<入れ替わり>心配かけてごめんなさい①~企み~

根暗でぼっちな男子生徒がある日、
”一度だけ入れ替わることができるアイテム”を手に入れたー。

それを使って彼は、
クラスの憧れの子に”偶然”を装って
入れ替わりを仕掛けたもののー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
笠島 俊太(かさじま しゅんた)は、
今日も昼休みになると
”寝たフリ”をしながら時間を潰していたー。

俊太は、クラスでも存在感0の根暗な男子生徒ー。
人と接するのが苦手で、コミュニケーション能力も低く、
そして、特にイケメンだったりするわけでもないためにー、
友達もおらず”ぼっち”だったー。

ただー、あまりにも存在感が皆無で、
別に俊太自身、普段は迷惑行為をするようなタイプでもなかったために、
いじめを受けたりすることもなく、
只々存在感がなく”ぼっち”なだけで済んでいたー。

「ーーーーー」
そんな俊太は、寝たフリをしながら
ある女子生徒のほうを見つめていたー。

その相手はー
同じクラスの津森 朱音(つもり あかね)ー。
天真爛漫で、見た目もとても可愛らしく、
男女問わず、人気者な子だー。

その上、とても優しい性格の持ち主で、
どこから見ても”完璧”と言えるような、
そんな子だったー。

その朱音のほうを寝たフリをしながら
チラッ、チラッと見ている俊太ー。

朱音に対してー、”恋愛感情”があるわけではないー。
今のところ、ただ単に”可愛いなぁ”と思ったりしているだけー。

あまりの存在感のなさに、朱音をチラッ、チラッと見ていても、
本人のみならず、朱音の友達にも、誰にも気づかれないのは、
俊太の強みー…なのかもしれないー。

「ーーーーー」
その日、帰宅した俊太は、
”朱音”のことを想像しながら”抜く”ー。

朱音と付き合う妄想をしたり、
朱音とHなことをする妄想をしたり、
自分が朱音になる妄想をしたりー、
そんな妄想をしながら、気持ち良さそうな表情を浮かべる俊太ー。
根暗な彼にも、男子高校生らしい人並みの性欲と呼べるものが
あるのだろうー。

少し声を漏らしながらも、お楽しみの時間を終えるー。

朱音本人は、きっとそんなことをされているとは夢にも思っていないだろうし、
俊太が家でどんな妄想をしながら、抜いたとしても
それはー…朱音本人には実害はないはずだったー。

しかしー…
抜いた後にスマホでネットを眺めていた彼は
手に入れてしまったー。

”他人と入れ替わることができる”
夢のようなアイテムをー。

”入れ替わり薬”をー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2週間。
俊太が、入れ替わり薬を実際に購入するまでに悩んだ時間だ。

どうせこれは偽物だ、という思いと
仮に本物だったとしても、人の身体を奪うことに対する
罪悪感や迷いのようなものがあって、
購入ボタンを押すまでに2週間ほどかかったー。

一時は”忘れよう”と思ったりもしたものの、
どうしても入れ替わり薬のことが気になってしまってー、
もしもこれがあれば、クラスメイトの朱音に”なる”ことができると
考えたらどうしようもなくドキドキして、
ついに購入してしまったー。

そして、それが届いた。

「ーーー」
入れ替わり薬は”散布”するタイプー。
すぐに空間に溶け込むタイプの粉で、
周囲の人間の魂を肉体から分離させる作用を持つー。

しかし、生きている人間の魂は
すぐに自分の身体に本能で戻ろうとする性質があり、
通常であれば幽体離脱した状態になっても、
本人がそれを自覚する前に、自分の身体に
無意識のうちに戻るー。

がー、この入れ替わり薬には
魂に自分の肉体を誤認識させる特殊な作用があり、
”自分の肉体”を魂に誤認させる力が備わっていて、
その力によって、魂が自分の身体ではなく、
近くで同じく幽体離脱した相手の身体の方に入ってしまうー…

そんな効力を持っているー。

それによって、入れ替わりたい相手の近くでこの粉を
散布することによって、入れ替わることができるのだー。

ただしー、この薬は魂に強い負担が掛かるために、
”1回”しか使うことはできないー。
同じ魂が2度、この入れ替わり薬で幽体離脱した場合、
魂が消滅したり、魂に異常が生じる可能性がある、と
そうハッキリ記述されていたー。

「ーーーーー」
ゴクリー。

俊太は入れ替わり薬の説明を読み終えると、
入れ替わり薬を慎重に袋に移して笑みを浮かべるー。

”僕は、僕に戻れなくても構わないー”
俊太はいよいよ、朱音と入れ替わる決意を決めると、
その”計画”を頭の中で練り始めるー。

そして、俊太が選んだのはー
”偶然を装って入れ替わる”ということだったー。

その1週間後ー、
俊太はその計画を実行に移すー。

廊下の曲がり角で、
朱音がやってくるのを待ち伏せする俊太ー。

昼休みに朱音がいつもこの場所を通るのは分かっている。
昼食を買いに行くためだー。

”来たー”
俊太は、朱音が反対側からやって来るのを確認すると、
そのまま少し曲がり角から距離を取って、
”曲がり角で朱音と出会い頭にぶつかるタイミング”で
走り始めるー。

朱音の”歩く速さ”は、この1週間で確認したー。
このタイミングで走り出せば、曲がり角で
偶然を装ってぶつかることができるー。

そしてーー
ぶつかる瞬間に”入れ替わり薬”を入れた袋を
わざと”破裂”させると、
俊太は計算通り、曲がり角で朱音と出会い頭に衝突しー、
その場に入れ替わり薬のばらまくことに成功ーー

一瞬にして、今までに感じたことのない、
身体の底から何かが沸きあがるような不思議な感触を覚えると同時にー、
一瞬、意識が遠のき、
それから、すぐに身体の感触が戻って来たー。

「ーーーー!!!」
身体の感触が戻ると同時に、
俊太はすぐに”異変”に気付いたー

首筋に”髪”が触れる感触ー、
倒れ込んだ”廊下”に生足が接触する感触ーー…

ズボンを履いていれば、あり得ない感触を感じたー。

それと同時にー、
視界の先に”自分自身”が倒れているのが見えたー。

入れ替わりに成功したー
そう確信すると同時に、
朱音の身体で、全身がムラムラするようなそんな感覚を覚えるー。

朱音になったことに対して、俊太が激しく興奮して、
朱音の身体を興奮させてしまっているのだー。

「ーー…っー」
朱音(俊太)は今すぐにでも両胸を鷲掴みにしたい衝動に
駆られながらも、
”今が大事なタイミング”だと、そう思いながら、
すぐに”入れ替わり薬”を入れていた袋を慌てて回収して、
戸惑いながら、自分の服のポケットに捻じ込むー。

そしてーー

朱音(俊太)は俊太(朱音)のほうを見つめると、
「ーーーぅ…… あ…あれ…?わ、たしー…」
と、俊太(朱音)も意識を取り戻して、
目を覚ましているのが見えたー。

それを見た朱音(俊太)は緊張した表情を浮かべながらも、
すぐに言葉を発するー

「ご、ご、ごめんなさいー僕のせいでー僕のせいでー」
と、”偶然ぶつかってしまった”ことを装いながら、
どこか小声で必死にそう言葉を口にするー

それと同時に「あ…あれ…なんか、声がヘンー…」と、
わざとらしくそう言葉を口にして
ソワソワしたリアクションを見せるー。

滅茶苦茶”棒読み”だー。

しかし、普段から”根暗”であったせいでー、
単に”緊張している”としか思われないのは、
俊太の強みでもあったー。

「ーーわ、わたしが……目の前にー…?」
俊太(朱音)も異変に気付いて、
朱音(俊太)を見つめながら
困惑の表情を浮かべるー。

それと同時に朱音(俊太)も
”は、早く僕も驚かないと…”と、そう心の中で叫ぶと
「う、う、うわあああっ!ぼ、僕が目の前に!?」と、
芝居がとても下手な役者のようにそう叫んだー。

「ーー…え……え…???
 も、もしかして、笠島くんー?」

朱音(俊太)のリアクションから、
俊太(朱音)は、”わたしの身体の中に、笠島くんがいる”と、
そう判断したのかそう言葉を口にすると、
「も、もしかしてー、わたしたち…身体が入れ替わってるのー…?」と、
そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーごめんなさいー…ぼ、僕のせいでー」
朱音(俊太)は、白々しくそう言葉を口にするー。

そんなこと、微塵も思ってはいないー。

何故なら、入れ替わりを仕掛けたのは自分自身だからだ。

けれど、”自分から入れ替わりを仕掛けた”なんてことが分かれば
優しい朱音だって当然怒るだろうし、
大変なことになってしまうー。

「ーーううんー…わたしも不注意だったと思うしー、
 こっちこそごめんねー」
俊太(朱音)はそんな言葉を口にするー

「ーーえ、あ、うんー…」
”自分から出会い頭にぶつかるタイミング”をあえて計算して走ってー、
さらには入れ替わり薬を使って入れ替わった俊太ー。

だからこそ、”こっちこそごめんねー”などと言われると
拍子抜けするどころか、罪悪感も少し感じてしまうー。

「ーーでも、どうしようー…?
 笠島くんだって、こんな状態じゃ、困るよねー…?」
俊太(朱音)は心底申し訳なさそうに言うー。」

時折、髪が長くないのに、髪を触るような仕草をしたり、
ズボンを履いているのに、座る時にスカートを整えるような仕草をしたり、
困惑している様子を見せつつも、あくまでも俊太(朱音)は
冷静に、真剣にこの状況をどうにかしようと、一生懸命になっているー。

「ーえ、う、うんー」
朱音(俊太)は”こんな状態じゃ困るよね?”という言葉に
内心では”いやいや、全然困らないです!むしろご褒美だし!”と、
思いつつも、それが態度に出ないようにそう返事を返すー。

既に、朱音の長い髪に
朱音の綺麗な手にー、
朱音の美脚に、
制服に、胸に、声に、
何もかもにドキドキしていて、
この場で一心不乱になって欲望を堪能したいぐらい…ではあったものの、
さすがにそれをしてしまったら、
せっかく計画を練って入れ替わったのに、全て台無しになってしまうー。

「ーーぼ、僕の方こそー
 僕なんかが津森さんの身体になってしまって…
 ご、ごめんなさいー

 津森さんに、僕の身体なんかを押し付けちゃってー」

朱音(俊太)は、少し棒読み気味にそう言い放つー。

そんなこと思ってないし、
実際には自分が仕組んだ入れ替わりだし、
棒読みになってしまうのも無理はないー。

ただ、普段から誰とも喋らず、
コミュニケーションも得意ではない俊太は
”話すのに慣れていない” ”異性を前にしてオドオドしている”と
思われてしまうのか、
やはり、俊太(朱音)も、棒読み気味な言い方に
違和感を抱くことはなかったようだー。

「そ、そんなこと言わないでー?
 こんなことになって大変なのはお互い様だしー」

俊太(朱音)はあくまでも”いい子”だー。

クラスの根暗な男子である俊太と入れ替わったにも関わらず、
先程からイヤな顔一つもしていないー。

「ーーぼ、僕も…そのー、元に戻る方法を全力で探すからー」
朱音(俊太)が、自分の口から朱音の声が出ているという
事実だけで、心臓をドキドキバクバクさせながら
そう言葉を口にすると、
俊太(朱音)は「うんー。わたしも」と、
協力の姿勢を見せたー。

”ー元に戻る方法はないけどー”
朱音(俊太)は内心でそう呟くー。

そうー、
入れ替わり薬は1回きりー。
2回目を使った場合、魂への負担が強まりすぎてしまい、
消滅したり、狂いが生じたりするため、
2回目は使えないー。

つまりはー…元に戻る方法などないー。

それでもー、
ドキドキしながら手を握ってみたり、
もう一度ぶつかってみたり、
”僕もちゃんと元に戻りたいんだ!”という”フリ”をするために
その場で色々と試してみるー。

が、当然”元に戻る”ことはできなかった。

いや、戻らなくていいー。

そしてー…
朱音(俊太)は言葉を口にしたー。

「元に戻るまで、僕ー、一生懸命津森さんのフリをするからー」

”元に戻れるまで、お互いのフリをして生活しよう”と、
そう提案する朱音(俊太)ー。

俊太(朱音)も悩んだ末に「うんー。それしかないよねー」と、
そう言葉を口にするー。

元に戻るために協力しているー…
そんな”フリ”をしながら、
俊太はクラスの人気者、朱音の身体を手に入れることに成功するのだったー。

けれどー…
俊太はまだ知らない。
この先、”罪悪感”という予想外のものに苦しむ羽目になることをー。

②へ続く

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コメント

リクエスト特典で、飛龍様より頂いたリクエストを
元にした入れ替わりモノデス~!

どんなリクエストを頂いたのかは、
ちょっぴりネタバレしちゃうので、
最終回のあとがきの時にご紹介しますネ~!!

今日もありがとうございました~!★!

「心配かけてごめんなさい」目次

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