<憑依空間5周年記念>わたしが盗まれたモノ④~静寂喧噪~

憑依空間5周年記念小説第3弾★!
今日は第4話になります~!☆

「果実夢想」様(@fruitsfantasia)
との合作デス!

①、③を果実夢想様、
②、④を私(無名)が担当しました!☆
最終回の⑤は、憑依空間では私が書いた”光ルート”
果実夢想様のサイトでは”闇ルート”を掲載します~!
(※5日間かけて、順番に掲載していきます!)

※今日の小説は、午前中に既に更新済みデス

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④~静寂喧噪~
作…無名

「ダ…ダメだ…元に戻れない」

はぁ、はぁ、と息をしながら
珠音(斗真)は表情を歪めるー。

「ーーー…う…うん…戻れないね…」
斗真(珠音)が悲しそうにそんな表情をすると、
「そんな顔をするなよ」
と、珠音(斗真)がため息をつくー

「ー俺の顔にそんな顔は似合わないし」
珠音(斗真)の言葉に、
斗真(珠音)は最初よりも緊張感が解けたのか
少しだけ笑うと
「ーわたしの顔にも、そんなしっかり者みたいな表情似合わないよ」
と、小声で呟いたー

「ーーーだな。 だからこそ、早く元に戻らないと」
珠音(斗真)がそう言うと、
「ーでも今日は遅いからなー…」と、呟くと
「寝たら治るかもしれないし、明日まで待ってみるかー」
と、提案した。

不安そうにしながらも斗真(珠音)もそれに同意するー。

「ーーー安心しろよ。
 あんま長引くと、俺もお前も困るだろ?
 お互い、学校もあると思うしー

 明日、朝起きても元に戻ってなかったら
 なんとか色々考えるからー」

珠音(斗真)が何気なくそう言うと、
斗真(珠音)は途端に表情を曇らせて、
「いいよ…どうせわたし、不登校だしー」と、呟くー

「ーーーいや、そういうつもりじゃー」
珠音(斗真)は、そう言いながらも深くため息をつくと、
「いじめ…受けてるんだったっけ?」
と、言葉を続けるー。

その言葉に、小さくうなずくー

”あはははっ、そんな泣いちゃってぇ……かーわいー”

斗真(珠音)は、壮絶ないじめを思い出して
目に涙を浮かべるー

「ーーーこの世界は、理不尽だよなー」

窓の外から差し込む月明かりを見つめながら、

「ー俺も、どうして、どうして妹がこんな目に遭わないといけないんだって、
 ずっと、ずっと思ってきたー。

 でもー…
 みんな、どこかで大変な思いをしてるし、
 もっともっと、大変な思いをしてる人もいるんだよなー」

と、珠音(斗真)は、少しだけ寂しそうに呟いたー

「ーー大丈夫。元に戻ったら、巻き込んだお詫びとして
 ”いじめ”のことは何とかしてやるよー」

「ーーえ?」

「ー何でもない。気にすんな」

それだけ言うと、珠音(斗真)は、
「とにかく、今日はもう遅いから、寝た方がいい。
 元に戻ったら、お前の母親にも事情は説明するから」
と、言い放つと
斗真(珠音)は静かに頷いて、そのまま眠りについたー

「ーーーーーー」
眠りについている斗真(珠音)を見つめながら、
ふと、部屋にある小さな鏡で、
珠音になった自分の姿を見つめるー

か弱い感じの雰囲気ー。
ふとした拍子に、消えてしまいそうな儚い感じー

どこか、妹に似ているー。

珠音(斗真)は静かにため息をつくと
少し首を横に振ってから
”俺も正直今日は疲れたー”と、
そのまま斗真(珠音)から少し離れた場所の
イスに腰かけて目を閉じたー。

普段、自分が使っているベッドは斗真(珠音)に貸しているから、
自分はここで寝るしか、ないー。

”ったくー…こういう年頃の子に、俺は弱いなー…”

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」

自宅に戻った赤月刃は、
テーブルの上で、ビー玉を転がしながら
スマホで誰かに電話を掛けていたー

ビー玉を手で弾いては、
また次のビー玉を手にして、それを弾くー。

机からビー玉が落ちる音が響き渡りー
足元に転がってきたビー玉を拾い、
また机の上で弾くー。

「ーーー…ええ、はいー
 そうですー
 俺の友達が、女子高生を部屋に連れ込むところを
 見てしまいましてね」

刃が笑みを浮かべるー

スマホには”110”と表示されているー。

「はいー
 場所はーーー」

刃は、警察への”通報”を終えると
静かに笑みを浮かべながら、
スマホを机に置いたー

「あんな小娘に助けられるなんて、
 情けねぇやつだぜ」

珠音(斗真)がついた”嘘”を
赤月刃は信じてはいたー。

だが、それも気に入らなかったー。

「ーーあ~あ、つまらねぇ つまらねぇ
 全部台無しになっちまえ」

刃はそう呟きながら、
ビー玉を再び手でいじり始めるー。

万が一、斗真が警察沙汰になったとすれば、
当然”窃盗行為”のこともバレる可能性があるし、
そうなれば斗真は、”刃”のことについても
警察に伝える可能性は0ではないー。

だがー

”極限のスリル”を味わうためだけに、
斗真の窃盗行為の”相棒”となっている刃にとっては
どうでもよかったー。

「ーー人生は、綱渡りだー
 ゾクゾクしたほうが、面白れぇだろ?」

そう呟くと、刃はビー玉を指ではじいて、
机の上にある別のビー玉を弾き飛ばしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ドン! ドン! ドン! ドン!

”夜神さんはご在宅でしょうか?警察です!

外から警察が部屋をノックする音が聞こえるー

「ー警察ー?」
眠りについていた珠音(斗真)が、
「なんだなんだ?」と、表情を歪めるー

斗真(珠音)も目を覚まし、
不安そうな視線を珠音(斗真)に投げかけるー。

”まさか、俺の窃盗行為がバレたのかー?”
そんな風に思いながら、表情を歪めるー。

今のところ、確たる証拠を残してしまうような
ヘマはしていないはずだー

いや、待てー

”珠音が通報した”なら、話は別だー

「ーー…」
だがー
不安そうにしている斗真(珠音)からは
そんな気配は感じないー

”この子は、そんなことできる子じゃないなー…”
すぐに珠音(斗真)はそう思いながら
ノックされている玄関の方に向かおうとするー

しかしー
その途中で、ガラスに自分の姿が反射して
ハッとするー

「いや、このまま出るわけにはいかないー」

ここは、”斗真”の家だー。
この家から”女子”が出てきたら
流石におかしいー。

警察の用件が何だとしても、
それ自体が問題になってしまう可能性が高いー

「ーーーー…」
珠音(斗真)は「すまないー…出れるか?」と、
斗真(珠音)のほうを見て呟くー。

「ーーえ…わ、わたし…?」
不安そうな斗真(珠音)ー

引きこもっていた彼女からすれば
急に”出れるか?”なんて言われても
不安以外の何物でもないし、
ちゃんと受け答えすることができるかどうかも分からないー

それに、今、既に足が震えてしまっているー。

事情を説明する珠音(斗真)ー

「ー俺が出てやりたいんだが、
 お前の身体で今、玄関から顔を出したら厄介なことになるー」

その言葉に、斗真(珠音)も納得するー。

不安そうな斗真(珠音)ー

けれどー

「ーーーーう、うんーーやってみる」
斗真(珠音)は、
学校に行けなくなってから”勇気”を振り絞るようなことは
一度もなくなってきたー

何もかも、諦めてしまってー
何もかもから、逃げたくなってしまっていたー

でも、今は違うー。

こんな体験をしてー
ちょっとだけー
ほんの少しだけー、
頑張って見ようと思えたー。

「ーーーー…」
ゴクリ、と唾を飲み込む珠音(斗真)ー

正直、”この身体”じゃ、
どうすることもできないー

”窃盗をしている男子大学生の家に、少女がいるー”
それだけで、警察がどんな反応をするのか、
何も言われなくても、大体わかってしまうからー。

”ーしかし、何でこの場所に警察がー…?”
腕組みをしながら珠音(斗真)は考えるー。

ふと、部屋の中に置いてある鏡に
険しい表情をして腕組みをしている珠音の姿を見て
”この子にこんな表情は似合わないな”
と、思いながらも、ハッとするー。

「ーーー赤月かー…」

”急に通報されるようなヘマ”をした覚えはないー
珠音が通報したとも思えないー

もちろん、何日も経過していれば、
珠音の行方を捜して警察がやってきてもおかしくはないー

だが、仮に珠音の母親が捜索願を出していたとして、
こんなに早くピンポイントでここに来れるだろうかー。

”一緒に行動しているところ”を見られたとは言え
珠音の母親は、斗真の名前も、住所も知らないー

たった数時間で、ここにたどり着くことなど、
できるはずはないー。

と、なればー…
やはり、赤月が通報した可能性が高いー

「ーーチッ…あいつ、さっきの話じゃ、信じなかったのかー?
 それともー…?」

赤月刃は”ダイナマイト”のような男だー。
いつキレてもおかしくないー

もしかすると、さっき、珠音の身体で話した際の
会話は信じてくれていても、
何か、やつに気に入らないことがあったのかもしれないー。

「ーー湖守 珠音はこの中にいるか?」
警察官の一人が、玄関でそんな言葉を口にするー

「ーーーーー!」
珠音(斗真)は、部屋の中からその会話を聞きながら
表情を歪めるー。

「ーーー湖守 珠音の母親から、捜索願が先ほど出されてなー
 それと同時に、匿名の男からお前が湖守 珠音を家に連れ去るのを見た、
 という通報が入ったー。

 この中に、湖守 珠音はいるのか?」

警察官の問い詰めるような口調ー

実はー
赤月刃が警察に通報する数十分前に
珠音の母親も、警察に”娘がいなくなってしまった”と、通報していたー

母親は、感情的に珠音を叱ったことを後悔し、
夜の街を走り回って探したものの、
珠音を見つけることはできず、途方に暮れて、
警察に”娘がいなくなっちゃったんです!”と泣きつくようにして、
通報していたー

そこにー
赤月刃による通報が重なりー、
警察は”斗真が湖守 珠音を誘拐した”と判断してしまっていたのだー

「あ…ぅ… ぅ」
斗真(珠音)は震えながら警察官たちのほうを見つめるー。

「ーーー…なんだ?何とか言ってみろ」
警察官の問い詰めるような口調ー。

「ーー……”くそっ”」
珠音(斗真)は心の中で舌打ちしたー。

正直ー、彼女には荷が重すぎるー
警察官にあんな風に問い詰められたら、
いじめを受けて不登校になった彼女が
答えに詰まってしまうのは当然だー。

けどー…
今、斗真は珠音の身体ー。
この身体で、警察官たちの前に姿を現せばー、
”斗真にわたしは誘拐されました”
と、言っているのと同じー

仮にー
ここで”わたしが自分でここに来たんです!”と言っても
警察はそれを信じてくれるか分からないし、
”元に戻ったあと”に、母親との関係にも
さらに亀裂を入れてしまうことになりかねないー

”どうすればー”

一瞬、アパートの窓のほうを見つめる珠音(斗真)ー

警察が部屋の中に入って来る前に、
ここから飛び出せばー、
少なくとも”斗真の部屋に湖守 珠音がいた”という状況には
ならないー

「ーーけど…あいつを一人にするのはー」

玄関では警察官に対して
泣きそうな声で必死に斗真(珠音)が時間を稼いでいるー。

警察官がこのまま引き下がるとは思えないー

珠音(斗真)は決断を迫られるー

斗真(珠音)が玄関で時間を稼いでいる間にー、
窓から脱出するかー。

それとも珠音を一人にすることはできない、と、
玄関の方に向かい、自分も警察の前に姿を現し、
何とか警察を説得するかー。

道は、二つに一つー。

「ー部屋の中を見せてもらうぞ」
警察官がそう呟くー

「待ってください!」
斗真(珠音)が必死に時間を稼ぐー。

だが、もう限界だー

”俺はー
 俺は、どうすればいいー”

窓から飛び出すかー
警官たちの前に姿を見せるかー

その決断を、珠音(斗真)は迫られていたー

⑤へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

④は私の担当パートでした~!

明日掲載の最終回は2種類あって、
私が「光ルート」、果実夢想様は「闇ルート」をそれぞれ
書きました~!

憑依空間では”光ルート”を掲載するので、
ぜひ楽しんでくださいネ~!
(前回も同じような合作をやった時は、私が闇ルートのほうをやったので
 今回は私が光デス…!)

入れ替わり<わたしが盗まれたモノ>
憑依空間NEO

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