<他者変身>誰が誰だか分からない①~混乱~

”全人類”が他人に変身する力を
身に付けてしまったー…!

その結果、誰が誰だか分からない
状態になってしまってー…?

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「ーうぉぉぉお!おいっ!おいっ!あれっ!」
そう言葉を口にする友達の純太(じゅんた)ー。

「ーーーーん?なんだよ急にー
 そんなに興奮してー」
純太と同じ大学に通う、光本 義也(みつもと よしや)は、
少し面倒臭そうにそう返事をすると、
純太は興奮した様子で、
「あ、あれ!!亜優美(あゆみ)ちゃんだよなー!?」と、
そう言いながら、少し離れた場所を歩いている子を指差すー。

「ーーーん~~~…あ~、まぁ、そうだなー」
義也は、純太が指さした相手を見つめながら
少し冷めた様子でそう言葉を口にすると、
「おいおいおいおいー、今、滅茶苦茶人気のアイドルだぞ?
 反応薄くねー?」と、
純太が、少し先を歩いている超人気アイドルの亜優美の方を
見つめながらそう言葉を口にしたー。

すると、義也は「ふぅ」とため息を吐き出すと、
「いやーーだってー…どうせ”偽物”だろー?」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーーー…」
その言葉に、純太は「おいおい、本物かもしれねぇだろ?」と、
そう言葉を返すと、
義也は「本物の亜優美ちゃんがこんなところにいるわけないだろ?
さっきもラーメン屋に二人ぐらいいたし」と、そう言葉を口にした上で、
「ついでに店主も亜優美ちゃんだったし」などと呟くー。

「ーーーむむむ」
義也にそう指摘された純太は少しだけ、どこか悔しそうな表情を
浮かべたものの、やがて、
「まぁ……確かにそうだけどよー」と、そう呟きながら
周囲を見渡すー。

周囲には有名人や人気アイドルー、知っている顔ぶれがたくさん歩いているー。

先程、純太が騒いでいた人気アイドルの亜優美も、
また目の前を通り過ぎていくー。

「ーー今の世の中じゃ、有名人なんてそこら中で見かけるし、
 騒ぐほどのことじゃないからなー」
義也がそう言葉を口にすると、
また、二人の近くを人気アイドルの亜優美が通り過ぎていくー。

今度の亜優美はツインテールで女子高生のような格好をしていて
先程通り過ぎた亜優美とは全然違うイメージだー。

先程から何人も人気アイドルの”亜優美”が、
二人の近くを通り過ぎているー。

しかし、当然のことながら”本物の亜優美”は一人だし、
亜優美が何度も何度も二人の周りをウロウロしているわけではないー。

そうー…二人の近くを通りすがった亜優美は全員、
”亜優美の姿に変身した偽物”だー。

”他人に変身する能力”ー
この世界では、2か月ほど前に全人類が突如として
その力を身に付けてしまったのだー。

他人の姿を見るかー、
あるいは写真を見るかしながら念じることで、
誰でもその姿に変身することができるー。

そんな力を、全人類が身に付けてしまったー。

その結果、起きてしまったのは、大混乱ー。
誰もが変身能力を使える世の中では、
当然、他人の姿に変身して、その状態で過ごしたり、
悪さをするようなものまで現れてしまった。

そして、亜優美のような”人気アイドル”や、
他の有名人の姿に変身する人間も多く、
”有名人であればあるほど、たくさんいる”と、
そんな状況になってしまっていたー。

人気アイドルである亜優美のような子には、
多くの人が変身するー。
人気アイドルであるために、写真はいくらでも
ネット上を探せば見つけることができるために、
すぐにその姿に変身することができるし、
”人気アイドルの身体になりたい”と考える人間も多く、
”変身需要”が高かったー。

逆に、見ず知らずの一般人のおじさんに変身したりするような人は少なく、
変身需要もないし、
一般のおじさんの場合、ネット上に写真も流れていないために
仮にその人に変身しようとしても難しくー、
”一般のおじさんやおばさん”ーそういった人間の姿に変身する人間は
少なかったー。

そのため起きたのが、”街中が有名人だらけ”になるという現象だー。
それも、イケメンや美女が多いー。

変身能力を使う人たちが、”有名人”に変身したり、
”身の回りのカッコいい人や可愛い子”に変身することが多く、
結果的に街中は有名人だらけになってしまったー。

「に、しても、亜優美ちゃんみたいなアイドルに変身すると
 同じ姿のやつを街中でちょいちょい見かけて面倒だよなー。

 みんな、もっと他の子に変身すりゃいいのにー」

先程、亜優美を見つけて興奮した様子を見せていた純太は
そんな言葉を口にしながら、周囲を見つめるー。

”また”亜優美の姿をした人間が歩いているー。
今度は、明らかに露出度の高い服を着ていて、
ニヤニヤしながら歩いているため、
恐らくは男だと、そんな風に思いながら純太は少しだけ笑うー。

「ー他の子に変身すりゃいいのにってー…」
義也は、そう言葉を口にしながら純太の方を見つめると、
「ーお前だって亜優美ちゃんに変身してるじゃねーか!」と
ツッコミを入れるー。

「ーーえへー…そりゃ、まぁ、なー」
”亜優美”を見つけて興奮していた純太ー。
しかし、彼もまた人気アイドル”亜優美”の姿に変身していて、
しかも妙におしゃれな格好で街中を歩いているー。

「ーーしかし、アイドルの姿になんか変身して楽しいのかー?
 アイドルに変身してると、そこら中に同じ姿のやついるしー」
義也はそう言葉を口にしながら
周囲を見渡すー。

イケメン俳優の男も、さっきから何人も見かけているー。

有名人に変身する人間の方が多いため、
今や、”有名人の方がレアじゃない”状態になっているー。

「ーーん~~?ほら、可愛い子の
 声とか身体でいられるって最高じゃんー?

 女だと、イケメンになれりゃ最高だろうしー。」

亜優美の姿で、純太はそう言葉を口にすると、
また、視線の先を歩いていた別の”亜優美”を見てー、
「あ~~あの格好はセンスねぇなぁ」と、
亜優美の身体には合わないだのなんだの、こだわりを口にし始めるー。

「ーーはは…まぁ、そりゃそうなのかもしれないけど」
義也はそれだけ言葉を口にすると、
ゆっくりと歩き出すー。

がー、亜優美に変身している純太は
自分の髪をいじりながら少しだけ笑うと、
「そういうお前こそー”妹”の姿になんて変身して楽しいのかよー?」
と、亜優美の姿のままそう言葉を口にするー。

「ーーん?ははーまぁなー」
”義也”もまた、会得した変身能力を使っていて、
実の妹の香織(かおり)の姿に変身して過ごしているー。

「ーマジかよー。前から言ってるけど、
 俺には全然理解できねぇー」
亜優美の姿のまま、実の妹の香織に変身している義也を
見つめると、「まぁ、人それぞれってことでいいじゃねぇかー」と、
そう言葉を口にするー。

「にしても、もう、ホント、誰が誰なのか分からねぇよなー
 スマホで識別するしか方法がねぇしー、
 スマホだって奪われちまったら、もう証明のしようがないからなー」

亜優美の姿をしている純太がそう言うと、
妹・香織の姿をしている義也も「まぁ…そうだなー」と、
そう言葉を口にしてから、少し寂しそうな表情を浮かべるー。

「ーーーあ、悪いー」
アイドル・亜優美の姿をしている純太はそう言葉を口にすると、
妹・香織の姿に変身している義也は少しだけ笑うー。

「いや、いいー気にするな」
とー。

義也の妹・香織の”本物”は、現在消息不明だー。
世界中の人間が変身能力を会得してからしばらくしたある日、
姿を消してしまったのだー。
スマホも家に置いたままになっていて、
その行方は全く分からない状況だー。

「ーーーーー」
妹・香織に変身している義也は、
妹になってみたかった、という気持ちも当然あるにはあるー。

ただ、それ以上にー…
妹の姿で行動していれば、いつの日か
”妹本人”が声を掛けて来てくれるのではないか、と、
そんな期待も抱いていたー。

妹がもしも、自分の意思で誰かに変身して
姿を消したのだとすれば、
街中で急に”元の自分の姿をした人”が歩いていれば
当然気になるはずだし、
声を掛けてくるかもしれないー。

そして、妹がもしも、何かの事件に巻き込まれて
姿を消したのだとしても、
妹の姿に変身している義也を見つければ
事件の関係者が接触を図って来るかもしれないー。

そんなことを考えながら、妹・香織の姿で
過ごしていたー。

「お、また亜優美ちゃんだー」
人気アイドル・亜優美の姿に変身している友人・純太は
またもや人気アイドル・亜優美に変身している通行人を見つけると、
「ーへへー亜優美ちゃんだらけで目の保養になるぜー」と、
嬉しそうにそう言葉を口にしたー。

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「ーーー」
大きくため息を吐き出しながら
妹・香織の姿で自分が住んでいるアパートに帰宅した義也ー。

全人類が変身能力を手にしてしまった直後は、
当然、社会は大混乱に陥ったー。

今でこそ、”全員がその能力を持っている前提”で、
社会は何とか形を維持してはいるものの、
色々な部分が崩壊していて、
”誰が誰だか分からない”状態が続いているー。

ただ、義也や純太のような一般人の場合は、
”一般人にわざわざ変身する”のは、
知り合いとか、関係者が多いし、
特別イケメンだったり、美人だったりしない限りは、
見ず知らずの人に変身されるリスクは比較的少なく、
そういう意味では自分の本来の姿での生活も送りやすかったー。

しかし、その一方で人気アイドルの亜優美のような
”有名人”の場合は、本人に会うことは出来ずとも
変身するために必要は写真はいくらでも入手できるし、
知名度が高いせいで、変身され放題の状態で、
街中に亜優美が溢れているような、そんな状態に
なってしまっているー。

当然、亜優美以外のアイドルや、有名人たちも
似たような状況でこういう世界になる前から
知名度が高かった人間であればあるほど、
変身され放題の状態が続いているー。

「ーーふぅー…」
家の中に戻った義也は、妹・香織の姿から
元の自分の姿に戻るー。

「ーーどこに行ってしまったんだー…香織ー」

妹の香織と、仲は悪くなかったとは思うー。

ただー…
変身能力を会得した香織が
今の人生を捨てて、別の誰かの姿に変身して家出したー…
と、いう可能性も完全には否定はできないー。

「ーーー…こんな世界にならなければ、
 今頃は違う人生だったんだろうなー」
義也はそう言葉を口にしながら少しだけ苦笑いすると、
今一度、小さくため息を吐き出したー。

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「ーーーへへ、今日は美鈴(みすず)ちゃんだぜー」

数日後ー。
友人の純太が笑いながらそう言葉を口にするー。

”美鈴”とは、先日純太が変身していた”亜優美”とは
また別のアイドルだー。

純太は毎日のようにその日の気分で
可愛い子に変身して、その姿で過ごしているー。

「ーーー毎日色々な子に変身して大変じゃないのかー?
 服のサイズとか、変身後の姿によって違うだろ?」

今日も妹・香織の姿に変身している義也は
そう言葉を口にしながら、
アイドル・美鈴に変身している純太の方を見つめるー。

「ーまぁな…おかげで俺の家の中は服だらけだぜー」
美鈴の姿をした純太が笑いながらそう言葉を口にすると、
妹に変身している義也は苦笑いするー。

”変身”しても、服はその時着ている自分の服装のままー。
そのため、他人の姿で生活するには
変身相手のサイズや性別が違う場合は、別途服を用意しないと
少なくとも、外で快適に生活することは出来ないー。

「ーそういやさ、この前、ついゴスロリ系のやつ着たまま
 変身解除しちゃってさー、服が破れちゃって」

美鈴の姿をした純太が笑いながらそう言葉を口にするー。

小柄なアイドルに変身していた純太は
うっかりそのまま変身を解除して、自分の姿に戻ったせいで、
身体が急激に大きくなり、着ていたゴスロリ系の服が
破れてしまったと笑うー。

「ーーおいおい、気を付けろよな」
妹・香織の姿をした義也が呆れ顔でそう言葉を口にするー。

がー、その時だったー。

「ーーーあれ…わたしー?」

「ーー!?」
香織の姿をした義也が、突然聞こえて来た声に驚いて振り返ると、
そこにはー、妹・香織の姿があったー。

「香織ー…?」

誰が誰だか分からない世界ー。
もちろん、目の前に突然姿を現した妹・香織が
”本物”かどうかは分からないー。

その姿を前に、
香織に変身している義也は「香織…なのか?」と、
震えながらそう言葉を口にするのだったー。

②へ続く

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全世界の人間が変身能力を手にしてしまった世界のお話デス~!!

変身し放題の無法地帯状態…!
こうなっちゃうと、とっても大変デス…!

続きはまた明日~!☆

「誰が誰だか分からない」目次

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