<憑依>初詣の悲劇①~お正月を堪能する男~

初詣ー。

そんな会場にやってきた男がいたー。

男は、毎年の初詣を楽しみにしているー。

ある、”遊び”のためにー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”2015”
”2016”
”2017”
”2018”
”2019”
”2020”
”2021”

男の部屋には”美人”の写真が貼られていたー。

西暦と思われる数字の下に、
それぞれ1枚の写真ー

写真に収められている女性は、毎年異なっていて、
どの女性も世間的に”美人”と言われそうな、
そんな容姿の女性たちだったー。

今日は1月1日ー

男は、”2022”と書き込むと、
その下の空白スペースを見つめた

「今年は”どんな身体”が手に入るかな?」
男は笑みを浮かべながら、
”餅”を手にするー。

男は、2014年の元旦ー
餅を食べていた際に、当時、大学に通っていた彼は
大学の同級生たちと悪ふざけをしていたところー
餅を喉に詰まらせて、生死の淵をさまよったー

幸い、彼は助かったものの、
その際に彼は”幽体離脱”を経験したー。

それ以降ー
彼は餅を食べると、幽体離脱するー、という
異常な体質になってしまったのだったー。

そうとは知らずに、2015年の元旦に餅を食べた彼は、
幽体離脱してしまったー。
そして、幽体離脱している最中に、色々試していたところー
”幽体離脱した状態では、他人の身体に憑依できること”が
分かったのだったー。

それ以来ー
彼は毎年1月1日に餅を食べて幽体離脱してはー
”ある遊び”を行っているー

それはー
”わらしべ憑依”遊びだー。

かつてー
ワラを手に、物々交換を続けてー
その結果、最後には大金持ちになったーというおとぎ話が
この世には存在するー。

それをなぞらえた遊びが”わらしべ憑依”遊びだー。

彼ー
里中 俊夫(さとなか としお)は、
今年も”わらしべ憑依”を楽しもうとしていたー。

まずはー
餅を食べて、幽体離脱を行うー。
俊夫は、いつものように幽体離脱をすると、
そのまま”ある場所”へと向かったー

その場所は、近所の神社ー
1月1日の元旦ー、
多くの初詣に訪れた客でにぎわう場所だー。

ここで、俊夫は毎年、”わらしべ憑依”を行うー。

まず最初は、あえて、”俊夫から見てブス”だと感じる相手に
憑依を行うー。

そして、ブスに憑依したあとは、
俊夫から見て”少しずつワンランク上”の相手に
”乗り換える”ようにして憑依していくー。

憑依した身体で、キスをすると”キスをした相手”に
乗り換えできるのを利用して、
”少しずつ可愛い身体”に、憑依していき、
最後に”その年、一番かわいく見えた女”に憑依して
写真を撮るのだー。

それが、俊夫の言う”わらしべ憑依”だったー。
俊夫の部屋に貼られていた美女たちの写真は、
この”わらしべ憑依”で、最後に憑依した女性たちの
写真だったー。

”まぁ、物々交換にはなってねぇけどな”
俊夫はそんな風に思いながら、
神社にやってきていた老婆への憑依を済ませると
「うぁっ…身体中がいてぇ…!」と呟くー。

今年は”老婆”からスタートだー。

そして、どんどん可愛い身体に乗り換えてー、
最後には、その年、一番かわいく見えた相手に
憑依するー。

杖をつきながら
「ー俺も将来、こんな風になるのか」と、
”老人”としての身体の動きをイヤというほど味わい、
その表情を歪めるー。

「くそっ…探しにくいな…次の身体ー」
老婆はイライラした様子でそう呟くー。
こうも動きが鈍いー…と、いうより動けない状態だと、
なかなか”次のターゲット”を物色するのも
難しいー。

「ーーあ、おばーちゃん!いた!」
背後から声が聞こえてー
「ん…?」と呟きながら振り返ると、
そこには巨体の高校生がいたー。

「ーーブッ…かわいくねぇ」
老婆は思わず吹き出してしまうー。

「ーーえ?」
孫娘と思われるその女子高生は、困惑したような表情を浮かべたー

「まぁ…でも、ちょうど俺から見れば”ワンランク上”の身体ではあるな」
老婆がそう呟くと、
突然おばあちゃんが”俺”などと言いだしたことに
不安を感じてか、巨体の女子高生が不安そうに
「おばあちゃん…?」と呟いたー。

「ーークククー次はお前だ」
老婆はそう言うと、自分の孫娘にキスをしてー
そのまま、よたよたとその場に座り込んだー。

「ー大丈夫ですか?」
周囲の初詣客が、突然座り込んだ老婆に駆け寄ると
すぐに正気に戻った老婆が「ありゃ…??」と、首を傾げているー。

「ーーククク ブスな孫娘の身体は貰ったぜ」
自分で自分のことをブスと言い放つと、
巨体の女子高生はそのまま歩いていくー

「ってか、どうすりゃこんな太るんだ?
 毎日3食チョコレートでも食ってんのか?」
そんな、無神経な言葉を巨体の少女の身体で呟くとー
少しだけ胸を触りながら
「ー俺の好みにはあわねぇ。全然ゾクゾクしねぇー」と、
不満そうに呟くー。

”わらしべ憑依”は、あくまでも
”俊夫から見て”どんどん可愛い身体に乗り換えていくー

当然、世間ではぽっちゃりとした子が好きな男だっているだろうし、
何ならさっきのような老婆にこそ興奮して抜くような男も
いるかもしれないー

だが、これはテレビ番組ではないし、
あくまでも俊夫が”個人で楽しむため”の遊びだー。

だから、判断基準は”俊夫の趣味”でいいのだー。

「ーーー次は、あの女がいいかなー」
ちょっと癖のある顔立ちの20代ぐらいの女性に目をつけた
俊夫は、その女に近付いていきー
背後から肩を叩くと、振り返ったその女に、突然キスをするー。

巨体の女子高生がそのまま倒れ込みー
特徴的な顔立ちの女性が笑みを浮かべるー。

「ーーあ~~…おっ!声はかわいいじゃん」
そう呟くと、
女は歩き出すー。

再び周囲を見つけながら
”今の身体”よりも可愛い身体を探すー

「ーーふ~…女同士のキスって、どんな組み合わせでも
 ゾクゾクするよなぁ」

アニメ声のような女の身体で、自分の唇を触ると、
”この声に、見た目も備わってたら最高だったのにな”などと呟くー

「あ~~~あ~~~」
それにしてもいい声だー。
もしかしたら、俊夫が知らないだけで
この女は声優として活動していたりするのだろうか?

そんな風に思いながら
「必ず生きて帰ってきてね…」と呟いたりー
「べ、別に、あんたのことなんて好きじゃないんだから!」と呟いたりー
適当にアニメっぽいセリフを口走ってみるー

「ふへへ…いいじゃん」
女の声でそう呟くとー
走っている少し年上の女を見つけたー

「おっ!なかなか可愛い…!顔はまあまあだけど!」
アニメ声でそう呟きくと、
走っていたその女に後ろから追いつきー
強引にキスをしたー

「ーーーぅ」
アニメ声の女がぐらっと、ふらついてー
代わりに走っていた女に憑依した俊夫ー

「うっ…ぁっ!?」
憑依された女は思わず変な声を上げたー。

女が、神社の中を走っていたのはー
どうやら、トイレが限界だったようだー。

それをー
俊夫が憑依したことで、
身体がビクッと震えてー
そのはずみで、全部出てしまったのだー

「あ~~~あ~~~あ~~~」
ロングスカートから水が垂れてくるのを見て、
女はニヤニヤと笑みを浮かべるー

「初詣でお漏らしとかしゃれにならないだろ」
そう呟いているとー
「ーー敬子~!大丈夫だったか?」と
背後から声が聞こえたー

”この女は敬子というのか”と思いながら
振り返ると、そこには夫らしき人物と、
ツインテールの女の子の姿があったー

”うへっなかなかの可愛さ”
次はこの女だな、と思いながら、
敬子は「漏れちゃった」と笑いながら夫に言うー。

「え…?だ、大丈夫か?」
夫の言葉を無視して、敬子は「そうだ!一緒にトイレに行きましょ」と、
困惑する娘の手を引いて、
そのまま近くの女子トイレに娘と共に入って行ったー

「ーーおかあさん?」
困惑する娘ー

「ーふふふ…お母さんねぇ、お漏らししちゃったのー。
 まぁ、そんなことはどうでもよくてー」

そう呟くと、母は、娘にキスをしたー

「ーお前の身体、ちょうだいー」

その場に倒れ込むお母さんー
しかしー、娘は気にする様子もなくー
ニヤニヤと笑みを浮かべるー

「ーーあ~あ、お母さん、どこで寝てるの~?」
ツインテールの髪を揺らしながら
娘はニヤニヤと笑うー。

トイレの床に倒れ込んだ母親を放置して、
そのまま外に向かうー

”大抵のやつは短時間だとすぐに意識を取り戻すけど、
 たまに、今の母親みたいに、しばらく起きねぇやつが
 いるんだよな”

そんなことを思いながら、トイレから外に出るとー
神社のバイトだろうかー
不慣れな感じで恥ずかしそうにしている巫女の姿が目に入ったー

「ーー(いいねぇ…)」
ツインテールの少女が、この年齢の少女が絶対に
浮かべないであろうイヤらしい笑みを浮かべながら
その巫女を見つめるー。

「ーーでも、この身体から直接乗り換えるには
 美人すぎるからな」

と、”お前はあとで乗っ取るから、待ってろよ”と、
心の中で笑うと、
そのまま少女は歩き出すー。

「ーーへへへ…着物姿の女もいいよなぁ」
涎を垂らしながら笑う少女ー。

少女がどんなにイヤらしい目つきで、
着物姿の若い女を見ていても、
本人たちは”そのこと”を何も意識していないー。

同性であることも当然そうだが、
ツインテールの可愛らしい小さな女の子が
そんな邪なことを考えているなどとは、
誰も思わないのだー。

「ーーねぇねぇ!お姉ちゃん!」
背後から着物姿の女に声をかけるー。

その女は、彼氏らしき男と一緒に歩いているー。

だが、そんなことは俊夫には関係ないー
乗っ取りたい身体を乗っ取るー。
それだけのことだー。

「ーーーどうかしたの?お母さんは?」
振り返った着物姿の女ー

(っ…この子の背じゃキスできねーじゃねぇか)

ツインテールの少女の背では、
着物姿の女にキスをすることができないー

そのことに少し苛立ちを見せながらも、
少女は「お姉ちゃん、落としたよ~!」と、
地面を指さしたー

「ーーえ~?何を?」
不思議そうにしている着物の女ー
背後では、その彼氏と思われる人物も
不思議そうにしているー。

俊夫に乗っ取られているツインテールの少女が
”落としたよ~”と、指差している個所には、
どう見ても”何も落ちていない”ようにしか
見えないからだー。

「ーーー…何も落ちているように見えないけど…?
 何が落ちてるのかなー?」
着物の女が優しい口調で言いながら、しゃがみこむような姿勢で
その場を見つめー

”今だー”

少女の身体で届く距離に来たのを見計らって、
少女は、着物の女に突然キスをしたー

「ぅくっ!?」
着物の女がビクンと震えて、少女はすぐに正気を取り戻して、
何事もなかったかのように走り去っていくー

自分が乗っ取られていたことも自覚できていないのかもしれないー

「あ、おいー?!」
急に走り去っていった少女に戸惑う彼氏ー

しゃがみこんだままの着物の女は、
ニヤリと笑みを浮かべるー

「へへへへ…どんどんいい女になっていくこの感覚ー
 たまんねぇぜ」

小声でそう呟く着物の女ー

1日にして色々な声を自分の口から出せるー
というのもまた、たまらないー

「ーーーえ?莉子(りこ)ー?」
”何かブツブツ聞こえた気がする”と思いながら
彼氏が戸惑うと、莉子は立ち上がって
「ーーなんでもないよ」と、笑みを浮かべたー

”さぁ~て”
彼氏のことなんてどうでも良くなった莉子や
”自分よりも可愛い女”を探して、
目で物色し始めるのだったー。

②へ続く

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コメント

新年なので、初詣を舞台としたお話デス~!

このお話の憑依人も毎年遊んでいるようですが、
「体越し」のようにシリーズ化するわけでは
ありません~!☆
(たぶん…)

明日もぜひお楽しみくださいネ~!

憑依<初詣の悲劇>
憑依空間NEO

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