<入れ替わり>理想の組み合わせ

とある場所にやってきた4人ー。
そこでは、”入れ替わり”に纏わる都市伝説が存在していたー。

4人は、その場所で”入れ替わり”を実際に体験することにー。

しかしー…
なかなか思い通りの組み合わせになってくれずにー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーホントに、そんなこと起きるのかよ」

困惑した表情で歩く男子高校生の岩本 学(いわもと まなぶ)が
そう言葉を口にすると、
横にいた友人、津野 正太郎(つの しょうたろう)が
笑いながら言うー。

「ーはははー、これからそれを確かめに行くんだろー?」

そう言葉を口にする正太郎ー。

「ーーー…もしかして、学、こういうの苦手ー?」
学の反対側を歩いていた学の幼馴染で彼女の速水 真美(はやみ まみ)が
少し笑いながら言うと、
学は「に、苦手じゃないし!でもーーーあり得ないだろ?」と、
少し呆れ顔で言うー。

「”入れ替わり”が起きる場所ーなんて」
とー。

今日ー
学とその彼女の真美、
そして学の親友の正太郎ー、
さらに、もう一人、正太郎の彼女である浦村 梨絵(うらむら りえ)は、
4人で”ある都市伝説”のある場所へとやってきていたー。

その都市伝説と言うのがー、
”他人と入れ替わる”という都市伝説ー。

とある時間帯にー、
この廃墟地帯の一角にある地蔵の前で
複数人が同時に祈りを捧げると、
”互いの身体が入れ替わる”と、そう言われているのだー。

ここはー、悪戯っ子の子供がかつて事故で死んだと言われておりー
その霊が悪さをするのだとか、そんなことを言われているものの、
その真偽は不明だったー。

4人は今日、
オカルト系の話題が好きな梨絵の提案で
この場所にやってきていたー。

「ーーーふふふふふふふふー」
先程から、一人でニヤニヤしている梨絵ー。

いつも大人しいタイプの梨絵はー、
大のオカルト系の話題や都市伝説好きで、
そういう話題が絡むと、いつも口数が多くなったり、
興奮した様子を隠せなくなってしまうー…

そんな子だー。

「ーーここかー…うわっ…いかにも何か起きそうな感じだなー」
廃墟地帯にポツンと置かれている地蔵4体ー。

それを見て、学が言うと、
学の親友の正太郎は揶揄うようにして
「へへーやっぱ、速水さんの言う通り、ビビってるのかー?」と、
そう言葉を口にしたー。

「び、び、び、びびってなんかないし!」
学が繰り返しそう言うと、
学の彼女・真美が、正太郎の彼女でオカルト好きな梨絵に対して
「ここで、お祈りすればいいの?」と、そう確認したー。

「ーーうんー。ここの近くで、
 みんな一斉にお祈りするのー。

 日付も、時間帯も、人数も、全部条件を満たしてるからー
 そうすれば、わたしたち、入れ替わると思うのー」

梨絵はそう言うと、
彼氏である正太郎の方を見つめるー。

学と真美ー、
正太郎と梨絵ー、
それぞれカップル同士の4人は、
互いに自分の恋人と入れ替わるつもりで、
それぞれ隣り合わせに立って、
”都市伝説”となっている通りの条件を満たそうとするー。

「ーーへへへーでも、もしも本当に入れ替わったらどうするー?」
正太郎が、オカルト好きの彼女・梨絵に言うと、
梨絵はニヤニヤしながら「男の人の身体でしかできないことをしたいかなぁ…」と、
少し興奮気味に言うー。

不思議な現象を前にすると、梨絵はいつもの大人しさが嘘のように
口数も多くなるー。

「ーーホントに入れ替わったりしないよなー?」
学が言うと、彼女で幼馴染の真美が笑いながら
「ーでも、入れ替わったら面白いかも!」と、
興味津々という雰囲気で、そんな言葉を口にしたー。

そしてーーー…

地蔵が突然光り出すと、
オカルト好きの梨絵は「わ…すごい!!ホントに入れ替われるかもー!」と、
そう叫ぶー。

さらにその光は強くなりー、
4人を包み込むーーー

「ーーー!?!?!?」
驚く学ー。

一瞬、何が起こったのか理解できないまま、
目を開くとーーー

「ーーえ…」
”自分の手”がいつもとは違う、色白な手に変わっていることに気付いたー。

「ーー…あ…!す、すごいー…わ、わたしが目の前にー!」
”正太郎”がそんな言葉を口にするー。

「ーーって…えっ…!?」

一瞬、”彼女である真美”と入れ替わったのかと思っていた学は、
思わず変な声を出してしまうー。

何故なら、すぐ近くに”真美”が立っていたからだー。

「えー…じ、じゃあ、この身体はー…!?」
驚いて、”女の声”でそう言葉を口にするとー、
学は、自分が、自分の彼女である真美ではなく
親友の彼女であるオカルト好きの梨絵と入れ替わってしまったことに気付くー。

「ーり、り、り、梨絵ちゃんの身体ー!?」
梨絵(学)がそう叫ぶと、
「あっ!おい!俺の彼女の身体で変なことするなよ!?」と、
学の彼女であり、幼馴染でもある真美の身体になった正太郎がそう叫んだー。

「ーーあ…あはははー…入れ替わる相手が違ったみたいねー」
正太郎になった真美が言うと、
「ーー…な~んだ…ハズレかぁ」と、学になった梨絵がぼやいたー。

「ーは、は、ハズレー!?」
梨絵(学)が思わずそうツッコミを入れると、
「あ、悪い意味じゃなくてー…みんな、恋人と入れ替わりたかったと思うしー」
と、学(梨絵)はそう言葉を口にしたー。

4人が望んでいた”カップル同士の入れ替わり”ーーにはならず、
相手の彼女・相手の彼氏とそれぞれ入れ替わってしまったのだー。

「ーへへー流石に、親友の彼女で好きなことするわけにはいかないからなー」
真美(正太郎)がそう言うと、
梨絵(学)は「あ、あ、当たり前だろ!」と、少し顔を赤らめながら
そう言葉を口にしたー。

「ーーでもまさか、本当に入れ替わることができるなんてー」
正太郎(真美)がそう言うと、
「ふふふふーすごいよねー」と、学(梨絵)は
未知なる現象を前に、心底嬉しそうに
そう言葉を口にすると、
正太郎(真美)も「うんー…わたしもびっくりー。でも、
こういうのも楽しいかもー」と、そう言葉を口にしたー。

が、そんな様子を前に梨絵(学)は言うー。

「も、もう一度試してみようぜー?
 このままじゃ、みんな、理想の組み合わせになれてないしー」

とー。

学(梨絵)は、
「ー確かに、ハズレのままじゃ、残念だしー」
と、そう言葉を口にしたー。

「おいおいーあんまりハズレ言うなし!」
梨絵(学)が思わずツッコミを入れるー。

そうこうしているうちに、
真美(正太郎)は、”「もう一度試すなら、さっさと試そうぜ」と、
そう言葉を口にしながら、地蔵の前に立ったー。

もう一度、地蔵の前に立って祈りを捧げる4人ー

すると、先ほどと同じように、再び地蔵が光り出しーー
今まで感じたことのないようなー…
いや、正確に言えばさっきも感じたから”2回目”の
不思議な感覚を、4人は味わったー。

そしてー

「ーーって」

「おいっ!」

学と正太郎がお互いを指差すー。

「今度は俺たちかよ!」
ほぼ同時に二人で叫ぶ学と正太郎ー。

その近くでは、学の彼女である真美と、
正太郎の彼女であるオカルト好きの梨絵が
苦笑いしていたー

今度はーー
どうやら”同性同士”で入れ替わってしまったようだー。

「うぇぇ…俺が学の身体になるなんてー」
学(正太郎)がふざけた口調でそう言うと、
正太郎(学)も「それはこっちのセリフだ!うえええ」と、
同じく吐くような仕草をしてみせたー。

「ーーやっぱり、速水さんの髪、綺麗ー…」
真美になったオカルト好きの梨絵は
そんな言葉を口にしながら、真美の身体で真美の髪を触るー。

「あ、あははー…梨絵ちゃんってばー」
オカルト好きの梨絵の身体になった真美は、
自分の髪を触られていることに
少し恥ずかしそうな表情を浮かべると、
そう言葉を口にするー。

「ーーーー」
梨絵(真美)は、ふと自分の身体を見下ろすー。

真美の身体よりも、梨絵の身体の胸の方が大きいー

女子同士でも、なんだかこういう違いを実感すると
ドキドキするー。

”こんな感じだと、慣れるまでは違和感凄そうかも…”
梨絵の身体で、真美がそんな風に思っていると、
「も、も、もう1回だ!」
と、学になった正太郎が叫んだー。

”今度こそ”ー
お互いのカップル同士で入れ替わりたいー

そう思いつつ、4人で祈りを捧げるー。

がーー

「ーーうぉぉぉぉぉぉぉい!俺の身体に戻ってる!?」
正太郎がそう叫ぶー。

しかしー

また、正太郎の彼女であるオカルト好きの梨絵の
身体になってしまった学は
気まずそうに苦笑いするー。

一方、学の彼女である真美は、ついに彼氏である
学の身体になって「あ!やった!わたしは学の身体になってる!と、
そう言葉を発したー。

”また”真美になったままの梨絵は、
「やっぱり髪、綺麗ー」と、再び髪をいじっているー。

「だ~~!なんで俺だけ元に戻ってるんだ!」
正太郎がそう叫ぶと、
さらに入れ替わりを提案するー。

4人にとっての理想の組み合わせは
両カップル同士の入れ替わりー。

学と真美ー、
正太郎と梨絵ー、
それぞれが入れ替わることだー。

しかし、何度入れ替わってもー
運悪く、その組み合わせになることはなかったー。

「ぁああああああ~~!くそっ!」
学の彼女・真美の身体で正太郎が不満そうにそう叫ぶと、
正太郎の身体で学が「おいっ!真美の身体でそんな顔をするなよ!」と、
そう言葉を口にするー。

「だって!だって!この地蔵ーー
 絶対、俺たちにいじわるしてるよな!」
真美(正太郎)はついに、地蔵に対して不満をぶちまけるー。

何度試しても、理想の組み合わせにならないー。
100人ぐらいで入れ替わりをしているのならまだしも、
ここにいるのは4人だけー。

1回ぐらい、理想の組み合わせで入れ替わってもいいじゃないかー、と、
そんな不満を漏らす真美(正太郎)ー

自分の身体のままのオカルト好きの梨絵は、
戸惑いながら「…確かに、運は悪すぎだねー」と、それだけ言葉を口にすると、
学の身体で、真美は「わたしだけ、さっきから理想の相手と入れ替われてること多いかもー」と
苦笑いするー。

「あぁ~!くそっ!今度こそ」
真美(正太郎)が叫ぶー。

しかし、
それでもやっぱり”理想の組み合わせ”になることはなかったー。

それどころかーー
”元に戻る”こともなく、
時間ばかりが過ぎていくー。

「ーあ、あのさー」
オカルト好きの梨絵が、真美の身体で不安そうに
言葉を口にするー。

「”入れ替わり”の都市伝説だと、日が暮れるまでの
 時間帯ってなってるからー
 そろそろ元に戻らないとー」

真美(梨絵)の言葉に、
正太郎(学)は「えっ…えぇっ!?」と、
困惑の表情を浮かべるー。

がー、”元に戻る”と言っても、
入れ替わる組み合わせはランダムでしかないー。

”理想の組み合わせ”にならないのと同じなように、
”全員が元に戻る組み合わせ”になるかどうかも運次第ー。

しかしー
2人ずつ、個別に入れ替わりを起こして
元の組み合わせになるように調整していくことはできないー。

何故なら、地蔵が4体存在するせいか、
”4人”でないと入れ替わりが発生しないためだー。

そのため、結局、4人全員で入れ替わりを起こし、
元に戻ることを祈るしかないー。

「くそっ!こういう時に限って元に戻らねぇ!」
真美(正太郎)が叫ぶー。

「ーも、もう日が暮れちゃう!」
学(梨絵)が叫ぶと、
4人は再び入れ替わりを起こしたーーー

がーーー…
ついに、日は暮れてしまい、
4人とも、元の身体に戻れないまま、
”入れ替わり”は起きなくなってしまうー。

「ーーぐ…くそっー
 し、しかもよりによって最後は学の身体かよー」
学(正太郎)は不満そうに呟くー。

どうせなら、女子の方が良かったのだろうかー。

「それはこっちのセリフだー」
正太郎(学)も少し不満そうに言うと、
「と、とにかくもう1回やってみようぜ」と、
学(正太郎)が焦りの表情を浮かべながら
言葉を発したー。

梨絵(真美)と真美(梨絵)も不安そうに頷くー。

しかしー、
日が暮れたせいか、もう入れ替わりは起きなかったー。

「あ~~~!くそっ!この役立たずが!」
不満そうに地蔵を蹴り飛ばす学(正太郎)ー

「あっ!ちょっと!やめなよ!」
梨絵(真美)がそう叫ぶと、
学(正太郎)は「こんなことになったのは、こいつらのせいだー!」と、
地蔵を指差すー。

がーー
その時だったー

「ーーーえ…」
4体の地蔵の目が赤く光るー。

「ーちょ!?ちょっと!?何したの!?」
真美(梨絵)が叫ぶと、
地蔵たちの赤く輝く目から放たれた光が、4人を包み込んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーは~~~~!
 やっと、”人間”に戻れたー」

嬉しそうに笑みを浮かべる梨絵ー。

「ーへへー
 まさか”地蔵”になっちまうなんて思わなかったけどー、
 俺たちと同じようなバカが来てくれて助かったなー」
学が笑うー。

「でも、どうするのー?この4人、カップル同士みたいだけどー?」
正太郎がそう呟くー。
中身は”女”のようだー。

「ーーははー元の身体の持ち主のことなんてどうでもいいだろー?
 っていうか、俺、こんな可愛い身体が手に入ったなんてー
 最高だぜ!」

真美が嬉しそうに言いながら胸を揉むー。

「はははー、その子の身体を奪ったのがお前とかー、
 その子も災難だなぁ」

学がそう言うと、
”地蔵”と入れ替わった4人は、そう言葉を口にしながら立ち去って行ったー。

”地蔵”に対して暴力的行為を働くとー、
”地蔵”と入れ替えられてしまうー

そんな、都市伝説もここには存在するー。

梨絵たち4人が来る前にも、同じようなことをした4人組がいてー、
その4人は、何年も地蔵として過ごしていたー。

今度はーー梨絵、正太郎、真美、学の4人が地蔵にー、
元々地蔵になっていた4人が、梨絵たちの身体を手に入れて人間となったー。

この場所ではーー
そんな入れ替わりが繰り返されているー。

何十年も前から、ずっとー。

おわり

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コメント

1話完結の入れ替わりモノでした~!★

3~4人ぐらいで、理想の組み合わせにならずに苦しむ話…というネタ(?)から、
生まれた内容でした!★!

お読み下さりありがとうございました~!

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