<皮>大事な娘はいただいた~深淵編~・前編

”家族ごっこ”-

男の身勝手な行為により、
幸せな家庭はズタズタに引き裂かれたー。

「大事な娘はいただいた」の後日談!
※⇒本編を先にご覧ください!

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ごく普通の幸せな家族だった、笠山家ー。

しかしー
ある日、長女の美菜(みな)が、
男に皮にされて、乗っ取られてしまったー。

家族の愛情もー
友達との友情もー
何も知らずに育ち、
”何者にも頼らず”一人で生きていく力を手に入れた男ー
木浪 邪太郎(きなみ じゃたろう)は、
他人を皮にする力を手に入れー
たまたま目についた、幸せそうな家族ー
笠山家の長女・美菜を乗っ取ったー

美菜を乗っ取った邪太郎は、美菜の身も心も支配し、
笠山家の両親と弟に”家族ごっこ”を要求ー

「普通にしてろよ」
と、美菜の身体で、家族を恐怖に陥れ、そして、支配した。

しかし、
娘を奪われた父・敏夫(としお)は黙っていなかったー
皮にされた娘・美菜の中から、邪太郎を引きずり出し、
娘を助けようと奔走したー。

情報収集を続けー
SNSで”彼女が皮にされた”と書き込みを見かけた敏夫は、
その書き込みが3年前であることを理解しつつも、
”もしかしたら返事がもらえるかもしれない”と、
「聞きたいことがあります」とダメ元でメッセージを送ったー

さらに”10年来の親友”にもしもの時のことを託した上でー

父・敏夫は、美菜を乗っ取った邪太郎に戦いを挑んだー

だが、結果はー
妻である晴子まで皮にされて乗っ取られた挙句ー
父・敏夫は、妻と娘に暴力をふるった夫ー、と、見せかけられて
逮捕されてしまうー。

皮にされて乗っ取られた美菜と晴子ー
離婚届が届き、晴子・美菜、そして息子の昭俊(あきとし)は蒸発ー。

さらには、10年来の親友も”自殺”に見せかけられて殺害されたー。

”絶望”
そんな、状況に突き落とされた敏夫ー。

しかし、彼は釈放後ー
”行動”を起こしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

敏夫は釈放されたー。

娘の美菜、妻の晴子、息子の昭俊は姿を消してしまったー

家族を乗っ取ったあの男が”引っ越し”させたのだー。
家族をうまく操ってー。

「---くそっ」
敏夫は、友人のアパートに居候させてもらう形で、
居場所だけは確保することに成功するもー
家族を全員奪われてしまっただけではなく、
10年来の親友も、仕事も失ってしまったことで、
精神的にかなり参っていたー

「----……何が起きてるのかわからないけどさ、
 とりあえず、元気出せよ」

居候を始めてから3日ー
何も食べていなかった敏夫に、
友人の北村 耕作(きたむら こうさく)が、優しく呟くー

「あぁ…そうだな」
敏夫と耕作は、高校時代からの付き合いだー。
彼もまた、10年来の親友のひとりと言ってもいいー。

耕作は”俺は独身貴族だぜ”と高校時代から言っていて、
今も有言実行を続けているー。
そんな耕作を頼ることは、敏夫にとっては”不安”でもあったが、
それでも、敏夫は耕作を頼ったのだったー。

死んだ”10年来の親友”のように、
この耕作も、”あの家族を奪った男”に殺されてしまうかもしれないー
そういう不安だー。

だがー
敏夫は、耕作に”俺の話を聞けば、お前の身にも危険が及ぶかもしれない”と
前置きしたうえで、”それでも、話、聞いてくれるか?”と、耕作に
連絡を取ったところ、耕作は、少し考えたあとに「親友の話なら、なんでも聞くぜ」と
快く、話を聞いてくれたー

全てを打ち明けた敏夫ー
男に、娘を皮にされた挙句、妻も皮にされて、
罪をでっちあげられー、しかも、娘たちは引っ越して姿を消してしまったことー

10年来の親友が、殺されたことー

全てをー。

耕作にとっても殺された”敏夫の10年来の親友”は、友人だったー
耕作は「かたき討ちだな」と、悲しそうに呟きながら
家をも失った敏夫を匿い、
そして、協力してくれているー。

だがー
手がかりは見つからずー
時間だけが過ぎていくー

早く美菜をー
早く晴子をー
早く昭俊を助けないといけないのにー

そんな、焦りばかりが募る中ー
敏夫の元に”あるメッセージ”が届いたー

皮にされた美菜との戦いに向かう直前にー
連絡を取った相手ー

”SNSで”彼女が皮にされた”と書き込みを3年前にしていた人物”、

敏夫は、その相手に、
「聞きたいことがあります」とダメ元でメッセージを送っていたー。

結局、返事は来ずに、美菜と対決ー
結果、敏夫は、敗北したかたちになったもののー
今になって、”返事”が届いたのだったー

”お会いできますか?”
返事は、その一言だけだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----家族でご飯、楽しいね!」
美菜が微笑むー

「う、、、うん…」
弟の昭俊が青ざめた表情で呟くー

笠山家の長女・美菜を皮にして乗っ取った
邪太郎は、母・晴子も皮にして乗っ取り、
家族ごと引っ越しさせたー。

昼間は晴子として、身体を売って金を稼ぎー
帰宅すると美菜として、家族ごっこを楽しむー
そんな日々だー。

「--おい」
美菜が笑ったまま表情を歪めるー

「笑えよ」
美菜の低い声ー

姉のこんな声ー
普段は絶対に聞くことはなかったー

「あ、、、はは、、ははははは」
昭俊が必死に笑うー

”普通の家族”として振舞わないと、
美菜を乗っ取った男は”異様”なまでに怒り出すー。

「ははは、はははははは」
昭俊が笑っていると、
美菜は「昭俊ったら~!楽しそうにしちゃって~♡」と
笑みを浮かべたー

”家族ごっこ”に付き合っている限りー
何もされないー

「----」
昭俊は、今も”チャンス”を伺っていたー

父の敏夫は、失敗したー
姉さんを乗っ取っている”こいつ”に、うまくはめられて
逮捕されてしまったー。
今では連絡を取ることもできないー。

母の晴子は、皮にされて、挙句の果てに
身体を売る商売をさせられてー
脱がれたあとは、放心状態で、精神的に崩壊してしまっているー

姉の美菜も、同じー
脱がれている間は、もはや廃人のようになってしまっているー

”俺しかいない”
昭俊は、なんとか、
美菜を乗っ取っている男を引きずり出してー
姉と母を取り戻そうー、と
そう考えていたー

だがー
美菜はそれも見透かしているー

「--変なこと、考えないほうがいいよ」
美菜がクスリと笑うー

「--死にたくなけりゃ、ね」
美菜はそれだけ言うと、「さ~ゲームで対戦でもしようか~!」とほほ笑んだー

もちろん昭俊にー
拒否権など、ないー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----」
敏夫は、指定された場所にやってきていたー。

”彼女が皮にされた”と3年前にツイートしていた男”
と会うためにー

今回の件と、何か関係があるとは限らないー

だがー
書き込まれていた当時の内容が、
敏夫の今の状況と似ていたのだー

「---」
敏夫が、オープンカフェのテーブルに指定されたものを
注文して座っていると、
しばらくして、男がやってきたー。

「はじめましてー」
男は、優しそうな好青年だったー。

だがー
その顔は、疲れ果てているー。

「--板森 林吾(いたもり りんご)と申しますー」
保険証を見せて、身分を証明する林吾ー。

「---はじめまして」
敏夫も頭を下げたー

敏夫は本名を名乗らなかったー。
むしろー
ネットから出会ってすぐに名を名乗って来るこの男に
違和感も覚えたー。

「--お返事が遅くなってすみませんー
 もう、このアカウント、ほぼ見てなかったものですから」
林吾は、”3年前に”彼女が皮にされた”とツイートした”
アカウントを見せながら苦笑いしたー。

「いえ、こうしてお会い頂けて良かったです」
敏夫は、自分よりもずいぶん年下の林吾にそう言うと、
林吾は「本題ですが…」と、その表情から笑みを消したー。

「----諦めたほうが、いいです」
とー。

「---え」
敏夫が思わず言うと、
「---あの、失礼ですが、彼女さんは…?」
と、恐る恐る尋ねたー。

”3年前”のツイートでは
彼女が皮にされた、と書かれていた。
林吾の彼女は、今、どうなっているのだろうかー。

「---”解放”されました」
林吾は言う。

「--それは良かった」
敏夫が安心した様子で言うー。

「------」
林吾は少しだけ考えたあとに、
「--あなたは、ご家族が、皮にされた、と言っていましたね?」
と、呟く。

「はい」
敏夫は答えた。
ツイッターでDMを送った際に、
”家族が皮にされた”ことは伝えているー。

「---………」
林吾が敏夫の顔を見つめるー。

敏夫が林吾を警戒しているように、
林吾もまた、敏夫を警戒しているー

お互いに相手が”本当のこと”を言っているのかわからないし
ネットで会話しただけで、いきなり直接会っている状態だから、
警戒するのは当然だったー。

「---………僕の家に実際に来ていただいて、
 見てもらった方が、早いでしょう」
林吾はそう呟くー

敏夫の雰囲気と、
その真剣なまなざしからー
敏夫が”本当に家族を皮にされた”と信じた林吾は、
「--ちょうど、僕の家はそう遠くありませんので」と、
カフェの座席から立ち上がったー

敏夫は少し警戒するー

”この青年を信じても良いのだろうかー?”とー。

敏夫からすれば、”急に家に案内される”ー
ということは、恐ろしいことでもあったー
この青年が嘘をついていたらー?
この青年が悪人ではないという保証がどこにあるー?

いやー
それでも、行かねばならないー

今更失うものなんて、何もないー

少しでも、家族を助けることに、繋がるのならー

「--わかりました。お邪魔させていただきます」
敏夫がそう言うと、林吾は少しだけ微笑んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・

「------」
林吾は、ボロアパートに一人暮らしだったー。

敏夫を部屋の中に案内すると、
林吾は、引き出しの中から何かを取り出したー。

圧縮袋に綺麗にたたまれている
その”服”のようなものを取り出すー。

「それは…?」
敏夫が尋ねると、林吾は静かに答えたー。

「---僕の、彼女ですよ」
とー。

「---!!!」
敏夫が表情を歪めるー。

皮のような状態のままの”彼女”

林吾は言うー。

「一度皮にされたら、もう、元には戻らないんですー」

悲しそうな目で、林吾はそう言ったー。

「--う、、嘘だ…」
敏夫が震えるー

娘の美菜や、妻の晴子を助ける方法が
必ずあるはずー
そう思って、敏夫はーー

「---…僕だって、彼女を助けたいー
 だから、色々試しました。
 でもーー無理なんです」
林吾は悔しそうに言ったー。

「3年前ー
 僕がツイートした直後にー
 僕の彼女を皮にした男は
 ”別のいい女を見つけた”とだけ言って
 紗月(さつき)のー
 僕の彼女を”脱いで”いきましたー」

林吾の目からは涙がこぼれているー

「でもー
 僕がどんなに呼びかけてもー
 僕が何をしてもー
 彼女は、このままなんですー」

着ぐるみのような状態になってしまっている
林吾の彼女・紗月は、
口をぽかんと空けたまま”虚ろな目”を浮かべているー

その状態で、皮になっているー。

「----……」
泣き崩れてしまう林吾ー
敏夫はそんな林吾の肩をポンポンと叩いたー。

おそらく、この青年の彼女を皮にした人間と、
敏夫の家族を奪い”家族ごっこ”を強要している
邪太郎は”別人”だろうー

そうなると”人を皮にする力”を提供している
”誰か”あるいは”組織”が存在することになるー

娘の美菜を乗っ取った男は
”誰かと組むようなタイプ”ではないように思えるー

そうなると、あの男が
”組織”あるいは”別の誰か”から、
皮にする力を手に入れたと考えるのが普通だー

”美菜たちを探し、あの男を追い詰めるかー”

それともー
”人を皮にする力を提供しているやつを探すかー”

あるいはー
この林吾という青年の彼女を皮にしたやつを見つけ出すかー。

家族を救うための足掛かりになりそうなのは
その”3つ”だー。

「---俺は、それでもあきらめないー」
敏夫は呟く。
林吾は涙を拭きながら「どうするつもりです?」と敏夫を見つめるー。

「--俺の娘と妻を皮にしたやつを見つけ出して、
 中身を引きずり出してー
 元に戻す方法を聞き出してやる。
 
 皮にする方法があるなら、元に戻す方法もあるはずだ。

 もちろんー
 君の彼女も、、必ず…」

敏夫は、この林吾という青年が信用に足る人物だと判断して、
そう力強く語り掛けたー。

「--…」
林吾は少しだけ考えると頷いたー。

「---僕にも、何か手伝えることはありますか?」
とー。

敏夫は嬉しそうに頷くと、「もちろんだー」と答えたー。

”大切な人”を奪われたモノ同士の、
”大切なモノを取り戻す戦い”が
始まろうとしていたー

<中編>へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

「大事な娘はいただいた」の後日談のスタートデス!
次回は来週になってしまいますが、
残りの中編と後編で、”決着”がつきます!

ぜひ楽しんでくださいネ~!

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    続きは1週間空けてないで翌日に出して欲しいです。1週間話の更新がされないのなら別ですが1週間の間に別の話がはいると忘れていまいややこしくなります。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!

    確かに間に他の話が入ると
    ややこしいですよね…汗

    私も出来る限り続けて書くようにしているのですが、
    こうなってしまっている理由としては…

    ・毎週火曜日だけ、私がその日に書く時間が取れないので
     書置き(予約投稿)になってしまっていること

    ・「続編モノが何日も続くと嫌だ」というご意見と
     「続編がみたいです!」というご意見、
     「毎日更新してほしい」というご意見など、
     色々頂いていて
     それぞれのご意見を少しずつ反映するため

    に、なっています。

    出来る限り飛び飛びにならないようには
    しているのですが、↑のような理由もあり、
    火曜日の枠以外は、飛び飛びにしないようにする…が今のところ限界で、
    全てを飛び飛びにしないようにするのは
    難しい感じですので、
    申し訳ありませんが、このような更新になってしまっています。

    全ての皆様のご希望にお応えすることができず
    申し訳ありませんが
    よろしくお願いいたします!

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