<憑依>憑依暗殺部隊VSダーク・ミスト②(完)

憑依暗殺部隊に課せられた任務。
それは、井澄ミストの暗殺ー。

井澄ミストの闇が、部隊を襲うー。

※昨日に続き、
 TSF小説サイト「霧のかかった坂」の管理人、
 井澄ミスト様がゲスト出演される小説です。

※作中・あらすじ内では敬称略となっています。

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憑依暗殺部隊が潜伏している建物に
大勢の少女たちが集まっている。

女子高生、女子大生、幼稚園児、OL、
主婦、おばさん、メイド、アイドル…
さまざまな女性がその場に集まっている。

女性たちは、”憑依室”と書かれた部屋の扉に
向かって体当たりを続けている。

この部屋の中には
アルファ、ベータ、ガンマの3人の体がある。

この扉が破られた時、
現在、井澄ミストの暗殺に向かっている3人は、
”死”を迎える。

大本の肉体を消されてしまっては、
彼らはこの世に存在できない。

「わたしは、井澄ミスト…」

「わたしは、井澄ミスト…」

井澄ミストの意識の一部に憑依された
”井澄ミストの眷属”たちは、
ひたすら扉に体当たりしている。

自分の体のことなど、気にも留めずに。

一人、また一人と、
少女の体が壊れていく。

強烈な頭突きを扉に叩きつけた少女が、脳震盪を起こしてその場に倒れる。

倒れた少女はなおも「わたしは、井澄ミストー」とつぶやいている。

そしてーーー

井澄ミストの新たな眷属となった少女たちが
建物に入ってきた。

近くの女子高の生徒たちだ。
全員が「わたしは、井澄ミスト・・・」とつぶやいている。

”黒い霧”が作り出した
”闇の爆弾”を口に咥え、少女たちは扉に突撃し、
爆発していく。

いかに頑丈な扉と言えど、
このままでは…

井澄ミストの眷属たちが、この扉を先に破るか。
それとも、憑依暗殺部隊が山中の屋敷に潜伏する井澄ミストを始末するか。

どちらが先に相手を始末するかー。
それにこの戦いの行方はかかっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

山奥で、佑莉(ベータ)が制服の上から
胸を触って喜んでいる。

放課後、たまたまこの山の近くを通った少女に
ベータは憑依したのだ

「あんっ…♡」
佑莉が嬉しそうに声を出す。

静代(ガンマ)は、ニヤニヤと自分の体を見つめている。

理紗子(アルファ)がその様子を見て険しい表情を浮かべた。

「---今回の任務では、
 必要とあらば”体”を犠牲にしてもかまわない」

理紗子(アルファ)が言う。
スタイルの良いOLだが、今の理紗子にはそんなことは
関係なさそうだった。

アルファはーー
”憑依した体”を必要以上に傷めたりはしない。
もちろん、暗殺をさせられてる時点で、人生台無しではあるものの、
体を傷つけることはしなかった。

そのアルファが
”体を犠牲にしてもかまわない”と発言したということは
井澄ミストがそれほど危険な相手であることを示している。

「ーーーー」
理紗子(アルファ)が険しい表情を浮かべる。

「---いざとなったら任務の最中であっても、
 体から離脱して構わない」

アルファたちは、憑依から離脱すれば、死ぬことはない。
だが、憑依中に体が死ねば、体ごと死んでしまう。

険しいままの理紗子(アルファ)の表情を見た
佑莉(ベータ)が笑う。

「…こんな任務の前でも、
 こんな風に体で遊んでいる俺たちが
 不安…そんな顔だな、隊長」

佑莉(ベータ)の言葉に、
理紗子(アルファ)が顔を向ける。

ベータ・ガンマよりも経験豊富で、
その実績・実力共に、客観的に見ても上であった
尿意暗殺部隊のオメガがあっさりとやられた。

そのことで、アルファは
ベータとガンマをこの任務に巻き込んで良いのか
迷っていた。

”いつものように遊び半分ではやられる”

「---心配はいりませんよ」
静代(ガンマ)が笑う。

「-俺たち、遊び半分でやってるわけじゃない。
 いつ死んでも、後悔しないように、楽しくやってるだけだぜ、隊長?

 ちゃんと任務のことはしっかり考えてる」

佑莉(ベータ)がそう言いながら笑う。
笑顔だけ見ていると女子高生そのものだ。

「---”人生を楽しく生きろ” 
 隊長は、僕にそう言ってくれましたよね」

静代(ガンマ)が、笑う。
彼は、アルファと初めて出会った時のことを思い出す。

「--大丈夫だぜ。
 あのオメガとか言うヤツが俺たちより腕前が良かったとしてもーー

 俺たちはカンタンにはやられねぇ」

「そうですよ…
 まだまだ楽しみたりませんからね」

ベータ、ガンマの二人の言葉に
理紗子(アルファ)は少しだけ笑みを浮かべた。

「そうだな…」

アルファは思う。
そうだー、
オメガは”いつも一人”だった。
シグマという隊員は居たが、
彼はいつも一人を好む男だった。

だが、
ベータとガンマは違う。
”何事にもプラス思考”

そして、
何よりも、隊員同士の連携が取れている。

「--いいチーム…そう言ってたなお前は」

過去に犠牲になった隊員・デルタの言葉を
思い出しながらアルファはそう呟いた。

「--暗殺任務を開始する」
理紗子の言葉に、残りの二人はうなずいた。

”3人とも撤退”したら、
本部で、井澄ミストの眷属に囲まれて、終わりだー。

アルファにもそれは分かっている。

だから、なんとしても、それも短時間で、
井澄ミストを始末しなくてはならない。

ーーたとえ、この少女たちが犠牲になろうとも。

裏世界の闇を葬る為とは言え、多くの少女を不幸にしてきた。
自分たちも極悪人であることは重々わかっている。

アルファは”いつか自分たちは地獄に落ちる”そう思っている。

だがー、”それは今ではない”

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

井澄ミストは蝋燭の明かりだけの
薄暗い屋敷の中で、
一人、パソコンに向かって、
麻雀を続けていた。

可愛らしい制服を来た女子高生ー。

それが、薄暗い屋敷で一人、PCを前に
麻雀を続けている。

側から見れば「異様」な光景だろう。

だが、井澄ミストはそれを気にも留めることなく、
麻雀を続けている。

「嶺上開花(リンシャンカイホウ)」

そう呟いて、少女が不気味な笑みを浮かべるー。

そして…、
もう一台のパソコンで次々と小説を打ち込んでいく。

”風紀委員の使命5”

”奇妙な女子高生Ⅱ”

”ミストの熱い日々”

”強いるシール”

新作が大量だ。

少女は、満足げに、笑みを浮かべたー

そして…
突然、不気味な笑みを浮かべると、
黒い霧が周囲に、吹き出すように現れた。

「----っチィッ!」
女子高生、佑莉(ベータ)が投げ飛ばした小刀を
黒い霧ではじき飛ばしたのだった。

制服姿の女子高生が二人、向き合ってほほ笑む。

「うふふふふふふふふ・・・」
井澄ミストが不気味な笑みを浮かべている。

「一緒にエッチしない…?」
佑莉(ベータ)が甘い声で誘う。

だが、井澄ミストは反応しない。

「---そっか…ザンネン…」
佑莉はそう言うと、制服のブレザーを脱ぎ捨てて、
井澄ミストの方に投げ飛ばした。

「---!?」
井澄ミストがブレザーを薙ぎ払うと、
そこに佑莉の姿はなかった。

「---こっちだよ♡」
佑莉(ベータ)が天井に張り付いていた。

スカートの中が丸見えだ。

佑莉が急降下して、短刀を井澄ミストの頭部に
突き刺そうとする。

しかしーー

触手状になった黒い霧が、
佑莉(ベータ)の体を貫いた。

「あぐっ…」
佑莉が口から血を流して、吹き飛ばされる。

「あっ…くそっ…」
佑莉(ベータ)はこの体から抜けるかを考えた。

だが…まだいける。

佑莉は、瀕死の状態になりながら、
自分の胸を触って、快感を味わう

「へへっ…エロがあれば…まだ行けるぜ」

「くふふふふふふ・・・」
井澄ミストが少しずつ、佑莉(ベータ)に近づく。

その時だった。

ーーーーーー!?

井澄ミストの首に、ワイヤーが引っかかった。

「---うふふ・・・女子大生の私が
 人を暗殺させられちゃうなんて、
 メッチャ興奮するね♡」

静代(ガンマ)が
メガネの下の瞳を輝かせながら言う。

井澄ミストが「ううううう~」と言いながら
首を絞められていく。

「---私、本当は人を殺したくなんかないのに!
 憑依されて、やらされちゃうの!えへへ…」

井澄ミストの体から力が抜けていく。

静代(ガンマ)は勝ちを確信した。

だがーーー。

井澄ミストは口元を三日月に歪めた。

「---メモが完成しました」

そう呟いた。

井澄ミストは”相手を分析する術”に長けている。
あっという間にガンマの特徴を井澄ミストは分析したー。

ーーーー!?

黒い霧が突然、大量に吹き出して、
静代(ガンマ)の体を四方八方から締め付けた。

「ひっ…」
静代が声をあげる。

完全な拘束状態。

そしてそのまま、天井に勢いよく叩きつけられて、
ボロボロになった静代が床に吹き飛ばされる。

「---ガンマ…!」
佑莉(ベータ)が血を流しながら立ち上がる。

「----!?」
井澄ミストの周辺に、突然、液体が飛んできた。

強力な毒液。

しかし、井澄ミストの周辺を
大量の黒い霧が覆い、
毒は全てはじかれた。

「---チッ・・・」
理紗子(アルファ)が、スーツを井澄ミストの方に投げ飛ばす。

スーツにも彼が使う大量の毒液が含まれている。

井澄ミストはそれをはじく。

続けてタイトスカートも投げ飛ばされてきたー。
しかし、井澄ミストはそれも交わす。

「---っらぁ!」
佑莉(ベータ)が血がついたスカートを脱ぎ捨てて、
ミストへの目くらましに投げる。

その隙をついてボロボロになった静代(ガンマ)が
着ていた、ワンピースをちぎったもので、即興のワイヤーを
作り、井澄ミストの首にかけようとする。

「うふふふふふふふふ
 抹殺意欲!」

そう叫ぶと、黒い霧が大量にあふれ出し、
佑莉(ベータ)、理紗子(アルファ)、静代(ガンマ)の体を
拘束して、3人を持ち上げた。

黒い霧から生まれた触手のようなものに3人は
絞めつけられる。

「---撤収しろ…」
理紗子(アルファ)が言う。

だが、ベータとガンマは首を縦には降らなかった。

本部の、自分たちの体が置かれている状況を彼らは
よく理解していた。

だからー
退くことはできない。

「----」

井澄ミストはその様子を見て笑う。

大量の黒い霧が3人の体を締め付ける。

井澄ミストはその様子を見て、
パソコンの方に歩いていく。

乱れたスカートを正しながらー。

「風紀委員の使命5」の投稿ボタンを押すと、
アルファたちの方を向く。

「---!」

アルファが隠し持っていた短刀を、井澄ミストの首に向けて
投げた。

ミストはそれを間一髪で回避した。

「-----」
理紗子(アルファ)はその様子を見て少しだけ笑みを浮かべた。

井澄ミストは黒い霧を使わなかった。

つまりー
今、3人を拘束している分で、黒い霧は全部なのだろう。

「---もう、黒い霧は出せないのか?」
理紗子(アルファ)が言うと、井澄ミストは笑みを浮かべた。

”肯定”

そしてー
”それがどうした?
 お前たちにはもう何もできないでしょ?”

と言いたげな表情だった。

「---うふふふふふふふふ。
 わたしはダーク憑依マンです…」

そう呟くと、井澄ミストはトドメを刺そうと、
不気味な笑みを浮かべた。

だがーーー
理紗子(アルファ)が笑った。

「眠れ…永遠に…」

ーーーー!?

井澄ミストの体が背後から貫かれた。

「ぐぶっ…!?」
可愛い少女が口から血を流す。

背中から…
毒液のついた刃物が貫通していた。

井澄ミストの背後には、
女子中学生が居たー。

「---!?」

”わけがわからない”と言う表情を浮かべる井澄ミスト。

理紗子(アルファ)は弱った体で笑った。

「---私が、同時に憑依できる人間が、
 一人だと、いつから錯覚していた?」

その言葉に
井澄ミストが目を見開く。

背後の女子中学生も、、アルファが…?

ベータとガンマもその言葉に一瞬驚いた表情を浮かべた。

そしてーー

女子中学生が、「眠れ!」と叫ぶと、
大量の毒液が井澄ミストを襲ったー。

黒い霧を、3人の拘束で使い果たしているミストはー
身を守ることができず、毒を浴びて
大きな悲鳴を上げた。

「ひぃ…ひぃ・・・」
その場に頭を抱えてうずくまる井澄ミスト。

そしてー。

「離脱だ」
理紗子(アルファ)が言うと、残りの二人が離脱した。

女子大生・静代と
女子高生・佑莉の体がボロ雑巾のように崩れ落ちる。

「---」
アルファは、私情を挟まない。

哀れな少女たち。

だがー。
これも任務のうちだと。

女子中学生が、蝋燭を乱暴に蹴り倒すと、
屋敷に火がついたー。

苦しみながら井澄ミストは絶望的な表情を浮かべた。

「----終わりだ」
理紗子(アルファ)はそう呟いて離脱したーーーー

屋敷は直後、大爆発を起こしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分の肉体に戻ったアルファたちが
部屋を開けると、
そこには大量の女性が倒れていた。

本体が消滅したことで、井澄ミストから解放されたのだ。

「---ここで目覚めたらまずくないか?」
ベータが苦笑いする

「ですね…早いとこ、移動させましょう」
ガンマが言うと、

アルファが頷いた。

こういう時のために、転送する装置がこの施設にある。
この体を、適当に近くの野原にでも転送すれば良い。

アルファが指示をすると、
ベータとガンマはうなずいて、その準備に移った。

一人残されたアルファは少しだけ険しい表情を浮かべた

「---------。」

彼にだけは”わかっていた”

だが、
今は考えても仕方がないーーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある場所…

”ある人物”が顔を一瞬しかめた。。

”コア”として使っていた”からだの一つ”が死んだ。

「-----」

だが、屋敷に居たのも、井澄ミストの本体ではない。

あれは、仮の本体。
黒い霧をコントロールするための、かりそめの体。

本体はーーー
誰にも辿り着くことのできない
”この場所”にあるー。

井澄ミストの”本体”は不気味な笑みを浮かべたー

闇は消えないー
永遠に

おわり

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コメント

井澄ミスト様、ご出演ありがとうございました…

私は恐怖に震えあがっています…!!

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憑依<憑依暗殺部隊>

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