ある日のことー、
彼は突然、謎の黒塗りの車に拉致された。
そして、連れて来られた場所はー
”女体化じゃんけん”なる、謎の会場だったー。
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「おいおい、どこだよここは…」
俺の名は、塚山 竜太郎(つかやま りゅうたろう)。
高校2年生だ。
学校帰りに突然、黒塗りの車に拉致されて、
謎の会場に連れてこられた。
くっそ~帰ってから部屋に籠もって
録画しておいた深夜アニメを見ようとしていたのに、
ふざけやがって。
周囲にも、オレと同じぐらいの年齢の高校生や、
大学生、中学生の男がたくさん居る。
何なんだここは?
オレと同じように、こいつらも拉致されてきたのか?
一体何が始まる?
男ばかり集めて…。
ホモ大会でも始めるつもりか?
「---ようこそお集まり頂きました」
髭のオッサンが、会場の前に出てきた。
そして、ヤツは言った。
「ただ今より、女体化じゃんけんを始めます」と。
何だって、
女体化じゃんけん?
「ルールは簡単。
ここの会場にいる人間の中から、
好きな相手を選んで、じゃんけんしてもらいます。
五人に勝てば、あなたは晴れてこの会場から
脱出できる。
しかし、負けたら
君たちは”女体化”するー」
髭の男が言った。
「女体化?何だよそりゃあ!」
周囲の男子高校生が叫ぶ。
女体化ー。
ジャンケンに負けると、女の体になっちまうってのか?
冗談じゃねぇ。
「--ここから脱出する方法は一つ。
じゃんけんで、五人倒すことだ」
髭の男はそれだけ言うと、
笑みを浮かべながら立ち去っていく。
「おい!ふざけんじゃねぇ!」
巻き起こるブーイング。
しかしー。
おもむろに周囲でじゃんけんが始まった。
「最初はグー!じゃんけんポン!」
”あっ”と悲鳴が上がる。
じゃんけんで負けた男が女になってしまったのだ。
「うわっ!む、胸が!」
「あぁ、あれがない!」
「--うふふふふ、あはははははは」
周囲からは悲鳴と、
そして、歓喜の声が聞こえている。
「おいおいマジかよ」
マジでじゃんけんで負けると女体化してしまうみたいだ。
くそっ!こうなったら5回、じゃんけんで勝つしかない。
女になってたまるか!オレは男だ!
「よぉ!そこの運の悪そうなヤツ!」
金髪の男が、オレを指差して言った。
「--はぁ?オレか?」
オレが返事をすると、そいつは頷く。
「くくく…俺は既に4勝だぜ。
俺は生まれてから一度もじゃんけんで負けたことがねぇ。
とっとと5勝して、ここから出てやるぜ」
そいつはそう言った。
生まれてから一度もじゃんけんで負けたことが無い?
嘘つくんじゃねーよ。
既に、周囲には、5勝して、出口に案内されているやつらがいる。
一体何のために、俺達にこんなことをさせるのか?と
俺は疑問に思いつつも、
そいつとのじゃんけんを受けた。
「最初はグー!ジャンケンポン!」
俺はグー、そいつはチョキ
「な・・・」
金髪男は、瞬く間に金髪が似合う女になった。
スタイルの良い、足の長い美女に。
「うっ・・・うわああああ!」
女の声でそいつは叫んだ。
「はっ!お似合いじゃねぇか」
俺はそう呟いて、次の相手を探した。
2人目の相手を見つけた。
負ければ、即、女体化ー。
絶対に負けられない。
「最初はグー、ジャンケンポン!」
俺はパー。相手のロン毛男はグー。
よし、これもオレの勝ちだ!
ロングヘアーの可愛らしい姿になってわめくそいつを無視して、
俺は次の相手を探した・・・。
ん?
俺は、会場の中でおどおどしている
可愛らしい女の子を見つけた。
負けて女体化した人間たちは、別室へ移動させられている。
一人でウロウロしているということは、
彼女は、負けていないということなのだろう。
何で女の子までこの会場に?
「君!」
俺は声をかけた。
見たところ中学生か、高校生だろう。
「--はい?」
その子は振り返った。
フリフリのスカート姿で、とても可愛い。
「--君は、どうしてここに?」
俺は尋ねた。
女の子なら、負けても、女体化しないはずだ。
「---あの…わたし…男なんです」
その娘は、答えた。
えっ…今、なんて?
「…は?」
俺が不思議そうに言うと、
その子は顔を赤らめて言った。
「あの…こう見えても、男なんです。」
もじもじしながら言うそいつは
“男の娘”だった。
「はぁああああ?そ、そうなの?」
俺は驚いて声をあげると、
その眼鏡っ子、いや、男は
恥ずかしそうに頷いた。
こ、こんなに可愛い男がいるなんて…!
俺はもう、この子が彼女でもいい!
そう思った。
だが、ふと思う。
「え?じゃあ…負ければ女の子になれるんだよ?
わざと負ければいいじゃん?
オレがグー出すから、君はパー」
オレが言うと、彼女…いや彼は首を振った。
「わたし…男の娘だからこそ、
グッと来るんです…」
彼女、いや…彼はそう言った。
くそっ・・・やるしかないか。
「なら、仕方ねぇ!」
俺はジャンケンの構えをした。
男の娘は、よろしくお願いします、恥ずかしそうに
ジャンケンの準備をした。
最初はグー!
じゃんけん、ポン!
俺はチョキ。
彼女は、パー。
終わった。
彼女はーー
本当の彼女になった。
泣き叫ぶ声が聞こえたが、
そんなのは、オレの管轄外だ。
見たところ、あまり変わりないようにも見えるが…。
さて…
「よぉ!」
背後から声がした。
「ん?」
オレが振り返ると、そこには
クラスメイトで悪友の、満(みちる)が居た。
「--お、お前もここに」
オレが言うと、満はニヤッと笑った。
「全くよぉ。
何でオレが女にならなきゃいけないんだよ…」
満が頭をかきながら言う。
「--ま、俺は負けネェけどな」
満が、腕をかざした。
指が4本光っている。
俺はふと自分の手を見る。
指が3本光っている。
仕組みは分からないが、勝った数だけ、
指が光るということか。
「--竜太郎、俺はお前を女にして、
ここから脱出する!」
「ふざけんな、女になるのはお前だ!」
…なんつー会話だ!
そう思いながらも、俺はジャンケンの準備を始めた。
じゃんけん、ぽん!
俺はチョキ、満もチョキ。
「くそっ!あいこか」
満が言う。
だが、満は、自分が負けるなどとは夢にも思っていない表情だ。
「--じゃんけん、ぽん!」
俺達はお互いにパー。
続くじゃんけん。
満と、俺は、お互いに同じ手を出し続ける。
どういうことだ。
なかなか、決着が着かない。
あいこが9回続いた。
そしてー。
「くそっ…そろそろ決着をつけるぞ!」
満が叫ぶ。
「それはオレの台詞だ!」
オレも叫んだ。
「お前は、女の方がお似合いだぜ!!」
満が、そう叫びながら、手を出したー
満はーチョキ。
俺は…グーだった!
「--残念だったな、満!」
俺は勝ち誇った表情で言うと、
そこには、既に、可愛らしい少女になった満が居た。
「くそっ…オレが、、くそっ…」
股間に手を触れて、男の証がなくなっていることを確認する。
オレと満は、小学生時代からの友人同士。
互いにいつもけなしあって来た。
変な関係と言えば、変な関係だ。
だが、オレも満も、相手のことが嫌いなわけではない。
「--満」
俺は、女の子になった満に向かって呟いた。
オレと満の間柄に、
慰めの言葉など、不要だ。
「似合ってるぜ、その姿」
オレが笑いながら言うと、
「くっそ…」と、満は可愛らしい姿のまま、床を叩いた。
「--ここから出たら……オレを女にした罰として
オレと付き合ってもらうからな…」
満は、そう言った。
ふん…まぁ、考えておいてやる。
さて、あと一人。
オレの指は4本光っている。
会場に居たたくさんの男たちも、大分数が減っている。
5勝するか、それとも負けるかで、この会場を後にしたのだろう。
「あのぉ…」
ふと横を見ると、気の弱そうな男が立っていた。
顔立ちは、このまま女にしたほうが
似合っているのではないか、と思うような顔立ちdった。
「ん?オレ…?」
俺は、自分を指差しながら言うと、
そいつは頷いた。
「--ここから、出たいですよね?」
弱そうな男が言う。
俺は頷く。
「実は僕…女の子になりたいんです。
だから、僕、グーを出すので
パーを出して、僕にじゃんけんで勝ってくれませんか?」
そいつは、そう言った。
俺は、思わず噴出しそうになった。
女になりたいだぁ?
笑わせてくれる。
ま、確かにお似合いだな。
「わかった。俺はパーを出す。」
オレが言うと、その男は微笑んだ。
「-ありがとうございます」
女になりたいなんて、物好きなやつだ。
俺はそいつを内心で笑いながら、
じゃんけんの構えをした。
最初はグー!
ジャンケン…!
ーーーーーー!!!
パーを出す瞬間、
俺は気付いた。
”そいつの指が4本光っている”ことにー。
なぜだ?
女になりたいなら、最初の1戦で負ければいいー。
まさかー!
だが、もう遅かった。
俺は…パーを出してしまった。
そして・・・ヤツは…
”チョキ”を出していた。
「--ククク…ばーか!」
その男は笑った。
「お人よしバッカだ!
どうせ僕のこと、お前も信じたんだろう?
ふふふ、気弱そうに見える外見で助かったよ。」
ソイツは、オレに光る5本の指を見せながら笑った。
「女になりたいわけねーだろ!あはははははは!」
そいつは、笑いながら会場から去っていく。
くっそ…
オレの胸にふくらみができるー。
オレの髪が、伸びていく。
オレの身体が、女になっていくー。
「あっ…ああああああああああっ!」
女になってしまった俺は、その場で地面を叩いた。
そして…
俺は外に連行された。
あれから、3週間。
外の世界で、俺は女として生きている。
何故だろうか。
外に出された俺の
住民票も、何もかも、女のものになっていた。
両親は戸惑ったし、周囲も戸惑ったが、
今、俺は女として生きている。
オレ…いいえ、わたしは、
女子高生として生きているの。
今日は、あの時じゃんけんで勝負した
満…一緒に女になってしまぅた満とデートするの。
あるとき、約束したから。
外に出たらデートするって…
ふふふっ、今日は私の方が可愛いって言わせてあげるんだから!
おしゃれをしたわたしは、
鏡を見つめて、微笑んだ。
今日こそ、満をに「可愛い」って言わせるんだから
ふふっ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--まさか、少子高齢化対策の一環として
”母体”増やすとは、奇想天外な発想ですな」
とある料亭。
スーツに身をまもった男たちが笑う。
「--そうだろう?
だが、このぐらいのことをしなければ
少子高齢化は解決できない。
”可愛い”と一般的に称されるような
女を増やせば、
少子化は解決するかもしれない」
ひときわ偉そうな男が言う。
「--流石ですな、
次期内閣総理大臣ー」
そう呼ばれた男はニヤリと笑った。
政府の暗部による
”女体化計画”
それが、女体化じゃんけんだったのだー。
この真実を知るものは、
ごく、一部。
決して表にはならない闇が、この世にはあるー。
触れてはならない闇が…。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
珍しく女体化モノを書いてみました!
予定表にもありますが、
次回の女体化モノは「俺は女じゃない!」を予定しています!
いつ書くかはまだ未定ですが、お楽しみに~!
コメント
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PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
シンプルながら面白い作品です。
ところでこの作品はジャンル別のとこ探しても見つからないのですが、どうしてなんでしょう?
短編でもジャンル別のとこにある作品はあるので、短編だからという理由じゃないですよね?
単なる入れ忘れですかね?
こういう短編の作品はカテゴリでは見つからないので、ジャンル別の方にも入ってなかったら古い作品はとても見つけにくくなってしまうので、良作も埋もれてしまうからかなり勿体ないので、ぜひともジャンルの方に追加して欲しいです。
他にもいくつかジャンルに入ってない短編があったので書いておきます。↓
○憑依のうわさ(憑依)
○レースの華は狂気に散る(憑依)
○球場の悲劇(憑依)
他にもジャンル別に入ってないのはあるかと思いますが、とりあえず見つかったのはこれで全部です。
あと思ったんですが、今あるジャンルとは別に、短編作品だけをまとめたジャンルを別に作ったら目当ての作品を探しやすくなって便利かもしれません。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
教えて下さり、ありがとうございます!
短編はいくつか入れ忘れているものがあったりして
時々こっそり追加しています(汗
↑の作品も単なる私の入れ忘れですネ…!
順次追加していきます~!
1話完結ものをまとめたページ…!
それは確かに便利な気がします!!
少しお時間がかかるかもですが、
作ってみます~!