とあるカップルの二人。
彼女が男友達からしつこく言い寄られていることを知った
彼氏は、彼女に憑依して、その男を撃退しようとする・・・!
※リクエストを題材とした作品です!
-------------------------–
「なぁ、いいじゃないか!俺と一緒に遊ぼうぜ!」
男が言う。
「そ、それはイヤだって言ってるでしょ!」
女が、男の手を振りほどく。
「つれないなぁ、一緒に夜を楽しもうぜ」
男が笑う。
しかし、女は、恐怖を目に浮かべて
首を振った。
「--なぁ、彼氏となんか別れて
俺と一緒に楽しもうぜ、優里菜・・・?」
男が不気味に表情を歪めた。
「--わ、私には和樹くんが居るから…!
あなたと付き合うことはできない・・・!」
優里菜と呼ばれた女が、
男にそう言い放つと、
男は舌打ちをして、
優里菜の髪を引っ張りながら言った。
「--必ず、俺の方を振り向かせてやるよ」
そういって、男は、笑いながら立ち去っていった・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
優里菜は、20代の女性で、
現在、とある男性と同棲している。
同姓している男性は、和樹と言う男性で、
とある共通の趣味から出会ったのだった。
男性恐怖症気味の優里菜に対して、
和樹はとても優しく接した。
そんな和樹に、
一生独りでいいや、と思っていた優里菜も
次第に心を開いていき、
二人は一緒に暮らし始めたのだった。
そんな優里菜の悩みの一つが、
しつこく優里菜に言い寄る男の存在だった。
亮真(りょうま)。
優里菜の友人である女性が、優里菜に
紹介した男だ。
と、言っても優里菜が、男性と出会う目的で
会ったわけではなく、優里菜の友達が、
食事という名目で無理やり会わせたのが
この亮真だった
過去に、男性関係で嫌な思いをした過去を持つ
優里菜は、亮真を拒んだ。
しかし、亮真は、優里菜を諦めきれずに、
しつこく優里菜に付きまとっていたのだった…。
「--ただいま…」
優里菜が元気ない様子で帰宅したのを見て、
和樹は優里菜に声をかけた。
「どうしたの?」と。
「---…また、言い寄られちゃって」
優里菜が首を振る。
優里菜は、出先で、亮真に待ち伏せされて、
腕をつかまれたのだった。
「またあいつか」
和樹も、優里菜が、亮真という男に
付きまとわれているのは知っていた。
だが、優里菜は、控えめな性格で
なかなか亮真を突っぱねることができない
嫌がっても、それをむしろ面白がっている亮真は、
なかなか優里菜への付きまといをやめないのだ。
「---なぁ、優里菜」
和樹が言う。
「なぁに?」
優里菜が聞き返すと、
和樹は、少し躊躇ったあとに
机の引き出しからあるものを取り出した。
”憑依薬”
和樹は、優里菜を、亮真から救い出す方法を
必死に考えた。
そして、思いついた。
自分が憑依薬を使って優里菜に
憑依して、そして、亮真に会い、
亮真が二度と優里菜に付きまとわないように
懲らしめる。
それが、和樹の思いついた方法…。
「---あのさ」
和樹は、優里菜に、憑依薬を使って
憑依して、亮真から助けたいということを告げた。
男が出て行くと、いざこざが余計に深まる可能性がある。
だからー。
「---うん。いいよ。」
優里菜は微笑んだ。
「ーーいいのか?俺が変なことするかも知れないよ?」
和樹が言う。
こんなにあっさり、身体に憑依することを
納得してもらえるとは思わなかった。
だからこそ、和樹は、確認した。
「--和樹くんのこと、信じてるから」
優里菜は言った。
和樹は、優里菜の身体を乗っ取って、
悪い事をするような人間ではない。
優里菜は固く、和樹のことを信じていた。
「--わかった。俺が必ず
その男を追い払うから…」
和樹が言うと、
優里菜はうなずいた。
「---信じてる」
優里菜は微笑んで、目をつぶった。
和樹は、そんな優里菜の決意を感じとり、
憑依薬を飲み干した。
すぐに、意識が遠くなる。
そして、
和樹は幽体離脱した。
じっと憑依される瞬間を待っている
優里菜の身体めがけて和樹は、
幽体を移動させた。
初めての憑依。
憑依される側の優里菜はどんなに
不安だろう。
けれど、
優里菜は、和樹を信じた。
和樹は、その信頼に応えるためにも、
優里菜の身体を使って、
亮真を追い払うことを決意した。
「---うっ!」
優里菜の身体がピクリと動く。
「--ほ、本当に憑依できた」
自分の口から出るのは、
和樹の声ではなく、優里菜の優しい声。
そしてー
鏡に映るのは自分の姿ではなく、
優里菜の可愛らしい姿。
ゴクリ、と優里菜はつばをのむ。
一瞬、魔が差しそうになった。
”今なら、何をやってもばれないんじゃないか”と。
この身体を堪能しても良いのではないか、と。
けれどー
「--和樹くんのこと、信じてるから」
優里菜は、自分のことを信じてくれた。
それなのに、
例え気づかれなかったとしても、
優里菜の身体を勝手に使うなんてことは
許されないー。
「--そうだ…
やるべきことを、やるんだ」
優里菜は、自分のスマホを手にした。
和樹は、事前に教わっていた通り、
亮真への連絡手段であるLINEを開き、
亮真にメッセージを送った。
”今夜、お話しできるかな…?”と。
すぐに、亮真から返事が返ってきた
”優里菜ちゃんから、呼び出されるなんてな。
いいぜ、会おう”
と。
「--俺の彼女に手を出し手やがって…」
優里菜は怒りに身を震わせた。
ふと、鏡を見ると、穏やかな優里菜が
絶対にしないような、怒りの表情を
浮かべていた。
「・・・・優里菜も、こんな顔、できるんだな」
そう呟くと、優里菜は、そのまま出かける準備をした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜。
人気のない埠頭に呼び出された亮真は、
約束の時間通りやってきた。
「--あら、約束通り来たのね?」
優里菜が言うと、
亮真はニヤッと笑みを浮かべた。
「当たり前だろ。お前から呼び出すなんて
どういう風の吹き回しだ?」
亮真が笑う。
彼はてっきり、優里菜が、
自分と付き合うことを承諾するのだと、
そう思っていた。
「--わたしと縁を切ってもらえる?
そして、二度とわたしに関わらないでくれる?」
優里菜が言った。
その表情は、いつもよりも
迫力に満ちていて、
いつも控えめな優里菜のそれとは、
少し違っていた
「・・・はっ、笑わせんなよ」
亮真が言った。
「--俺はお前に惚れたんだよ。
俺はお前を手に入れるためだったら
何だってする。何でもだ」
亮真はにらみを利かせながら言う。
優里菜は、心優しい反面、気弱な正確で押しに弱い。
脅せば、自らの思い通りにコントロールすることなど、
実にたやすいのだ。
「---」
優里菜は無言で、亮真を睨みつけている。
「---お前の彼氏の和樹とかいう
男をボコボコにすることだってできるんだぜ」
亮真はそう宣言した。
これで、心優しい優里菜は屈服する。
そう思っていた。
「---そんなことはどうでもいい」
優里菜が語気を強めた。
「--わたしに関わるなって言ってんのよ」
激しい口調。
亮真は、少し気おされそうになった。
「な・・・なんだと・・・!?」
亮真が怒りと戸惑いの混じった口調で言うと、
優里菜は続けた。
「--今後、わたしに二度と関わらないって
今日、ここで約束してもらう」
自信に満ち溢れた表情で言う
優里菜。
亮真は思う。
こいつは、俺のよく知る優里菜なのか、と。
「…うるせぇ!お前に決める権利はねぇ!
お前は俺のものだ!」
亮真が怒りに満ちた口調で叫ぶ。
「ーーーわたしの人生はわたしもの。
アンタのものなんかじゃない!」
優里菜に憑依している和樹は、
亮真という男に対して怒りを覚えていた。
今までは優里菜から、話を聞いていただけだし、
それでも腹が立っていたのに、
実際に会ってみると、より腹立たしい。
どこまで勘違いやろうなんだ、と。
「---おら、俺とヤろうぜ」
亮真が優里菜の髪をなでるようにして触る。
綺麗な黒髪を触りながら、
背中から抱きつこうとする亮真。
優里菜に憑依している和樹の怒りが
爆発した。
「触るんじゃねぇ!」
優里菜が怒声をあげて、
亮真の腕をねじり上げた。
「--あいててててててて!」
亮真がたまらず悲鳴をあげる。
「-ーーお前みたいな、男と
優里菜が付き合うわけが無い!」
優里菜が自分のことを他人のように言う。
亮真は、それに気付く余裕もなく、
悲鳴を上げる。
気付けば、壁際に追い込まれて
亮真が優里菜に壁ドン状態で追い詰められていた。
「ひっ…」
亮真がたまらず声をあげる。
「--二度と、私に関わるな」
優里菜が、強い口調で言う。
「いいか?これ以上、私に関わったら
お前の人生破滅させてやる!」
優里菜は鬼の形相だった。
憑依している和樹は、あえて強い口調で
強い言葉を使った。
こういう男は、そうしないと、諦めないからだ。
「--ひっ…な、なんだお前は!」
亮真は思わず叫んだ。
優里菜のあまりの豹変ぶりに、亮真は心底驚いていた。
「--二度とわたしに関わるな…!」
優里菜に顎をつかまれた亮真は
そのまま黙ってうなずいた。
「--はぁ…はぁ…」
亮真はそのまま、その場に座り込んだ。
放心状態だった。
「---」
優里菜は、ほっと一息すると、
そのままその場を後にしようとした。
「--調子こきやがって!このクソ女が!」
背後から亮真が襲いかかってきた。
しかし、優里菜は、亮真の足を引っかけて
その場に転倒させた。
亮真はすかさず顔を見上げて何かを言おうとした。
しかしー
優里菜と目があった瞬間、
亮真は黙り込んでしまった。
優里菜は、
この世の何よりも恐ろしい形相で、
亮真を見つめていたのだー。
「--はひっ…」
優里菜は、もう何も言わなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自宅に戻った優里菜は、
自分の手や、胸元、そして鏡で自分の顔を見つめた。
憑依している和樹も男として、
優里菜の身体で遊んでみたい欲求はあった。
しかしー
「--約束したもんな」
そう呟くと、和樹は、優里菜との約束通り
”何もすることなく”
優里菜の身体から、抜け出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---うっ…」
ベットに寝かされた状態の優里菜が目を覚ました。
そのそばには、彼氏の和樹の姿があった。
「---終わったよ。もう大丈夫」
和樹は、優しく微笑んだ。
「---ありがとう」
優里菜は、微笑みながら頷いた。
和樹は、憑依薬で、人に憑依しながらも、
自分の欲望のために、その身体を使うことなく、
純粋に、優里菜を、助けるために、
その力を使ったのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そうかそうか…」
亮真が、ネットで何かを調べていた。
「おかしいと思ったんだ…!」
亮真がモニターを見つめながら
ニヤリと笑みを浮かべた。
「憑依薬ーー
こんなものがあったなんてなァ!」
亮真は口元を不気味に歪めたー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ツイッターのDM経由で頂いたリクエストを書いてみました!
私利私欲のためではなく、
人助けのために純粋に憑依薬を使う物語!
その結果がこの作品ですね!
リクエストありがとうございました~!
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
続きを続きを下さい
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> 続きを続きを下さい
ありがとうございます~
考えておきますね!
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
思考誘導タイプとかの憑依薬で
二人に交互に憑依して思考改変したりしてほしい(`・ω・´)
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> 思考誘導タイプとかの憑依薬で
> 二人に交互に憑依して思考改変したりしてほしい(`・ω・´)
それも面白いかもしれないですね~!
考えておきます!