女性の体に憑依して、暗殺任務を行う
憑依暗殺部隊。
緊急招集された憑依暗殺部隊に下された任務は、
井澄ミストの暗殺だったー。
※TSF小説サイト・霧のかかった坂 管理人様の
井澄ミスト様がゲスト出演される小説です
(ミスト様のサイトはこちらからどうぞ)
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緊急招集された”憑依暗殺部隊”は、
上層部の男が待つ部屋をノックした。
「お呼びでしょうか?」
アルファがその部屋に入ると、
上層部の男が、ため息をついた。
「今までで一番危険な任務だ」
上層部の男の険しい表情から、
ただ事ではないことが理解できた。
「…危険な任務…
いったいどんな人物の暗殺を…?」
アルファが言う。
隊員のベータとガンマも、緊張を表情に浮かべている。
上層部の男が口を開きかけたその時、
部屋が再びノックされた。
「入れ―」
上層部の男が言うと、
大柄な男と小柄な男が入ってきた。
憑依暗殺部隊とは別の暗殺部隊、
尿意暗殺部隊ー。
世の裏を司るこの機関では、
いくつかの暗殺部隊を抱えている。
普段は決して干渉することのない舞台だが、
緊急事態を前に、
”2つの部隊”が同時に召集された。
「オメガ―」
憑依暗殺部隊の隊長、アルファがつぶやくと、
尿意暗殺部隊の隊長、オメガが少しだけ笑みを浮かべた。
「これはこれは、アルファ隊長、
お久しぶりです」
オメガはかって、アルファの元で訓練していたことがある。
その後、尿意暗殺部隊の隊長に就任し、
以降は、互いに干渉することもなかった。
「---何だお前らは?」
ベータが訪ねる。
隊長クラス以外は別の部隊の存在を知らない。
「けけっ…尿道に憑依するシグマ様を
しらねぇってか…。
ま、無理もないか。
俺もお前のことをしらねーし」
尿意暗殺部隊の小柄な男、シグマが笑う。
細い目付きのイヤらしい感じの男だ。
「ーー尿道に憑依?悪趣味ですね…」
ガンマが言うと、
尿意暗殺隊員のシグマは笑う。
「くへへっ…女の子の尿道の中のニオイ、
病みツキになるぜ!」
コホンーーー
上層部の男が合図を送り、
アルファ、ベータ、ガンマ、
そして尿意暗殺部隊のオメガとシグマが上層部の男の方を見た。
「今回はーーー
”井澄ミスト”というS級クラスに認定した危険人物の排除を行う」
上層部の男が続ける。
「霧のかかった坂というサイトの管理人で、
この本人自身も、憑依人だ。
なんでも、黒い霧を使うとかで、
既に何人もの犠牲者が出ている。
我々が政府の指示で、それを表ざたに
ならないように、隠ぺいをしているが、
それも限界だ。」
井澄ミスト―。
その正体は一切不明。
黒い霧を女性たちに憑依させ、
井澄ミストの眷属として操るー。
井澄ミストを名乗る女性が大勢現れたこともある。
本体の所在は不明。
かって検死官のジョーや、ホテル支配人の名倉俊之が
井澄ミストに関わっているものの、
いずれも手に負えず、手を引いている。
「---その井澄ミストの居場所が分かった」
上層部の男が言うと、
アルファが頷いた。
「つまり、われわれにその井澄ミストとやらを
暗殺しろと、そういうことですね?」
アルファが言うと、上層部の男が頷いた。
そして、井澄ミストの潜伏地がスクリーンに表示された。
とある山中の、破棄されたはずの屋敷。
「---」
尿意暗殺部隊隊長のオメガが、向きを変え、
出口の方に向かう。
「--どうした?オメガ」
上層部の男が言うと、
オメガは言った。
「相手は一人―。
憑依暗殺部隊の手を煩わせる必要もありません」
オメガが言うと、アルファが表情を険しくする。
「我々と、共同任務は出来ないということか?」
その言葉にオメガは笑みを浮かべた。
「ーーー私の実力はご存じのはずだ。
…ご安心を。今晩中には片付きますよ」
上層部の男とアルファを見ると、
オメガはそのまま部屋から退出した。
「ケケケ…あんたらはお払い箱だぜ!」
シグマが笑うと、
ベータが「なんだと!?」と声を荒げた。
しかし、アルファがそれを手で制し、
シグマは薄ら笑みを浮かべながら退出した。
「-----」
アルファは思う。
オメガの実力は、ベータやガンマよりも高い。
確かに、ここはプライドが高く、気難しい彼の意思を尊重するべきかもしれない。
だが…
アルファはオメガが出て行った部屋の出口をじっと見つめた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜。
井澄ミストが潜伏する屋敷の周辺に
オメガとシグマがスタンバイしていた。
「---確認した」
オメガが言う。
屋敷の中に、17歳の女子高生が居た。
制服姿の可愛らしい少女だ。
井澄ミストとはー
17歳の女子高生だったようだ。
「--まさか、あんなに可愛い子が、
各地で憑依して、好き勝手やっているとは
びっくりっすねぇ…」
シグマがそう言いながら憑依の準備をする。
オメガは笑う。
「井澄ミストー、永遠の闇が迎えに来たぞ」
シグマが霊体化し、
尿意暗殺部隊による暗殺作戦が始まった。
「・・・・・・・・・」
女子高生・井澄ミストが誰も居ない不気味な屋敷で、
蝋燭一本の明かりを頼りに、
パソコンを見ながら
「風紀委員の使命5」を打ち込んでいる。
「---失礼するぜ!」
霊体化したシグマが尿道に憑依した。
「くっ…くへへ…!
いいニオイだぜ!えへぇ…」
常人には臭いであろう尿道のニオイを
シグマは喜んで嗅いでいた。
「…この、くっせぇ感じ!
女の神秘って感じでたまらねぇぜ!」
シグマはそう言うと、真顔になった。
「---さて、やるか」
シグマが尿道で、尿意を刺激する。
お手洗いに誘い込んで、
そこでスタンバイしているオメガが、
その力で、井澄ミストを抹殺する。
「-----んっ…」
井澄ミストが尿意を感じ、
立ち上がった。
少しだけ笑みを浮かべると、
井澄ミストは早歩きでトイレの方に移動していく。
「--クク…これで十分だな。
オメガ隊長、あとは任せましたぜ」
シグマはそう言うと、
井澄ミストの尿道から離脱した。
ガチャ。
お手洗いにやってきた井澄ミストは、
驚きの表情を浮かべるー。
トイレの中にー”大柄な男”が立っていた。
そう、尿意暗殺部隊のオメガだ。
「---冷静だな」
オメガは、井澄ミストが自分に対して反応を示さないのを見て、
そう呟いた。
そして、いつものように、その腕を井澄ミストにかざすー。
井澄ミストを球体のようなカタチに変化させ、
そのままトイレに放り込み、溺死させるのだー。
「眠れー、永遠にーーー」
オメガの手が発光した。
ーーーーーーー
「--------!?」
オメガが目を見開く。
井澄ミストの体に変化がない。
「-----なんだと?」
オメガが驚くと、
井澄ミストの体の周囲に薄い黒い霧が出ているのに気付いた。
これで防いだというのか?
オメガはそう思いながら”奥の手”を使うべく、左手をーーーー
ブシャッ…
変な音がした。。
「----な…に…?」
オメガが驚いて、自分の腹部を見ると、
そこには黒い霧がナイフ状に変化したものが刺さっていた。
「--ふふふふふふふふふふ」
目の前の少女が笑い出す。
「ふふふふふふふふふ
うふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふ」
狂ったように笑い出した井澄ミスト。
黒い霧を刺したり抜いたりしながら
面白そうに大笑いする。
「がっ…」
オメガの体から血が流れ落ちる。
「---っざけるなぁ!」
オメガが左手にエネルギーを集中させて、
”人を溶かす衝撃波”を放った。
しかしー
井澄ミストは黒い霧で、それを排除したー。
さらに、黒い霧をオメガに突き刺す。
「わたしは井澄ミストー!ふふふ!」
笑う女子高生。
オメガは口ににじむ血の味を噛みしめながら思う。
”こんな餓鬼に…”
「うふふふふふふふ!」
井澄ミストがトドメを刺そうと、黒い霧で作った
刃物をオメガに向ける。
だが、オメガは笑った。
「---お前も地獄に落ちろ!」
オメガが隠し持っていた爆弾を起爆させ、
屋敷から轟音が轟いたーーー
「----!?」
外で待機していたシグマがその音に気付く。
「今のはー?」
シグマは瞬時に理解した。
あの爆弾は、
オメガ隊長が、”最後の手段”として持っていたものー。
「---」
シグマは必死に走り出した。
全速力で。
あの爆発はオメガ隊長が犠牲になったことを意味する。
走るシグマの周囲に、
黒い霧が現れた。
シグマを取り囲むように。
「どーーーこーーーいーーーくーーーのーーー?」
山全体から、不気味な声が響く。
「--クソッ…ふざけやがって!」
シグマが隠し持っていた短刀を構えたーーー
がーーーー
次の瞬間、大量の黒い霧に覆われて、
シグマは”体ごと破裂”させられたー。
山が静寂を取り戻す。
先ほどの17歳の女子高生が、亡骸となった
シグマを見て、不気味な笑みを浮かべた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
憑依暗殺部隊が、再び召集された。
「----アルファ、これを見てくれ」
上層部の男が言う。
「---」
アルファが、パソコンのモニターを見つめると、
そこには
”次はお前たちだ”というメッセージと共に
シグマとオメガの無残な姿が映し出されていた。
「---尿意暗殺部隊がやられた」
上層部の男が言うと、アルファは静かにうなずいた。
そして、背後にいるベータとガンマを横目で見る。
シグマという男は知らないが、
オメガがやられた…。
そのことは、アルファをわずかに動揺させた。
アルファから見ても、
オメガの能力はベータ、ガンマよりも上。
憑依能力は無いとは言え、
彼は二重、三重にも奥の手を持っていたはず。
「----…では、次は我々が」
アルファが言うと、
上層部の男は「頼む…」と嘆願するように言った。
別部隊のスタンバイも出来てはいるが、
この”上層部の男”の直轄の指揮下にいるのは
”憑依”と”尿意”の2部隊のみ。
あとは別の幹部クラスが、その指揮権を握っていて
動かすことができない。
「---今晩、決行します」
アルファがそう言うと、ベータとガンマに合図をして、
廊下へと出た。
その姿を見つめながら、上層部の男は
ため息をつく。
「井澄ミスト…恐ろしい女子高生だ…」
その時、背後から黒い霧が湧きあがった…。
”みーつけた!”
「---!?」
上層部の男が振り返った時には、
もう、手遅れだったーーーー。
廊下を歩いていたアルファたちは異変に気付いた。
「---人の気配がするぜ?」
ベータが言う。
「そうですね…それも大勢」
ガンマも言う。
アルファは手で合図をして、二人を立ち止まらせた。
廊下の前方から大勢の女性が歩いてくる。
…ゾンビのように。
「わたしはーー井澄ミスト・・・」
「わたしは・・・井澄ミスト・・・」
うつろな目の女性たちが口ぐちにそう言いながら笑う。
胸を触りながらニヤついているもの、
完全に意識が飛び、涎を垂らしているもの、
ひたすらこちらを見据えている者ー。
女子高生、先生、OL、少女、メイド、大学生…
さまざまな女性が居た。
「こいつらーー全員、井澄ミストに憑依されてるのか?」
ベータが言う。
「--撤収しろ」
アルファが背後に走り出す。
しかしーー
背後からも井澄ミストを名乗る女性たちが
歩いてきていた
「チッ・・・」
アルファが舌打ちして続けた。
「--作戦変更。
ただちに暗殺任務を決行する」
ちょうど、挟み撃ちになった部分に、
”いつもの部屋”
つまりー憑依するために幽体離脱する機器がある部屋があった。
「---部屋に入れ!」
アルファが叫ぶと、ベータとガンマも部屋に飛び込む。
中に入ったアルファは、即座に特殊システムで部屋をロックした。
「---ここなら、奴らは入ってこれん」
特殊な電磁波で守られているこの部屋には、
井澄ミストの黒い霧も侵入できない。
「--どうするんですか?
ここから出られませんよ?」
ガンマが言うと、アルファは言った。
「今からー、
井澄ミストの暗殺を行う。
所在地は、昨夜と同じのようだ。
今回は…事前調査が出来ていないから…
ミストが潜伏している屋敷付近で、適当に憑依対象を見つけて
憑依!今から30分以内に現地集合だ。いいな!」
アルファはそう言いながら、
幽体離脱のためのカプセルに入り、
幽体離脱を開始した。
ベータ、ガンマもそれに続いたーーー。
各地でーーー。
女性たちに異変が起きた。
一部の女性が突然、井澄ミストを名乗りだし、
憑依暗殺部隊たちが使っていた本拠地に
向かって歩き出したのだ。
その手に、黒い霧でできた、小型の爆弾のようなものを持ち、
暗殺部隊の居る部屋へ向かうー。
”扉”を破壊して、
アルファ、ベータ、ガンマを始末するためにー。
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夕刻。
「---準備完了だなー?」
OL、崎谷 理紗子(さきや りさこ)に憑依したアルファが言う。
「OK OK~!こんな山奥に女子高生が居たなんてラッキーだぜ!」
女子高生、源田 佑莉(げんだ ゆり)に憑依したベータが
胸を触りながら笑う。
「--記憶の流れ込んでくる瞬間、たまりませんね」
女子大生、椿 静代(つばき しずよ)に憑依したガンマが
記憶が流れ込んだ瞬間を味わい、喜びを露わにしていた。
佑莉(アルファ)が、
屋敷の方を見る。
屋敷にはーー
黒い霧がうっすらとかかっていた。
「----」
佑莉(アルファ)は鋭い目つきで屋敷を睨むと、
任務開始の合図を告げた…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
屋敷の中心部に、
一人たたずむ女子高生ー。
17歳 井澄ミストは、
不気味な笑みを浮かべていたー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
井澄ミスト様恐るべし…。
私には手に負えません・・・^^
続きは明日です!
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