高校2年の少女、荒川 真由(あらかわ まゆ)
彼女は、とある男子から嫌がらせを受けていた。
彼女はある日、ついに怒りを爆発させ、
その男子生徒を懲らしめることを決意するー。
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荒川 真由(あらかわ まゆ)は、今日も憂鬱だった。
クラスメイトのストーカー男、
黒松 冬樹(くろまつ ふゆき)が今日もわけのわからないことを
言ってきたからだった。
「そう落ち込むなって」
彼氏の戸倉 金治(とくら きんじ)が言う。
「--そうは言っても…」
真由は険しい表情で答えた。
メガネをかけた大人しそうな少女だが、
その表情には嫌悪がにじみ出ていた。
「--まぁ、俺もあいつはおかしいとは思うけどよ…」
彼氏の金治は、どんなときでも真由を大切にしてくれる
大事な存在。
去年付き合い始めて、
その関係は良好だ。
そしてーー
最近、真由は冬樹というクラスメイトから
付きまとい行為を受けていた。
「--でも、黒松くんには困っちゃうなぁ…
私のこと、彼女だと思いこんでるんだもん。
本当にイヤになっちゃう!」
真由は、穏やかな性格だったが、
ここ最近の冬樹の、常軌を逸脱している…ともいえる
ストーカーぶりには呆れていた。
「--ま、それだけお前のことが好きなんだろ?」
彼氏の金治が冗談っぽく笑う。
「ちょっと!やめてよ気持ち悪い!」
冬樹に対しては何故だか無性にイライラする。
それだけ、自分自身でも嫌なのだろう。
付きまとわれて良い気分の女なんて普通は居ない。
ビッチ女なら話は別かもしれないけれど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後。
真由が昇降口から出ると、
背後から、ストーカーの冬樹が姿を現した。
「なぁ、真由!冗談はやめてくれよ!
あんなやつに騙されるなよ!」
冬樹が言う。
「--騙される?はぁ??」
真由は声を荒げた。
「--ねぇ、あんた自分が何してるのか分かってる?
私にこれ以上、付きまとわないで!」
真由が言うと、冬樹が叫ぶ。
「--付きまとい?違うよ!
俺がお前の彼氏だよ!」
「---やめてよ!気持ち悪い!」
真由が叫ぶと、冬樹が悲しそうな表情を浮かべた。
「---あ、先生!」
真由が叫ぶ。
たまたま近くを通りがかった生活指導の先生、
中田先生を呼ぶ真由。
「どうした?」
中田先生が振り向くと、真由は言った。
「黒松くんが付きまとってきて困ってるんです!
どうにかしてください!」
真由が言うと、
冬樹は必死に弁明を始めた。
だが、中田先生は
「おいおい、黒松、そういうことはよくないぞ」と
言って、冬樹を生活指導の部屋へと連行していった。
「はぁ…最悪…」
真由はため息をついて、自宅へと戻っていった。
自分の部屋についた真由は、
机の上の写真を見つめた。
そこにはー
遊園地の観覧車をバックに
真由とーー、
ストーカー男の冬樹が写っていたー。
「--金治…」
真由は写真の冬樹を指差して、
彼氏の”金治”の名を呟いた。
彼女にはーーー、
写真の冬樹が金治に見えていたー。
「-明日、しっかり言わなきゃ」
真由は決意する。
ストーカー男の冬樹に、
明日面と向かって、しっかりと文句を言おう、と。
「証拠もあるし」
真由は、袋に入った手紙を取り出す。
そこにはーー
金治から届いた愛の手紙が大量に入っていた。
「---気持ち悪い…!」
ストーカーから届いた手紙。
その差出人は”戸倉 金治”
だが、彼女には、そのストーカーからの手紙が、
黒松 冬樹から差し出されたものに見えていた。
ーー真由は”洗脳”されていた。
本当の彼氏は、冬樹のほうだー。
そして、金治は、彼氏などではなく、彼こそがストーカーだ。
だが…
真由は、洗脳されて記憶を書き換えられていた。
本当の彼氏である冬樹を、ストーカーだと思い、
ストーカーの金治を、彼氏だと思うように、
記憶を書き換えられていた。
だからーー、
デートの写真は金治と写っているように見えるし、
ストーカーからの手紙の差出人は、冬樹と書いてあるように見える…。
「---許さない」
真由は、”彼氏”であるッ冬樹をストーカーと認識して、
憎しみを燃え上がらせていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
生活指導の中田先生に呼び出された冬樹は
厳重注意を受けていた。
「--あのなぁ、お前がこれ以上、彼女に
付きまとうなら、停学や退学の処分をしなくちゃ
ならなくなる。
分かるか?黒松」
中田先生が頭をかきながら言う。
冬樹は悔しそうな表情で中田先生を見つめた。
「--真由は、俺の大事な彼女です」
冬樹がそういうと、中田先生はため息をついた。
「でもなぁ、彼女が嫌がってるんだ。
お前、分かってるよな?
それって、典型的なストーカーだぞ?
いいか、もう一度言う。
彼女は嫌がってるんだ!」
中田先生が語気を強めた。
冬樹は「でも…!」と言いかけたが、それをやめた。
確かに、第3者から見れば、自分は別れた彼女に
固執し続けるおかしなやつだと思われても仕方が
ないのかもしれない。
だが、冬樹には分かるー。
真由は、ある日を境に急に変わった。
何かと彼女にちょっかいを出してきて、
真由自身も気持ち悪い…と怯えていたクラスメイトの
金治に突然ベタベタし始めて、
冬樹のことを避けるようになったのだ。
金治のやつが、何かしたに決まっている。
このまま引き下がるわけにはいかない。
話を、聞く必要がある…!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後。
真由と金治が昇降口から出ていた。
「--金治くんったら♪」
「ははは…!」
イチャイチャしながら出てくる2人。
2週間前だー。
2週間前までは、冬樹がこういう立場だったのに・・・!
「真由!」
物陰から冬樹は飛び出した。
「お前、そいつに何をされたんだ!」
金治を指差しながら叫ぶ冬樹。
金治はニヤつきながら首を振る。
金治はもともと粘着質で諦めが悪く、
嫌味っぽい男子生徒だった。
冬樹と真由が付き合い出したあとも、
金治は片思いしていた真由を諦めきれずー、
2週間前に、真由を手に入れた。
冬樹から、真由を奪ったのだ。
「--またアンタ…
ねぇ、もういい加減にしてよ!」
真由が叫ぶ。
その目には怒りと恐怖、涙が浮かび上がっていた。
「なぁ、理由だけでも説明してくれよ!」
冬樹は納得行かず、叫ぶ。
もしも本当に、真由が何らかの理由で自分のことを
嫌いになってしまったのであれば、
それはそれで仕方がない。冬樹も男として、
引き下がるつもりだった。
けれど、もしも金治が何かしたのであれば…。
「理由も何もねぇよ」
金治が言う。
「ただ、お前のことが嫌いで、
俺のことが好きになった。
それだけのことだよな?」
金治が真由に問いかけると、
真由は、”女の顔”をして、うっとりとした表情で
「うん…」と微笑んだ。
これは演技などではないー
脅されているのでもないー。
心から真由は、女として金治に惚れている。
「--どうして」
冬樹は呟く。
「どうして、こんなストーカー男のことを!」
「ストーカーはあんたでしょ!」
真由が涙を流して叫ぶ。
「--ち、、違う…俺は…」
冬樹のほうこそ、泣きそうになりながら拳を
握り締める。
「--戸倉!お前、真由に何をしたぁ!」
冬樹は怒り、金治に向かって叫ぶ。
「--ふふ、愛の告白をしただけさ」
金治が笑いながら言う。
こいつが何かしたに違いない。
この頭のおかしなやつめ!
「--おいおい、そんなに睨むなよ」
金治が笑う。
「そうよ!金治くんに失礼じゃない」
冬樹はカッとなって、真由の手を引っ張った。
「真由、お前はあいつに何かされたんだ!
待ってろ!俺が元に戻し…」
パチン!
真由が猛烈な勢いで冬樹の顔をビンタした。
「あんた、最低ー!」
向けられる敵意ー。
心底冬樹を憎んでいる目。
「真由…」
冬樹は悲しくなって、涙声になった。
「--ほっとけよ、そんなやつ」
金治が言うと、
「ーーうん、金治くんの言うとおりにする♡」
とうれしそうに真由が言う。
「なぁ、真由、そろそろ俺にもやらせてくれよ!
真由のエッチなところ、見てみたい」
金治が言うと、真由が恥ずかしそうにしながら、
けれど嬉しそうにもじもじしながら
「明日、お父さんとお母さん居ないんだ・・・
明日、わたしとする?」
と女の顔で言った。
「--ふざけるなぁ!!!」
冬樹が飛び掛った。
驚く金治。
けれどー
生活指導の中田先生に見つかって、
冬樹はそのまま、連行された。
「--バカなヤツだぜ」
金治が言うと、
真由も笑いながら
「そうね~ ばっかみたい!」と
吐き捨てるようにして言った。
そのまま2人は、イチャイチャしながら学校から
帰って行く…。
冬樹は、退学になった。
ーもう、何も残されていない。
「---真由…」
”この世に絶望した”冬樹はこの後、
どんな行動に出るのだろうか。
それは、誰にも分からないー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日、
職員室ー。
生活指導の中田先生が不気味に笑うー。
「--黒松…俺に恥をかかせた罰だ」
生活指導の中田先生は、
1ヶ月前、冬樹と口論になった。
中田先生が、いじめを受けていた生徒が、
いじめっ子から命令されて盗みを働いた生徒を
一方的に停学処分にしたからだ。
正義感の強い冬樹は、それが許せなかった。
結局、他の先生も介入し、
中田先生の指導ミスということで、
いじめっ子にも処分が下された。
中田先生は、そのことを恨んでいた。
だからーーー
冬樹の彼女の真由を”洗脳”した。
記憶を書き換えたー。
冬樹への愛を、金治への愛に。
ストーカーの金治への恐怖を、冬樹への恐怖に
書き換えたのだ。
目の前で、最愛の彼女がストーカー男に
奪われる苦しみ。
そして、冬樹は、そうなれば必死に食い下がることは
中田先生の想定どおりだった。
彼女を奪いー
高校での居場所をも奪った。
これは、
中田先生の復讐だった。
金治は予想通り、
突然豹変して、寄り添ってきた真由を
疑問も抱かず、受け入れ、そのまま彼氏となった。
「--くくく、先生に逆らうからこうなるんだぞ」
窓から外を見るー。
イチャイチャしながら、やってくる
金治と真由。
「--バカ同士、お似合いじゃないか」
中田先生は笑みを浮かべた。
洗脳されて記憶の書き換えをされたことに
気付かず、最愛の彼氏を捨てて
ストーカー男に愛を捧げている真由ー。
そして、真由の豹変に疑問も抱かず、
喜んでいる金治。
「バカばっかりだぜ」
そう呟くと、中田先生は、職員室の自分の机へと
戻り、満足気に笑みを浮かべるのだった…。
おわり
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コメント
「当たり前」だと思っていた記憶が
もしも誰かに塗り替えられたものだったら…?
きっと、自分では何も疑うことなく、
その記憶を信じてしまいますよね…^^
コメント
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金治とセックスしてる最中に洗脳解除して怯えながら冬樹に助けを求めて電話かけたらまた洗脳して喘ぎ声を聞かせるみたいなプレイしてみたい(感想)
SECRET: 0
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> 金治とセックスしてる最中に洗脳解除して怯えながら冬樹に助けを求めて電話かけたらまた洗脳して喘ぎ声を聞かせるみたいなプレイしてみたい(感想)
それは…
ダークな続編が作れそうですね!!
…作る…かも?笑