<憑依>欲望ノ母①~いじめ~

クラスのいじめっ子にいじめられている息子ー。

しかし、そんな息子の支えになるはずの母親が、
そのいじめっ子に憑依されてしまい、
全ては崩壊へと進んでいく…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ー滝口ー…お前生意気なんだよー」

小太りな男子・塩沼 昌也(しおぬま まさや)が、
笑みを浮かべながらそう言葉を口にするー。

「ーーーーご、ごめんー」
そんな”いじめっ子”を前に、
大人しそうな雰囲気の男子・滝口 洋太(たきぐち ようた)は
そう言葉を口にするー。

いじめっ子・昌也の周囲には二人の男子もいるし、
気弱な洋太には、とても歯向かうこともできそうにないー。

「ーーーえへへへへー…おら!見せて見ろよ!」
洋太のランドセルを無理やり取り上げると、
昌也はそのランドセルを逆さにして、その中身をその場にぶちまけたー。

「ーへへへー
 お前の菌がついた教科書~」
ランドセルから出て来た国語の教科書を手に、
笑いながらそう言葉を口にすると、洋太は教室掃除に使われる
液体をその国語の教科書に吹きかけて、
「消毒消毒ぅ~!」と、笑みを浮かべるー。

「ーーや、やめてよ!」
泣きそうになりながら叫ぶ洋太ー。

しかし、昌也は「ついでにお前も消毒ぅ!」と、
洋太にも平気で清掃用具のスプレーを吹きかけて
ゲラゲラと笑ったー。

小さい頃から、ひ弱だったー。
けれど、5年生になって初めてクラスが一緒になった昌也からの
いじめは次第にエスカレートし、
6年生になった今もそのいじめは続いていたー。

地獄のような日々ー。

父親・一輝(かずき)は、単身赴任でたまにしか帰って来ることが出来ず、
家には、母親の麻由里(まゆり)と、姉で少し年の離れている紗季(さき)の
2人しかいないー。
母・麻由里はまだ若い部類で、優しくて綺麗な母親だー。

けれど、洋太は父親から
”男の子はお前だけだから、何かあったら二人を守ってあげるんだぞ”と、
言われていて、それ故に、母親と姉に心配を掛けられない、と、
いじめのことを相談せずに、ただ、耐えて、耐えて、耐えて、耐え続けていたー。

だがー、それももう限界だったー。
洋太はこの日、泣きながら母親の麻由里と、姉の紗季に
そのことを打ち明けたー。

高校受験中の紗季は「そんな酷いことする子がいるの?」と、
不満そうに声を上げるー。

「ーー今まで、気付いてあげられなくてごめんねー」
母・麻由里はそう言葉を口にすると、
息子の洋太を優しく抱きしめながら
「あとは、お母さんに任せてー」と、そう言葉を口にしたー。

それからの動きはあっという間だったー。
担任の女性教師・雪田(ゆきた)先生に、母の麻由里が相談ー、
雪田先生にいじめっ子の昌也は散々叱られ、
最後にはクラスの前で謝罪をすることになったー。

「ーーーー…ほら!塩沼くん!ちゃんと謝りなさい」
雪田先生が言うと、
昌也はギリギリと歯軋りをしながら、
洋太の方を睨みつけるー。

ビクッとする洋太ー。

しかしー、クラスメイトたちの心変わりも早くー、
”先生にいじめが知られた”と知った昌也以外の子たちは、
いじめに加担していた者は、全員手を引き、
昌也の味方をする人間は、もはやいなかったー。

「ーーーーごめん…なさいー…
 ーーーもう、しませんーーー」

そう言葉を口にしながら、昌也はギリギリと歯軋りをするー。
唇から血が出るほどに歯ぎしりをしながら、
昌也は、洋太に謝罪の言葉を口にしたのだったー。

その後、昌也は昌也の母親同伴で、
洋太の家に謝罪にやってきたー。

「ーーーーもう、絶対にしませんー
 ごめんなさいー」
再び謝罪させられる昌也ー。

が、その時昌也は知ってしまったー。
”いじめ”のことを先生に相談したのは、洋太の母親である麻由里であることー、
そしてーーー

麻由里が”美人”であるということ
をー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー許せない…!許せない許せない許せない許せない許せないー
 許せない許せない許せない許せない
 うあぁああああああああっ!」

帰宅後ー。
部屋の中でひたすら怒り狂う昌也ー。

「許せない許せない許せないーーー…!」

昌也は、全く反省などしていなかったー。
”悪ガキ”である昌也からすれば、
自分がこんな屈辱な目に遭う理由も分からなかったし、
自分の行為が悪いとも、微塵とも思っていなかったのだー。

そしてーー
そこに、”それ”は現れたー。

昌也よりも巨体な、無邪気そうな雰囲気の男ー。

「ーーずるいよなー 許せないよなー」
男がそう言うと、昌也は「だ、だ、誰だお前!」と、
声を上げるー。

すると、男はポップキャンディを舐めながら
気さくそうな笑みを浮かべたー。

「僕は、君に”すっごい力”をあげるおじさんだよ」
とー。

「ーほら、この飴を舐めてごらんー
 これで君はー、”最強”になれるー」

巨体の男のその言葉に、昌也は「そ、それはー…」と、
戸惑いながらも、
「ーあいつに、仕返ししたいだろ?」と言われー、
その話に乗ってしまうー。

そして、差し出された飴を手にすると、
それを舐めた昌也に、邪悪なオーラのようなものが
吹き出し始めたー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー…」

翌日ー
学校にやってきた洋太は、少しだけ不安そうな表情を浮かべるー。

いじめっ子の昌也が”欠席”していたからだー。

けれどー…
もう、いじめは終わったのだー。
もうーーー…、心配する必要は、ないー

・・・・・・・・・

同時刻ー

♪~~~

洋太の家では、インターホンが鳴らされていたー。

「ーは~い」
洋太の母親・麻由里がそう言葉を口にしながら、
インターホン越しに”来客”を確認するー。

するとそこには、
息子である洋太をいじめていた昌也の姿があったー。

「ーーー…塩沼くん?」
少し不審そうな表情を浮かべる麻由里ー。
息子の洋太は既に学校に登校したー。

そうー
今日は学校があるはずなのだー。

それなのに、何故この子はうちに来ているのだろうー?

そう思いつつ
「ーどうしたの?塩沼くんー」と、
そう言葉を口にすると、
”俺……あいつー…いや、洋太くんから取り上げたままだったものが
 あってー、それを返さなくちゃってー”
と、反省したような表情を浮かべながら昌也は言葉を口にするー。

「ーーあらー………
 …じゃあ、ちょっと待っててね」
麻由里はそれだけ言うと、インターホンで応答するのを
やめて、玄関の扉を開けるために、
玄関の方に向かって行くー。

そして、扉を開けるー。

だがーーー
昌也は”手ぶら”だったー。

「ーーーーーえへへへー…」
ニヤニヤしながら、部屋の中に入って来る昌也ー。

「ち、ちょっと?塩沼くんー?」
子供相手とは言え、いきなり子供が家の中にズカズカと入って来る
光景に、少しだけ麻由里は表情を歪めるー。

「えへへへへーーー
 滝口のお母さんって綺麗だよな」
不遜な態度を取り始める昌也に、
「ー塩沼くんー…何をしに来たの?」と、表情を曇らせながら言うー。

「ーえへへへー
 俺の”力”を見せてやるー。
 あいつから味方を奪って、あいつに仕返ししてやるんだー!」

そう叫ぶと、昌也は片目を紫色に光らせー、
そして、その場で”霊魂”のような姿に変化したー。

”んふふふふふふぅ~
 俺さ~幽霊みたいに、他の人間に取り憑くことが
 できるようになったんだぁ~!

 この力を使えば~~
 ”お母さん”の身体でアイツをいじめることだってできるんだぁ”

霊体になっているからだろうかー。
不気味に響き渡る声ー。

「ーーー…そ…そんなこと…!
 塩沼くん!学校サボってこんなことしてるとーー」
麻由里がそう言いかけると、
”その身体は、俺のものだぁ!”と、笑いながら霊魂が迫って来たー

「ーー!!」
麻由里の中に、昌也の霊体がずぽっと入り込むー。

「ーーーぁ… ひっ… ぅっ…」
今まで感じたことのないような”身体を縛り上げられるような”
自由を失っていく感覚を覚えるー。

「ーーー…ぐへへへ…これが、アイツのお母さんの身体かぁ…」
麻由里の口が勝手に開くー。

麻由里は驚いて、慌てて自分の口を手でふさぐー。

がーー
もう片方の手が勝手に動いて、
自分の胸を揉み始めるー。

「ーーんふぅぅぅぅぅ~…
 俺、おっぱい好きなんだァ…」

麻由里の口から”昌也”の言葉があふれ出すー。

「ーーーー……!?!?!?」
麻由里は、困惑の表情を浮かべながら、
”勝手に動く自分の身体”を何とか止めようとするー。

「ーーぐふふふふ…無駄無駄…
 あいつ、お母さんにも裏切られたらどんな顔するかなぁ…ひひひひ」

麻由里の口から昌也の言葉があふれ出すー。

「ーーし…塩沼くん…!やめなさい…!!」
麻由里が苦しそうにそう言い放つー。

がー
麻由里に憑依した昌也は、麻由里の口で「うるさいなぁ…!」と、
そう言い放つとー、
”貰った力”の一つを使い始めたー。

「ーーーー!?!?!?!?!?」

気付くと、麻由里は
”何もない白い世界”にいたー。

”ここは、頭の中だよー”
背後から現れる昌也ー。

「ーーー!」
麻由里は表情を歪めながら
「塩沼くんー…!こんなこと絶対にしちゃだめよ…!
 今すぐわたしから出ていきなさい!」と、
諭すような口調で言うー。

がーー
昌也は、笑みを浮かべると、
言葉を口にしたー。

「ーおばさんには
 無理矢理でも、俺に従ってもらうよー」

30代の麻由里も、昌也から見れば”おばさん”ー。
挑発的にそう言うと、
「ーーアイツは”お母さん”にも裏切られてー
 もっと、もっと、もっと、傷つくんだー」
と、昌也は言葉を口にするー。

「ーー…ふ、ふざけないで…!」
麻由里がそう言い放つも、
昌也はニヤッと笑うと、
「ーーおばさんも俺と一緒に、アイツをいじめるんだー」と、
そんな言葉を口にしたー。

昌也の声が、不気味に響き渡るー。
脳の中に直接入り込んでくるようなー、
そんな言葉ーー

「ーーぁ…
気付けば、麻由里の両手は完全に支配され、
夢中になって胸を揉みまくっていたー。

「うへへへへ…すごい…すごい…すっげぇぇ♡」
無邪気な少年のような表情でそう言葉を口にする麻由里ー。

”や…やめなさい…!”
麻由里の意識が、必死に抵抗するー。

しかし、昌也は麻由里の意識を無理やり”同調”させるー、
そんな力を使うと、
麻由里自身の抵抗が弱まりー、
昌也は完全にその肉体を支配したー。

「ーえへ…アイツのお母さんの身体…
 手に入れたぜー
 えへへへへへー…」

息子のことを想っていた母・麻由里ー
しかし、憑依されてしまった麻由里の顔にはー、
息子への愛情など、微塵も感じられなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ただいま~!」
姉の紗季が先に帰宅するー。

「ーーん?」
母・麻由里は振り返ると、
「そうかーお姉ちゃんもいるのかー」と、小声で言葉を口にするー。

家の中を漁り、派手な服装に着替えていた麻由里ー。
それを見て、紗季は「あれ?お母さん、何だかいつもよりおしゃれ~」と笑うー。

「ーへへー…ありがとー」
麻由里はそう言葉を口にすると、
”アイツのお姉ちゃん、可愛いじゃんー”と、ニヤニヤしながら近づくー。

「ーーお母さん?」
不思議そうに首を傾げる紗季ー。

そんな紗季に対して
いきなり麻由里は抱き着くと、
「ーんふふふふふふふ」と、奇妙な笑い声を発し始めたー。

「ーー…お、お、お母さんー!?」
戸惑う紗季ー。

「ーーふふ 何を驚いているのー?
 おかえりのぎゅーをしただけでしょ?

 あとー…
 ふふー」

麻由里は今まで子供たちに見せたことのないような表情を
浮かべながら、紗季に突然キスをするー

「ーー!?!?!?!?」
驚く紗季ー。

「ーーふふふー…おかえりなさいー」
麻由里が、おかえりのキスだと言わんばかりに笑みを浮かべると
紗季は「お、お母さんー?」と、不安そうに呟くー。

そうこうしているうちにー、
母・麻由里に憑依した昌也がいじめている相手ー、洋太が帰宅したー

ニヤァ、と笑みを浮かべると、麻由里は立ち上がって
洋太の方を見つめたー。

「ーー…滝口ー
 ううんー…洋太ー」
ニヤニヤしながら、麻由里が洋太の方に近付いていくー。

「お、お母さんー?」
洋太が少し戸惑いながら母親の方を見つめるー。

そしてーー

パチン!

突然ーー
麻由里が洋太を、ビンタしたー。
息子に”暴力”など、初めて振るった麻由里ー。

けれど、息子をいじめている昌也に憑依された麻由里は
嬉しそうに凶悪な笑みを浮かべると、
「ーー洋太ぁ~~”友達”をいじめっ子扱いして
 謝らせるなんて、ホント最低ねぇ~~」と、そう言葉を口にするー。

「ーーえ……お、お母さん?」
驚いた様子で言葉を口にする昌也ー。

しかし、麻由里はお構いなしに昌也の腕を掴むと、
「ーーー俺…」と、一瞬言葉を間違えてから
何度か咳き込んで
「塩村くんー、ホントは”友達”なんでしょ?
 それなのにいじめられてるなんて、嘘をついてー」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーーえ……お、お母さんー?
 ち、違うよー…
 ぼ、僕、本当にいじめられてーー」

洋太が泣きそうになりながらそう言い放つー。

しかしーーー

「ーーあっれぇ~~~?
 まだ言い訳するの?」
麻由里はわざとらしい口調でそう言うと、
洋太に顔を近づけながら、
洋太を睨みつけたー。

そしてー、
昌也自身が、洋太をいじめている時に言い放った言葉を、
洋太の母・麻由里の言葉で口にしたー。

「ーお前、生意気なんだよー」

とーー。

②へ続く

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いじめっ子の母親が憑依されてしまうお話デス~!

ダークな雰囲気が漂っていますネ~!

続きはまた明日~!☆

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憑依<欲望ノ母>

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