<憑依>体越し2018①~大晦日~

憑依能力を持つその男は、
1年に1回、”からだ”を乗り換えていた。

毎年大晦日の日、
年が変わるタイミングで、からだを捨てて、
新しいからだに憑依するのだ。

彼はそれを”体越し”と呼んでいる。

そしてー2018年最後の日。
今年も、彼は”身体”越しをするー。

※昨年も年末年始に書いた体越しの続編デス!

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2017年の大晦日の日に覚えた悲劇を覚えているだろうかー

大晦日の日に、年越しカウントダウンのイベントに来ていた
大学生カップルの
星野 梨花(ほしの りか)と、その彼氏の三本 慶介(みつもと けいすけ)。

梨花は大人しい性格で、悩むを抱えていたところ、
慶介が声をかけて恋人同士となった。

しかしー
そんな幸せなカップルに魔の手が伸びた。

9年前、
男はあるところで憑依薬を手に入れた。

その男は
”1年間”
女性の身体を奪って楽しんでいる。

彼は色々な人間の人生を楽しみたかった。

そこで、毎年年越しの日に、体を乗り換えて
1年間そのからだで過ごすことにしている。

もちろん、男の思うが儘に、だ。

2017年、
彼は優亜という女性に憑依していた。

真面目だった優亜はすっかり変えられてしまい、
エッチな女になってしまっていたー。
彼氏も誘惑され、彼女の虜だった。

そしてー
その年末ー
カウントダウンイベントでー

年越しと共に男は優亜の身体を捨てて、
梨花に憑依した。

豹変した梨花は、彼氏の慶介から無視されるようになり、
激しく怒りを露わにしていたー

あれから1年ー

2018年の年末ー
今、憑依されてしまった梨花はどうしているのだろうかー。

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2018年12月31日。

とある3人家族が
家の中で楽しく談笑していた。

波野家ー。
幸せな夫婦と一人息子。

4歳の息子と、
25の父、24の母ー。

大の仲良し家族だった。

「---夜、混雑してそうだなぁ~」
和彦(かずひこ)が言うと、
妻の若菜(わかな)が微笑む。

「--その混雑がいいんじゃない
 年末の雰囲気が出て~」

若菜の言葉に、和彦が「ま、そうだな」と微笑む。

若菜は大学時代は、大学内でも有数の
美女として人気だった。
しかし、そんな若菜が結婚相手として選んだのは
高校時代からの付き合いの和彦だった。

別の大学に通っていても、2人の絆は
しっかりと続いていたのだった。

24になった今も、若菜はとてもきれいだー。

「--いくつになってもワクワクしちゃう!」

無邪気な若菜を見て、和彦は微笑む。

何歳になっても、時々子供のようにはしゃぐ若菜が
大好きだった。

そんな、幸せが
年越しと共に壊されてしまうことを、
まだ、知らないー。

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「--ふふふっ、ありがと!」
梨花は、彼氏の慶介から
お金を手渡されて笑っていた。

網タイツ姿で、彼氏である慶介に
自分の太ももを触らせながら
梨花は、たばこの煙を吹かせて笑う。

「---あ~!今日は大みそかね~!」
梨花がバカにしたようにして笑う。

梨花はーーー
真面目で大人しい大学生だったー

2017年の大晦日の日まではーー

しかし、2018年になった時から、
梨花はおかしくなった。

突然豹変し、エッチなことを求めるようになり、
大学で問題を起こして辞めた挙句、
慶介を脅すようになったのだー

奥手で控えめだった梨花の突然の豹変。

慶介は、梨花の横暴な態度が我慢ならずー
2月、別れを告げたー

しかしー
梨花は慶介を脅した。

「--別れるなら、
 あんたに乱暴されたって、みんなに言いふらすけど?」

と。

梨花とは思えないような狂った表情だった。

大学にも、家族にも、友人にも、SNSでも、
慶介に乱暴されたとばらすと言うのだ。

梨花は大人しく真面目な性格ー。
だから、もし騒がれたら
どっちが不利かは明らかだった。

それ以降ー
慶介は、梨花に脅され続けて
年末まで過ごしてきた。

「--ははっ、じゃあ今日でお別れか」
梨花が胸を触りながら笑う。

「---お別れ?」
すっかり弱った表情の慶介が聞き返すと、
梨花は微笑んだ。

「----そう、お別れ」
梨花が甘い声で微笑み、たばこを投げ捨てると慶介の方を見て笑う。

”今回はー
 ネタ晴らししてやるか”

梨花に憑依している男はそう思った。

いつも、年越し前に、
周囲の人間に”この女は年始からずっと憑依されていたんだぜ”と
告げるか、告げないかを男は迷う。

何も告げないまま、憑依から抜けて
困惑させるのも面白いし、
憑依されていた事実を告げるのも面白い。

相手の反応が、たまらなく、面白いのだ。

「---知ってる?
 わたし、今年に入ってからどうしておかしくなったのか?」

梨花が足を組みながら微笑む。

「--どうしてわたしがエッチな女になっちゃったのか!
 どうしてわたしが変態になっちゃったのか!
 知りたくな~い?」

梨花が舌で唇を舐めながら言うと、
慶介が言う。

「…ど、、どうしてだ…?」

慶介の目には涙が浮かんでいた。
慶介は梨花を信じていたし、
梨花のことが好きだった。

それが、今では大学もやめて、
働きもせずに、慶介からお金をむしり取っている。

それだけじゃないー
男を誘惑して夜遊びばかりしているー

こんな子じゃなかった。

慶介が知る、梨花は、こんな子じゃー。

「わたし…1年前のカウントダウンイベントで
 身体、奪われちゃったの~
 あははははははっ♡」

梨花が髪の毛を触りながら笑う。

「-今じゃ、この身体は全部わたし…
 いいや、俺のもの…!

 ふふふ、1年もいっしょに居て気づかなかったの~?」

梨花が見下したように笑う。
慶介は何も言えず、拳を震わせていた。

そういうことだったのかー、と。

確かに、あのカウントダウンイベントー
そう、2018年になったときから梨花は
おかしくなった。

何故だろうかとずっと考えていた。
付き合ってから本性が出てきた可能性もあったが、
慶介には、そうは思えなかった。

だが、これでようやく分かった。

「貴様…!」
慶介は梨花の胸倉をつかむ。

しかし、梨花は、鼻で慶介を笑った。

「-殴れば?」
梨花が開き直った様子で笑う。

「どうせ、今日で俺はこの女から出ていく。
 去年と同じように。
 覚えてないか?
 去年、別の女が、スカート脱いだりして
 喘ぎ始めたのを。」

梨花の言葉に、慶介は凍りつくー

そう、1年前のカウントダウンのイベント会場で、
変な女がいたー

「まさかー!」

「ピンポーン!2017年はあの女で、
 今年はこの女で、
 そして来年はぁ~!」

梨花が笑いながら網タイツに包まれた足の
太ももをペロペロと舐めている。

「--ま、そうと決まったら
 今年もいこっ!カウントダウンイベントに!」

慶介は無言で梨花を睨んでいる。

「--り…梨花を…梨花を返せ!」

そう言うと、梨花は、お尻をパンパンと
叩きながら微笑んだ。

「--だから返してあげるって、
 カウントダウンイベントの会場で…ネ?
 1年ぶりの再会…
 ぞんぶんに楽しみなよ!くふふふふふっ!」

梨花はそう言うと、
冷たい声で

”お前に拒否権はねぇよ。
 断るならお前とこの女の人生、
 滅茶苦茶にしてやるぞ”

と囁いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

23:50

2018年も、間もなく終わる。
色々あったこの1年。

幸せだった人も、
そうでなかった人も、
来年こそは、もっといい年にしたい、
そう思いながら、残り10分間となった
今年に想いを馳せた。

「--綺麗…」
ライトアップされたカウントダウンを
見つめながら、24歳の母・若菜が微笑んでいた。

「--そうだな」
息子をだっこしながら夫の和彦も
それを見つめている。

少し離れた場所から、その家族を梨花が見ていた。

「来年は…幸せそうな人妻になるか…
 ふふふっ」

「---お ま え に き め た」

そう微笑むと、背後にいた慶介の方を見て笑う。

「~~さ~~!この身体も用済み!」
ミニスカート姿の梨花は、腰に手を当てて、微笑みながら
歩き出した。

「---な、何をするつもりだ」

慶介は、去年、この場所で突然おかしなことをし始めた
女性のことを思い出す。

まさか、梨花もそんな風にー

梨花は突然慶介に抱き着いてきた。

「---!?」
慶介が梨花の唇の感触を感じて、
ドキッとする。

梨花は悪い笑みを浮かべながら
自分の髪の毛をグシャグシャにする。

「はぁ♡ はぁ♡
 あんたとのエッチ、
 まぁまぁよかったよ♡
 はぁ♡」

梨花が甘い息を吐きながら笑う。

そして、にこっと微笑むと、
梨花は突然大声を出した。

「さ、、、触らないで!!だ、、誰か!!!」
梨花が泣き叫ぶーー

23:55

「ーーー助けて!!!助けて!!!」
服と髪を乱した女子大生ぐらいの女が
騒ぎ出して、周囲が騒然とする。

「--なんだなんだ?」
夫の和彦がそちらの方を向いている。

「--なにかあったのかな?」
妻の若菜も不思議そうにそちらを見つめる。

「わたし!彼氏に乱暴されてるんです!
 助けて下さい!お願いします!」

梨花が大声で叫ぶ。

「彼氏に…ここで服を脱がないと殺すぞ…って
 脅されて…ふふ♡」

大人しそうな表情をゆがめながら梨花は叫ぶ。

「ああははは♡ 服、脱がされちゃうんです…
 はずかしい!はずかしいぃぃぃ!」

梨花は服を乱暴に脱ぎ捨てながら笑う。

とても、彼氏とやらに脅されている風には思えない。

「--やめろ!やめろ梨花!」
慶介が駆け寄る。

しかし、梨花の腕を掴んだ慶介を
梨花は乱暴に振り払った

「どけっ!」

梨花はそう言うと、狂ったように笑いながら
全ての服を脱ぎ捨てた。

「んんははははははははは~~~♡
 わたし、彼氏に脅されて痴女になっちゃった~~~!」

全裸の梨花が大笑いする。

周囲が唖然としている中、梨花が叫んだ。

「--わたしってば~~へんた~~~い♡」

テーマパーク中に花火の音が響き渡る。

Happy New Year

2019年が訪れたー

花火に一瞬気を取られていた慶介が
梨花の方に視線を戻すと、
梨花は倒れて、気を失っていた。

梨花が痙攣している。

「--り、、梨花!梨花!」
梨花を抱きかかえて呼びかける慶介。

そこに、警察官たちがやってきた。

呆れた表情の警官たち。

全裸で気を失っている梨花と
それを抱きかかえる慶介。

「--ここは…お前たちの家じゃないんだぞ」

慶介が周囲を見渡す。

カウントダウンイベント会場のテーマパーク…。
冷たい視線が周囲から注がれている。

「ちがっ…違う…!」
慶介は叫んだ。

「えっ…あ…あれ…?」
梨花が意識を取り戻して
ーーー大声で悲鳴を上げたーーー

・・・・・・・・・・・・・

「ぷっ…」

それを見ていた妻の若菜がそれを笑った。

「---若菜?」

夫の和彦が若菜に声をかけると、
若菜は小声で呟いた

「ばかな女…」

と。

「---え?」
和彦が聞き返すと、
若菜は振り返って微笑んだ。

「ううん。なんでもない!」

その笑みはーー
少し、歪んでいたーー

”ふふふ…旦那さんよ…
 今日からが地獄の始まりだぜ”

憑依された若菜は心の中でそう呟くと
これから始まる1年に想いを馳せて、歩き出したー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

今年の年末年始もまた新しい被害者が…!
続きは明日デス~!

今年も1年間ありがとうございました!
たくさんの皆様にお読み頂けて
とても嬉しいです!!

こんな私ですが、来年もよろしくお願いします!
良いお年を~☆

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憑依<体越し>

コメント

  1. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    去年の時点だと憑依者の思い通りになってない感じでしたが、その後脅迫されてひどい目に遭ってたんですねぇ……。
    今度の人妻はどんな目に遭わされちゃうのか、ぞくぞくします!

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 去年の時点だと憑依者の思い通りになってない感じでしたが、その後脅迫されてひどい目に遭ってたんですねぇ……。
    > 今度の人妻はどんな目に遭わされちゃうのか、ぞくぞくします!

    ありがとうございます!
    1年間、私たちのように色々あったのだと思います笑