<憑依>初詣の悲劇2023(後編)~選ばざるを得ない身体~

今年も
”一番お気に入りの身体を見つけ出す”遊びを
神社で繰り広げる憑依人ー

次から次へと、お気に入りの身体に乗り換えていく
彼が選ぶ、今年のベストな身体はー…!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

制服の上から胸を揉みながら
ニヤニヤする美紀ー。

先程まで、女性警官としての使命に燃えていた彼女は
今や欲望の笑みを浮かべてー
”次の獲物”を探していたー

「ーーへへへへ…なかなか美人だしー
 この身体を超える身体はなかなかないかもなぁ」

このままラブホに一人で行って、
いつものように”今年の最高の身体”として
自撮りをするのも良いー。

職務中にそんなことをさせているという
背徳感もあるー

見た目的にはまだまだ上がいるのは間違いないがー、
”女性警官”であるということが、
俊夫をゾクゾクとさせたー

「このまま職務放棄しちゃおっかなぁ…ふふふ」

そう呟いていると、
背後から「あ、あの~…」と、声を掛けられたー。

「あ?」
思わず変な声を出しながら振り返ってしまう美紀ー。

「ーあっ…す、すみませんー!」
振り返ると、そこには着物姿の眼鏡をかけた大人しそうなーーー

”ーーうぉっ…可愛いー!”
美紀の身体でゾクっと興奮する俊夫ー

高校生か大学生ぐらいだろうかー。
着物姿もとても似合っているし、
大人しそうな感じな可愛い子だー

「ーーあーー」
怖い声を出して振り返ってしまったことを思い出し、
咳払いしながら”こいつは警官なんだった”と、
「どうかしましたか?」と笑顔を浮かべて
着物の女に対して返事をしたー

「あ、はいー…あの~…妹とはぐれてしまってー…」
着物の女は心配そうに呟くー。

「妹さんとー…
 ふ~ん」
美紀はそう言いながらも”次はお前に決めた”と、
心の中で笑みを浮かべるー。

聞けば、着物の女は高校生で、妹は中学生ー
人混みではぐれてしまって、
恐らく大丈夫だとは思うけれど、
スマホの連絡も繋がらず、心配になって妹を
探していたところ、
たまたま警察官ー…美紀の姿を見かけて
声を掛けたのだと言うー。

「確かに、心配だね~」
美紀はそんなことを言いながら、
着物の少女に近寄ると、
「あなたのお名前と、妹さんのお名前を教えてもらえますか?」と、
笑みを浮かべたー

「あ、はいー、わたしは丸藤 由佳里(まるふじ ゆかり)でー、
 妹がー」

「ーへ~!由佳里ちゃん!次はお前だ」
美紀が突然、妹の名前を言う前に、由佳里の言葉を遮ったー

由佳里は「えっ!?」と、困惑した表情を浮かべると同時にー
美紀にキスをされて、美紀はその場で白目を剥いて
倒れ込んだー

「ーーあららー」
着物姿の少女・由佳里がニヤリと笑みを浮かべると、
倒れ込んで痙攣している美紀の姿を見て、
足早にその場から立ち去ったー。

「へへへ…こりゃあ可愛いやー…声もいいしなー」
由佳里の身体で、ニヤニヤとしながら、さっきまで憑依していた
美紀が倒れた場所から離れるー。

「ーーーーさて…と、
 あ~こいつ妹、探してたんだったっけなー

 姉がこんなに可愛いとなると、妹はもっと可愛いかも
 知れないし、一応拝んでおくかー?」

由佳里はそんな風に呟きながら、
木陰で両胸を揉み始めるー

「えへへへ…着物の上から揉むのもたまらねぇよなー」
俊夫が下品な表情を浮かべるー
当然、今、下品な表情を浮かべるのは
俊夫本人ではなく、乗っ取られた由佳里の身体だー

「へっへへへへ…鳥肌立ってきたー…」
ゾクゾクしながら、さらに激しく胸を揉んでいると
背後から「お姉ちゃんー!」と、声がしたー

「ー!?」
胸を揉んでいるところを完全に見られてしまった由佳里は
「あー…あ!い、妹ー?」
と、訳の分からない反応をしてしまうー。

由佳里の背後から声を掛けて来たのは、
由佳里が探していた妹ー。

はぐれてしまった後に、
妹の方も、由佳里のことを探していたのだと言うー。

「ご、ごめんースマホ充電し忘れててー」
そう言う妹を見て、
由佳里は「あ~~~ブスだなぁ」と、小声で囁いたー

「え?」
妹が少し驚くー。

”なんだよー、
 お姉ちゃんがこんなに可愛いから、次の憑依対象として
 期待してたのにー、これじゃ話にならねぇな”

妹の方は、少なくとも俊夫から見れば
全く好みではなく
”憑依対象”からもかけ離れていたー

「ーーーあ~いや、なんでもないよ
 まぁ、次はお前じゃないなって思っただけだから」

由佳里に憑依した俊夫が、隠す気もなく
そんな言葉を呟きながら、髪をボリボリと掻きむしっていると、
ふと、由佳里の目に、ある人物が目に入ったー

「ふぉっ!」
由佳里が急に変な声を上げるー

”あの子かわいいー!次はあの子だ”

「えっ!?!?」
状況について行けずに、完全に困惑している妹を無視して、
とても幸薄そうな少女の方に走っていくー

「ちょっと?!お姉ちゃん!?」
混乱する妹は無視ー。

「ーーうぉぉ…なんだか切ない顔つきー…
 可愛いなぁ」

その妹から少し離れた場所で、
一人で歩いていた幸薄そうな少女にキスをしてー、
俊夫は、由佳里からその女に移動したー

「ーーーえへへへへっ…」
ぼ~っと、している由佳里を無視して、新しく憑依した子の手を見つめるー

「ーーあ~~…あんな大人しそうな顔をこんな歪めてると思うとー
 ゾクゾクするなぁ」

笑みを浮かべる少女ー。

そこにー
「咲(さき)ー」
と、母親らしき人物が声をかけて来たー

「咲?あぁーこいつの名前かー」
この子は”咲”と言うのかー

そう思いながら、母親のほうを振り返ろうとするとーーーー

「ふっ…ふおおおおおおおおおおおお!!!!」
咲は思いっきり叫んだー

母親が”そんな声を出すような子じゃない”咲が、
突然奇声をあげたことにびくっとするー。

咲は母親を突き飛ばしー、
走っていくとー
彼氏とデート中だったお目当ての子に、有無を言わさずキスをしたー。

「お、おいっ!?なんだ君はー!?」
俊夫が憑依した女の彼氏が、咲に向かって叫ぶー。

倒れることなく正気を取り戻した咲は
混乱しながら周囲を見渡すー。

「ーーおい!
 香奈(かな)に急に何をするんだ!」

彼氏らしき男が叫ぶー。

だが、当然、咲には憑依されていた間の記憶がなく、
咲は困惑するー。

「え…… ぁ…」
元々、コミュニケーションが苦手なのか、
泣きそうな顔になる咲ー
そんな反応にー困惑する彼氏ー

そして、彼氏が背後にいるはずの香奈のほうを
振り返った時にはー
もう、香奈の姿はなかったー

「ーーあ…???か、香奈ー…?」
姿を消した彼女ー。
その理由が理解できずに、彼氏はその場で
困惑することしかできなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーくくくくっ…」
香奈の身体を手に入れた俊夫は
笑みを浮かべながら学生証を見つめていたー

「へへへへへ…香奈ちゃんねー
 しかしー…可愛いなぁー」

鞄に入っていた手鏡を手に、香奈の顔を凝視するようにして見つめるー

「ーさ~て…そろそろ今年もー…」
ニヤニヤと笑みを浮かべる香奈ー

”今年の一番の身体”を決めたら
俊夫はいつも、カラオケかラブホテルあたりに一人で
移動して、そこでお楽しみをするー。

最後に”今年の一番”を自撮りして
そのまま”わらしべ憑依”を終えるー

「ーーククククー…デート中だったってのも
 背徳感があってたまらないしー…」

ニヤニヤと笑いながら、移動し始めた香奈ー。

「よし、今年はこの女にしよう」
スカートの上からアソコのあたりを触りー
”ついてない”ことを確認するー

昨年は、最後にゴスロリの男の娘に憑依してしまいー
結局、男の娘を”今年の一番”にすることになってしまったー

だが、2度同じ失敗はしないー。
今年こそはー

「香奈!」
背後から声がしたー。

「ーーーあ?」
香奈が振り返ると、そこにはさっき一緒にいた
”香奈の彼氏”がいたー。

「ーあぁ…彼氏かー面倒くせぇ」
香奈がそう言うと、
彼氏は「えっ…?」と困惑した表情を浮かべるー

”俺のわらしべ憑依を邪魔しないでくれよ”
香奈は心の中でそう思うと、
ニヤリと笑みを浮かべながら言い放ったー

「ーわたし、もう新しい彼氏がいるの!
 あんたのことなんて、大っ嫌い!
 だから、もう今日ここで、別れよ!」

香奈が突然言い放った言葉に、
彼氏は「えぇっ!?」と、戸惑いの表情を浮かべるー

「ーあんたなんて大っ嫌い!
 近くにいるだけで虫唾が走る!

 二度とわたしに近寄らないで!
 二度と連絡もしてこないで?

 いい?わかった?」

香奈の強引な発言に
彼氏は反論しようとしたが、
反論の言葉も思いつかずー

「そ…そんな言い方…ないだろ…?」
と、ようやく言葉を吐き出したー。

「ーふん!新しい彼氏の方が何倍もマシ!」
香奈は、心にもない言葉を次々と俊夫の意思で
喋らされた挙句ー

「さっさと、わたしの前から消えて!」
と、叫びながら彼氏にビンタを食らわせたー

彼氏は驚きー、怒りー、困惑ー、恐怖ー、
あらゆる感情を顔に浮かべながら
「わ、分かったよー…!」と声を上げると、
「もう、二度と連絡なんかしない!」と、
捨て台詞を吐いて、そのまま立ち去ってしまったー

「ーーへへーあばよ!」
香奈は笑みを浮かべながら彼氏の後ろ姿に向かって
そう呟くとー
「さ~て、”今年の身体”はこれだァ」と、
笑みを浮かべながら、自分の胸を嬉しそうに見下ろしたー

「結構、声もいい感じだし、今年はカラオケで、
 お楽しみをして、自撮りでもするとするかー」

そんなことを呟きながら、
香奈は、「コスプレも似合いそうだな」と、
”確かこの近くのデパートにそういうお店があったようなー”と
色々お楽しみの夢を膨らませながら、
静かに歩き出したー。

去年は男の娘に間違えて憑依してしまったがー
今年は確実についていないー。

スカートの上からもう一度、確実についていないことを
確認するとー、
「念のためー…」と、スカートの中に手を入れて
確認をし始めるー

「ーおっとー」
人通りの少ない場所で手を突っ込んだつもりだったが、
周囲から視線を集めてしまっていることに気付き、
苦笑いすると、
香奈は「よし!絶対ついてない!男の娘じゃない!」と、
去年のことがトラウマになったのか、
何度も何度もそう呟いたー

「ーーさ~てと、カラオケに行きますかー」

デパートで購入した”おたのしみ”グッズを入れた袋を手に、
嬉しそうに歩き始める香奈ー

だがー
その時だったー

「ーうへへへへへへぇ…
 可愛いねぇ」

背後から奇妙な声がしたー

ゾクッと、寒気を感じながら振り返るとー
お正月早々、酔っぱらったスーツのおじさんが
ふらふらしながら近づいてきたー

「ー!?!?!?」
香奈は表情を歪めるー。

”こいつの知り合いか?”

いやー

”お父さんか?”

と、一瞬訳の分からない思考に至りながらも、
香奈はその酔っ払いを無視して歩き出そうとしたー

がー…

「ーー!?!?!?!?!?」

次の瞬間ー、
そのおじさんが、香奈にキスをしたー。

「ーーってーー おいっ!?!?!?」

そう叫んだ時にはー
もう遅かったー

香奈がその場に白目を剥いて倒れ込みー
俊夫は、通りすがりに香奈にキスをした
酔っ払いのおじさんに憑依してしまったー

俊夫の憑依はー
”キス”で無条件に相手に憑依できてしまうという
”欠点”があるー。

憑依した身体でー
”キスをすると入れ替われる”
しかしそれは同時に、”キスならいつでも入れ替わってしまう”ということを
意味しているー

そうー
変質者の酔っ払いおじさんにキスされてしまった
香奈に憑依していた俊夫はー、
香奈からおじさんの身体になってしまったのだったー

「く…くそっ…!
 ふ、ふざけー…!」

しかもー
俊夫の”憑依”には、
一度憑依した相手にはもう憑依できないという
制限もあったー。

いやー、厳密に言えば”やろうと思えばできる”

だが、前に一度それをした時ー、
2回憑依した身体が、憑依から抜けた際に泡を吹いて真っ青になり、
危うく、その子が死にかけたことがあるー

俊夫は、あくまでわらしべ憑依を楽しむだけで、
”人の命”まで奪うつもりはないー。

だからー
それ以降、絶対に”同じ身体に憑依する”
ことはしないようにしていたー。

少なくともー同じ日に2回憑依するのは
憑依された側の身体にとって、負担が大きすぎるのかもしれないー。

「ーーくそっ!!!!
 もう、神社も出ちまったしー!」

”わらしべ憑依”のルールを自分の中で
こだわりかのように決めている俊夫は、
神社から出た後は乗り換えないーと、
固く決めておりー、

頭を抱えた末に
「あぁ、もう!今年はこのおっさんでいい!」
と、うんざりした様子で叫んだー

カラオケで自撮りする酔っ払いのおじさんー。

俊夫の部屋にー
不本意ながら2年連続で男の写真が飾られるのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

初詣の悲劇、まさかの再登場でした~!★

去年は「体越しと違ってシリーズモノにはしないと思います~!」と
書きましたが、結局今年もやってしまいました!笑

来年は…
どうでしょうネ~?笑

お読み下さりありがとうございました~!

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憑依<初詣の悲劇>

コメント

  1. 匿名 より:

    体越しの咲ちゃん母娘のゲスト出演ですね。
    今年は本編で咲ちゃんは出番なしだったので嬉しいです!

    それにしても、父親が逮捕されたりとかして、咲ちゃん一家は色々と大変なことになってるはずですが、初詣に来られるなら、ある程度は立ち直ったのでしょうか?

    主人公の咲ちゃんへの印象の幸薄そうというのズバリ当たってますよね(笑)。

    あと、香奈ちゃん、自分の知らない内に彼氏と破局させられて気の毒すぎですね~。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!★

      今年も初詣で色々大変なことが起きましたネ~!

      ”初詣の悲劇”は、こんな感じで
      毎年ゲストも出しつつ続けてみるのもいいかもしれません…★!