<皮>大事な娘はいただいた~終章~前編

”愛情”を知らずに育った男ー。

彼はとある幸せな家族の娘に憑依して
その人生を奪ってしまうー。

全てを奪われた一家の父親は、
その犯人の男の”裏”に潜む黒幕に
ついにたどり着いたものの…?

※「大事な娘はいただいた」の終章デス!
先にこれまでのお話を読んでくださいネ~!!

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笠山(かさやま)家ー。
幸せだったその家族ー。

長女で高校2年生の美菜(みな)に、
弟の昭俊(あきとし)、
父・敏夫(としお)、母・晴子(はるこ)の4人は、
幸せな生活を送っていたー。

しかし、そんな幸せな生活を”壊す者”がやってきたー。

木浪 邪太郎(きなみ じゃたろう)ー。

彼は、”望まれない子”だったー。
両親は暴走族の男女で、快楽のために
行為に及びまくっていた結果、
生まれたのが邪太郎だ。

両親は”邪魔な子供”と言う意味で、
邪太郎と名付けたー。

当然、愛情も知らず
彼は悲惨な境遇の中、育ったー。

そんな彼もやがては成長してー、
大学生になったー、

しかし、彼の過酷な境遇は
彼の人間性を歪めるには十分すぎるものだったー。

邪太郎は家族を見ると無性に腹が立って仕方がなかったー。
特に幸せな家族を見ると
”壊してやりたい”と、思うほどに、
彼は歪んでしまっていたー。

そして、彼は”家族を破壊すること”を実行に移したー。

笠山家の長女・美菜を”皮”にして
その身体を乗っ取りー、
両親と弟の目の前で、美菜を乗っ取ったことを
”暴露”したのだー。

そして、美菜を乗っ取った邪太郎は
両親と弟に対して”家族ごっこ”がしたいとそう強要ー、
残りの家族3人に”美奈が乗っ取られていること”を知りながら
”いつも通り生活しろ”と、そんな言葉を口にしー、
そこから”家族の地獄”が始まったー。

しかし、父・敏夫は家族を奪われてもなお、
反撃に転じたー。

美奈だけではなく、敏夫の妻や息子まで奪った
邪太郎を次第に追い詰めていく敏夫ー。

そしてついに俊夫は邪太郎を追い込むことに成功ー、
”人を皮にする力”をどこで手に入れたのか、
邪太郎に問い詰めたー。

追いつめられた邪太郎の口から出たのは”D”という人物の名前ー。

邪太郎は”D”に皮にされてしまい、それ以上話を聞き出すことは出来ず、
今度は”D”なる人物を追ったー。

ついに敏夫は”D”と対峙することには成功したものの、
”D”は想像以上に極悪な”人を皮にする力”を使ったビジネスを
企てる人物だったー。

”「--ククク…返してほしければ
 必死にもがき、あがき、私にたどり着いてごらんなさい」”

娘の美奈の身体を乗っ取り、そう言い放つ”D”ー。

敏夫は、Dのその言葉を聞いて
”必ず、お前を八つ裂きにしてやるからなー”と、
そんな言葉を口にしながら、怒りの形相を浮かべつつ
立ち上がったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー俺は絶対にー…絶対にお前を八つ裂きにして
 家族を取り戻すー」

敏夫は、険しい表情でそう言葉を口にすると、
自分が眠らされていた親友・耕作(こうさく)の家で
周囲を見渡すー。

”D”ー。
人を皮にする力を提供しー、
”ビジネス”を企てる人物ー。

そして、敏夫や被害者を弄びながら
楽しんでいる人物ー。

「美菜ー…ーー絶対に、絶対に助けるからなー」
敏夫はそう言葉を口にして、
皮にされてしまった親友を見つめながら
悲しそうな表情を浮かべると、
耕作の家の外に向かって歩き始めるー。

”D”は言ったー。

皮にされた人々を元に戻す方法は”ありません”とー。

そうなれば、美菜も、妻の晴子も、息子の昭俊ももう、
救い出すことはできない、ということになるー。

しかし、敏夫は”あの言葉は嘘だ”と、そう確信していたー。

”D”は、人を皮にする力でビジネスを行っているー。

”ビジネスという観点で考えるのであれば
”皮にされてしまった人間”を元に戻す方法も用意しておけば、
それもまたビジネスになるし、金になるだろうー。

”D”は己の快楽を優先する危険な人物であるものの、
同時に慎重で、”商材”になりそうなものであれば
何でもビジネスに組み込むーー…そんな感じに思えるー。

”皮にされた人間を元に戻す方法”も、
用意しているに違いないー。

”根拠”はないー。
ただ、そう思うことでしか敏夫は、
自分を保つことしかできなかったー。

”もう家族を助けられない”
そうなってしまったら、敏夫は絶望して
立ち上がれなくなってしまうからー。

敏夫が家から飛び出すと、
そんな敏夫の様子を物陰から
見つめている”女”の姿があったー。

派手な風貌のツインテールの女ー。

その女が、スマホを手にすると
少しだけ笑みを浮かべるー。

「ーーー”D”さんー。
 ターゲットが家を飛び出しましたよー」
ツインテールの女は、そう言葉を口にすると
ニヤッと笑みを浮かべるー。

彼女はー、”D”が”人を皮にする力”を売った人物の一人ー。

敏夫と対峙した際に
”既にこの力を売った相手は何百人といます”とそう語っていた通りー、
”D”から、人を皮にする薬を入手した人物の一人だー。

”クククーご苦労様ですー。
 では、彼に更なる地獄を見せてあげましょうー”

「ーーーー分かりましたー」
ツインテールのギャル風の女はそう言葉を口にすると、
”D”との電話を終えて、静かに笑みを浮かべるー。

一方、敏夫はそれに気づかぬまま、
とにかく、”D”の居場所を突き止めようとするー。

「俺は必ず、みんなを助けるんだー」

がー、
そうは言っても、”D”の居場所の手がかりは全くないー。
娘の美菜も、妻の晴子も、息子の昭俊も、
奪われてしまった状況の中ー、時間ばかりが過ぎていくー。

「ーーくそっー…」
全てを失った敏夫は、頼る人間もいないまま、
一人、”D”について調べを続けたものの、
その手掛かりを得ることはできなかったー。

かと言って、警察に通報したところで、
”D”の話など信じてもらうことはできないだろうー。

娘の美菜らの”捜索願”を出すことはできるかもしれないー。

が、それをすれば”D”を刺激してしまうリスクもあるし、
そもそも、美菜・晴子・昭俊、家族全員の身体を
自由に使うことができる”D”からすれば、
捜索願が出されたところで”誤魔化す”ことは
たやすいことだろうー。

「ーーくそっー…くそっ…!くそっ!」
焦りばかりが膨らんでいく敏夫ー。

焦ってもどうにもならないことは分かっているー。

ただー…
”人を皮にする薬”とやらを”ビジネス”と称してばらまき、
それを楽しんでいる人間を見過ごすわけには行かないし、
奪われた家族を必ず、取り戻さなくてはならないー。

敏夫は心折れそうになりながらも、歯軋りしながら
立ち上がると、再びゆっくりと歩き始めたー。

”ーーーーーーーーーーー”
そんな様子を”D”はー、
敏夫の娘の皮を着た美菜は、嬉しそうに観察していたー。

「クククー
 ”希望”などないと言うのに、もがく姿は実に面白いですねー」

美菜はワイングラスを手に、それを飲みながら
邪悪な笑みを浮かべるー。

”ーーDさんー、今日はビジネスホテルに宿泊するようですー”

”D”から人を皮にする薬を提供された人物の一人ー
現在は、派手な風貌のツインテールの女の皮を着ている人物が
スマホ越しにそう言葉を口にするー。

この人物によって、敏夫は監視されていて、
”D”にその動向は筒抜けだったー。

「ーー分かりました。ご苦労様ですー」
美菜の身体で、”D”はそう言葉を口にすると、
「ーさて、とー。手がかりなしでもがき苦しむ姿を
 ずっと見ているのにもそろそろ飽きてきましたー。
 ”次のステージ”へと進ませてあげましょう」と、
そう言葉を口にしながら、
邪悪な笑みを浮かべつつ、スマホを操作し始めるー。

「ーもしもし?私ですー”D”ですー」
”D”は、美菜の身体で電話相手に向かってそう名乗ると、
「ーそろそろ”出番”ですよー」と、
邪悪な笑みを浮かべながら、そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー」
敏夫は、”美菜”たち家族の行方をー、
そして”D”の行方を必死に探していたー。

今日も、ネット上で得た情報を手に、
町はずれの廃墟地帯にやってきていたー。

そこで、”美菜”を見かけたという
そんな情報が提供されたからだー。

もちろん、イタズラの可能性もあるし、
ネット上で情報提供を呼び掛けている敏夫は、
これまでにもたくさんのイタズラやガセネタに騙されて来たー。

けれどー、提供された情報が
”本物”なのか、”偽物”なのかなど、
判断することはできないー。

もしかしたら、本当に美菜たちに繋がる手がかりが
あるかもしれないー。

そう思って、敏夫は情報提供がある度に、
その情報を”きっと本当だ”と、信じて一つ一つ確認していたー。

そしてー、今日はこの廃墟地帯で
”美菜”を見かけたという目撃情報が入ったのだー。

「ーーーー…」
敏夫がゴクリ、と唾を飲み込みながら
廃墟地帯を見渡すと、
奥の方から声が聞こえたー

「ーた、助けて…だ、誰かー」

「ーしっ!静かにしろ!お前は”皮”になるんだー!」

そんな声がー。

「ーーー!!」
敏夫は「誰だ!?」と叫びながらその奥へと向かっていくと、
黒メガネをかけた怪しい男と、気弱そうな雰囲気の女がいたー。

そしてー、黒メガネの男の手には
”人を皮にする薬”が入った注射器が握りしめられていたー。

「ーた…助けてー…」
敏夫に気付いた女が涙目でそう言葉を口にすると、
敏夫は、美菜が、晴子が、昭俊がーー
家族の幸せな時間が奪われた光景を思い出しながら
「その人から離れろ!」と、そう叫ぶと、
黒メガネの男にタックルを仕掛けたー

「ーうげぇっ!」
黒メガネの男を取り押さえた敏夫は、
「君は逃げるんだ!」と、そう言葉を口にすると、
助けられた女は、心底申し訳なさそうに
「ーあ、ありがとうございますー」と、そうお礼を口にしてから
逃げていくー。

「ーお前…!”D”から、人を皮にする薬を買ったんだな!?」
敏夫が、怒りの形相を黒メガネの男に対して向けると、
黒メガネの男はもがきながら、
「ーへへへへー知ってたとしてもお前に話すことはねぇよー。おっさん!」と、
挑発的に言葉を口にするー。

「ー貴様!答えろ!!”D”はどこにいる!」
敏夫がそう叫ぶもー、
黒メガネの男は「ぺっ!」と、敏夫の顔面に唾を吐き捨てたー。

「貴様ァ!」
敏夫は拳を握りしめてからその黒メガネの男は殴りつけるー。

「ーー俺は、全部を奪われたー…!
 奪われたものを取り戻すためなら、
 俺は何だってするぞ…!」

敏夫が怒りの形相を浮かべながら
そう言葉を口にすると、
黒メガネの男は薄ら笑みを浮かべながら、
もう一度「ぺっ!!」と、敏夫の顔面に唾を吐き捨てるー。

敏夫は怒り心頭と言う様子でその男を殴りつけると、
「ー答えろー!!!Dはどこにいる!?」と、そう叫ぶー。

がー、黒メガネの男はそのまま気絶してしまい、
それ以上話を聞き出すことはできなかったー。

「ーーー…はぁ…はぁ…」
この男は何も喋る気はないー。
そう思いつつ、”人を皮にする薬”が入った容器を取り上げると、
それを手に「ーこれを警察に持って行けば…」と、そんな言葉を口にするー。

”D”に繋がる手がかりを得られるかもしれないー。

そう思いつつ、”人を皮にする薬”が入った容器をしまうー。

「ーーー…大丈夫だったかー?」
敏夫は、黒メガネの男に皮にされそうになっていた女の姿を見つけて
声を掛けると、その女は心底安堵したような表情を浮かべつつ、
「ーー本当にありがとうございますー」と、お礼の言葉を口にしたー。

その上で、自分は大学に通っている大学生であること、
名前は三重島 咲月(みえしま さつき)であることを口にした。

「ー君はどうして、あの男に狙われていたんだー?」
敏夫は心配そうに事情を確認すると、
「ー分かりませんー。知らない人なのでー…」と、咲月は怯えた表情のまま
そう言葉を口にするー。

しかしー、同時に咲月は
「ー実は友達も一緒にー…」と、友達も皮にされてしまったと語ると、
続けて”皮にされたり、元に戻されたりしてーー”と、
涙ながらに友達が受けた仕打ちのことを口にしたー。

がー、その言葉に、敏夫は反応したー。

「ーー”元に戻されたー?”」
とー。

人を皮にする力を売り捌いている”D”は、
”元に戻す方法はありません”と、そう言ったー。

しかし、この咲月はー…

「一度、”皮”にされた後に、友達が元に戻されるところを見たのか?」
敏夫がそう言うと、
咲月は「え…… は、はいー」と、静かに頷くー。

その言葉を聞いた敏夫は驚きながらも、
頭の中に”希望”の二文字が浮かび上がってくるのを感じたー。

やはりー、”一度皮にされてしまった人間を元に戻す方法”はあるー。
そう思った敏夫は、意を決して警察に”人を皮にする薬”を
持ち込もうと、そう決意するのだったー

<後編>へ続く

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数年越しに描かれる新作デス~!
(見たいというご希望があったので書いてみました~!)

今度こそ家族を無事に取り戻すことができるかどうか、
ドキドキですネ~!

毎週土曜日の作品は予約投稿している都合上、
続きは来週ですが、楽しみにしていて下さいネ~!!

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