＜憑依＞体越し2020①～新たなターゲット～

「1年に1度」
身体を乗り換える男がいたー。

憑依能力を持つその男は、
毎年、新年を迎える瞬間に、次の身体に憑依する。

それを彼は、
”体越し”と呼んでいた…。

今年も、彼は当然、”次の身体”へと移動しようとしていた…

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4年生になった少女・咲（さき）は、
すっかり”悪女”になってしまっていたー

2020年の元旦に男に乗っ取られてしまった彼女は
それまでの”良い子”から豹変ー

両親のお金を盗みー
咲がよく通っていた駄菓子屋で万引きを繰り返しー
学校ではいじめに加担したー。

最初は”咲ちゃんがそんなことをするはずがない”
そんな風に、誰も、咲のことを疑わなかったがー

夏頃だっただろうかー。
ついに悪事が全てバレてー
両親は、咲の豹変に泣きじゃくったー

咲がよく利用していた駄菓子屋のおばあちゃんは
孫のように可愛がっていた咲が、
豹変して”悪い子”になってしまったことに傷つきー、
失意のうちに、体調を崩し、秋ごろに死んでしまったー

「－－－くくくくく」
まるで子供とは思えないような邪悪な表情を浮かべながら咲は
テレビを見つめているー

「－－－来年はーーーーー」

12月31日ー
そうーーー
”大晦日”は、彼にとって、年越しを迎える日でもありー
”体越し”を迎える日でもあるのだー

彼は、憑依の力を駆使して、
毎年”異なる身体”で生活しているー

今年は、咲という少女ー
乗っ取ったときは3年生だったが今は4年生になったー

2019年は、人妻の若菜（わかな）－
2018年は、女子大生の梨花（りか）ー
2017年も、同じく女子大生の優亜（ゆあ）ー

毎年毎年、身体を渡り歩いているのだー。

「－－－－－－」
咲はイヤらしい目つきで、ポテトチップスをむさぼりながら
テレビを見つめているー

人気アイドルグループの映像を見つめている咲ー

「－－来年は…アイドルだぁ…くくく」
唇をペロリと舐める咲は、
ツインテールの髪を揺らしながら笑みを浮かべるー。

人気アイドルグループのメンバー・あかりー。
あかりに憑依して、2021年は、アイドルとして
過ごそうー。

彼は、既にそう決めていたー。

あかりを選んだ理由は色々あったー。
アイドルという立場の人間に憑依してみたい、と思ったことー
純粋に、清純派アイドルのあかりに興味を持ったことー
複数の理由から、あかりに憑依することを決めたのだったー

「－－ったくよぉ」
咲は頭をかきむしるー

男が毎年、乗っ取った身体で足を運んでいる
年越しイベントは、今年は中止だー。
今年は、色々なことがあったー
大勢の人間が集まるイベントは軒並み中止ー。
男が参加する年越しイベントも、中止になっているのだー。

「－世の中リモートリモートだからなー」
咲は笑みを浮かべたー

「－－俺もリモートで憑依するとするかな」
ツインテールの髪を触りながら咲は、不気味な笑みを浮かべたー

「今年は仕方ねぇ。
　世間の流れに乗って、テレ憑依で我慢してやるぜ」

咲はそう呟くと、
「さ～て、ご両親に挨拶でもしてやるかなぁ」と、笑みを浮かべたー

仲良しだった家庭は、既にズタボロー。
咲が急に悪い子になったことで、
両親の仲まで悪くなってしまったー。

それほどまでに、この1年間ー
”良い子だった”咲の身体で滅茶苦茶なことを
やり続けてきたのだー。

娘が悪いことをすればするほどー
父親も、母親も次第に、ストレスからか、
八つ当たりをするようになり、
今ではもう、家庭はズタボロー

「ふふふふ」
鏡を見つめる咲ー。

この身体では、さすがにできないこともあったー。

その”反動”とでもいうべきだろうかー。
来年は、アイドルの身体で
これでもか！というほどにエッチなことを
しまくるつもりだったー。
アイドル・あかりの身体がぶっ壊れてしまうかもしれないが
そんなことはどうでもいいー

淫乱女として世間を騒がせることになるかもしれないがー
そんなことはどうでもいいー。

ちょうど、あかりたちの所属するアイドルグループは、
年末ライブの番組に出演するー
あかりは未成年のため、年越しの時には
「観客」として、出演するようだが、
それでもかまわないー

テレビにあかりのライブ映像が映っていればー
彼は、憑依できるー。

「くくく…あかりちゃんよ…
　お前の2021年は、エロのために存在するんだぜ」
咲はそう呟くと、ペロリと唇を舐めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーふ～～～～」
現役女子高生アイドルのあかりは、
今年最後のレギュラー番組の収録を終えると、
メンバーたちとスタジオを後にしたー。

「－－－今年もお疲れ様でした」
番組スタッフに礼儀正しく挨拶をするあかりー。

中学の頃から、アイドルとして活動して、
今では人気アイドルとなったあかり。
けれども、あかりは決して驕らず、
今でも謙虚な姿勢を貫いていたー

両親の教えが、あかりを、そうさせているー

”どんなに人気が出ても、それで有頂天になってはいけない”
そう、両親から、ずっとずっと言われ続けてきているからだー。

あかりはいつも、ファンや、
スタッフの人々への感謝を忘れずー
謙虚に生きて来たー

そのおかげもあってか、
今は清純派として、多くのファンを引き付けているー。

「－－－－良いお年を」
あかりが頭を下げるー。
番組スタッフたちからも「お疲れ様でした！」と声が掛かるー。

あかりは、今年1年間のレギュラーの仕事を終えて
残りは、年末カウントダウンの生放送に出演するだけ、となっていたー。

「－－－－」

あかりは、スタイルがとても良く、
高校生とは思えないような、身体つきをしているー

本人はそれを誇ることもなく、
礼儀正しくー
謙虚なふるまいを崩さないー

もちろん、腹黒女子高生アイドルーー
ではなく、
あかりは、純粋に、真面目な少女だったー

だがー
それが”男”に狙われる原因になってしまったー
などということは、あかりは夢にも思っていないー。

「－－－いいもん持ってるのに、
　使わないなんて、勿体ないじゃないか。くく…
　俺が代わりに、来年は、たっぷり使ってやるからな」
咲はそう呟くと、
両親の待つ部屋に向かったー。

「－－おとうさん、おかあさん！」
悪い子の笑みを浮かべる咲ー

この1年で咲の顔つきまで変わってしまったー
成長期に邪悪な人間が憑依したせいだろうかー。

顔つきが、可愛らしい顔つきから、
いじわるそうな、悪そうな顔立ちに変わってしまったのだー

”成長期の憑依は、成長にも影響を与える…のかもな”
男はそんな風に思いながら笑みを浮かべたー。

「咲が悪い子になっちゃったの、どうしてか分かる～？」
咲がクスクスと笑うー

「－－－どうして」
母親が呟くー

その表情には生気がないー
この1年で、既に家庭は崩壊しているー

「わたしね～～、悪魔に乗っ取られちゃったの～！
　うふふふふふふっ」
咲が笑うー

咲の言葉の意味が分からないー
いや、もう、考える気力すらも両親はなくしていたー

この1年、”想像を絶する絶望”をこの両親は味わったー。

乗っ取られた娘・咲の悪行によって、
何もかもが、崩壊してきたのだー。

「－－－…何を言ってるんだ　咲」
父親が言うー。

「－－－ふふ、あ、もう、娘のこと心配する気力も
　失っちゃった～？？？

　ま、いいや、2021年になれば、元の咲ちゃんに会えるよ！
　あはははははっ！」

咲はそう言うと、
「めっちゃくちゃになっちゃったねぇ～！この家！」と
嬉しそうに笑い始めたー。

そしてー
咲は、子供が絶対に知らないような言葉を
次々と口にし始めたー

生々しいー
男女の話だー
性行為の話やら、大人のおもちゃの話やらー
咲の口から信じられない言葉をたくさん、口にさせたー

「－－咲…あなたいったい…？」
母親が怯えた表情を見せるー。

「－－ん～～～？？？？？ははっ！
　ま、急に憑依なんていわれてもわかんないよねぇ～！

　あ、そうだ！わたし、年越しの時、大事な用事があるから
　二人は、邪魔すんなよ！」

咲はそう言うと、笑いながらお風呂の方に向かっていくー

”咲ちゃんとして最後のお風呂だー”

そんな風に思いながらー
”早く、激しくヤリてぇなぁ”と、笑うー。

この身体では、まだ成長してなくて
満足に楽しめないー
あかりの、スタイルの良いあの身体ならー
ＪＫの身体でも十分に楽しめるはずだー。

早くー
早く、年越ししたいー

咲はそんな風に思いながらクスクスと笑ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

年末のスペシャル番組に出演するため、
あかりと、
同じグループのメンバー3人が、
スタジオにやってきていたー。

あかりたちは未成年であるため、
年明けの時には観客としてスタジオに残るー。

「－－♪～～」
いつものように、可愛らしい踊りと歌を披露するあかりー。

年末のクイズや雑談ー
すっかり慣れた”生放送”ー

あかりは難なくこなしー
ゲストのお笑い芸人からいじられながらー
23時30分になり、
あかりたちの出番は終わりー
あとはスタジオで、ゲストとして、
招待された一般人や、他のゲストと共に
”番組を見つめる側”に回るー。

あかりの身に、あと30分で、恐ろしいことが起きるとは、
あかりも、周囲も”夢”にも思っていなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「－－－ふふふふふ…ははははははははっ！」

咲は一人、電車に乗り、夜の街を移動していたー。

「－－－－－はぁぁ～～～
　この子、知らない場所で目を覚ましたら、
　どう思うかなぁ～ははは」

咲はニヤニヤしながら短いスカートから覗く足を
ぶらぶらさせながら笑うー。

今年はどうせ、男がいつも赴いているカウントダウンイベントは
行われないー
1年間、色々なものが失われたー

だから、今年は、どうせなら
”いつもできないこと”をしたいー

家で新年を迎えるのも良かったが、
それではつまらないー。

この子を、家から離れた場所まで移動させて、
そこで、アイドルのあかりに乗り換えようー。

この子が、見知らぬ場所で目を覚ました時どうなるのかー。
それも、ちょっとした楽しみだー。

それに、両親に黙って、家を飛び出したー
両親は今頃、家出だと騒いでいるに違いないー。

「－－ふふふ、1年間ですっかり悪い子になっちゃったなぁ～」
咲は自分の頬を触りながら笑ったー。

そしてー
ずいぶん遠い場所までやって来ると、
親を脅して3か月前に購入させたスマホで、
テレビ番組を見つめたー

あと10分で年越しー。
アイドルのあかりが、にこにこしながら
スタジオで年越しの瞬間を待っているー

「－－あと10分で、俺があかりだー。
　2021年は、アイドル活動を楽しむとするかぁ…へへ」

咲が笑っているとー

ザッー

誰かが近づいてきたー

「－？」
咲が、近づいてきた男を見つめるー

「－－－やっと、見つけたー」
男が呟くー

「－－は？」
咲が表情を歪めるー
幼い顔立ちをギリギリまで歪めて、
やってきた男を見つめるー。

「－－－－－－ん？」
咲は、その男をどこかで見たことがある気がしたー。

「－－－慶介（けいすけ）だよ。覚えているか？」
その男ー三本　慶介は言ったー。

「－－－－－－お～～～！久しぶりぃ！」
咲は笑みを浮かべたー

2018年の”体”
女子大生の梨花の彼氏だったやつだー。

「－よく俺を見つけたなぁ！久しぶりじゃねぇか！」
先が小さな身体を震わせながら笑うー

「－ーー俺の”入れ物”は元気か？」
咲が笑うー。

男は基本的に、年越ししたあと、
そいつがどうなったのかを知らないー。

「－－梨花は…」
慶介が手を震わせるー

「梨花は、去年の夏に自殺したよ！」
怒り狂った様子で慶介が襲い掛かって来るー

「－－俺はずっとずっとずっと、お前を探すために、
　あの会場で豹変した女性を探し続けて来たんだ！
　そしてやっと見つけた！
　2020年の元旦に、会場にいて、豹変した子をー！！！

　そして今日確信したよ！
　大晦日の夜に移動し始めたお前を見てな！」

慶介に取り押さえられる咲ー。

咲は「きゃ～～～～～～！」とわざとらしく叫ぶー

慶介は「！」と周囲を見渡すー

「－－へへへ、あのなぁ…？今の状況、
　２０そこそこの男が、小さな女の子を
　襲ってる状況だぜ？」
咲が笑うー。

「－－く、くそっ！貴様！何が目的だ！お前は誰だ！」
慶介が叫ぶー

咲は笑ったー

「俺は、体越しを楽しむ男さー。」
咲の挑発的な笑みー

「そっかぁ～”2018年の俺の入れ物”壊れちゃったかぁ～」
咲が笑うー。

「貴様ぁ！俺だけじゃないぞ！お前が去年利用していた
　若菜さんの夫も、お前のこと、血眼で探しているぞ！」
慶介の言葉に、咲はニヤァ…と笑みを浮かべたー

「－－お前をその身体から引きずり出してーーーーーー

”Happy New Year”

咲の持っていたスマホからーーー
そう聞こえたー

「－－！」
慶介が、咲の落としたスマホを見るー

年越し番組がー
2021年の到来を告げているー

「－－－！」
慶介が咲を見るとー
咲はもう、白目を剥いて、気絶していたーー

”男”が別の身体に移動したー

「くっ…」

ぐったりとしている咲ー

周囲の人が駆けつけてきてー
「何をしているんだ！」と叫ぶー

「くっ…」
慶介は拳を震わせたー

「くっそおおおおおおおおおおおおおおお！！！！」

・・・・・・・・・・・・・・・・

「－－－－ねぇ、大丈夫？」
アイドルグループのメンバーが
ぴくっと震えたあかりに声をかけるー。

「－－－うん！だいじょうぶだいじょうぶ！」
にっこりとほほ笑むあかりー

2021年ー
男は、アイドル・あかりに憑依したー

「－－－ふふふふ」
あかりは妖艶な笑みを浮かべながらー
周囲に悟られないように、自分の胸を触ったー

今年のテーマは
”淫乱アイドル”だぜー。

男は、静かにそう囁いたー

②へ続く

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コメント

毎年恒例の「体越し」を今年も無事にお届けできました～！

2017年⇒2018年
2018年⇒2019年
2019年⇒2020年

そして今年！

4回目の体越しですネ～！

今年の憑依空間の更新はこれで最後デス！
今年は1年休まず更新できて、一安心（去年は一度体調を崩して1週間ぐらい休みましたネ）デス！

たくさんの皆様にご覧いただけて、今年も本当に幸せでした！

また来年も頑張ります＆よろしくお願いします～！

良いお年を～☆！
ありがとうございました！！