姫とイリーナに憑依しているクロウ、
そしてエリーゼに憑依しているバーゼルだけの秘密だ。
他の人間は、憑依のことを知らない。
イリーナやエリーゼはともかく、
王国の王女であるセレス姫が、
倒すべき敵・魔王フォーティスに憑依されているなどと知られれば、
ただでは済まないだろう。
もちろん、魔王フォーティスの望む”永遠の戦乱”も、ただでは済まないー
そのセレス姫が”構いません”と言っているのだー
第6騎士団長のオリオンも、”憑依”のことを知っていると解釈しても
良いのだろうかー。
オリオンの方を見つめるイリーナ。
オリオンは覆面で口元を隠し、鋭い眼光でイリーナを見つめ返すー。
「------…」
少しだけためらってから、イリーナは口を開くー
「わたしだって、姫と色々したいんです!
エッチなこととか…最高の回復魔法を味わいたいんです!
姫の聖なる力で、、こう、、身体をゾクゾクと」
イリーナの身体が激しく興奮するのを感じながら、勇者クロウは
そう叫んだー。
最近は、エリーゼばかりがセレス姫に呼ばれている。
イリーナは自暴自棄に酒を飲みながら、一人回復魔法エッチを
繰り返す日々ー
自分だけが、姫の秘密を知る人間だったのにー
あの、バーゼルという男さえ来なければー
「----あなたはわたしの”友”です」
セレス姫が玉座から立ち上がるー。
「---どんな時でも、わたしが一番の”相棒”だと
思っているのはーーー」
セレス姫が耳元で囁くー
「あなたですよ」
とー。
「---ひ、、姫…」
イリーナはそれだけでうれしくなって、顔を真っ赤にしながら
姫に頭を下げるー
そのまま立ち去っていくセレス姫ー
第6騎士団長のオリオンも、そのままセレス姫と一緒に
立ち去っていくー
「--姫…ふふ…
そう…そうだ…俺が、、俺が一番の…ふふふ、ふふふふふふ」
嬉しそうに立ち上がり、自分の部屋に向かうイリーナ。
その途中で、後輩の巫女・エリーゼとすれ違うー。
黒っぽい巫女服のエリーゼが「あ、先輩~」と、馬鹿にした雰囲気で
頭を下げるー
「ふふ、可愛い後輩」
イリーナは、エリーゼを見下すように、頭を下げるー。
すれ違いざまに激しい火花を散らせる二人ー。
元の二人は仲良しで、
イリーナは、後輩の巫女見習いであるエリーゼのことを
妹のように可愛がっていたし、
逆にエリーゼは、先輩の巫女見習いであるイリーナのことを
心から慕っていたー
でも、今のふたりには、そんな感情はないー。
「----いつまでも回復魔法でしかゾクゾクできないなんて、可愛そうな先輩」
クスクス笑いながら立ち去っていくエリーゼ。
部屋に戻ったイリーナは、エリーゼに憑依しているバーゼルに対して
激しい怒りを覚えて、部屋の中で暴れるー。
巫女服と髪を見出して、
「--生意気な小娘め!」と、鬼のような形相で叫ぶー。
イリーナは、爆発しそうなストレスを発散させるために
自分のアソコに錫杖の先端を突っ込んで回復魔法を放ち始めるー
「んあっ♡♡ んっ♡♡」
自分の苛立ちと不安と嫉妬を、打ち消すかのようにー
回復しまくるイリーナ。
本来の使命を見失ったイリーナは、
激しく喘ぎながら、乱れ切った姿を、部屋の中でさらし続けたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”--ベリアル海岸へ侵攻せよー。
そこに王国の第4騎士団長が陣取っているー
奇襲して、滅するチャンスだー”
魔王フォーティスの声が魔王城に響き渡るー。
魔王フォーティスは、直接、配下の前に姿を現さずに
魔物や、将軍たちに命令を下しているー。
「---御意」
大将軍・ゼルが、頭を下げるー
禍々しい鎧を身に着けた、魔王軍のNo2だ。
魔王フォーティスが姿を現さない今ー
この大将軍・ゼルが現場を仕切っているー。
「-----ふふ」
王国にいる魔王フォーティス…
セレス姫に憑依している魔王フォーティスは、
指示を下し終えると、笑みを浮かべたー
大将軍・ゼルも含めて、まさか魔王である自分が
セレス姫の身体で王国から指示を下しているなどと
思わないだろうー。
魔王フォーティス=セレス姫は笑みを浮かべるー
「--この世界は、我の舞台だー。
我が演出する”永遠の戦乱”のなー」
セレス姫の目が赤く光りー
セレス姫と魔王フォーティスが同時に同じ言葉を口にするー
”我は魔王であり、
我は姫ー
絶対的な存在だー”
セレス姫は笑みを浮かべながら家臣を集めるー
現在の第4騎士団長・ティルクに、ベリアル海岸の警備にあたるように指示をするー。
これでー
魔王軍VS第4騎士団長ティルクの構図が出来上がるー。
第1騎士団長・アストラル
第2騎士団長・カミーラ
第3騎士団長・エンダルフ
第4騎士団長・ティルク
第5騎士団長・シンゲン
第6騎士団長・オリオン
上位騎士団長たちが、姫に一斉に頭を下げるー
そうー
自分は、王国も魔物も支配する”神”-
全てを自由に操ることが、できるー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--ーーー王国には、、悪魔がいます!」
城下町で、そんな噂を流す娘が現れたー。
たちまち、城下町にその噂が広まっていくー
王国には”人間の身体を乗っ取る”悪魔がいるー、という噂ー
その噂を流しているのはー
”新たなる勇者一行”の一人だった”リン”という少女だー
殺された勇者ラッシュー
憑依薬に魅入られて、仲間を乗っ取ったバーゼル、
そして、乗っ取られた巫女・エリーゼ。
3人を失った、勇者一行の最後のひとりー。
身の危険を感じて王国から逃亡したリンはー
なんとか、エリーゼを取り戻そうとしていたー
「--エンダルフ様、城下町で妙な噂が」
兵士が第3騎士団長・エンダルフに報告を入れる。
いかなる時でも冷静に、合理的に判断する能力に
優れている第3騎士団長のエンダルフは、
”王国には人間を乗っ取る悪魔がいる”という報告を聞き、
兵士に対しては、その話を誰にも言わないよう指示をしたー。
”---”
エンダルフはある疑問を抱いていたー
セレス姫は、確かに慈悲深く、民一人一人にまで
慈愛を注ぐ優しいお方だー。
しかしー
その一方で、
”魔王”との戦いは、一進一退を繰り返しているー
まるでーーーーー
”台本”が最初から存在しているかのようにー
「--…」
第3騎士団長エンダルフは、その日から
セレス姫のことを探り始めるー。
その様子を”王国の魔女”の異名を持つ
第2騎士団長・カミーラが、じっと見つめていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----イリーナ」
翌日ー
セレス姫から、呼び出されたイリーナは、
セレス姫にキスされて、幸せな気持ちになっていたー。
セレス姫が、「久しぶりにあなたの回復魔法、味わおうかしら…?」と
笑みを浮かべるー
イリーナは嬉しそうに、回復魔法をセレス姫のアソコに向かって放つー
セレス姫はとても気持ちよさそうに声を出すー。
イリーナはゾクゾクしながら、そんなセレス姫を見つめたー
この世の宝石とまで言われるほどに
美しいセレス姫ー
そのセレス姫が魔王フォーティスに憑依されて、
邪悪な行為を繰り返しているー
そのギャップに、イリーナは激しく興奮するー。
そしてー
そのセレス姫こそが、
自分に、勇者としてつまらない人生を送っていた自分に、
”憑依”の魅力を教えてくれたー
魔王を倒すなんて、もうどうでもいいー
勇者クロウは、今や、欲望の巫女イリーナとして、
日々、欲望に身を任せていたー
イリーナとセレス姫が激しく乱れあうー
そしてー
セレス姫は囁いたー
「あなたも、明日、ベリアル海岸に向かってくれるかしら?」
セレス姫の言葉に、イリーナは少し戸惑うー
”第4騎士団長・ティルクの墓場となる場所”だー。
「--第4騎士団長のティルクは戦死ー
そこに駆け付けたあなたが、魔王軍の将軍・ヒュドラを倒すー
そういう筋書きです」
セレス姫は笑うー。
「--ティルクは”アックスの名手”-
そう簡単には負けないでしょう。
ヒュドラも弱るはず。
そこにあなたが駆けつけて、ヒュドラを倒すー
王国の戦力を”1”削りー
魔物の戦力を”1”削るー
いつもの、”バランス”」
セレス姫がクスリと笑うー
イリーナも不気味な笑みを浮かべるー。
「--エリーゼに憑依している、あのバーゼルとかいう野蛮人には
任せられない仕事…
勇者クロウ…いやイリーナ。
わたしが一番信頼しているのは、あ・な・た」
セレス姫の言葉に、イリーナは、幸せの絶頂を感じて、
嬉しそうに頭を下げたー。
イリーナが立ち去っていくー。
一人残されたセレス姫ー
蝋燭の炎が揺れるー。
背後に、第6騎士団長のオリオンが姿を現すー。
「----手はず通りに」
セレス姫が邪悪な笑みを浮かべると、
覆面で表情を隠していて、表情を読み取れない、第6騎士団長のオリオンは
”御意”とだけ呟いて、再び姿を消したー
「----」
セレス姫は笑みを浮かべるー
「---新しいおもちゃが手に入ったらー
古いおもちゃは、捨てるものでしょうー?」
もはや、慈愛に満ちた姫の姿は、そこにはないー。
邪悪な笑みを浮かべるセレス姫ー
永遠の戦乱を望むセレス姫ー
姫に疑問を持ち始めた第3騎士団長エンダルフー。
姫の愛を取り戻そうとする、イリーナを乗っ取った勇者クロウー。
勇者クロウの座を奪い、姫の愛をその身に受ける、エリーゼを乗っ取ったバーゼル。
そしてーー
それぞれの思惑が蠢くー
最後の戦いが、今、始まろうとしていたー
②へ続く
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コメント
毎週火曜日だけ、リアルタイムで執筆できないので、
作り置きで小説を掲載していますー!
(他の曜日のお話はいつもその日に書いているのですが
火曜日だけは、先に書いておいて予約投稿!という感じですネ!)
火曜日枠(?)で掲載していく都合上、
勇者さまご乱心・終章は、週1連載になってしまいますが、
気長に来週までお待ちください!!
今日もお読み下さりありがとうございました!!
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