<女体化>リアルデュエリストVol16~医療計画~

カードを現実化する力を持つデュエリストを、
人々は”リアル・デュエリスト”と呼ぶ世界。

その力を、医療に使う病院があった…

リアルデュエリストVol5~Vol7の続編です!

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外科医、成宮龍(なるみや りゅう)は、
副院長として、病院での勤務を続けていた。

リアル・デュエリストの力を使い、
患者を治療する日々。

「--治療の神、ディアンケトを発動」
成宮がカードをかざすと、治療の神がオペ室に
現れて、治療困難とされた難病の患者を、
一瞬で感知させてみせた。

「--お疲れ様でした」

助手たちは言う。

だが、成宮には、釈然としないものがあった。
自分は、ただカードをかざしているだけ。
かつては、この手にメスを持ち、
汗をかきながら患者の治療をしたものだが、
今ではーー。

「俺は、このままでいいのだろうか」
成宮はふと呟いた。

「今日も素晴らしかったね」
背後から声がしたー。

鬼柳院長…。

かつては外科部長として、
成宮と対立していた人物だ。

リアルの力を私利私欲のために
利用しようとした。

そんな鬼柳は、一度、成宮たちの手により、
追放されたものの、舞い戻ってきた。
今度は、院長としてー。
そして、”リアルデュエリスト”としてー。

成宮は、うかつに鬼柳に手を出すこともできず、
また、鬼柳の側も、うかつに成宮に手をだすことは出来ず、
”膠着状態”が続いていた。

「--どうも」
成宮はそれだけ言うと、鬼柳を無視して歩き始めた。

「--成宮くん」
鬼柳がニヤリと笑う。

「--いよいよ、私の進めていたプロジェクト、
 来週からスタートすることになったよ」
鬼柳の言葉を聞いて、
成宮が振り返る。

「なんだと?」

鬼柳院長の言う”プロジェクト”とは、
”全く新しい医療の提供”

すなわちー、
リアルデュエリストの力による、
“女体化の解禁”であった。

「--我々は生まれてくる性別を選べない。
 男に生まれたかったものも、
 女に生まれたかったものもいる。
 だが、現実は厳しいー。
 希望通りには行かないのだ。

 だったらー、
 我々がそれを手伝ってあげればいい」

鬼柳院長は笑う。
リアルの力で、望む性別に変化させ、
大金を稼いでやろうと、
鬼柳はそう考えたのだ。

「-ーバカな…
 それは”人”として超えてはいけない領域だ!」

成宮が言う。

成宮はリアルデュエリストだが、
”その力”の使い方には慎重だった。

リアルの力を乱用して、性別を変える。
それは、人を超えた”神の領域”

許されるはずがない。

「--私は儲かるー。
 患者は喜ぶ。
 Win-Winとはこのことだ」

鬼柳はそう言って笑うと立ち去って行ったー。

1週間後ー。
”肉体変科”が新しく設立された。

そこの担当として抜擢されたのが、
成宮と同じく、リアルデュエリストの力を持つドクター、
Dr了見だった。

了見は、現在外科部長として活躍しているものの、
鬼柳院長の完全なイエスマンであり、
周囲からの信望は薄い。

「やったー!今日からわたしは女の子!!うふふっ!」

カードの力で
”ガガガシスター”の姿になった少女ー、
いや、元は男か女かも分からない人物が嬉しそうに
スキップしている。

Dr了見は、にこにこしながらその様子を見つめる。

そして次に、
オタク風の巨漢な男がはいってきた。

その男のオーダーに従い、
Dr了見は、”ブラックマジシャンガール”のカードをかざす。

元の姿が嘘かのように可愛らしい姿になった男は
「ふほっ…今日の夜が楽しみダァ…うほほ…」
と言いながら診察室から出て行った。

ーー診察時間が終わると、
Dr了見は、肉体変科から出てきた。

「---了見…」
成宮が呟く。

Dr了見は、成宮を見て鼻で笑った。

成宮は副院長ー、
了見は外科部長ー、
年も成宮の方が少し上だったが、
了見は不遜な態度を隠そうともしなかった。

「見ましたか?
 患者さんたちの顔を」
了見はバカにした様子で言う。

「--顔?」
成宮は不満そうに返事を返す。

「--そうです。
 みんな、まるで生まれ変わったかのように 希望に
 満ちた表情をしていました。
 
 この世に生まれてくる性別を選ぶことはできません。
 それを、我々が医療の名の元に、
 性転換させてあげている…。

 素晴らしいことじゃありませんか。」

Dr了見の言葉に、
成宮は失笑した。

Dr了見は、リアルの力を見出されるまでは、
一介の外科医だった男だ。
それも、診察ミスで、異端児として扱われていた男。

それが、今では外科部長。

「---何が不満なんです?」
Dr了見が、成宮を見つめて言う。

成宮は、了見を見ていった。

「--俺は、”人が超えてはいけない領域”だと思う」

成宮は、危惧していた、
この”リアル”の力が、いつか、この世界を滅ぼすことに
なるのではないか、と。

現に、死んだDr真崎が
”終焉のカウントダウン”を発動したとき、
世界は滅びに向かっていた。

成宮は、それ以降、この力を危惧するようになっていた。

「--甘いですね。
 神に与えられたこの力を使わないでどうするのです」
Dr了見が言うー。

「・・・・。」
成宮は了見の白衣にくくりつけられた3枚のカードを
見つめる。

全て裏向きになっているが、このカードは
Dr了見が護身用に持っている
”聖なるバリア ミラーフォース”だ。

この男は、”リアルの力に溺れている”

成宮は、そう思い、Dr了見のことも警戒していたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

数週間後。

肉体変科は、多大な利益を
あげていた。

だが、鬼柳院長は、それに満足するような人間ではなかった。

「--お呼びでしょうか?」
Dr了見が、院長室に入ると、
鬼柳院長は笑った。

「--流行らせるぞ」

「は?」

Dr了見は、鬼柳院長の意図が分からず、
首を傾げる。

「--君は、自分が女になりたいと
 思ったことはあるかね?」
鬼柳院長が立ち上がり、Dr了見に尋ねた。

「は…そのような趣味は持ち合わせていませんが…」
了見が言うと、鬼柳は笑った。

「はは、そうだろう。
 なら、もしも君の体が急に女体化したら、
 君はどうするかね?」

鬼柳院長の顔を見て、Dr了見は悟った。

「まさか、院長…」

鬼柳は笑うー。

「そう。君のリアルの力で、街の人間を
 無差別に”女体化”させたまえ。

 そして、それを我が病院で治療する…
 なに、簡単なことだ。
 カードの力で一般人を女体化させ、
 病院に来た患者を治療するふりをして、
 女体化させるために使ったカードを破り捨てる。

 世間は、”女体化する病”として、
 我が病院に来るだろう。
 ”治療”は我が病院にしか出来ないのだからー」

鬼柳の計画はー
カードで人を女体化させ、
”それを治療できる”と病院で宣言し、
治療するふりをして、カードの効力をなくすことー。

そうすれば、人工的に患者を増やすことが出来る

「--わ、、分かりました」

Dr了見は、そう返事をして、
女性モンスターカードを大量に積んだデッキで
街へと向かった。

街で了見は、カードを手に、手を振るわせた。

「これも、全ては、病院のためなんだ…」
了見は道行く男たちに次々と女性モンスターの
カードをかざしていく。

”白魔導士ピケル”

”調律の魔術師”

”堕天使マリー”

”ガガガガール”

”味方殺しの女騎士”

女性モンスターの姿に突然変えられた
男たちはパニックを起こしている。

Dr了見は、心を鬼にして、
各地で、人々をカードによって女体化させたー。

そして、そのカードはスリーブに入れて
厳重に保管された。
カードから一定の距離が離れると、リアルの力は
解除される(元の姿に戻る)が、
スリーブに入れておくと、効果が持続されることが判明している。

1週間後。
鬼柳院長は、テレビで高らかに宣言したー。

「最近、各地で、男性が突然女性の姿に変化する病ー。
 そうですね、仮に”TS病”とでも名づけましょうー、
 が、多発しています。

 ですが皆さん、ご安心下さい。 
 我々が、その治療方法を見つけ出しました。
 我が病院で、このTS病の治療を開始いたします!」

鬼柳院長の宣言に、病院は人で溢れたー。

そして、やってきた患者たちからー金を巻き上げた。
治療と称して。
実際には、来た患者のカードを破棄して、
リアルの力を解除しているだけなのにー。

街中で、
成宮は、Dr了見を捕まえていた。

「おい、何を考えている?
 お前が、モンスターカードを使って、
 街の人々を女体化させているのは分かっている!」

成宮がDr了見に詰め寄る。
了見は言うー。

「院長の指示なんだよ・・・」
了見が言ったそのときだった。

突然、近くに居た通行人が倒れた。

「--どうした?」
Dr了見が言う。

「--わ、わかりません!」
近くの通行人が慌てふためく。

「---私は医者だ。任せなさい」
Dr了見はそう言って、
倒れた通行人を見た。

”ブルーポージョン”のカードを使えば
どんな患者でも…

Dr了見はそう考えてハッとした。

「---しまった!」
Dr了見が今、持ち歩いているデッキはー
女性モンスターだけを積み込んだデッキー。

治療用のカードは1枚も…

「---く…く…どうすれば」
倒れている急病人を前に、唖然としているDr了見。

「---何をしている!邪魔だ!」
成宮が、Dr了見をどかして、救急車を呼ぶように指示して
応急処置を行う。

「・・・・---」
Dr了見は、何をすることも出来ず、そのままその様子を
呆然と見つめていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

患者は病院に運び込まれた。

Dr了見は、すぐさま、自分の部屋から、治療用のカードを持ち出し、
オペ室に入った。

しかしー
そこでは、Dr成宮が、既に”執刀”して、
オペを終えていた。

「----な、、」
Dr了見は、カードを手に、唖然とそれを見つめた。

オペを終えた成宮が、了見を見て言う。

「---俺達は医者だ。
 カードに頼るばかりで、本来の見るべきものを
 見失ってはいけない」

その言葉に、Dr了見は、
冷や汗をかきながら言う。

「---だ、、だが、、カードで治療をしたほうが、
 遥かに効率的…」

その言葉に、成宮は強い言葉で呟いた。

「--もしも、この力が急になくなったら、どうする?」

Dr了見はギクッとして、何も答えられないー

”急に現れた力ー”
ならば、
”急になくなってもおかしくはない”

Dr成宮は、そう考えていた。
成宮は、助手たちに挨拶をすると、
そのまま立ち去っていった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

鬼柳院長のもとを、Dr了見が訪れていた。

「--これは?」

院長の机には辞表が置かれていた。

「---私は間違っていました。」
Dr了見はデッキを鬼柳院長の机の上においた。

「---私は、一から勉強して、出直そうと思います」
Dr了見が頭を下げた。

鬼柳院長は、ため息をついた後に叫んだ。

「この、使えないやつめ!」
そう言うと、鬼柳院長は、カードをかざしたー。

Dr了見の姿が、”ドリアード”という女性モンスターに変わる。

「--くくく、女体化の刑だ」

鬼柳院長が立ち上がる。

「い、、院長…も、、元に戻してください!」
可愛らしい姿と声で泣き出すDr了見。

「--お前など、もう要らん。
 お前がやらぬなら、私がやる」
鬼柳院長はデッキを手に立ち上がり、
街へと歩き出した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---わははははははは~~~!」
鬼柳院長は街で道行く人たちに
次々と女性モンスターのカードをかざしていく。

「--な、なんだこれ…!?」

「うわあああああっ!」

「うはぁ…む、胸がある!うひひひひっ!」

住民たちが
混乱したり、喜んだり…
街はカオスな状態となっていた。

黄色い悲鳴が響き渡る。

「--みんなみんな、女体化してしまえ~!
 ウェルカムトゥザ、レディボディ!」

正気を失った鬼柳院長が、
次々と市民を女体化させていく。

そこにー、
Dr成宮が立ちはだかった。

「街が大変なことになっていると聞いたから
 来てみれば…
 鬼柳院長…
 あんたは、本当に救いようのないやつだな」

「---成宮ァ!」
鬼柳院長が怒りの形相で成宮を見る。

Dr成宮はため息をついた。

リアルの力を人を片付けるために
使うことは二度としたくなかったが、
仕方が無い・・・。

成宮は、鬼柳院長に向かってカードをかざした。

“亜空間物質転送装置”
というカードを・・・。

「き・・・貴様・・・!ぬああああああっ!」

鬼柳は”亜空間”へと転送された。

成宮は、目をつぶり、
鬼柳の断末魔を耳にするのだった。

そしてー
鬼柳が発動した女性モンスターカードを全て
スリーブから取り出して、破棄したー。

これで、女体化させられた人たちは、
元に、戻れるはずだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日、
成宮は記者会見を開いた。

蔓延していた女体化の病は、
病院の仕業だったことを発表。

成宮は全ての責任を背負い、
病院の副院長を辞任した。

ーー

「これは、もう必要ない」
成宮は、カードを自分の机に置いた。

「---俺は、デュエリストではない、
 ・・・医者だ」

彼は思うー
カードで患者を救うことはできるー。
だが、同時に、この力はいつか、人間を
破滅に導く。

そう思った。

だから、デュエリストは今日で引退するー

成宮は病院から出て、
歩き始めた。

「--俺は、この手で、患者を救うー」

また、一からやり直す。
彼は、まだ見ぬ患者を救うために、歩き始めたー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

もしもリアルの力があったら・・・。
最初は人のためにカードを使う人も
絶対にそのうち暴走してしまう気がします!!

…書き終えて気付いた憑依要素のなさ!!
女体化になってしまいました^^

憑依<リアルデュエリスト>
憑依空間NEO

コメント

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