<憑依?>リアルデュエリストVol9 リーフの悦び

”リアル・デュエリスト”
人々は、カードを現実化させる力を得た人を、そう呼んだ。

各地でリアルデュエリストが現れる中、
自分の”悦び”のために、リアルの力を使う者が居たー。

フォロワー様のリーフ様
ゲスト出演されるリクエスト作品です。

※リクエストにより、全年齢向けを「目指して」作りました。
  憑依要素はかなり少なめですが、お許し下さい。

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男がモニターを見つめている。

彼は”別次元”からやってきた人間。
とある目的のため、
カードを現実化させる力”リアル・デュエリスト”の力を
世の中の人々に無作為で与えては、その様子を
モニターで監視している。

「…今はまだ私が動くときではない」
彼はそう呟き、モニターを見つめる。

リアル・デュエリストの力を手に入れたものは
大半が、私利私欲に溺れて、カードを使い、
周囲の人間を傷つけるなどした挙句、
最後には身を滅ぼしている。

優等生だったあのコもー。
家族を守ろうとした父親もー。
会社の会議でリアル化の力を使った男もー。

みんな、身を滅ぼした。

「・・・・・・」
男が、モニターの一つを見つめる。

リアルの力を与えた中で、一人珍しい動きをしているものが居た。

その人物の名は、リーフ。

「---」
男は、リーフの様子が映し出されたモニターを、じっと見つめた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある高校。
その近くの小さな通りでは、怪奇現象が起きていた。

それはー
通行する高校生の姿が、突然変わってしまうという現象。

起きる原因は不明だが、
男子高校生が突然美少女になったり、
女子高生が突然ドラゴンゾンビになったり…。

そういうことが実際に起きているのだ。

多くの人は、それを
単なる高校生の悪戯話程度にしか考えていなかった。

しかしーーー
いたのだ。

その道端の草むらに…
リアルデュエリストが。

”リーフ”と名乗るリアルデュエリストは、
1週間に数回、その草むらに身を隠し、
草むらからカードを発動、姿を変えられた高校生たちの反応を
見て、楽しんでいたのだ。

少年や少女が変えられるその瞬間。
そしてそのあとの行動。

変えられたあとの行動は人により様々。
その様子はまさに”芸術”と呼ぶにふさわしいー。

リーフ自身が書いている小説、龍義王のアイデアが
そこから閃くこともある。

そしてー
今日も”リーフ”がその場所に、色々なカードを用意してスタンバイしていた。

男子高校生の3人組がやってきた。
早速、リーフはその一人に向けて、”調律の魔術師”という
少女のカードをかざした。

リーフが愛するモンスターだ。

「---お、、おいお前…」
男子高校生の一人が”調律の魔術師”に変わった友人を指差す。

可愛らしい少女の姿になった
男子高校生が
「え?」と声を出す。

自分の声が可愛らしい声になっているのに気づき、
さらには着ている衣装や格好に気づいて悲鳴をあげる

「うっ…うわあああああっ!」

顔を真っ赤にしてうろたえる調律の魔術師。

「-うっへ~お前も可愛いじゃネェか!」
他の2人の友人がニヤニヤしながら
調律の魔術師をいじくっている。

たまらず調律の魔術師は逃げ出し、
残りの2人はそれを追いかけていった。

リーフはその様子を見て笑みを浮かべていた。

そして、
次ー。

やってきた男子高校生。今度は一人だ。

”フレシアの蠱惑魔”というカードを手にしてかざす。

リーフは、小さな少女が大好きだったー。
それ故、持ってきているカードの半分が
少女のカードだった。

「--えっ!?」
フレシアの蠱惑魔の姿に変わった男子高校生が戸惑っている。

「えっ…え、、、
 あ、、噂は、、本当だったのか」
一人で呟く男子高校生…
いや、フレシアの蠱惑魔。

彼は、ニヤリと笑みを浮かべると、
その場を立ち去った。

秘めた野心があったようだ。

フレシアの蠱惑魔になった彼は、
幼児服が売っているデパートにかけこみ、
可愛らしいフリフリの洋服を買って、
それを身に着けた。

「ふふっ…可愛い!」
フレシアの蠱惑魔になってポーズを決める
元・男子高校生。

そして、そのまま嬉しそうにスキップしながら商店街に向かう。

だが、何やら周囲が騒がしい。
フレシアの蠱惑魔となった男子高校生はふと…異変に気づいた…

「えっ…!?」
体が自分の体にもどっていたーーー。
リアル化の力は、使用者から”一定距離”離れてしまうと、
その効力が消えるー。
効力を持続させるためには、カードをスリーブに入れる必要が
あるのだが、リーフはそれをしなかった。

リーフから離れた男子高校生は、
フレシアの蠱惑魔から元の姿にもどってしまった。

もちろん、普通なら元の姿、元の服装にもどるだけなのだが、
彼は「服を着替えてしまっていた」

原理は不明なものの、
リアルの力でモンスターの姿になったあと、
そのままの姿で居れば、元にもどったとき、服装も元にもどるようだ。

しかし、服を着替えたりしている場合、
元の姿に戻ったときに…

商店街の真ん中で、女児の服をパンパンに引き伸ばしてきている
男子高校生を見た周囲の住民は、騒然としていた。

「え、、あ、、いや、、違う、、これは、、
 違う、、や、、やめ!警察呼ばないで!」

彼はーー
通報されたーーー。

・・・・

一人草陰で笑うリーフ。

リーフは「マインドハック」というカードで、
走り去っていった男子高校生の様子を見ていた。

さっきのフレシアになった男子高校生の様子も
当然見ていたのだった。

愉快になってきたリーフは
さらに続けた。

女子高生3人組がやってくる。

「理香子ちゃん可愛いよね~」

「でしょ。ホラ、もっと褒めなさい!」

3人組の一人の理香子という女子高生が、
高飛車な雰囲気で、他の二人に自分を褒めるように要求している。

確かに可愛い容姿ではあるものの…

リーフはちょっとだけ意地悪な気持ちになり、
”治療の神ディアンケト”のカードを発動した。

老婆のカードだ。

「---・・・え!?理香子!?」

突然、目の前の美少女が老婆に変わった事に驚く友達たち。

「--ど、、どうしたの…?」
本人に自覚はないようだ。

リーフが発動したカードによって、老婆の姿になってしまったというのに…

「--ほ、ほら、これ・・・」
友達の一人が鞄から手鏡を取り出して、
理香子に渡す。

理香子は、しわだらけになった手で
自分の姿を見つめて、大声で悲鳴を上げた。

泣き声をあげる老婆ー
いや、ディアン・ケト。

「ね…ねぇ、わたしたちもここにいたら
 変な姿にされちゃうかも…?」

”急に”姿が変わることがあるー。

そんな都市伝説的な噂を知っていた2人は、
目の前で理香子におきたことがそれだと
思い、慌ててその場から立ち去ろうとした。

リーフはそんな彼女ら2人に
「憑依するブラッドソウル」のカードをかざし、
ブラッドソウルを憑依させた。

憑依された2人は”今起きたこと”をすっかり忘れ、
理香子のことも忘れて、そのまま虚ろな目で立ち去った。

リーフは、ディアンケトとブラッドソウルのカードを
スリーブに入れた。

これで、効果が影響に続く。

泣きながら立ち去る、ディアンケトを見て、
リーフはそっと、スリーブにしまったカードを、
自分のカードホルダーにしまった。

「…なぁ」

誰かが通りの真ん中で声を出す。

リーフははっとしてその男子高校生を見つめた。
爽やかなイケメンだ。

「--俺を”調弦の魔術師”の姿に変えてくれ!」
高校生が言う。

リーフは手元に用意してある
”調弦の魔術師”のカードを見つめる。

「--頼む!何だか知らないけど、
 ここで、何人かが「姿を変えられた」のは知ってる!」

”噂も随分広がったな”などと
リーフは思いながら、その男子高校生の言葉を
草むらの影から聞く。

「--デュエルの神様!
 俺を調弦の魔術師に変えてください!

 彼女が好きすぎて、俺…あのカードを931枚も
 集めちゃったんです!

 どうか俺を調弦に…」

リーフはその言葉を聞いて、首を横に振った。

男子高校生を調弦の魔術師に変える。
それは簡単なことだし、
リーフの欲望的にも、とても美味しい展開だ。

けれどー。

リーフは指示されて、やるのは嫌いだった。
”自分がやりたいから、やる”のであって
”指図されてやるものではない”

リーフはまた、意地悪な気持ちになると、
たまたま近くを通りがかった、別の男子高校生、
スポーツ狩りの男に、調弦の魔術師のカードをかざした

「うぉっ!?」
可愛らしい声で調弦の魔術師となった男子高校生が叫ぶ。

「---!?」
さっきまで俺を”調弦にしてください”と言っていた
イケメンが、真横で、別の生徒が調弦の魔術師に
なったのを見て、驚く。

「----くそっ…なんでお前が調弦ちゃんになるんだ!」
イケメンが険しい表情で、調弦の魔術師となった男子高校生の
胸倉を掴む。

「ひっ…」
怯えた表情を浮かべる調弦の魔術師。

イケメンは怒りをあらわにして、
調弦の魔術師を裏路地のほうに引っ張っていった。

路地から調弦の魔術師の可愛らしい悲鳴が聞こえ、
リーフはニヤニヤとその声を聞いていた。

リーフは、その後も、
道行く高校生たちに”悪戯”を続けるー。

メガネの女子高生を
”戦士ダイ・グレファー”に変える。

おっさんになってしまった女子高生が
図太い声で悲鳴をあげて、走り去っていく。

遠くに行けば、リアル化の効果はなくなって
おっさんの姿から元の可愛い姿に戻れる。

走り去る女子高生、
いや、ダイ・グレファーに対して、
リーフは”もっと早く疾走れー”と心の中で呟いた。

気の弱そうな男子高校生を
”心眼の女神”の姿に変える。
額の眼の部分を気にしながら、キョロキョロとして立ち去っていく。

ゴツイ体の不良っぽい生徒を
”ハーピィ・ダンサー”に変える。
その生徒は気づかずにそのまま歩き去っていく。
あとで、大変なことになるだろう。

ギャルっぽい女子を
”ゴーストリックの魔女”に変える。
見た目は可愛らしくなった彼女は、急に、自分の姿が
変わったのに気づき「うわ、なんだこれ?うける~」と
言いながら歩き去っていく。

根暗男子を
「ブラックマジシャンガール」の姿に変える。
ブラックマジシャンガールの姿になったのに、
気づいて居ないのか、凄い暗い顔をしていて、
ブラックマジシャンガールではないかのようだ。。

「人生なんて余裕だぜ!女は食べ放題!」と
叫んでいるヤンキー男子は、
少し腹がだったので「ゴキボール」の姿に変えてやった。

そして、、
リーフの欲望のカード遊びは夜まで続いた…。

「---きみ、そこで何をしている?」
リーフの背後から声がかけられた。

リーフが振り向くと、
そこには、警察官が警察手帳を持って、
リーフのほうを見ていた。

”今日のお遊びの時間はそろそろ終わりのようだ”

そう思ったリーフは、
カードを発動した。

逃げる準備もぬかりは無い。

”超弩級砲塔列車グスタフ・マックス”

列車になったリーフは、そのまま猛スピードで走り去った。

驚く警察官。

だが、次の瞬間、もうリーフはその場所に居なかった。

「----なんだ、、あいつは」
警察官は唖然として、その場に立ち尽くした。

リーフは自身の小説に使う新しいネタを思いついた。
今日も満足しながら、お気に入りの特撮番組を見ながら、
小説でも書こう。。。

そんな風に思いながらグスタフマックスの姿で爆走したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

男がモニターから目を離し、ため息をついた。

「目立った危害を加えるわけでもなく、
 ただ、楽しんでいるだけ…か」

そう言い、イスから立ち上がると、
男は別のモニターに目をやった。

果たして、
”私の計画”に役立つものは、
現れるのかー

彼は、そう思いながら新しいモニターを見つめた。。

おわり

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コメント

リーフ様の夢を叶える?べく書いた小説です。
1話完結のため、単純な内容が限界でした(笑)

リクエストにより、いつもより憑依要素や
R18要素を大幅に抑えましたが、
ちゃんと全年齢向けになりましたでしょうか?

ご覧頂きありがとうございました^^

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予告

「ヤツをデュエルで拘束せよー」

リアルデュエリストVOl10
「白バイデュエリスト」

デュエルスタンバイ!?

※掲載時期未定です

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