幸せな家族の長女を皮にして、乗っ取った男ー
男は家族に”いつも通りの日常”を要求するー。
乗っ取られた娘に怯えながら生活していくことに
なってしまった家族の運命は…?
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食事が終わるー
家族は、暗い表情を浮かべていたー
「----ねぇみんな」
長女の美菜が呟くー。
「なんか、暗くない?」
美菜がにっこりとほほ笑むー
「-----」
母・晴子は目から涙をこぼしているー
そんな、晴子の方を見て、美菜は晴子に近づいていくー
「ねぇ、おかあさん」
美菜の言葉に、晴子は震えながら美菜の方を見るー
「--いつも通りにしろよ」
美菜の口調が荒くなるー。
美菜は今ーーーー
邪太郎という名前の男に皮にされて乗っ取られているー
「---み、、、美菜を…美菜を…返して」
母・晴子が泣きながらつぶやくー
「---いつも通りにしろって」
美菜が、にっこり微笑みながら、呟くー。
美菜の穏やかで可愛らしい声ー
美菜の笑顔ー
しかしー美菜の声には苛立ちも込められているー。
「---で、、、でも…」
晴子が涙を流しながら言うー
「----いつも通りにしろって言ってんだろがぁ!」
美菜が鬼のような形相で怒鳴り声を上げると、
母・晴子の髪を思いきり引っ張りだしたー
悲鳴を上げる晴子ー
「母さん!」
弟の昭俊が止めに入ろうとするー
父・敏夫も「おい!やめろ!」と叫んでいるー。
「--わ、、わたし…わたしの身体を上げるから…
どうか、、、どうか、、美菜だけは…美菜だけは…!」
母・晴子が泣きながら言うー
「お母さん、自分の姿、鏡で見てごらん」
美菜の口調を真似ながら、美菜は笑うー
母である晴子を、まるでごみのように乱暴に
引っ張っていくと、鏡の前に立たせたー
そして、美菜は低い声で、言葉を吐き出すー
「お母さんさぁ、ババアじゃん。
ババアの身体と、わたしのJKの身体ー
釣り合うと思ってんの?
ババアのくせに、イキってんじゃねぇーぞ!」
美菜とは思えない言葉遣いで、
母の晴子を鏡の前で蹴り飛ばすと、
美菜は、何度か咳払いをして、のどを調節すると、
にっこり微笑んだー
「さ、いつも通り、”家族”しよっ!」
美菜が笑うー
美菜を皮にして乗っ取った邪太郎は、
家族の愛情を知らないー
壮絶な人生を生きてきたー
だからー
近所に住む、この幸せそうな家族を見ているだけで
無性に腹が立った。
「---は、、はは…は…と、、と、、とにかく、いつも通りしよう!」
父の敏夫が、慌ててそう呟いたー
母の晴子は泣き崩れたままー
弟の昭俊は戸惑っているー
「---ねぇ、お母さん、いつも泣いてるわけじゃないでしょ?」
美菜が笑いながら言うー。
「---うっ…う…」
母・晴子の涙は止まらないー
「泣かないで」
美菜が笑いながら言うー
晴子は泣き止まないー
「泣くなよ」
美菜の表情から笑顔が消えるー
父・敏夫は慌てて、晴子に近づいていき、
「は、、晴子…とりあえず、部屋に行こう」と、
晴子を、部屋に移動させようとするー
「---泣くなって」
笑ながらも、怒りに震えた様子で美菜が言うー。
可愛らしい容姿の娘ー
笑顔が似合う娘ー
そんな娘に、今、家族3人は怯えているー。
「---あ、、あ、、あの…
い、、今、晴子は部屋に連れていきますので」
父・敏夫が娘・美菜に対して敬語で頭を下げるー
「-いつもそんな言葉づかいじゃないでしょ?」
美菜がにっこり笑うー
笑いながらも、美菜の眉間にしわが寄っていてー
美菜が怒っていることが分かるー
「---お前たちさぁ!」
美菜がブチギレて、机をたたくー。
「--俺はさぁ!”普通の家族”生活したいわけよ!分かるか?」
美菜が、両親と弟を見つめながら叫ぶー
「--俺はさぁ、天才なんだよ!
なんでも一人でできるし、勉強だってなんでもできる。
でもさぁ、家族の絆ってのは、体験しないと分からない。
だから、体験したいんだよ。
安心しろって!
家族生活を体験したら、ちゃーんと、俺は出ていくさ。
だ・か・ら
いい加減 いつも通り普通にしろって。 な?」
美菜がペキペキと音を立てているー
自分の頭をつかんで、美菜が
何かをしようとしているー
「”皮になったわたし”が、破られるところ、見たくないでしょ?」
がりがりと頭の辺りを触りながら笑う美菜ーーー
「わ、、わ、、わかりました!わかりましたから、おちついてくだ…」
父・敏夫はそこまで言ってー
美菜に睨まれているのに気づくー
このままじゃ、本当に美菜をどうにかされてしまうー
”け、、敬語ーー
敬語じゃないー”
父・敏夫は頭をフル回転させてー
「--わ、、わかった…い、、いつも通りにしよう!」
と、声を上げたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「--頼む!泣かないでくれ!頼む!」
父・敏夫は、部屋に妻である晴子を連れ込んで、
必死に叫んでいたー。
晴子が泣き続けていることで、
美菜を皮にして、乗っ取ったやつが、逆上してしまうー
「か、、家族生活を普通に送ってれば
あいつは美菜から出ていくと言ったんだー。
と、、と、、とにかく…とにかく…」
父・敏夫はそこまで言って、
自分がガクガクふるえていることに気づくー。
どんなことがあっても、家族を守ろうー
そう、思っていたのにー
いざ、こんなことが起きるとー
父・敏夫は、恐怖していたー
乗っ取られた娘にー。
「---う…うぅぅ…」
父・敏夫は我慢できなくなって
妻の晴子と共に、部屋で涙をこぼしたー
・・・・・・・・・・
「あははっ!昭俊ってばつよ~い!」
リビングではー
美菜と、弟の昭俊が
ゲームで対戦していたー。
”いつも通り”の光景だー
昭俊は、怯えながらも”なるべくいつも通り”振る舞い、
対戦を続けていたー
「---もう1回もう1回~!」
美菜が笑いながら言うー。
”いつも通り”振舞っていると、
美菜は、いつも通り、振舞ってくれるー
昭俊はそんな風に思いながら
対戦を続けるー
連戦
連勝ー
「---昭俊ってば、やっぱり強いなぁ~!」
美菜の記憶を読み取りながら、美菜を乗っ取っている邪太郎は笑うー
「--俺の勝ち~!」
昭俊はそう言いながら、”もう1回~!”と言う、美菜に合わせて
もう一度対戦を行うー
勝ちー
「もう1回~!」
また勝ちー
「もう1回~~~!」
またまた勝ちー
「もう1回~~~!チッ」
美菜が、舌打ちをしたー
「---!」
昭俊は表情を歪めるー
はっきりと、舌打ちが聞こえたからだー
”いつも通りにしろ、っていうから、
いつも通り連戦連勝してるのにーー”
昭俊は、”どうすればいいんだ?”と戸惑うー
接待モードで、1回わざと負けるべきかー?
それとも、あくまでもいつも通り振る舞い続けるべきかー?
迷いに迷って、昭俊はー
”わざと”負けたー
「----あ~~~!負けちゃった~!
姉さんも強いなぁ~!」
脂汗をかきながら、そう口にする昭俊ー
「ねぇ昭俊」
美菜がにっこり微笑んだ
「ん?」
昭俊が、美菜の方を見て
作り笑顔を浮かべるー
「今ーわざと負けたよね?」
美菜は笑っているー
「--え…あ…え…そ、、そんなことー」
「次ー」
美菜が低い声で呟いたー
「--次、そういうことしたら、ぶっ殺すから」
美菜は低い声で、満面の笑みを浮かべながらそう言うと、
「さ、もう1回~!」と、笑みを浮かべたー
深夜になっても対戦は続くー
昭俊の連勝も続くー
だがー
美菜を乗っ取った邪太郎は
”勉強もなんでもできる男”であるがゆえに、
ゲームと言えど、負け続けることは許せなかったー
”勝つまで”
やめるつもりはないー
美菜は、露骨にイライラした様子で
髪の毛をぼさぼさにしながら、
コントローラーを握っているー
「----はぁぁぁあ…うっぜ…チッ!はぁぁ…」
もはや、本性を隠す気もないー
露骨に独り言が激しくなっているー
美菜の狂気的な態度を横目にー
昭俊はついに叫んだー
「あの!!!!!」
とー。
深夜2時ー
昭俊の言葉に美菜は「ん~~~?ど~~~したの?」と
怒りを抑えながら返事をしたー
「いつも通り!!いつも通りなら、
姉さん、もう寝てる時間!
い、、いつも通り、するんですよね!!?
だ、、だったら、いつも通りしましょうよ!
とことんいつも通りに!」
昭俊の言葉に、
美菜は昭俊をにらみつけるー
だがー
「そうね!うふふふふふふ」
と、不気味な笑みを浮かべると、
「昭俊の言う通り。いつも通り、いつも通り!」と笑顔で
対戦の終了を承諾してくれたー
”ふ~~~~”
安堵する昭俊ー
しかしー
「--おやすみ!」
コントローラーを壁にぶん投げて、美菜はそのまま部屋に向かっていくー
昭俊は、
一人残されたリビングで、恐怖に震えることしかできなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・
「---幸せだなぁ?」
邪太郎は美菜の部屋に戻ると、美菜の皮を脱いで、
部屋にあった画鋲で美菜の皮を壁に
貼り付けたー。
「----あぅ…あぅぅぅぅぅぅ」
美菜が虚ろな意識で呟くー
”皮”になった状態でも美菜の自我は
かろうじて残っているものの、
恐怖と、皮にされたあとに脳に流れ込んできた
異様な快楽から、”正気”を失っているー
「---おい!幸せだなぁ!お前は!」
美菜の皮を乱暴に蹴り飛ばす邪太郎。
「あぅぅ…はぃぃぃ…♡」
美菜がかすれた声で答えるー
皮のようにぺらぺらとした状態では
まともに受け答えすることもできないー
「お前はこれから俺が飽きるまで永遠に
俺の洋服だ。」
「---う……」
美菜は、何を言われてるのかもよくわからないまま
不気味な笑みを浮かべるー
そんな”皮になった美菜”の様子を見つめながら
邪太郎は、皮の状態の美菜をゆっくり、
いやらしい手つきで触り始めたー
「皮になった女ってのも、悪くないなぁ~」
邪太郎はそう呟くと、美菜の皮をぺろぺろとなめ始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「みんな~!おはよ~!」
美菜が元気よくリビングに降りてくるー
父・敏夫も、母・晴子も、弟・昭俊も
引きつった笑みで、美菜を出迎える。
「どうしたの~みんな?お通夜みたいな顔しちゃって!」
美菜が満面の笑みで言う。
高校の制服姿の美菜を見て、
父・敏夫は”高校に行くつもりか!?”と言おうとしたが、
恐怖で喉から声が出なかった。
「今日はお通夜じゃないよね?」
美菜がにっこりと笑いながら言うー。
「--あ、、、う、、うん…うん!」
弟の昭俊は、震えながらもそう答えるー
母・晴子も恐怖からガクガク震えてコップを落としてしまうー
「---」
美菜は満面の笑みで家族の様子を見ているー
これじゃあ”家族ごっこ”にならないー
”普通にしてろって言ってんだろうが”
美菜を着込んでいる邪太郎は、そう舌打ちしながら、
”優しい娘”を演じ続けるー
「今日はお通夜じゃないよな?」
美菜が露骨にイライラし始めたー
父・敏夫は、恐怖を覚えて「み、みんな、ほら!明るく!いつものように!」と
妻の晴子と息子の昭俊に対して言い放ったー
不自然に笑う家族ー
「---そうだよ。最初からそうしろよ」
美菜はそう言い放つと、不機嫌そうに椅子に座ったー
”なんとかー
なんとかしなくては”
父・敏夫は、娘の美菜が学校に行っている間に何か対策をー、
と、頭をフル回転させていたー
”皮”
いったい、どういうことなのか?
美菜は無事なのかー
美菜の皮を無理やり引きはがして、
中身の男を引きずりだし、
何かをする隙を与えずに無力化するー…
「----」
父・敏夫は笑顔で朝食を食べながらも、
心の目で、娘の美菜をー
いや、娘の美菜を乗っ取っている男を睨みつけていたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ダーク一直線な感じの皮モノデス!
最後には、どんな結末が待ち構えているのでしょうか~?
最終回は、また明日~!
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