憑依空間が9万アクセスを達成しました!
ありがとうございます^^
次はいよいよ10万アクセスですね。。
全ての皆様に感謝です!
今回は記念に、
悪の魂VSホテルノシハイニン の続きにあたる、
「シハイニンノカコ」(短編)を
書いてみました!
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2007年。
とあるホテルの支配人を務める男、
名倉 俊之(なぐら としゆき)は、
久しぶりの休暇を楽しんでいた。
「--文恵(ふみえ)、今日も楽しかったよ」
整った身なりの男、名倉は、
ホテルの支配人という立場にふさわしい
落ち着いた雰囲気と、営業スマイルが魅力の男だった。
彼と一緒にレストランから出てきた女性、
蛭間 文恵(ひるま ふみえ)は優しい笑顔の似合う
控えめな女性だ。
名倉と文恵は付き合っていた。
28歳の名倉にとっての初めての彼女。
男子校に通い、その後は父のホテルを継ぐために
修行一筋だったため、文恵は名倉にとって初めての彼女だった。
「--また、来れるといいね」
今しがた出てきたレストランを振り返り文恵は微笑む。
「ああ、必ずー。
また来よう」
名倉はそう微笑んだ。
文恵は25歳で、
ホテルの受付嬢だった人物だ。
今は退職して、名倉との結婚も視野に入れて
付き合いを続けている。
「---幸せだな。。私は」
名倉は夜の街を見つめながら言った。
父から若くして継いだホテルは
幸いにも軌道に乗っている。
そして傍らには文恵のような美しい女性。
「私は今、幸せの絶頂にいるのかもしれないなー。」
名倉がほほ笑みながら呟くと
文恵が笑う
「何言ってるのよ!
まだまだこれからもっと二人で幸せになろ!」
文恵の言葉に名倉は顔を赤らめて
「ああ、そうだな」と笑顔で答えた。
「じゃーー、私は明日また早いから、
このままホテルに行くよ。
送ってくかい?」
名倉が言うと
文恵は「名倉さんは大変だから、大丈夫」とほほ笑む。
「そっか。じゃ、また。」
名倉は笑顔で振り返って手を振る
文恵を微笑ましく見送った。
「さて、、、ホテルに戻るか」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「名倉さんって本当にいい人…」
携帯を見ながら微笑む文恵。
そこには
”帰り道気を付けて。”
と名倉に気遣いのメールが送られてきていた。
ーーその時だった。
背後から突然、二人組の男に腕をつかまれた。
「~~コイツでいいのか?」
「ああ」
男たちの会話が聞こえる
「え、、、何!や、、、やめて!」
文恵は必死に叫んだ。
だが、
文恵は自分の体の自由がきかないことに気付く。
そしてーー
そのまま意識を失った。
「---ずっと狙ってたんだよ この女。
ホテルの受付してたこの女の笑顔、
可愛かったなぁ…
支配人と結婚を視野に入れたおつきあいを
して退職したって聞いたときはがっかりしたぜ。
だがー。」
男は邪悪な笑みを浮かべた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
夜のホテル。
客たちは寝静まった時間帯。
名倉は支配人室で、ケースに入った指輪を
見つめていた。
「---文恵」
名倉は来週、プロポーズをする予定だった。
ちょうど、来週は文恵の誕生日なのだ。
「----支配人」
受付に居た女性が、慌てた様子で支配人室に入ってきた。
「あのーー、彼女さんが急用で
お話しがあるとのことで、お見えになられてますが…?」
受付嬢の言葉に
名倉は何事だ?と思いつつ、
文恵を通す様に言った。
3分ほどして、
文恵が入ってきた。
名倉は目を疑う。
控えめな格好を好む文恵が
男を誘惑するような、妖艶な格好で
支配人室に入ってきた。
「--文恵ー?」
名倉が不思議そうに尋ねる。
「---名倉さん、うふふふっ…
今日は名倉さんにお別れを告げに来たの」
文恵がふざけた様子で言う。
「えー?」
名倉は意味が分からず唖然とする。
その時だったー。
ガラの悪い男が支配人室に入ってきた
「どうも。アンタが彼氏さんか」
威圧感のある声。
名倉は「そうですが…」と答える。
すると男は笑った
「文恵、あんたと別れたいってさ」
文恵はその言葉を聞き、
うっとりとした笑みを浮かべて、その男に寄り添って
身を任せている
「なっ…なに?文恵!どういうことだ?」
名倉が訪ねると、
文恵は男にキスをしてから言う。
「ごめんね、名倉さん!
わたし、ずっとこの人とあなたで二股かけてたの!
浮気ってやつ?うふふふふふふっ!
でもねぇ、ようやく私、決めたの!
この人と一緒になるって!」
浮気…。
名倉の頭が混乱でいっぱいになった。
「……ま、、、まさか浮気してたのか」
唖然とする名倉。
文恵は微笑んで、名倉の言葉を肯定した。
「な、、、何で!!
ワタシは、お前を信じていたのに!!
文恵!お前を愛していたのに!」
名倉が叫ぶ。
だが、文恵は
「ばっかみたい!だからその年まで彼女なしなのよ!
この童貞野郎!」
文恵が叫ぶ。
名倉の心はカンタンに粉々になってしまった。
「-----文恵…」
その場に膝をつく名倉。
すると男がワイヤーのようなものを持ち、
名倉に近づいた。
「名倉さん、ラクにしてやるよ」
ーーー!?
男は名倉の首にワイヤーをかけると、
力強く名倉の首を絞めた
「がっ…かはっ…」
突然の事に動転する名倉。
もがき、部屋で暴れまわる。
「---た、、、、たすけ、、」
名倉がふと、彼女の文恵の方を見る。
文恵は、凄く楽しそうに笑っていた。
そして文恵は言う。
「名倉さんー。
私たち、十分幸せだったよね?
もうあなたは
”人生の幸せ”全て使い果たしちゃったの。
だからもうおしまいー」
文恵はクスクスと笑い声をたてた。
目の前でーーー
自分が殺されようとしているのにーー
フミエハ、、、ワラッテイタ
「が…あっ…あぁあ」
名倉はもがき、最後の力を振り絞って
机の上に置いてある指輪を手にした。
「ふ…み・・・・・・・」
名倉が指輪を文恵の方に向けようとするも、
もう、力が残されていなかった。
光り輝く指輪が、音を立てて床に転がり落ちる。
名倉俊之はーーー、
28歳にしてその命を奪われてしまった…。
「へっ、終わったぜ」
男が笑う。
「--まさか、親友である俺をこの女に憑依させて、
結婚しようなんて、お前は相変わらず頭おかしいぜ!」
文恵がスカートをめくりながら汚らしく笑う。
「ふふっ…憑依薬ってすげぇな。
さ、帰るぞ」
男は笑いながらその場を、
後にした。
文恵は――、
男の親友に憑依されていたーー。
去り際、
彼女の頬から涙が零れ落ちたー。
「あれー?
なんだこの涙?」
文恵は不思議そうに言う。
彼女本来の意識がーーー
涙を流させたのかもしれないーーー。
後日、
名倉は死体で発見された。
男はたまたま居た受付嬢には暗示をかけておいた。
犯行の発覚を遅らせるため、
受付のあの日の記憶は消去しておいたのだ。。
男と、文恵はそのままいずこかへと姿を消した…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
気付いたとき、
名倉は怨念と化していた。
この世に、戻ってきた。
名倉は思うーーー
許さないー。
絶対にーー許さないー。
名倉は怨霊と化した際に、
その思想も歪んでしまった。。
幸せそうなカップル全てが敵に見えた。
プロポーズ間近の彼女に裏切られた名倉には、、
幸せの絶頂に居るカップルたち全てが敵に見えた。
名倉はとあるホテルの支配人に憑依した。
ーーーー復讐するために。
”幸せの絶頂にいる人間の幸せを壊すためにー”
そうだー。
どうして私だけが幸せを奪われなければならないのだ…。
自分のように、
幸せの絶頂に居る人間は、みんな
”人生を終了させるべきだー”
文恵は、あの時、言った。
「名倉さんー。
私たち、十分幸せだったよね?
もうあなたは
”人生の幸せ”全て使い果たしちゃったの。
だからもうおしまいー」
ーーーと。
そうだ、、そのとおりなのかもしれない。
過酷な経験は名倉をゆがませるには十分だった。
あるホテルの支配人に憑依した名倉は、
やってきた幸せそうな大学生カップルを見て邪悪な笑みを浮かべる
「---お前たちの人生、終了にさせて頂きます」
名倉は小声でそう呟いた…
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ホテルの支配人、名倉の過去の話でした!
次は10万アクセス目指します!
コメント
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本人の意識?で泣くのいいですねえ。結局憑依されてるから何もできないのがたまりませんわ
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彼もまた被害者であったか( ˘ω˘ )
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> 本人の意識?で泣くのいいですねえ。結局憑依されてるから何もできないのがたまりませんわ
本当はしたくないことをさせられて、
けれども何もするこができない・・・
さぞつらい事でしょう・・・
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> 彼もまた被害者であったか( ˘ω˘ )
しかし今の彼はただの加害者に成り果ててますね(笑)