<皮>大事な娘はいただいた②~日常~

幸せな家族の長女を皮にして、乗っ取った男ー

男は家族に”いつも通りの日常”を要求するー。

乗っ取られた娘に怯えながら生活していくことに
なってしまった家族の運命は…?

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食事が終わるー

家族は、暗い表情を浮かべていたー

「----ねぇみんな」
長女の美菜が呟くー。

「なんか、暗くない?」
美菜がにっこりとほほ笑むー

「-----」
母・晴子は目から涙をこぼしているー

そんな、晴子の方を見て、美菜は晴子に近づいていくー

「ねぇ、おかあさん」
美菜の言葉に、晴子は震えながら美菜の方を見るー

「--いつも通りにしろよ」
美菜の口調が荒くなるー。

美菜は今ーーーー
邪太郎という名前の男に皮にされて乗っ取られているー

「---み、、、美菜を…美菜を…返して」
母・晴子が泣きながらつぶやくー

「---いつも通りにしろって」
美菜が、にっこり微笑みながら、呟くー。

美菜の穏やかで可愛らしい声ー
美菜の笑顔ー
しかしー美菜の声には苛立ちも込められているー。

「---で、、、でも…」
晴子が涙を流しながら言うー

「----いつも通りにしろって言ってんだろがぁ!」
美菜が鬼のような形相で怒鳴り声を上げると、
母・晴子の髪を思いきり引っ張りだしたー

悲鳴を上げる晴子ー

「母さん!」
弟の昭俊が止めに入ろうとするー

父・敏夫も「おい!やめろ!」と叫んでいるー。

「--わ、、わたし…わたしの身体を上げるから…
 どうか、、、どうか、、美菜だけは…美菜だけは…!」
母・晴子が泣きながら言うー

「お母さん、自分の姿、鏡で見てごらん」
美菜の口調を真似ながら、美菜は笑うー

母である晴子を、まるでごみのように乱暴に
引っ張っていくと、鏡の前に立たせたー

そして、美菜は低い声で、言葉を吐き出すー

「お母さんさぁ、ババアじゃん。
 ババアの身体と、わたしのJKの身体ー
 釣り合うと思ってんの?

 ババアのくせに、イキってんじゃねぇーぞ!」

美菜とは思えない言葉遣いで、
母の晴子を鏡の前で蹴り飛ばすと、
美菜は、何度か咳払いをして、のどを調節すると、
にっこり微笑んだー

「さ、いつも通り、”家族”しよっ!」
美菜が笑うー

美菜を皮にして乗っ取った邪太郎は、
家族の愛情を知らないー
壮絶な人生を生きてきたー

だからー
近所に住む、この幸せそうな家族を見ているだけで
無性に腹が立った。

「---は、、はは…は…と、、と、、とにかく、いつも通りしよう!」
父の敏夫が、慌ててそう呟いたー

母の晴子は泣き崩れたままー
弟の昭俊は戸惑っているー

「---ねぇ、お母さん、いつも泣いてるわけじゃないでしょ?」
美菜が笑いながら言うー。

「---うっ…う…」
母・晴子の涙は止まらないー

「泣かないで」
美菜が笑いながら言うー

晴子は泣き止まないー

「泣くなよ」
美菜の表情から笑顔が消えるー

父・敏夫は慌てて、晴子に近づいていき、
「は、、晴子…とりあえず、部屋に行こう」と、
晴子を、部屋に移動させようとするー

「---泣くなって」
笑ながらも、怒りに震えた様子で美菜が言うー。

可愛らしい容姿の娘ー
笑顔が似合う娘ー
そんな娘に、今、家族3人は怯えているー。

「---あ、、あ、、あの…
 い、、今、晴子は部屋に連れていきますので」
父・敏夫が娘・美菜に対して敬語で頭を下げるー

「-いつもそんな言葉づかいじゃないでしょ?」
美菜がにっこり笑うー

笑いながらも、美菜の眉間にしわが寄っていてー
美菜が怒っていることが分かるー

「---お前たちさぁ!」
美菜がブチギレて、机をたたくー。

「--俺はさぁ!”普通の家族”生活したいわけよ!分かるか?」
美菜が、両親と弟を見つめながら叫ぶー

「--俺はさぁ、天才なんだよ!
 なんでも一人でできるし、勉強だってなんでもできる。

 でもさぁ、家族の絆ってのは、体験しないと分からない。
 だから、体験したいんだよ。

 安心しろって!
 家族生活を体験したら、ちゃーんと、俺は出ていくさ。
 
 だ・か・ら

 いい加減 いつも通り普通にしろって。 な?」

美菜がペキペキと音を立てているー

自分の頭をつかんで、美菜が
何かをしようとしているー

「”皮になったわたし”が、破られるところ、見たくないでしょ?」

がりがりと頭の辺りを触りながら笑う美菜ーーー

「わ、、わ、、わかりました!わかりましたから、おちついてくだ…」

父・敏夫はそこまで言ってー
美菜に睨まれているのに気づくー

このままじゃ、本当に美菜をどうにかされてしまうー

”け、、敬語ーー
 敬語じゃないー”

父・敏夫は頭をフル回転させてー

「--わ、、わかった…い、、いつも通りにしよう!」
と、声を上げたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

「--頼む!泣かないでくれ!頼む!」
父・敏夫は、部屋に妻である晴子を連れ込んで、
必死に叫んでいたー。

晴子が泣き続けていることで、
美菜を皮にして、乗っ取ったやつが、逆上してしまうー

「か、、家族生活を普通に送ってれば
 あいつは美菜から出ていくと言ったんだー。
 と、、と、、とにかく…とにかく…」

父・敏夫はそこまで言って、
自分がガクガクふるえていることに気づくー。

どんなことがあっても、家族を守ろうー
そう、思っていたのにー
いざ、こんなことが起きるとー

父・敏夫は、恐怖していたー
乗っ取られた娘にー。

「---う…うぅぅ…」
父・敏夫は我慢できなくなって
妻の晴子と共に、部屋で涙をこぼしたー

・・・・・・・・・・

「あははっ!昭俊ってばつよ~い!」
リビングではー
美菜と、弟の昭俊が
ゲームで対戦していたー。

”いつも通り”の光景だー

昭俊は、怯えながらも”なるべくいつも通り”振る舞い、
対戦を続けていたー

「---もう1回もう1回~!」
美菜が笑いながら言うー。

”いつも通り”振舞っていると、
美菜は、いつも通り、振舞ってくれるー

昭俊はそんな風に思いながら
対戦を続けるー

連戦
連勝ー

「---昭俊ってば、やっぱり強いなぁ~!」
美菜の記憶を読み取りながら、美菜を乗っ取っている邪太郎は笑うー

「--俺の勝ち~!」
昭俊はそう言いながら、”もう1回~!”と言う、美菜に合わせて
もう一度対戦を行うー

勝ちー

「もう1回~!」

また勝ちー

「もう1回~~~!」

またまた勝ちー

「もう1回~~~!チッ」
美菜が、舌打ちをしたー

「---!」
昭俊は表情を歪めるー
はっきりと、舌打ちが聞こえたからだー

”いつも通りにしろ、っていうから、
 いつも通り連戦連勝してるのにーー”

昭俊は、”どうすればいいんだ?”と戸惑うー

接待モードで、1回わざと負けるべきかー?
それとも、あくまでもいつも通り振る舞い続けるべきかー?

迷いに迷って、昭俊はー
”わざと”負けたー

「----あ~~~!負けちゃった~!
 姉さんも強いなぁ~!」
脂汗をかきながら、そう口にする昭俊ー

「ねぇ昭俊」
美菜がにっこり微笑んだ

「ん?」
昭俊が、美菜の方を見て
作り笑顔を浮かべるー

「今ーわざと負けたよね?」
美菜は笑っているー

「--え…あ…え…そ、、そんなことー」

「次ー」
美菜が低い声で呟いたー

「--次、そういうことしたら、ぶっ殺すから」
美菜は低い声で、満面の笑みを浮かべながらそう言うと、
「さ、もう1回~!」と、笑みを浮かべたー

深夜になっても対戦は続くー
昭俊の連勝も続くー

だがー
美菜を乗っ取った邪太郎は
”勉強もなんでもできる男”であるがゆえに、
ゲームと言えど、負け続けることは許せなかったー

”勝つまで”
やめるつもりはないー

美菜は、露骨にイライラした様子で
髪の毛をぼさぼさにしながら、
コントローラーを握っているー

「----はぁぁぁあ…うっぜ…チッ!はぁぁ…」
もはや、本性を隠す気もないー
露骨に独り言が激しくなっているー

美菜の狂気的な態度を横目にー
昭俊はついに叫んだー

「あの!!!!!」
とー。

深夜2時ー

昭俊の言葉に美菜は「ん~~~?ど~~~したの?」と
怒りを抑えながら返事をしたー

「いつも通り!!いつも通りなら、
 姉さん、もう寝てる時間!
 い、、いつも通り、するんですよね!!?

 だ、、だったら、いつも通りしましょうよ!
 とことんいつも通りに!」

昭俊の言葉に、
美菜は昭俊をにらみつけるー

だがー

「そうね!うふふふふふふ」
と、不気味な笑みを浮かべると、
「昭俊の言う通り。いつも通り、いつも通り!」と笑顔で
対戦の終了を承諾してくれたー

”ふ~~~~”
安堵する昭俊ー

しかしー

「--おやすみ!」
コントローラーを壁にぶん投げて、美菜はそのまま部屋に向かっていくー

昭俊は、
一人残されたリビングで、恐怖に震えることしかできなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・

「---幸せだなぁ?」
邪太郎は美菜の部屋に戻ると、美菜の皮を脱いで、
部屋にあった画鋲で美菜の皮を壁に
貼り付けたー。

「----あぅ…あぅぅぅぅぅぅ」
美菜が虚ろな意識で呟くー

”皮”になった状態でも美菜の自我は
かろうじて残っているものの、
恐怖と、皮にされたあとに脳に流れ込んできた
異様な快楽から、”正気”を失っているー

「---おい!幸せだなぁ!お前は!」
美菜の皮を乱暴に蹴り飛ばす邪太郎。

「あぅぅ…はぃぃぃ…♡」
美菜がかすれた声で答えるー

皮のようにぺらぺらとした状態では
まともに受け答えすることもできないー

「お前はこれから俺が飽きるまで永遠に
 俺の洋服だ。」

「---う……」
美菜は、何を言われてるのかもよくわからないまま
不気味な笑みを浮かべるー

そんな”皮になった美菜”の様子を見つめながら
邪太郎は、皮の状態の美菜をゆっくり、
いやらしい手つきで触り始めたー

「皮になった女ってのも、悪くないなぁ~」
邪太郎はそう呟くと、美菜の皮をぺろぺろとなめ始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「みんな~!おはよ~!」
美菜が元気よくリビングに降りてくるー

父・敏夫も、母・晴子も、弟・昭俊も
引きつった笑みで、美菜を出迎える。

「どうしたの~みんな?お通夜みたいな顔しちゃって!」
美菜が満面の笑みで言う。
高校の制服姿の美菜を見て、
父・敏夫は”高校に行くつもりか!?”と言おうとしたが、
恐怖で喉から声が出なかった。

「今日はお通夜じゃないよね?」
美菜がにっこりと笑いながら言うー。

「--あ、、、う、、うん…うん!」
弟の昭俊は、震えながらもそう答えるー

母・晴子も恐怖からガクガク震えてコップを落としてしまうー

「---」
美菜は満面の笑みで家族の様子を見ているー

これじゃあ”家族ごっこ”にならないー
”普通にしてろって言ってんだろうが”
美菜を着込んでいる邪太郎は、そう舌打ちしながら、
”優しい娘”を演じ続けるー

「今日はお通夜じゃないよな?」
美菜が露骨にイライラし始めたー

父・敏夫は、恐怖を覚えて「み、みんな、ほら!明るく!いつものように!」と
妻の晴子と息子の昭俊に対して言い放ったー

不自然に笑う家族ー

「---そうだよ。最初からそうしろよ」
美菜はそう言い放つと、不機嫌そうに椅子に座ったー

”なんとかー
 なんとかしなくては”

父・敏夫は、娘の美菜が学校に行っている間に何か対策をー、
と、頭をフル回転させていたー

”皮”
いったい、どういうことなのか?
美菜は無事なのかー

美菜の皮を無理やり引きはがして、
中身の男を引きずりだし、
何かをする隙を与えずに無力化するー…

「----」
父・敏夫は笑顔で朝食を食べながらも、
心の目で、娘の美菜をー
いや、娘の美菜を乗っ取っている男を睨みつけていたー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

ダーク一直線な感じの皮モノデス!

最後には、どんな結末が待ち構えているのでしょうか~?

最終回は、また明日~!

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