<皮>過激な家政婦①~依頼~

一人暮らしのOLが興味本位で
”家政婦”を依頼したー。

しかし、やってきた家政婦は…

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「ーー家政婦?」
一人暮らしのOL、宮下 美香(みやした みか)が、
そう言いながら首を傾げると、
弟の雄一(ゆういち)が頷いたー

「いやぁ、だってさー姉さんー」
雄一がそう言いながら美香の部屋を見渡すー。

「ーいくら何でもさぁ…」
雄一がそう言うと、”片付けが苦手”な美香は
苦笑いしながら「し、仕事が忙しくてー」と、呟くー。

美香の部屋は、散らかっているー。
ゴミ屋敷、と言うほどではないが、
それなりに物が散乱していてー
最低限の掃除はしているものの、散らかっているー

そんな、酷い状態だー。

台所も埋まっていて、もはや料理をするどころではなく、
美香はほとんど外食か、コンビニで買ってきたもので済ませているー。

「ーー父さんと母さんも、姉さんが一人暮らしを始めるって
 聞いた時、これを心配してたんだよなぁ」

雄一のそんな言葉に、美香は「ほ、ホントに忙しいんだもん!」と、
頬を膨らませるー。

姉の美香は美人で、気配りもできて、職場でも信頼されているもののー
”家の中では”ご覧の通りの有様ー

姉の本性をする雄一は、外で”いいお姉ちゃんだねぇ”などと
言われるたびに「はははー」と笑ってごまかすしかなかったー。

「ーーまぁ、姉さんが忙しいのは知ってるけどさー」
雄一は言う。

姉の美香が”忙しい”というのは本当だー。
仕事の給料は”同世代と比べても高い”部類に入り、
それなりに稼げているー

だが、その反面残業は多いし、
サービス残業などもありー、
かなり忙しいのは事実だー。

「そ、そうだよ!実家にいる時はここまで酷くなかったもん!」
美香がそう言うと、雄一は「酷い自覚はあるのかー」と、苦笑いしながら、
美香は「ね~ね~!何なの~?揶揄いに来たの~?」と、
不満そうに呟くと、雄一は「はははー、まさかー」と、首を横に振ったー

「ーいやぁ、久しぶりに姉さんの顔が見たかったのとー
 あとはー」

雄一はそう言いながら、とあるチラシを手に、
姉の美香にそれを手渡したー

「ー家政婦…さん?」
美香がそう言うと、雄一は「そうそうー」と、頷くー。

「ーほら、姉さんの家、この有様だしー、
 このままだとゴミ屋敷直行だしー、
 でも姉さんは忙しいしー
 だから、そんな姉さんにピッタリかなって思ってさー

 いや、俺がニートだったら姉さんの家に住み着いて
 掃除してもいいんだけど、
 俺も今週1回しか休みないしさ

 だからー、こんなのはどうかなって」

雄一の言葉に美香は「家政婦か~…」と、言いながら
そのチラシを見つめるー

「ーここ、評判もいいらしいしー、
 料金もそんなに高くないしー」

雄一がそう言うと、美香は少し考えながら
「ーーありがと」と、そのチラシを受け取るー。

「ーーま、無理にとは言わないけどー」
雄一はそれだけ言うと立ち上がって
「じゃあ、そろそろ俺は行くよ」と、帰る準備をし始めるー

「え~?泊まっていけばいいのに~」
美香がそう言うと、「はははー明日も仕事だし、それにー」と、
雄一は部屋を見渡してからもう一度笑ったー

「姉さん一人ぐらいしか、寝るスペースなくね?」

そんな雄一の言葉に、美香は「はいはい、そうですね~」と、
頬を膨らませながら自分の部屋の中を見つめたー。

「じゃ、またー」
数分後ー、美香に挨拶をして、そのまま家の外に雄一が出ていくー。

立ち去っていく雄一。
その後ろ姿を、男が不気味な笑みを浮かべながら見つめていたー。

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1週間後ー。

「おはようございますー」

「ーあ、おはようございますー」

美香は近所の別のアパートに住んでいる男・桧山(ひやま)と、
挨拶を交わすー

美香はこの桧山という男が苦手だー。

以前、美香はこの桧山から告白されたことがあるのだー。
だが、今のところ、恋愛を考えていない美香は、その申し出を
断って以降ー、何となく気まずい。

桧山は別に何をしてくるわけでもないのだがー、
やはり、何となく気になってしまうし、
”もしも恨まれていたらどうしよう”と、そんな不安に苛まれるー。

そうこうしているうちに、会社にたどり着き、
会社で同僚のOL、菜月(なつき)と、いつものように
会話を交わすー。

菜月は同期入社の女性で、会社の中では一番仲が良い子だー。

「ーなんか最近物騒だよねぇ~」
そんな菜月が、スマホを手にそう呟くー

菜月が手にしているスマホには
”傷害事件”のニュースが表示されているー。

数日前ー
傷害事件が発生して、その犯人がまだ逃亡中だというニュースだ。

「ー美香は、一人暮らしなんだし、こういうの、気を付けた方がいいよー」
菜月のそんな言葉に、美香は「大丈夫大丈夫ー」と言いつつも、
少しだけ不安な表情を浮かべるー。

その日ー、帰宅後に今一度”家政婦”のチラシを見つめるー

弟の雄一が持ってきたチラシを見る限りー
依頼する家政婦を選ぶことができるようだー。

「急に強面のおじさんがやってきたらどうしようーとか
 思ってたけど、そういう心配はないってことかなー」

彼氏がいたことのない美香からすると、
相手が男性だと妙に意識してしまい、落ち着かない気がするし、
あっちもやりにくいだろうー。

そんなことを思いながら、
弟が持ってきてくれたチラシから、その紹介所のサイトを開き、
所属している家政婦を見つめるー

「ーーーわ…綺麗な人…!」
その中に、一人だけ、何だか人形のように綺麗な美少女風なー
そんな家政婦がいたー。

他もそれなりに綺麗な人がいるがー
この”綾(あや)”という家政婦だけは
とても可愛らしく、綺麗な笑みを浮かべているその子の年齢は、
美香より1歳年下だったー

20代後半に突入しようとしている美香は
”この年で家政婦か~”などと思いながら
”この子ならお互いに遠慮せずに済みそうだし”と、
思い、綾に家政婦を依頼することにしたー。

優しそうな笑顔ー
安心できそうなその雰囲気に、美香はまだ会ってもいないのに
勝手に安心感を覚えるとー、
「綾ちゃんって呼んじゃおっかな~」などと、
一人ワクワクしながらそう呟いたー

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♪~~~

後日ー
家政婦の綾がやってきたー。

「ーあ、は~い!」
今日は休日の美香が、綾を出迎えるとーー

「ーーー…あ、ーーは、はじめましてー」
と、緊張した様子で綾が、美香に挨拶をしたー。

可愛らしい感じの綾ー。
写真のイメージ通りの雰囲気に、
美香は安心しながら、
家の様子や、やってほしいこと、契約内容の確認など、
事務的なことから、色々、話をしておく必要があることなどを
口にしていくー。

「ーーー分かりました!」
綾が微笑むー。

「ーーーあ、な、なんかごめんなさいー
 わたしの部屋、汚いですよねー
 色々、仕事が忙しくてー」

美香が、足の踏み場を確保しようと、
そんなことを言いながらドタバタとあわただしくしていると、
綾は「いえいえ、そんなことないですよ~」と、笑いながら
首を横に振ったー。

「ーわたしがしっかりと片付けておきますから、
 宮下さんは、安心してお仕事、頑張ってください」

綾のそんな言葉に、美香は
”この子に頼んでよかった~”と、思いながら
次に家に来る日から、早速片付けをお願いすると、
綾は「わかりました!任せて下さい!」と、
明るい笑顔で微笑んだー。

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今日は、挨拶や契約内容の確認、ということで、
綾がそれを終えると、美香の家から立ち去っていくー

そんな綾の姿をー
美香の近所のアパートに住む男・桧山は、
偶然目撃してー、
”あぁー…美香ちゃんの友達かな”と、静かにそう囁いたー。

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数日後ー

いよいよ綾に家のことを任せる初日が
やってきたー。

美香が”べ、別に緊張する必要はないよね…”と
思いながら、何となくソワソワしているとー
インターホンが鳴って、綾がやってきたー。

「は、はいー」
美香が綾の姿をモニター越しに確認して
玄関の扉を開くとー
そこには、先日と同じように綾の姿があったー。

「ーよろしくお願いします」
淡々とそう呟くと、綾は家の中に入っていくー。

「ーーーーーー」
家を無表情で見渡す綾ー。

「ーあ、あのー…き、今日からよろしくお願いします」
美香が、綾にそんな言葉をかけると、
綾は無表情のまま美香のほうを見ると
「はい」と、だけ返事をしたー

何だか、この前最初の挨拶をした時とは別人のように
愛想がないー。
ほとんど何も喋らないし、
何だか気まずい感じだー。

先日、ここに挨拶に来た時には
とっても明るい感じの子、というイメージだったのにー。

”あれって、もしかして、本契約前の営業的なやつだったのかな???”
美香はそんな風に思いながらも
「あ、わ、わたしはー仕事に行く準備をするので、
 よ、宜しくお願いしますー」と、綾に言い放つと、
綾は再び「はい」とだけ呟いたー

ソワソワして机に躓いてしまう美香ー
そのまま苦笑いして、慌てて仕事に向かう準備を始めるー。

美香が隣の部屋に移動したのを見てー
綾は無表情だった顔にニヤリと笑みを浮かべると、
後頭部のあたりを触りながら、
一瞬”ピキッ”とそこに亀裂が入ったようなー
不気味な動きを見せたー。

そんなことは知らずー、
美香は出勤の準備を終えて綾の前に戻って来るー。

「ーーーいってらっしゃいませ」
綾が無表情にー、事務的な口調で呟くー

「ーあ、は、はいー…が、頑張ります!」
気まずい雰囲気の中、美香がオーバーリアクションな
仕草を交えてそう言うと、
そのままソワソワした様子で家を出ていこうとするー

”な、な、なんかこの子ー、
 前と全然雰囲気が違うしー
 き、気まずいんだけど…”

そう思いながら、再び家の散らかったものに足を引っかけて躓く美香ー

「ぷっ…」
背後でそんな声が聞こえて、
美香は思わず顔を真っ赤にしながら振り返るー

「い、い、い、今、笑いましたよね!?」
とー。

だが、綾はもう無表情に戻っていて
顔を逸らしながら「別にー」とだけ返事をしたー

「も、も~~~、な、なんかー い、いえ、
 別に何でもないですー」

美香が何かを言いたげにしながらも
時計を見てもう出勤時間に間に合わなくなると思ったのか
そのまま慌てて家の外に出ていくー。

綾はそんな美香を不愛想に見送るとー、
美香がいなくなった途端にニヤリと笑みを浮かべたー

両胸を触りー
ペロリと人差し指を舐めるとー
「ーあ~~~♡ くくくくくく…♡」と、
不気味な笑みを浮かべて、
そのまま鏡を見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「は~~~~~~」
仕事を終えた美香は、落ち込んだ様子で
とぼとぼと歩いていたー。

仕事でミスをして、叱られてしまったのだー。

”わたしのミスだから仕方ないけど…はぁ~~”

何度も何度もため息をつきながら
自分の家の前まで戻ってくると、ふと電気がついていることに気付くー

びくっとして、
そのままこっそり家に向かいーーーー

玄関の扉をそーっと開けてーーー

こっそり家に忍び込みーーー

そしてーーー

「ぎゃああああああああああああ!?!?!?!?」
部屋に入って、綾がいるのを見て悲鳴を上げる美香ー

綾がビクッとして、美香のほうを振り返りー、
「あ???」と、首を傾げているのを見てー
美香は突然悲鳴を止めて「あ」と、呟くー

「ーー家政婦さん、お願いしてるの忘れてた」
テヘッ、と笑う美香を見てー
綾は思わず、再び「ぷっ」と、馬鹿にするような笑みを浮かべたー

深呼吸して、自分を落ち着けて
帰宅後の後片付けを始める美香ー

部屋は綺麗に片付いているー。

「ーありがとうございますー」
美香がそう言うと、綾は「いえ、仕事なので」とだけ答えて、
そのまま帰宅する準備を始めるー。

そんな姿を見ながらー
美香は”な~んか、やっぱりこの子ー、前と全然別人なようなー…”と、
心の中で、得体の知れない不安を感じ始めていたー。

②へ続く

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コメント

まだ”過激な”ことは何もしていませんが、
それは②以降のお楽しみデス~!

今日もありがとうございました~!

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皮<過激な家政婦>
憑依空間NEO

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