独裁国・レギン。
憑依能力を持つ中谷 辻尾という男が
作り上げた国だ。
その国は、憑依と恐怖で支配されていた。
しかし、国に疑問を持った一人の高校生が
クーデターを画策した…!
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国民大集会。
その集会の場で、
何十万の人間が見つめる中、
隆吾は、裸にされてしばりつけられていた。
姉の朋美が両手を広げて国民に語りかける。
「--こいつは反逆者だ!」
優しい朋美とは思えないような堂々とした声で
宣言する。
「--我が国で生まれ育ちながら
愚かな考えを抱き、レギンを危険に晒そうとした。
その罪は重い。」
朋美がそう言うと、
国民たちからも
「非国民~!非国民~!」と
言葉が投げかけられた。
「ーーー非国民には、何を与えるべきだ?」
朋美が大声で、国民たちに問いかけた。
「非国民には、死を!」
「非国民には、死を!」
国民たちが同じタイミングでそう叫ぶ。
群衆の中にいる隆吾の母親と父親もそう叫んでいた。
レギンで生まれ育った彼らにとって、
国王へ逆らうことは、家族の絆をも断ち切るほど、
重い罪なのだ。
「--ふ…ふざけるな!」
隆吾は大声で叫んだ。
マイクもない状態。
その声は、群衆にかき消される。
「--みんなは知らないんだ!
国王は神でもなんでもない!
中谷辻男という一人の男だ!
そいつが憑依能力を使って、
国を支配しているだけだ!」
隆吾が大声で叫ぶ。
国王の側近の一人が、隆吾にマイクを向けたため、
その声は群衆に響き渡る。
「くくく…者ども!聞いたであろう?
この者は、外のものたちに洗脳されて
妄想するようになっておる!」
朋美が笑う。
「---我こそが神。
他国がわが国に攻撃してこないのは何故だ?
わが国の思い通りに何でもことが進むのは何故だ?
それは、我こそが神だからだ!
神である我にとっては、この身体も、
お前たち国民の身体も、全て、わたしのものなのだ!」
朋美が大声で叫ぶと、
国民たちから拍手が巻き起こる。
「この朋美という女も、
我に選ばれてさぞ光栄であろう」
朋美は、そう言いながら隆吾の方を見る。
「ふざけんな…姉さんの身体を好き勝手
しやがって…!」
姉の朋美は、隆吾の考えには賛同してくれなかったし、
他の国民と同じく、国王に心酔していた。
けれどー
それでも、隆吾にも優しくしてくれたし、
理想の姉だった。
「--姉さんを、返せ!」
隆吾が叫ぶ。
そして、さらに叫んだ。
「---みんな!聞いてくれ!
大切な人をこんな風に奪われてもいいのか?
おかしいとは思わないか?
姉さんだって一人の人間だ!
それなのにこんな風に人生を奪われてー」
隆吾がそこまで叫ぶと、
群衆からブーイングが巻き起こった。
「神様に身体を使われるのは光栄なことだろうがー!」
「わたしだって、その人みたいになりたい!」
「人生を奪われる?何言ってるんだ?奪っていただくんだろうが!」
駄目だー
隆吾は思う。
独裁国家レギンの国民たちは、
その独裁に洗脳されている。
何を言っても無駄だ。
「--ふん。どうしようない弟ね」
朋美はそう言うと、微笑みながら、
突然、倒れてしまった。
「姉さん…!?」
隆吾が声を出すと、
背後から、別の女子生徒が歩いてきた。
セーラー服姿の女子高生…。
今現在、国王の中谷が、メインの身体で使っている身体・姫香だ。
「---弟の罪は、姉の罪でもある」
姫香はそう言って笑うと、朋美を叩き起こした。
「あ…あれ…わたし…?」
朋美がおびえた様子できょろきょろしていると、
国民たちからブーイングが起きた。
「一族もろとも皆殺しだー!」
「できの悪い弟を持って災難だったなー!」
「---」
朋美は混乱した様子で隆吾の方を見た。
「---お前の弟は、反乱を企てた
よって”逆族取締法”より、
お前も、お前の両親も、死罪に処する」
その言葉に朋美は目に涙を浮かべた。
そしてー
群衆の中に居た母親と父親も
連れてこられたー
「---隆吾!貴様ぁ!」
父親が憎しみの目で隆吾を見つめる。
「--あんななんて、生まなければ良かった!」
母親が叫ぶー
隆吾が凍りついた。
”反乱を起こそうとしたものがどうなるか”
よく知っていたからだー。
反乱者は、家族ともども、殺されるー。
しかも、残酷なやり方で…だ。
反逆者の処罰は、
いつも、この国民大集会で行われる。
処罰は
”余興”
”第1部”
”第2部”
に分けられている。
余興とはーーー
「--では、まず、姉と弟の公開エッチを見せてもらおうか」
姫香が足を組み、玉座に座りながら言う。
「--国家を不安に陥れたモノは、
その不安を解消させるために、国民を
喜ばせなくてはならないー」
憲法を読み上げる姫香。
つまりー
公開エッチして、国民を楽しませろと言っているのだ。
「ふ…ふざけるな」
隆吾が叫ぶ。
けれどー
姉の朋美は「はい…申し訳ありませんでした」と言いながら
服を脱ぎ始めた。
「---や、やめろ姉さん!こんなやつの言うこと、聞くことなんてない!」
隆吾が、姫香を指さしながら叫ぶ。
「---………隆吾…」
朋美は、あくまでも国王の命令に従っている。
「--ご命令は絶対でしょ?
私は国王様にご命令されているの…
だから、従わなくちゃ」
朋美は、洗脳されているわけではない。
この国は、そういう教えなのだ。
「--…」
下着姿になった朋美が、全国民の注目する中、
恥ずかしそうにして立っている。
「いいぞ。では、次だ」
姫香が笑いながら言う。
隆吾は、そんな姫香の方を睨む。
この少女も、この国の創設者・中谷に
憑依された操り人形に過ぎない。
「--姉と弟の激しいエッチ、見せてもらおうかしら。
全国民を不安に陥れた罪は重いわ。
身体を持って、不安を消してちょうだい」
姫香がクスクスと笑いながら言うと、
朋美は、「はい」と呟いて、
隆吾の方に向かってきた。
「お…おい!やめろ!やめろ姉さん!」
”逆族取締法”の罪は重いー
これは、処罰の”余興”
まずは、家族の絆をズタズタに引き裂かれるのだ。
「---やめろぉぉぉぉぉ!」
縛られたままの隆吾は、朋美に押し倒されて
そのままエッチをさせられてしまう
「あん♡ うぁ♡ あぁぁ♡ あぁん♡」
朋美が顔を赤らめながらエッチを続けている。
最初は不安そうな表情だったが
次第に快感に飲み込まれて
朋美は嬉しそうに喘ぎ始めた。
「やめろ…姉さんの…そんな顔、、、見たくない!」
隆吾が叫ぶ。
しかし、朋美は、まるで操られたかのように
エッチを続けている。
「んあぁあああ♡ あっ♡ あぁあああ♡ あっ♡」
倒れている隆吾の上で、嬉しそうに液体を
垂れ流す朋美。
「ほら!もっと!もっと激しく!」
姫香が笑いながら、朋美を煽る。
その言葉に、朋美は絶対服従だった。
弟のことを想いながらも、朋美は、この国の、
独裁国家レギンの教えに染まっていた。
だからー
国王に憑依された姫香の命令は絶対。
「んああああああああああああっ♡」
朋美は、激しく喘ぐと、
そのまま絶頂を迎えたのか、動きを止めて
はぁ♡ はぁ♡と声を漏らしている。
母親と父親は、何とも言えない表情でそれを見ていた。
この国の国民にとって、
国王とは神ー。
神だからこそ、憑依能力を持っており、
その神に憑依された人間、
つまり、今の姫香は、国民にとっての神。
神の命令は絶対だー。
この国には、2種類の国民がいる。
”準国民”
40年前、レギンが出来た際に、他国から憑依で脅されて
連れてこられた国民ー。
何らかのかたちで脅されるか、中谷の魂に憑依されて
操り人形になっている国民だ。
もう一つが”純国民”
これは、レギンで生まれて、レギンで育った人間を示す。
隆吾や朋美は純国民だったー。
純国民にとって、
神の命令は特に絶対であり、
それを疑うものは、隆吾以外、存在しなかった。
「---さて、第1部に移ろうか」
姫香が笑いながら、剣を持ち、
朋美の方に投げた。
裸の状態ではぁ、はぁ、言っている朋美の方に
剣が転がっている。
国民たちの間で”悪魔の剣”と呼ばれている剣だ。
逆族を処罰するとき、
レギンでは、古風なやり方で、剣を用いて処罰するー。
「--まず、父親を殺せ」
”第1部”とは、
逆族の家族を処断することだ。
しかもー、
この上なく、残虐なやり方で。
朋美は、表情を歪める。
「---父を、斬れ!」
姫香が叫んだ。
父親は、立ち上がり、
手を広げた。
「申し訳ありませんでした国王様。
隆吾のような子供を育ててしまった罪
私は全て受け入れます。」
父親が叫ぶ。
「--さぁ朋美!私を斬れ!」
父もー
レギンの教えに染まっていた。
「---はい…」
朋美はそう言うと、剣を手に立ち上がった。
「待ってくれ!おい!…おい!」
拘束から解かれていた隆吾が叫ぶ。
「家族での殺し合いなんて、間違ってる!
みんなおかしい!」
隆吾もー
数年前までは姉や両親と同じ考えだった。
だがー
今は違う。
外の世界を知り、レギンがどんなにおかしな国だか、
気付いたのだー。
「やめろおおおお!」
隆吾は大声で叫びながら朋美に突進した。
朋美は隆吾を振り払う。
「ねぇ!隆吾!これ以上、罪を犯さないで!
私たちはあなたのせいで汚れたの!
汚れた私も、お父さんもお母さんも、
死ななきゃいけないの!」
朋美の言葉に、隆吾は「違う!」と叫ぶ。
レギンはおかしな国なんだ!
そう叫びたかった。
けれど、朋美は、生れてからずっとレギン暮らしで、
外の世界を知らない。
朋美にとっては、これが、”ふつう”なのだー。
「-----」
隆吾はチラリと空を見る。
隆吾はずっと、この日の”クーデター”を画策してきた。
”外の世界のジャーナリスト”と連絡を取りながらー。
今日ー。
そのジャーナリストの母国が、
国民大集会を襲撃することになっているー。
隆吾はー
ジャーナリストに、
”憑依された人間の死体の皮膚”を
提供したー。
彼の母国では、その皮膚を元に
”憑依への対抗能力”の開発に成功したー。
だからーレギンはもう終わりだ。
憑依能力が通用しないー
そうなれば、国王に反撃の術はない。
今日、レギンは、ジャーナリストの母国の攻撃で滅びる。
隆吾は取引をした。
”俺と、俺の家族は、助けてくれ”
と。
ジャーナリストは、頷いていた。
”きみと、君の家族は、攻撃の際に助けだし、
私の母国に避難させる”
とー。
隆吾は、時間を稼いでいた。
あと、少し。
あと少しなんだ…
そしてー
戦闘機の音が聞こえてきた。
「--なんだ?」
姫香が叫ぶ。
姫香の側近が告げ口をすると、
姫香は笑った。
「--馬鹿な国だ…!」
姫香に憑依している中谷は、いつものように
魂を億単位に分離させて、戦闘機のパイロットにそれを放った。
後続の戦闘機の位置も把握し、全てに自らの分身を憑依させたー。
「---!?」
姫香の表情が歪む。
「--憑依、、、できない!?」
姫香が焦った表情を浮かべる。
そしてーーー
戦闘機から、爆弾が放たれたー
”国民大集会”の会場に向けてー
③へ続く
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コメント
隆吾くんは、家族を救い出して、
独裁国家レギンから逃げられるのでしょうか!
次回の最終回をお楽しみに!
コメント
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予想外の逆転のチャンス…!
隆吾くんは果たして助かるのか、次回が楽しみです!
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> 予想外の逆転のチャンス…!
> 隆吾くんは果たして助かるのか、次回が楽しみです!
ありがとうございます!
次回は意外な結末に…!デス☆