<憑依>憑依暗殺部隊~遊園地の暗殺任務~②

遊園地にやってきた暗殺対象の不良4人組。

女子高生4人に憑依した暗殺部隊は、
それぞれの暗殺対象を仕留めるべく、
各々のアトラクションへと、男たちを誘導していく…。

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「待たせたな」
西郷が言う。

1時間遅刻した男4人はようやく遊園地で、
女子4人と合流した。

「遅いよ~、わたし、待ったんだからね!」
琴枝が言う。

琴枝にはデルタが潜んでいたが、
今、デルタは琴枝の意識を解放して
自由にさせていた。

”いつものやり方だ”

ショートパンツ姿の友美(ベータ)がほほ笑む。

「ねぇねぇ、わたしメリーゴーランドに乗りたい!」

それを聞いて、和歌子(ガンマ)が言う
「私は…観覧車がいいな~」

女子のわがまま。
それぞれが思い思いのアトラクションを口にする。

不良4人のリーダー格の西郷が言う。

「じゃ、最初は別々に行動すっか。
 みんな乗りたいものも違うみたいだしな」

その言葉に、他3人の男が頷く。

メガネ女子の可愛らしい華(アルファ)は
愛想ない表情で邪悪な笑みを浮かべた。

”分散した方が、”ヤ”りやすい”と…。

彼ら8人は
カップル3組と、片思い一組のペアだった。

それぞれがペアを組む。

茶髪男の室伏が言う。
「じゃ、友美、行こうか!へへぇ~」
下心丸出しに笑う室伏。

友美(ベータ)は微笑んだ。

室伏は、友美のショートパンツから惜しげもなく
疲労されている太ももをガン見している。
完全に変態だ。

「---わたし、メリーゴーランドに乗りたい!」

友美の言葉に室伏は笑う。

「おう、いいぜいいぜ!いこうぜぇ~」
室伏は友美の肩をつかむと、そのまま
二人で、メリーゴーランドの方に向かって歩き始めた。

肩をつかまれた友美(ベータ)は思う。
”この男、やたらベタベタ触ってくるな”とー。

本来の友美なら嫌がったかもしれない。
だが、今の友美は違った。
邪悪な笑みを浮かべて笑うー
”そういう変態、好きだぜ”---と。

友美(ベータ)がメリーゴーランドに向かったのを見て
ロングスカート姿のミステリアス女子高生、
和歌子(ガンマ)は呆れた笑みを浮かべた。

「また、公衆の面前でやるのね…」と。

ガンマは憑依暗殺をする際に、
憑依した人間に敬意を表して、
なるべく人前ではやらない。

記憶を全部読み取ってる時点で敬意も
何もないのだが…

「ふふっ…
 記憶を読み取るって最高…。
 この子の”全て”が一瞬にして私のモノになる快感。
 震えがとまらないっ!」

和歌子はそう呟いた。

「---ねぇねぇ!ジェットコースターいこっ!」
ミニスカート姿の活発な女子高生、琴枝(デルタ)がはしゃぐ。

金髪男の木川が笑う。
琴枝と木川は付き合っている。
カップル歴は3か月。
木川がコンビニバイトをバックレしたことを自慢したとき、
琴枝にひどく呆れられたがなんとか、関係を保っている。

「よーし!ジェットコースター!行こうぜ!」

琴枝と木川がジェットコースターの方へ向かう。

「--お前は、どうする?」
不良のリーダー格、西郷。

メガネで優等生風の華(アルファ)は
西郷と付き合っていた。
理由は”お互いにかけているもの”に魅力を感じたからー
らしいが…。

「--お化け屋敷に行きたい」
華が愛想なく言うと、西郷がほほ笑んだ。

「--そうか。ところで今日、何か元気ないな?大丈夫か?」
西郷の問いに華は「大丈夫よ」とだけ答えた。

足早にお化け屋敷の方に向かう華。

後からそれを追う西郷は、冷や汗をかいていた

「---俺、、、オカルトとか苦手なんだよな…」
西郷はダラダラと汗を流している。

お化け屋敷は別にオカルトでもなんでもない。

だが、西郷は極度のビビりだった。

「------」
唇を青白くして、歯をガクガクと震わせ、西郷は
お化け屋敷の方へと向かった。

広場に残された、
和歌子(ガンマ)は微笑む。

「私は、、観覧車がいいな?
 ね、いいでしょ?夏目君」

甘えるようなしぐさで夏目流石に言う和歌子。

この二人だけは唯一付き合っていない。
和歌子はミステリアスな雰囲気を持つ女子高生で、
普段は少し暗めで、独特な世界観を持つ少女だ。

「---異論はない」
流石は言った。

彼は、和歌子に一目ぼれしている。
だが、奥手な流石は、告白できずにいた。

極度の緊張から、流石は財布の中身を見る。
ジュースを買おうとした。

流石は財布の中の札束を手にする。
そのお札は、全て夏目漱石の1000円札だった。

彼にとって、
野口英世の1000円札はお金に非ず。

持っている1000円札を全て夏目漱石で統一するのが
彼のポリシーだった。

「---ねぇ、乗るよ!」
気付けば和歌子が観覧車の方に既に言っている。

流石は慌てて観覧車に向けて走り出した。

「はいー」
和歌子が流石の手をつかみ、手をつなぐ。

「わ…わ、、、わ、わ、わ、わ」
流石は興奮のあまり、挙動不審になる。

「わ、わ、わ、吾輩は、、、吾輩は、吾輩は」
言葉にならない流石。

和歌子(ガンマ)は流石に微笑みかけた。

顔を真っ赤にした流石を観覧車に引っ張り込む。

「---夏目君!今日はい~っぱい楽しもうね」
和歌子は微笑む。

しかし、ロングスカートの中には
暗殺に用いるワイヤーが用意されていた。

そしてー

”せいぜい楽しみなさい。。夏目流石君…
 この観覧車の頂上が、人生最後の絶景になりますから…”

ガンマは心の中でそう呟いた。

「--ねぇ、流石くん…」
和歌子がわざと甘い声をだし、
ロングスカートを少しめくってみせた。

「わたしのこと、す・き?」
囁くようにして、和歌子が言う。

「わ・・・わ、、、、わ、わ、わ」
流石は顔を真っ赤にしてカチカチに固まっている。
たくわえた立派な髭にも汗がしみこんでいる。

「--ーね、、、夏目君、、
 わたしね…
 わたしも…夏目君のこと、、、大好きなの♡」

和歌子がそう言い、
妖艶なしぐさで服を脱ぎ始めた。

観覧車が上昇する。

和歌子の綺麗な肌が露出される。

夏目の興奮値が上昇する。

「ねぇ?夏目君
 どうしたの そんなにカチコチになって?

 私を抱きたくないの?
 ね、、ホラ…」

ロングスカートにも手をかける和歌子。

「ねぇ、、夏目くん~
 どうしたの♡」

和歌子が夏目を誘う。

そして夏目はやっとの思いで言葉を絞り出した

「わ、、、わ、、吾輩はーー
 童貞なのである」

和歌子は微笑んだ。

”でしょうね…”
和歌子の中のガンマは目の前の流石をあざ笑った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

メリーゴーランドに到着した
友美(ベータ)と茶髪男の室伏は
二人でイチャつきながら一緒の馬に乗る。

そして、メリーゴーランドが回り始めた。

ショートパンツのポケットに用意した
小型ナイフ…

”絶頂を迎えた瞬間に、
 これで喉元を掻き切る”

それがベータの絶頂。

今までそうして何人も葬ってきた。

悪徳医師もー
ブラック企業会長の息子、真柴流星もー。

そして、今日は。

「ねぇ…室伏君見てたら、わたし…
 興奮してきちゃったぁ!うふふ♡」

ツインテールを振り乱し、突然、友美は
馬から室伏を押し倒した。

回転する床の上で
仰向けに倒れる室伏。

「なーー、何だよ急に!」

友美はそのまま
うふふふふふふ♡と不気味な笑い声をあげて
室伏に馬乗りになった。

「ね、室伏君、
 もうわたし我慢できない
 見て、下着もぐちょぐちょ…」

これからすることを妄想したベータの意思で、
友美の体は既に感じていた。

そのまま力強く、室伏にキスをする。

突然、利用者二人が馬から降りて
公衆の面前で行為を始めた。

周りの客や係員が戸惑う。

だが、突然友美に襲われた室伏は笑った。

そして室伏は自分のズボンや服を脱ぎ捨て
スマホを手にした。

「ふぅ~すげぇぜ友美ぃ!」
エロ野郎 室伏の興奮は最高潮に達した。

そして、調子に乗った室伏は自分たちの
メリーゴーランドでの行為前の写真をスマホで撮影して、
それを自分のSNSに投稿した

「ふぅ~!バカッターだぜ~!」

室伏はバカだった。

露出した男女のメリーゴーランドでの写真など投稿したら…。

だが、もうそれは室伏には関係のない話だ。
何故なら室伏はここでー
死ぬのだから。。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お、、、おぉい…華!どこだよ…」
不良のリーダー格、西郷がおばけ屋敷で怯えている。

おばけ屋敷に入った直後、華が姿を消した。

西郷の恐怖は頂点に達した。
何故、華は消えたのか。

「華~!華~どこだよ!」

グォォォォォォ!

突然オバケが飛び出してくる

「ぎっぎゃああああああああ!」

西郷は、涙を流しながら叫ぶ。

そして自分のズボンに目をやる。
不覚にも彼は、あまりの恐怖にやってしまった。

「---うわぁ…最悪だ…」
涙ぐむ西郷。

とてもクラスメイトをいじめて自殺に追いやった男とは思えない。

その時だったー。

暗闇から華(アルファ)が現れた。

「は、、華ー!」
満面の笑みを浮かべる西郷。

だがー。
華の表情は狂気に満ちていた。
そしてー。
華は手に謎のカプセルを持っていた。
アルファが暗殺に用いる毒薬だ。

西郷は
”華がいつもの華でないことを察知した”

「ひっーーーーー」

西郷には華の姿が
”小さいころ、自分に襲いかかってきたオランウータンに見えた”

「いぎゃああああああ!」
西郷は悲鳴をあげて、パニックを起こした。

そしてーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ジェットコースターは、上昇していく。

琴枝(デルタ)は、
微笑む

「楽しみ~」

琴枝だけは”今はまだ、正気だった”

「---なぁ、バックレにも種類があってよー」
金髪男の木川が笑いながら言う。

「--俺がやったのは高等はバックレなわけよ。
 店長しか居ない日にバックレてやったんだからよ。」

彼はバックレオタクだった。

琴枝はうんざりとした様子でその話を聞いている

「俺よ~今までも色々バックレてやったわけよ。
 姉さんの結婚式もバックレたし、
 小さいころ、おじいちゃんの家に行くときもバックレした。
 病院の予約もバックレしたし~
 今日だって、バックレしようと思ってたぐらいだけど、
 今日バックレしたら、西郷のヤツに怒られるからな」

一人語る木川。

琴枝は
「はいはい」とあきれた様子で言う。

「--高校受験の時なんか、第1志望の高校の受験
 バックレちまったからさ~
 ここに来ることになっちまったんだよ!

 ははは!」

笑う木川。
ジェットコースターが頂点に辿り着く。

「---バカな奴」
一時的に意識を乗っ取られた琴枝が愛想なくつぶやく。

「はーー?」
木川が驚くが、琴枝はすぐに普段の笑みを浮かべていた

「え?どうしたの?」

”バカ”そう聞こえた気がする。
木川はそう思ったが気のせいだと思うことにした。

まもなくジェットコースターが急降下する。

琴枝の中に潜むデルタが邪悪に笑う。

”今日は、ちょっと趣向を変えて暗殺するか・・・クク…”と。

「ひっ・・・!?!?!?!!?
 あ、、、、あああああっ!?」

琴枝が自分の異変に気付く。
急激に…自分の記憶が消えていく

「な、、、なにこれ・・・え・・・ここはどこ??? 
 え、、、あ、、、あれ、、、あ、、、あっ…ああぁ」

一瞬にして全ての記憶を消去された琴枝は、
だらしなく口元から涎を垂らしている。

急降下するジェットコースター。

木川は異変に気付いた

「え?琴枝?琴枝?」

全ての記憶を消去された琴枝は、
不気味に体を揺らしながら、
ただ、ほほ笑むだけだった…

不良4人の
”死”は目前まで迫っていたーーー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

続きは明日です!
明日一気に片づけます(笑)

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憑依<憑依暗殺部隊>

コメント

  1. 柊菜緒 より:

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    さあどうなるのか楽しみだ!

  2. 匿名 より:

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    翻弄される流石君すき

  3. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > さあどうなるのか楽しみだ!

    ありがとうございます^^
    4人とも、チョロそうですが…(笑)

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 翻弄される流石君すき

    「わ、、、わ、、、わわわ、、我輩は嬉しいのである」

    By夏目流石