<融合>漆黒の融合

その家庭は、幸せだった。

そう、その日まではー。
しかし、家庭の幸せはある一人の男によって壊された。

子持ち夫婦に起きた悲劇ー。
これは、融合の悲劇の物語…!

(※子持ち妻が融合されるダーク話 リクエストにお応えしました!)

※ダーク融合のリクエストなので、残酷な描写があります!嫌いな方は注意デス!

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その日も、小林家には、穏やかな時間が流れていた。

父・智宏(ともひろ)は、コーヒーを飲み終えて、
仕事に向かう準備をしている。

長男の勇太(ゆうた)は、幼稚園のバスがもうじきやってくるので
出かける準備をしているようだ。

妻の佳苗(かなえ)は、そんな2人を
優しく見送った。

週に2回ほどのパートに出ているが、
基本的には家に居ることが多い。

智宏と結婚をした際に、佳苗は仕事を辞めており、
それからは家計を助けるためのパートと家事を
日々こなしていた。

「じゃあ、行ってきます」
夫の智宏の言葉に、佳苗は微笑んで
「いってらっしゃい」と優しく見送った。

「--あ、バスが来た!」
息子の勇太の幼稚園バスもやってきた。

佳苗は勇太と共に外に出て、
他のお母さんたちにも挨拶をし、
勇太を見送った。

佳苗は母親の中でも比較的若い部類で、
まだ27歳だったものの、
他の園児たちの親とも上手くやっていけており、
家庭も、近所づきあいも、良好だった。

何不自由の無い幸せな、
ごく普通の家庭。
それが、小林家だった。

そう、この日までは…。

「--さ、お掃除お掃除♪」
佳苗は、勇太の見送りを終えると、
家の中へと入っていった。

ーーその様子を、双眼鏡で見つめる怪しい男が居た。
彼はー
佳苗の高校時代の同級生だった。
高校時代、佳苗に好意を抱いていた彼は、
佳苗に告白したものの、振られてしまっていた。

当時、彼はそれで諦めていたものの、
数ヶ月前に偶然、この街で佳苗を見かけて、
その思いが再燃してしまった。

男の名は、雪橋 元信(ゆきはし もとのぶ)
執念深い性格で、見た目が非常に不潔なことから、
高校時代から周囲に嫌われていた男だ。

「--くくく、佳苗ちゃん…
 ついに、一つになれるよ」

元信は、黒い液体を飲み干すと、不気味に微笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ピンポーン。

掃除機をかけようとしていた佳苗は「あら?」と、
声を出しながらインターホンのほうに向かった。

画面には知らない男が写っている。

「--はい?」
佳苗が返事をすると、
「お届けモノです」
と男は行った。

郵便屋の人だろうか。

いつもの調子で、佳苗は「ちょっとお待ち下さい」と
声をかけて、そのまま玄関へと向かうー。
このとき、佳苗が外に出なければ、この後の運命は、
違ったものになっていたかもしれないー。

佳苗が、外に出ると、男は何も手に持っていなかった。

「-僕だよ」
男は笑った。

「え…あの…どちら様ですか?」
佳苗が言うと、
元信は不気味に笑う。

「ほら、僕だよ。
 高校2年のとき、君と同じクラスだった、
 雪橋 元信!」

しかし、佳苗は、彼のことを思い出せなかった。
元信が佳苗と同じクラスだったのは、嘘ではない。

しかし、もう、高校時代は10年も前のことなのだ。
”印象の薄いクラスメイト”のことを
忘れてしまっていたとしても、無理は、ない。

「---え・・・ごめんなさい。
 ちょっと思い出せないです・・・」

佳苗が申し訳なさそうにして言うと、
元信は笑った。

「そうかそうか、つまりきみはそんなやつなんだな」

元信の態度が急変した。

「僕は10年間、君のことを愛し続けていたのに!
 きみのことを、1日たりとも忘れたことは無かったのに!」

佳苗は”やばいやつだ”と思い、
玄関を閉めようとした。

しかしー
元信は玄関に腕を挟んだ。

「---逃がさないよ。
 君は僕とひとつになるんだ」

「ひっ・・・!」

狂気に満ちた元信の目を見て、
佳苗は恐怖に震えた。

そしてー

「えっ・・・?」
佳苗の体が、突然、元信のほうに
引っ張られていく。

「きっ・・・きゃあっ!」
身体の自由が利かない。

元信はそのまま、玄関の扉を開けて
家の中に入ってきてしまう。

「--あぁ・・・あ」
ずぶずぶと元信の身体に吸い込まれていく佳苗。

「た・・・助けて・・・!」
佳苗が嘆願するようにして言う。

しかし、元信は笑うだけだった。

「僕はね、”融合薬”という薬を手に入れたんだ。
 人を吸収して、一つになれる薬だよ」

元信の言葉に佳苗は「嘘・・・やめて!」と叫ぶ。

しかし、佳苗の体は既に、半分ほど元信に吸収されている。

「--ぼくはきみを吸収するよ!
 そして、きみと一つになる。
 僕が佳苗ちゃん、君になって、
 君の事を奪った家族を滅茶苦茶にしてあげるよ!」

その言葉を聞きながら、佳苗は悲鳴を上げた。

だが、家の中には、誰も居ない。

「--やめてぇぇぇ!」
佳苗の頭が、元信のお腹のあたりから
もぐらたたきのモグラのように、出ている。

他の部分は、全て吸収されてしまった。

「-ばいばい、佳苗ちゃん」
そう言うと、泣き叫ぶ佳苗の頭を、
自分の腹の中に押し込んだ。

佳苗は、吸収された。
悲鳴は消えて、小林家の自宅には、
元信一人になった。

ピンポーン

インターホンが鳴る。

「--ねぇ!どうしたの?大丈夫?」
近所のおせっかいおばさんだった。

「くく…」
元信は笑うと、身体が液体のように変形を始めた。

そして…元信は吸収した佳苗の姿になった。

「どうしましたか?」
佳苗になった元信は何食わぬ顔で玄関から
顔を出した。

「--え…い、今、小林さんの悲鳴が!」
近所のおばさんはそう言った。

しかし、佳苗は微笑んで見せた。

「--わたしは悲鳴なんかあげてませんよ。
 気のせいじゃないですか?ふふふ…」
笑う佳苗を見て、
おせっかいおばさんは戸惑いながらも、言った。

「いいえ!今、あなたの悲鳴が聞こえたわ!
 中に誰か居るんでしょ?
 強盗?それとも?」

おせっかいおばさんが勝手に家の中に
押し入ってくる。

「ちっ…」
佳苗は舌打ちをした。

「え・・・?」
おせっかいおばさんは驚いて振り向く。

そこには、怒りの形相の佳苗が居た。

「面倒くせぇババアだな!
 見逃してやろうと思ったけど、やめだ!」

佳苗がそう叫ぶと、
佳苗の身体が、不気味に変形し、
元信の姿に戻る。

「ババアなんて使い道ねぇけど、
 僕の一部にしてやるよ!」

元信がそう叫ぶと、
悲鳴をあげるおせっかいおばさんの身体が
あっという間に元信に吸い込まれた。

「--はい、吸収完了~」
元信はそう言うと、再び佳苗の姿に変わり、
キッチンへと向かうのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お母さん、ただいまー!」
息子の勇太が帰宅した。

その声を聞き、
佳苗は笑う。

「-ーふふふ、わたしは、元信さんの子供を
 産むはずだったの…
 あんな子、いらない!」

佳苗はそう言い、
勇太のほうに向かおうとした。

「-----!!」
身体が、突然歪んだ。

元信の姿に突然戻ってしまう。

「---なっ!」
元信が驚く。

そしてー、
元信のお腹のあたりから、佳苗の顔がひょっこりと出てきた。

「や…やめて…あの子には…何もしないで!」
佳苗が必死に叫んだ。

「おや、佳苗ちゃん、まだ意識があったのか。
 しぶといな」
元信は笑うと、言った。

「君は、僕と一つになる。
 僕は佳苗ちゃんそのものになるんだ。

 佳苗ちゃんは僕だけのモノになる。
 だから、あんなクソガキはいらない」

元信はそういうと、
その状態のまま勇太のほうに向かって
歩き出した。

そしてー

「お、、おじさん・・・だれ?」
知らない人が家の中に居ることに驚く勇太。
当たり前の反応だ。

「ふふふ…」
元信は笑う。

「お、お母さんはどこ!」
勇太が叫んだ。

元信は笑いながら、自分のお腹のあたりを
指差す。

「--お、、お母さん!」

元信のお腹から、顔だけが出ている不気味な光景。
母親の異常なその姿に、勇太は恐怖を感じながら、叫んだ。

「---ほぅら!お母さんは、ここだぞ~~~!」
そう言いながら、元信は、佳苗の頭を再び
自分のお腹の中に押し込める。

「きゃああああ!やめて!勇太…にげ・・・て!」
佳苗は再び、元信に完全に吸収されてしまう。

「お、お母さん!」
叫ぶ勇太を見ながら、元信は、佳苗に姿を変えた。

「ふふふ、お母さんよ~
 おかえりなさい、勇太!」

佳苗の姿になった元信は笑う。

「--お、、お、、お前はお母さんなんかじゃない!」
勇太が涙を見せながら叫んだ。

「--ふふふ、どこからどう見ても、お母さんじゃない~」
佳苗の姿のまま笑う元信。

心の中では、佳苗の意識が必死に叫んでいる。
”息子には手を出さないで”と。

「--あぁ、手を出さないとも」
元信は言った。

「----!!!」
佳苗の意識が突然、表面に戻された。

戸惑う佳苗。

「--わ、わたし…」
戸惑いながらも、自分の意思で声を出せることに
ほっとする佳苗。

しかしーー
身体が、ふいに勝手に動いた。

「えーー?」
佳苗は、台所のほうに勝手に歩き出し、
そして包丁を手にした。

目線が、勝手に鏡のほうに向かう。

鏡に映った自分の顔はーー
”笑っていた”

”息子に手を出すのは、きみ自身だ”

元信の声が頭の中から響いてくる。

「や…やめて!」
佳苗は叫んだが、
身体は勝手に勇太のほうに向かっている。

「お…おかあ・・・さん?」
勇太は恐怖に震えていた。

佳苗は、口だけが自由に動く中、叫んだ。

「逃げてーーー!」

と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。

父親の智宏が帰宅した。

佳苗は「おかえりなさい」と微笑む。
智宏は、何も疑問に思わず、
「あぁ、ただいま」と微笑んだ。

今日は残業で遅くなった。
遅くなってしまったので、息子の勇太は
もう寝てしまったのだろう。

疲れた体を癒すため、
妻の佳苗が用意しておいてくれた
ビールを飲みながら、おつまみの肉を
食べる智宏。

佳苗はニヤニヤとそれを見つめている。
”取り込まれた”佳苗本来の意識は、
既に、元信に思考までも、染められはじめていた。

「--ん?この肉うまいな…
 何の肉だ?あまり見かけない肉だけど?」

智宏が笑いながら言う。

佳苗は、寝室の方を指さした。

「--ん?」
智宏が寝室の方を見る。

そこにはー
生き物のようなものが血まみれで横たわっていた。

「なんだこれ?」
智宏が言う。

「なにって?うふふ…
 わたしとあなたの、子供よ」

佳苗の言葉に、智宏は血の気の引くような
感覚を味わった。

「な、、なにっ!?
 ゆ、勇太はどこだ!?」
智宏は、食べていた肉を吐き出して叫ぶ。

「--あなたの胃の中・・・
 くくく…あはははははははっ♪」

佳苗が大声で笑い出す。

「ーーな、なんだって!
 う、、嘘だ!」

智宏が叫び、横たわる肉の塊のところに
駆け寄るー。

その肉の塊はー
”電車のおもちゃ”を手にしていた。

それはーー
勇太がいつも大切にしていたおもちゃ。

「うっ・・・うわああああああ!」
智宏が大声で絶叫した。

智宏が食べていたのはー
息子の、肉ー。

つまり、人肉。

「に…げ…て」
辛うじて自我が残っていた佳苗は
振り絞るようにして言った。

しかし、その声は小さすぎて
智宏には、届いていなかった。

”一つになりたいだろ?”

元信の声が、取り込まれた佳苗に響く。

既に、佳苗の身体は、元信に取り込まれていて、
元信の手の内にある。
元信はいつでも、佳苗の姿に変身することができる。

元信の中で、佳苗の意識が辛うじて残っていたが、
それも、既に元信に取り込まれつつあった。

「--わ、、、わたしは…」
佳苗の意識が、元信の中で呟く。

智宏が、佳苗の姿をした元信の方を見て、
何か怒鳴っている。

当たり前だー
自分の妻が、息子を肉にしたのだからー、
驚かない夫は居ない。

「---ひとつに、なりたい」

佳苗の意識はそう叫んだ。

”そうだ、お前はあいつが好きなんだろう。
 なら、一つになればいい”

佳苗は、次第に何も考えられなくなる。
身体を取り込まれて、意識まで…

「-一つになりたい、一つになりたい…
 わたしは、、智宏さんが大好き…大好き・・・!」

佳苗に、もう自我など存在していない。

取り付かれたかのように、
その言葉を繰り返す。

「---ひっ!」
目の前に居る智宏が、しりもちをつく。

何か、恐ろしいものを目にしている顔だ。

智宏の目の前に立っていた”佳苗”は、
元信の姿とぐちゃぐちゃに交じり合った状態に
なっていた。

「やぁ、お前が佳苗ちゃんの夫だな」
元信の声が笑う。

「--佳苗ちゃんはな、僕と結婚するはずだったんだ。
 それを、お前が、奪った!」

元信の手のひらに、取り込まれた佳苗の顔が
浮かび上がっている。

「オマエガ、ウバッタ!」
佳苗の顔をした手のひらが、佳苗の声でしゃべる。

「ひっ…な、、なんだお前は!」
智宏が叫ぶ。

「--何って?お前の奥さんを取り込んだんだよ。
 融合したんだ!
 身体も、心も、僕が取り込んだ!」

元信が、半分は自分の姿、半分は佳苗の姿と言う
異様ないでたちで笑った。

「---ウヒャヒャヒャヒャ!」
元信の右手にある佳苗の顔が汚らしく笑う。

「--奥さん、お前と一つになりたいってよ!」
元信が言う。

智宏は、これは夢だと思った。

見知らぬ男に、妻が取り込まれて、
妻が、その男の手のひらに浮かび上がっていて、
息子の人肉を食べさせられる。

これが、夢ではないはずがない

「あ、、あは、、、あははは、あはははははははは!」
智宏は狂った。

そしてーー

「ヒトツニ、ナリタイ!」
佳苗の声が聞こえたのを最後に、
智宏は、元信に、取り込まれたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー

小林家の食卓は、賑わっていたー。

元信が、一人で机に座っている。

なのにー、
賑わっている。

元信の右手にはーー
妻である佳苗の顔が浮かび上がっている。
手のひらに、佳苗の目と鼻と口が浮かび上がっている
異様な光景ー。

そして、左手には、
夫の智宏が浮かび上がっている。

元信は、両手を眺めて微笑んだ。

「さぁ、お食べ」
元信は、両手を、食卓の”人肉”に、
近づけた。

佳苗と智宏は
「ウキャキャキャキャキャ」と人間とは
思えないような声で笑い、
その人肉を食べ始めたー。

元信は歪んだ笑みを浮かべると、
肉を完食した、2つの顔を、
体内にしまいこんだ。

「-佳苗ちゃん、僕を裏切った罰だ。
 これからは僕の”パーツの一部”として生きてもらうよ」

食卓の上に置かれていた肉は、
綺麗サッパリなくなっていた。

そう、息子の勇太の肉はーー
もう、この世に無い。

近所は異変に気付かなかった。
だが、その日以降、
”小林家”の人間を”2人以上同時に見かけること”は
なくなってしまったー。

そう、
彼らはもう居ない。

佳苗も、智宏も、勇太ももう居ない。
人間としての生を終えて、
元信のパーツとなってしまったのだからー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

ダークな融合、というリクエストだったので、
残虐&ダーク(ホラー少々?)になりました!
いかがでしたでしょうか!

苦手な方は、ごめんなさい!

小説
憑依空間NEO

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ここに来るのが日課になるほど毎日来てます笑
    こういうリクエストものをみると僕もリクエストしたくなりますね。笑
    憑依空間様の好きなシチュエーションや性癖など好きなように書いて欲しいというのが僕からのリクエストです!
    お忙しいとは思いますがこれからも頑張って下さい!

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > ここに来るのが日課になるほど毎日来てます笑
    > こういうリクエストものをみると僕もリクエストしたくなりますね。笑
    > 憑依空間様の好きなシチュエーションや性癖など好きなように書いて欲しいというのが僕からのリクエストです!
    > お忙しいとは思いますがこれからも頑張って下さい!

    ありがとうございます!
    毎日楽しみにして下さって本当に嬉しいです!

    リクエスト…分かりました!
    これからも私自身も楽しみつつ、色々書いてきますネ!

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