<憑依>初詣の悲劇2023(前編)~わらしべ憑依再び~

毎年初詣の日を心待ちにしている男ー。

今年も彼は”わらしべ憑依”を楽しむため、

この場所へとやってきていたー…

※2022年1月に連載した「初詣の悲劇」の
 続編デス~!

前作もぜひご覧くださいネ~!

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里中 俊夫(さとなか としお)ー

彼は今年も、餅を前に笑みを浮かべていたー。

”わらしべ憑依”

彼が毎年、お正月に楽しみにしている”遊び”だー。

始まりは2014年ー。
大学生だった彼は、友人と共に悪ふざけをしながら
餅を食べ、その際に喉に詰まらせてしまったことで
危うく死にかけたー。

そして、その翌年の2015年ー。
前年死にかけた際に幽体離脱を経験した彼は、
異様な体質に目覚めたー。

それがー”餅を食べると幽体離脱する”というものだったー。

さらに彼は自分が幽体離脱をしている間に
他人の身体に自分の霊体を重ねると
その相手に”憑依”することができる、ということに気付いた。

その時から、彼が毎年お正月に楽しんでいるのが
”わらしべ憑依”遊びだー。

毎年お正月に餅を食べて幽体離脱しー、
行きつけの神社に向かい、そこで”俊夫から見て一番ブスだと思う女”に
憑依するー

その後、”俊夫から見てワンランク上の女性”に移動していき、
最後には”その年一番可愛いと思った子”に憑依して
自宅で自撮り写真を撮影するー。

かつてー
ワラを手に、物々交換を続けてー
その結果、最後には大金持ちになったーというおとぎ話ー。

それになぞらえた遊びー。
別に何も交換していないのだが
”どんどん良い身体を見つけていく”という遊びを
俊夫は、自分の中でこう呼んでいる。

”2015”
”2016”
”2017”
”2018”
”2019”
”2020”
”2021”
そして”2022”

男の部屋には西暦の上に
”毎年最後に憑依した美人の写真”を飾っていたー。

2023年ー
今年もまた”写真を1枚増やす日”がやってきいたのだー。

しかし、昨年は災難だったー。
どんどんかわいい子に移動していき、
最後にゴスロリ風のとても好みな子を見つけたものの、
その相手はなんと、男の娘だったのだー。

まさか、男と女の区別もつけられずに憑依してしまうとは
迂闊だったー。

けれどー、結局俊夫は
”可愛いのについているなんてお得”という理由で
そのままその子の写真を撮影したー

よってー
「2015」から「2022」までの可愛い写真の中に
1枚だけ男の写真が混ざっているー

そんな状況になっているのだー。

「はぁ~…ま、去年は去年、今年は今年だ」
そう呟くと、俊夫は気を取り直して今年も餅を口にして
”幽体離脱”したー。

”さぁて、今年も始めようか”

俊夫はいつもの神社へと到着したー
毎年、ここで”何も知らずに初詣”にやってきている人々の
身体を支配し、わらしべ憑依を楽しんでいくー。

最初は”俊夫から見て”微妙な感じの身体を支配しー、
その後はーーー

「ぶっー」
俊夫は思わず霊体を漂わせながら表情を歪めたー

”明らかに女装のおっさん”が路上を歩いているのだー。

”いや、女装はいいんだぜー?
 可愛い子はマジで可愛いからなー。
 でも、外を歩くならさー、足の毛ぐらいなんとかしようぜ?”

俊夫は心の中でそんな風に思いながらー
「まぁいいー」と呟くー。

セーラー服姿の”おじさん”。

俊夫は別に女装に対して偏見を持ってはいないしー
一つの文化だと彼は思っているー。

だがしかしー

”おいおい、そりゃないだろ”と、
思わず思ってしまう状態ー

スカートから覗く足は、いかにも男と言わんばかりの毛まみれで、
髭すら剃っていないー。

しかも、そのおじさんは、堂々と女子トイレの方に
向かっているー。

”おいおいおいおいおいおいおいー
 バレないと思ってんのか?
 思考回路、どうなってやがる?
 ショートしてんのか?”

俊夫がそんな風に呟きながら、
”最初はお前だ!”と、
”今年のスタート地点”ー

つまり、俊夫から見て”見た目が好みじゃない”人間に憑依したー

「うっー…」
いかにもおっさんな声を出すセーラー服おじさんー

「ーー感謝しろよ?俺が憑依してやったおかげで
 あんたは覗きにならずに済んだんだー」

どういうつもりで女子トイレに向かっていたのか知らないがー、

そう思いながらおじさんに憑依した俊夫は
「待てよー」と、ふと、周囲をキョロキョロしながら
スカートの上から股間のあたりを触ったー

見た目がおじさんなだけで、実は本物の女子高生なのかもしれない、と
一瞬思ったからだー

だがー

「ついてるじゃねぇか!」

触ってみたところー、
普通についていたー。

「ーーーーー!!!」
早速”次の身体”を探し始める俊夫ー

”おじさん”よりも可愛い!と思った瞬間に
その身体に憑依決定だー。

このおじさんより可愛い身体はそこら中にいるー

俊夫の中で”少しでもランクアップ”する身体であれば、
その相手がどんな相手でも憑依するー

それが、”わらしべ憑依”の俊夫が決めたルールだ。

「ーーそういやー、”乗り換え”の時にはキスするからー
 どのみちこのおっさん、警察沙汰にー」

ニヤニヤしながらセーラー服おじさんの身体でそう呟くと、

「うわっ!キッモ!」
と、きつそうな女子高生の声が聞こえて来たー。

三つ編みのゴリラとおかめを融合させたような、
ガリガリな女子高生の声だー。

”おいおいー自分の顔をまずは鏡で見て見ろよー”
俊夫はセーラー服おじさんの身体でそう呟くー

”いや、まぁ、こいつもインパクトすげぇけど、
 この格好で堂々と歩くのも、
 聞こえる声でキモッ!とか叫ぶのも
 俺から見りゃ、同類だぜ?”

俊夫はそう思いながらも
”まぁいい、このおっさんよりマシだし、次はおかめーお前だ”
と、心の中でそう呟いたー。

どしどしと歩きながら一直線にその少女の方に近付いていく
セーラー服おじさんー

「えっ…なに!?ちょっ!?」
少女がそう叫ぶのもお構いなしに、周りにいた友達2名や
神社の利用客も無視して、
セーラー服おじさんは堂々と、三つ編みの少女にキスをしたー

その場に倒れ込むセーラー服おじさんー
周囲が悲鳴を上げて、
通報している様子も見えるー。

「ーだ、大丈夫ー…?華子(はなこ)ー」

”このガリガリ女は華子かー”
そう思いながら俊夫が「大丈夫大丈夫」と笑顔を
浮かべると、その心配してきた子のほうを見つめたー。

”ん?こいつの方が少し可愛いなー”

そう思いながら
華子の身体で「次のわらしべ憑依はお前ね」と、呟くー

「え?」

戸惑う友達を無視して、華子の身体でその友達にキスをするー

華子と友達がキスをしている姿に困惑する周囲ー

そのまま、華子は口を開いたまま倒れ込みー、
周囲がさらに騒ぎ出すー

”お~っと、気を失うやつ2連続かー
 あんま騒ぎになるのは面倒なんだけどな”

そう思いながらもう一人の友達を無視して
女子高生の身体でその場から退避する俊夫ー。

憑依から解放された人間は、
一瞬にして意識を取り戻す者もいれば、倒れ込む者もいるー
こればっかりは実際に憑依して、抜け出すまで分からないー

「ーーーこの子もなぁ~
 目が細すぎるって言うか、俺の好みではないなぁ」

鏡を見つめながらそう呟くー。

だが、これこそ”わらしべ憑依”ー
どんどん”良い身体”を手に入れていき、
最後に”今年のベスト”を見つけ出すのだー。

「ーーママ~…!トイレ行きたい~!」

そんな声が聞こえて振り返るー。

そこには、母親と手を繋いだ
小さなツインテールの子がいたー。

”おっ…いいじゃねぇかー次はお前だ”

笑みを浮かべながら”トイレに行きたい子”に近付いていくー。

だがー、
ふと、振り返った母親の方と目が遭いー、

「ん…どっちもそこそこだなー」
と、少女の身体で俊夫は笑みを浮かべるー。

”去年、トイレに行こうとしてる女に憑依したら
 はずみで漏らしちまったからなー
 トイレに行きたがってるガキに憑依したら
 漏らすかもしれねぇー

 仕方がない、ーーー”

俊夫は心の中でそう呟くと、
ツインテールの少女に近付きー
そのまま女子高生の身体でキスをしたー。

”ー今年も漏らすかー”

「ひぅ…!?」
ツインテールの少女がビクッと震えるー

今まで憑依されていた女子高生は瞬時に意識を
取り戻し、状況が分からず、周りをキョロキョロしているー

そんなことお構いなしに
憑依されたはずみで、お漏らししてしまう少女ー

「へへへへへへへ…♡」
気持ち良さそうに笑いだす娘を見て
その母親が「あ~~~」と、困惑した表情を浮かべるー

それもそのはずー
母親からすれば
”トイレを我慢できずに娘が漏らしてしまった”
状況だからだー

「ーえへへへへへ…漏れちゃった♡」
ニヤニヤとする娘ー

母親は周囲の目と、娘の状態を心配しながら
「大丈夫…?あんまり我慢しすぎちゃダメだって言ったでしょ?」と、
少し悲しそうに呟くー。

「ーーとりあえず、お父さんが先に車で待ってるから、一回車に戻ってー」
母親がそこまで言いかけると、
「我慢できない!」と、娘が叫ぶー

「え?」
戸惑う母親ー

「目の前に”もっと可愛い身体”がいるんだからー
 我慢できなくても…仕方ないよね?」

ニヤッと笑う娘ー

母親は思わずゾクッと恐怖心を覚えてー
「ーーーめーーー」
と、娘の名前を呼ぼうとしたー

しかし、それよりも早くツインテールの少女にキスされてしまう母親ー

「ふへへへへへ…おっぱいでかいなぁ…」
ニヤニヤしながら胸を揉むと、
お漏らししたままその場に倒れ込んだ娘を無視して
俊夫に憑依されてしまった母親は、笑みを浮かべながら歩き出すー。

戸惑う周囲など、全くお構いなしだー。

「ーーさてー」
娘への愛情など、微塵も無くなってしまった母は、
周囲をキョロキョロと見渡すー。

”だんだん可愛いくなっていくこの感じーたまらないぜー”

ふと、そんなことを思いながら
「それにしても揉み応えのある人妻だなーへへ」と、
笑みを浮かべるー。

母親だからと言って、人妻とは限らないが、
憑依される直前に、娘に対して
”お父さんがー”と言っていた以上、人妻なのだろうー。

「ふへっ♡ やっべ…エロすぎるー」
普段は出さないような声を出しながら、笑みを浮かべると
涎を指で拭き取りながら
「いけねぇいけねぇー…わらしべの途中だったー」と、
ようやく我に返るー。

お持ち帰りして、自撮りをし、お楽しみをするのは
いつも、その年の”一番気に入った身体”のみだー。

まだこの人妻は俊夫にとっての今年のナンバーワンではないー。
さらに上に行くことができるー。

両手で胸を揉みながら堂々と歩きつつー
”次の身体”を探していくー。

いつも、”最初”はポンポンと次の身体が
見つかっていくのだがー、
乗り換えれば乗り換えるほど、”だんだんと見つからなくなる”

それもそのはずー
最初は俊夫にとって”最悪”な身体からスタートするため、
周りには”その身体以上の身体”など、いくらでもいるからだー。

だが、憑依が進めばそうはいかないー。

なかなか”それ以上のお気に入り”には出会えなくなるー。

「ーおやおや」
胸を揉みながら歩いていたからだろうかー。
少し離れた場所にいる、警備のためにやってきていたと思われる
警察官数名が、俊夫が今支配している人妻のほうを
指さしながら何か会話しているのが見えたー

”まぁ、堂々と揉んでりゃ、警戒はされるわな”
俊夫が笑みを浮かべているとー
”女性”相手であるからかー、若い、キリッとした顔立ちの女性警官が
近付いてきたー

”おやおやおやおや”
人妻の身体で、俊夫は笑みを浮かべるー。

「ーーすみません~!警察ですがー」
女性警官が申し訳なさそうに声を掛けて来るー

「ーーあの~…先ほどからー」

胸を揉みまくっていることを指摘したいのだろうー。

だがー、その困ったような表情もまた俊夫にとっては
”いい材料”だったー

「ー次はお前に決めた」
胸を揉みながらそう言い放つ人妻の女にー、
女性警官は「えっ?」と困惑の表情を浮かべたー

返事など待つ必要はないー
俊夫はその女性警官にそのままキスをするとー
正気を取り戻した人妻を無視して、
女性警官の身体で静かに歩き始めたー

警察手帳を確認するー。

白原 美紀(しろはら みき)ー

「ー美紀さんねー
 へへ」

美紀を支配した俊夫は、そのまま同僚の警官の元には
戻らず、人混みの中を、笑みを浮かべながら歩き始めたー。

②へ続く

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コメント

昨年のお正月に書いた「初詣の悲劇」の続編デス~!

昨年の時に”体越しとは違い、毎年書くお話ではありません~”と
書きましたが結局、今年は書いてしまいました笑

土曜日枠のお話なので、続きは来週になってしまいますが、
楽しみにしていてくださいネ~!

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憑依<初詣の悲劇>

コメント

  1. 匿名 より:

    去年のも面白かったので、また新作をやってくれるのはとても嬉しいです!
    このまま体越しみたいに毎年やっちゃうのもアリだと思います!

    ところで、今年のはまた去年の話みたいに、体越しの方から、かりんちゃんみたいにゲスト出演するキャラはいるんですかね?

    続きを楽しみにしてます!

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      直前までどうするか迷っていましたが
      とりあえず2年目に突入しました~!☆
      3年目もあるかどうかは…☆笑

      ゲスト出演は…あるのかないのか…次週のお楽しみデス~!