憑依暗殺部隊 ③ ガンマ

憑依暗殺部隊ーー。

憑依相手になりきり、暗殺を行う
最年少隊員”ガンマ”

彼はとあるカップルの女性に憑依して
暗殺を行うことにー。

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「---暗殺任務が入った」

リーダー各のアルファが言う。

隊員のベータ、ガンマ、デルタがアルファを見る。
彼らは本名ではない。活動の為のコードネームだ。

「それで?今回の対象は?」
ベータが聞く。

アルファは頷き、正面のスクリーンに対象を映し出した。

「今回、暗殺するのは大学生の塩田 学(しおた まなぶ)
 表ではさわやかな好青年という感じの男だが、
 裏では地元のとある組織とかかわりを持っていて
 密売などを行っている」

塩田 学の顔がスクリーンに映し出された

「今回、暗殺には塩田の彼女で女子大生の
 吉川 里奈(よしかわ りな)を使う」

アルファが言うと、吉川 里奈(よしかわ りな)の
写真が映し出された。

「……ひゅう」
ベータが口笛を吹く。

清楚そうなロングヘアーが似合う
落ち着いた里奈の姿を見て
ベータが手を挙げた。

「---俺、やるわ」

ベータは自分の好みの女性が憑依対象の時、
進んで仕事をするが、
逆に好みでない時はイヤイヤ仕事をする。

この前のナースのみどりの時も、
彼は自分のタイプだったため、はりきって仕事をしていた

「いえーー、ここは僕がやりましょう」

ガンマが手を挙げる。

「なにぃ!」
ベータが息巻いた。

ガンマは失笑した様子で言う。

「…彼女は周囲からの辛抱も厚い人物だと聞きました。
 ベータが暗殺すれば、必要以上に彼女を傷つけるでしょう。
 ここは、僕がー」

ガンマが言うと、リーダーのアルファが頷いた。

「よし、ガンマに任せよう」

ベータが舌打ちをし、ガンマは笑みを浮かべた。

憑依対象の為ーと言いつつも、
結局、何の罪もない女性に殺人させることに変わりはないー

つまりは、ガンマも自分がやりたいだけなのだーーー

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大学の食堂

「学も大変なんだね」
大学生の吉川 里奈が笑う

「あぁ…バイトが大変でさ」
塩田 学が笑う
彼の言う”バイト”とは裏の仕事の事だ

「で、どんな仕事してるの?」
里奈が言うと、学が手を振った

「里奈には秘密かな!」

その言葉を聞き里奈がすねた様子を見せる

「意地悪~」

そんな里奈の様子を見て、学が笑っていると
異変が起きた

「ひぅっ!?」

突然、里奈が奇声をあげた。

「どうしたー?」
学が心配した様子で里奈を見る

「え?うぅん。大丈夫。
 急にハエが目の前を飛んだからびっくりしちゃって」
里奈が笑いながら言う。

彼女の様子に変化はないー

「なんだよ~驚かすなよ」
学が言う。

しばらくして、二人は食堂を出た。

このあとは二人でデートに向かう予定になっている「らしい」

「…やりやすくて、助かりますね」
里奈が一人、敬語で呟いて邪悪な笑みを浮かべた。

彼女は先ほど、ガンマに憑依されていたー。

ガンマは4人の中でも憑依技術が高く、
あっという間に憑依を完了する。

「ーーーへぇ。
 この子、まだ彼氏との”経験”がないんですね…フフ」

一人里奈は呟く。

ガンマは瞬時に憑依した女性の記憶を全て読み取る。

アルファやベータからは
”メモリの無駄遣い”などと言われているが
ガンマにとってはこれが快感だった。

その女性の人生が一度に自分の中に入ってくる感覚。

里奈はいやらしい笑みを浮かべた。

「フフ…この子にも
 ずいぶん恥ずかしい過去があるようですね」

自分の事を他人事のように言うと、里奈は彼氏の学の方に
向かって歩き出した。

この後二人はまず、ショッピングを楽しむことになっていた

「学~!今日はいっぱい楽しもうね!」
いつもの里奈を”演じ”て里奈は学に話しかけた

その本人になりきる。
自分の意思ではないのにーー
本人の人格そのままに行動するーーー。

ガンマにはこれがたまらなかった。

その本人に自分が心身共になりきっているーー

いや、、、自分自身が
”吉川里奈”に完全になっている

その事実が、ガンマをより興奮させる

「フフッ…たまらない」

里奈の体でそういうと、色っぽい溜息をもらした

「---じゃ、車で移動するか」
学が自分の車のロックを解除して、里奈を中に招き入れた。

清楚なブラウスと程よい長さのスカートをはいた
里奈が中に入る。

「さ、行くか」
学がそう言うと、里奈が言った。

「学---
 出発前にちょっとだけ…」

そう言うと里奈は学の腕をつかんだ

「えーーー?」
学が混乱する

「私、あなたのこと、本当に大好き。
 優しいし、かっこいいし…
 いつも学のコト考えてる!」

里奈が言うーー
これは事実だーー
ガンマが記憶を読み取って、そう言っている

「---な、何だよ急に、照れくさいな」

学が言う

「でも、私ね。
 もうダメなの。。
 あなたのこと、本当に好きなんだけど、もうダメなの」

里奈が恥ずかしそうに言う。

「---?」
学がよく分からない、と言った雰囲気で里奈を見る

「わたしねー?
 別の人に体も心も乗っ取られちゃったの!」

里奈は楽しそうに言った。

学が驚きの表情を浮かべる

「あーーーー?
 何言ってんだよ 里奈」

学が言うと、里奈はいつも里奈が浮かべる
可愛らしい笑みを浮かべた

「わたしね、学のせいで
 体乗っ取られちゃった。。
 
 でね、このあと、大変なことさせられちゃうの!
 私はそんなことしたくないのに!
 
 うふふ…
 でも、しちゃうの!
 わたしの中にいる人がやれ!って言ったら、
 今のわたしは何でもするの!」

里奈が”いつもの里奈”と同じ口調、仕草で話す。

勿論、里奈の意識は眠っている。
ガンマが里奈の記憶を読み取り、
里奈の演技をしているのだーー

ガンマーー
彼は”元々の女性の人格になりきり”
その上で暗殺対象と1対1になり、
憑依されていることを、女性の人格を演じながら
暴露し、暗殺対象が戸惑い、絶望する様を見ながら
暗殺することを喜びとしていたーー

普段丁寧な口調で話すガンマのー
そのえげつない暗殺方法に他の隊員は
密かに恐れをなしているのだとかーー

「おいおい、冗談もーー」

「私が、こんなことすると思うー?」

里奈は微笑むと、その場で
ブラウスを脱ぎ始めた。

「お、、おい!」
学が焦る

「ホラ~私、こんなことしたくないのに
 させられちゃってるーー」

里奈は笑いながらスカートを破きながら
脱ぎ捨てた

「ホラ、どう、私の体?
 私としたかったんでしょ?」

里奈が色っぽく言う。

「っ…、、り、里奈がいつも嫌だって
 いうから…」

学が動揺している

「うん。嫌だよ。
 私、こういうの苦手なの…

 でもね~
 学のせいで、今の私は何でもさせられちゃうの!

 本当は嫌なのに、
 こんなに楽しそうに、なんでもさせられちゃうの!」

里奈の尋常じゃない様子に
ようやく学は現実を理解した

「お、、おい!里奈を返せ!」

「う~ん、無理かなー
 全部 学のせいだし!

 あはは!
 何そんな顔してるの学!

 私が好きにされてそんなに悲しい?」

里奈はそう言いながら脱ぎ捨てた服を乱暴に
後部座席へと投げ込んだ。

そして、助手席から学に襲い掛かった。

「あ、、あ、、気持ちイイ!
 ねぇ学~~
 今 私、、私の体 興奮してる!
 最高に気持ちいい♪」

里奈が色っぽい声を時々出しながら言う

「な、、何が目的だ。。
 うっ…やめろ・・・」

学も気持ちよくなってきている

「あは…はは…♪
 わたし、こんなことしたくない!
 でも、、しちゃうのぉ!
 あぁああああ♡」

里奈が喘ぎ声を出して、顔を赤くして
興奮している。

学はーー普段ガードの固い里奈を
この隙に楽しもうーー
そう決意した

「里奈!」
学もその気になり、

里奈と体を重ね合わせた。

そして…

「うっうっ、学、、わたし、、もうダメ、、、
 これ以上、、壊れる、壊れる、
 うっあああああぁぁあああ!あっ♡」

里奈が体をびくつかせながら、
絶頂を迎え、恍惚そうな表情を浮かべたまま
放心状態になっている。

学も同じ様子だった

「あ~~~~あ、
 楽しかった♪

 ありがとうね学!」

里奈が言う

里奈はブラウスを着て、
少し破れたスカートをむりやりはいた。

「はぁ…ぁ、、まだ気持ちいい♪」

里奈がうっとりとした表情で言う。

「---なんだって、こんなこと…」
学が問いかけた

憑依された里奈が何のためにこんなことをーー

「え?決まってるじゃない。
 今日が私とのお別れ、、ううん、、
 この世とのお別れなんだから、  
 最後ぐらい楽しませてあげなくちゃっ!」

ーーーー学の顔が凍りついた

「---最後?」

そして次の瞬間、里奈は隠し持っていたロープで
学の首を強く締め付けた。

「かっ・・・か、、、り、、里奈!やめ、、目を覚ませ」
苦しみながら学が言う

「学のせいで~私も人殺しになっちゃうの!

 でもね!
 私、体を好きにされてるから!!
 やめられないの!

 殺しちゃう!あはははははは

 あはははははははははーーーーーー」

里奈が狂ったように笑う。

そしてーーー
笑い終えたころには学は動かなくなっていた

「---バイバイ、学」

里奈が満面の笑みで別れの言葉を述べると、
その顔から笑みが消え、
助手席で意識を失った。

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「---終わりましたよ」

ガンマがリーダーのアルファに報告した。

すると、横に居たベータが口を開く

「趣味わりぃぜ」
その言葉を聞き、ガンマが言う

「あなたと一緒にされたくはないですね…
 僕は、憑依する女性の人格を”尊重”してますし、
 人前で行為をしたりはしません」

ガンマがそう言い、笑うとベータが首を振った

「同じようなモンじゃねぇか」

「---つまらん」

奥で見ていた”デルタ”が言う。

「クフフ…
 憑依ってのは、憑依される子の絶望も
 楽しんでナンボだろうが…

 意識まで封じ込めたんじゃ意味がねぇ!」

そう言うと、隊員の一人デルタが
「次の仕事は俺がやるぜ ハッハッハ!」と大声で笑った。

彼はーーー女性の意識をあえて残したまま
憑依を行うーー
”もっとも残酷な憑依暗殺者”として名が通っていたーーー

④へ続く

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コメント

憑依暗殺部隊の④はあさってに書きます!
明日はちょっと休憩を挟みます
(別の小説は載せます)

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憑依<憑依暗殺部隊>

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