悪魔のようなクイズ番組があった。
その名は
「クイズ・ポゼオニア」
何も知らずにやってきた挑戦者の女子大生に悲劇が起きる。
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そのスタジオでは、
クイズ番組の撮影が行われていた。
クイズ・ポゼオニア。
歴史は浅いが、司会を務める男・ぽぜもんたの
独特の言い回しにより、人気を獲得してきた
クイズ番組だ。
最近では同じ時間帯に放送されている
”憑依体験アンビリバボー”の人気を
しのぐほどとまで言われている。
おなじみのオープニングテーマが
スタジオ内に流れる。
そして、胡散臭い笑顔を浮かべながら
司会のぽぜもんたが姿を現した。
ぽぜもんたはスタジオを見回す。
真剣な表情で撮影をしているスタッフ。
そしてー反対側からやってくる挑戦者。
おしゃれで今時風の女子大生、
桧山 園香(ひやま そのか)。
クイズ・ポゼオニアでは
クイズへの挑戦者は一般の応募者から
選ばれている。
選ぶのは、ぽぜもんた。
ゆえに、挑戦者は毎回女性だ。
ぽぜもんたにはとある能力があった。
恐るべき、能力が。
「---よろしくお願いします」
挑戦者の女子大生、園香がほほ笑む。
ぽぜもんたは紳士的な笑みを浮かべながら言う。
「初めまして。司会のぽぜもんたです
どうぞ、お座りください」
紳士的な対応で、
ぽぜもんたは園香に席につくように促した。
スタジオの真ん中に置かれている2台のモニター。
そして、2つのイス。
そこで園香は
夢の賞金、1000万円をかけて、
ぽぜもんたの出す15問のクイズに挑戦していくのだ。
スタジオで、園香の経歴を簡単に紹介する
VTRが流される。
光り輝くきらびやかなスタジオで、
園香は目を輝かせている。
彼女はVTRを見ながら思うー
VTRでは病床に伏している
母の映像が流れていたー。
母はとある難病に蝕まれている。
日本では治療ができない特殊な難病だ。
けれどもー、アメリカでなら治療ができる。
だが、それには莫大な資金が必要だ。
だから園香はこの番組でもしも1000万円を
手にしたら、
母の治療のための資金にするつもりだった。
「---素晴らしい」
席についたぽぜもんたが言う
「お母様の為に賞金を使う。
泣かせてくれますねぇ」
ぽぜもんたの言葉に園香は
微笑んだ。
「小さいころはたくさん母に助けてもらいましたー。
今度は私が恩返しできればなって
思うんです」
園香がそういうと、
ぽぜもんたは拍手をした。
そして言う
「そんな園香さんの
想いを実現させるためには、
これから私が出題する、15問のクイズに正解しなければなりません
自信はありますかー?」
ぽぜもんたが問う。
園香は即答で「はい」と元気よく答えた。
ぽぜもんたは顔をしかめる。
ここまで自信に満ち溢れている子は珍しいー。
”六大学”の学生だからかー?
それとも、よほどクイズが得意なのかー?
ぽぜもんたは言う
「それではまいりましょう。第1問から」
そして内心で笑う
”どの道、あなたの行き着く先は一つですよ、
園香さん…”
と。
「---正解!」
園香は軽々、4問の問題をクリアした。
ぽぜもんたは感心した様子で言う。
「流石 六大学の現役女子大生!
素晴らしい…
ですが、だんだんと難しくなっていきますよ。
それでは、第5問」
園香は真剣な表情でぽぜもんたを見る。
「次のうち、TSFというジャンルに当てはまらないのは、どれ?
A・憑依 B・入れ替わり C・宇宙 D・脳移植」
ぽぜもんたが読み上げる。
それまで余裕な表情を浮かべていた園香が困惑する
(TSFってなに…?)
純粋な園香はその方面には疎かった。
聞きなれない言葉に困惑する。
その様子を見たぽぜもんたが笑う。
「---おや?園香さん、
初めてお困りのようですね」
ぽぜもんたの言葉に園香が少し笑みを浮かべる。
そんな様子を見てぽぜもんたが言う。
「あなたには3つのライフラインが残されていますよ。
テレフォン、オーディエンス、フィフティフィフティ。
いずれを使っていただいても構いませんよ」
クイズ・ポゼオニアには3つのお助け機能がある。
15問のうち、どこのタイミングで使うも自由。
テレフォンは、
予め挑戦者が指定した協力者に電話をかけ、
答えを教えてもらう、というもの。
オーディエンスは、
会場の一般見学者にどれが正解だと思うか
投票してもらう機能。
そして、フィフティフィフティは
選択肢を2つ消してくれる機能だ。
「--じゃあ、オーディエンスをお願いします」
園香が言うと、
会場の観客席の人間たちが答えに投票する。
投票結果はー
Cの宇宙が100パーセント。
会場の全員がC・宇宙が正解だと思っているようだ。
「おや、これは確実ですねぇ」
ぽぜもんたが言う。
「--みなさんありがとうございます」
観客席にお礼を言う園香。
そしてー
「C・宇宙でお願いします」
園香が言うと、ぽぜもんたは番組の代名詞ともいえる
セリフを呟いた
「ファイナルアンサー?」
ぽぜもんたが問う。
「--はい、ファイナルアンサーです!」
園香が元気よく言う。
ぽぜもんたがニヤケ顔で園香を見つめる。
そしてーーー
「正解!」
園香はほっとした様子を見せる。
第5問を無事に突破した。
その安堵からか園香は、笑みを浮かべていた。
「危なかったですねぇ」
ぽぜもんたはそう言いながら思う。
”ここで、不正解になられては困るんだよ…” と。
本番は第6問からだ。
第5問までのクイズなどぽぜもんたには興味が無い。
第6問からが、”真のクイズ・ポゼオニア”なのだー。
ぽぜもんたにはある能力があった。
それはー
自分の魂を分裂させる能力。
何故だか分からないが、このスタジオ内でだけ、
ぽぜもんたはこの力を発揮できる。
そしてもう一つ。
分裂した自分の魂を他の人間に憑依させて意のままに
操る能力。
分裂できる魂の総数は100。
そう、この会場のスタッフと観客は全員、
ぽぜもんたに憑依されていた。
さっきのオーディエンスも、ぽぜもんたの意思で
全員がCに押したのだ。
このスタジオは
ぽぜもんたの領域(テリトリー)なのだ。
「--それではまいりましょう。第6問」
ぽぜもんたが邪悪な笑みを浮かべる。
園香も微笑み返す。
園香は気づかなかった。
その邪悪な笑みが、
”これから始まる地獄を意味していることに”
「これから、あなたが自由を失うのは
次のうち、どれ?
A・親指 B・人差し指 C・中指 D・薬指」
問題を聞いた園香の表情が曇る
「へーー?
どういう意味ですか?」
戸惑う園香にぽぜもんたが言う
「--第6問ですよ。
どれだと思いますか?」
ぽぜもんたはいつもの調子を崩さない。
園香は戸惑う。
”問題の意図が全く分からない”
だがー。
まだ1000万まで10問もある。
ここでライフラインを消費するわけにはいかない。
園香は”勘”にも自信があった。
「B・人差し指 で、お願いします」
ぽぜもんたは園香がすぐに
答えを出したことに驚きながら言う。
「--ファイナルアンサー?」
「はい、ファイナルアンサーです!」
園香が可愛らしい仕草をつけながら言うと、
ぽぜもんたは「正解!」と叫んだ
「---はぁ…良かった…」
ーーー!???
園香は自分の体の異変に気付いた。
「…あれ…人差し指が…動かない?」
園香の表情に戸惑いが浮かぶ。
両手・両足の人差し指が動かない。
いやーー違う。
”勝手に動いている”
右手の人差し指がプルプルと動いている。
「な、、、何これ!?」
園香が恐怖の表情を浮かべるのを見て
ぽぜもんたは何食わぬ顔で言った。
「---今、私、正解と言いましたよね。
その通りになっただけですよ」
笑みを浮かべながら言うぽぜもんた。
「---……。」
だが、園香は冷静さを取り戻した。
どういうトリックかは分からない。
けれどもー。
園香のまなざしを見て
ぽぜもんたは”クイズ続行の意思”を感じ取った
「ほぉ…なかなか気の強い御嬢さんだ」
ぽぜもんたは思う。
”いつもなら” と。
いつも、指1本の自由を失った
女は、大抵パニックを起こす。
だがー、この園香という子は違う。
”面白くなりそうだ”とぽぜもんたは内心で笑う。
「では、第7問」
園香が気丈にも、ぽぜもんたの方を
まっすぐと見据えた。
「あなたが、これから自由を失うのは、
次のうちどの部分?
A・右腕 B・左腕 C・右足 D・左足」
ぽぜもんたが言い終えると、
園香は驚きの表情を浮かべる
「えーー?またその問題ー?」
だが、園香を無視して、ぽぜもんたは笑う
「さぁ、お答えください。
A,B,C,D、どれだと思いますか?」
園香は戸惑う。
もしかしてまたーーー。
「B…、左手でお願いします」
園香が言う。
左腕1本なら…もし指みたくなっても…。
”もしも”逃げる必要があるのならー
”足”は必要だ。
「ファイナルアンサー?」
ぽぜもんたが問う
「フ…ファイナルアンサー…です」
引いた表情で言う園香。
そしてーー
「正解~~~!」
ぽぜもんたは歓喜の叫びをあげた。
次の瞬間、園香の左腕が勝手に動き出し、
園香自身の胸を揉み始めた
「ひゃっ!?
え、、、なに、、やめっ
あっ…やめて、、なにこれ、、、あっ、、、あぁっ♡」
胸を刺激されて、
感じてしまう園香。
「あっ、、、あっ…やめ…やめて!」
園香は右手で左手を引きはがした。
その様子を見て、ぽぜもんたは微笑む。
「--おやおや、どうしました?」
ぽぜもんたの分離した100の魂がこの会場では
蠢いている。
園香の指と手、それぞれにぽぜもんたの分裂した
魂が宿っているのだ。
「---あなた、、、何なの?」
園香が涙を浮かべながら言う。
ぽぜもんたは笑う
「何って…しがない司会者ですよ」
ぽぜもんたの笑みに
園香は”恐怖”を感じた。
”ここに居ちゃいけないー”
園香は立ち上がり、会場から走り去ろうとする。
しかしーー
「おやおや、”ドロップアウト”ですか?」
ぽぜもんたの声が背後からした。
ドロップアウト。
それはクイズを途中であきらめて、それまでに
獲得した賞金を持ちかえること。
「---ですが、
ドロップアウトすれば、全てを失いますよ」
ぽぜもんたが笑う
”全てー?”
どういうこと…
まさか…
園香は自分の意思では動かなくなった
人差し指と左腕を見つめる。
まさか、、
このまま逃げれば私は全ての体の自由をー?
園香が涙目で振り向き、
叫ぶ
「た、、、助けてください!
お願いします!」
だが、ぽぜもんたは冷たい表情で言った
「---席に戻りなさい」
無情な一言。
園香は涙を浮かべて首を振る。
すると、左腕が突然、自分の顔面を思いっきり
殴りつけた。
「きゃあっ!」
園香はその場に倒れるー。
自分で自分の頬を殴りつけて、
床に倒れた園香を見て
ぽぜもんたが怒鳴り声をあげる。
「いいから早く、座れってんだよ!」
年老いた司会者とは思えないような気迫。
園香は涙を浮かべて座席へと戻る。
「第8問。
次にあなたが自由を失うのはどこ?
A・両腕 B・両足 C・両目 D・両耳」
次第にエスカレートしていく選択肢。
左手は園香のスカートをいじくりまわしている。
「ヒッ……」
園香は悲鳴をあげる。
「さぁ、園香さん、本当の地獄はここからですよ。
お答えください。」
ぽぜもんたの笑み。
園香はパニックになって答える
「び、、、B・両足……」
「正解!」
ぽぜもんたはファイナルアンサーをせず、
即答で叫んだ
そしてーー
園香の足の自由が失われる。
園香の足は嬉しそうに
大きく、大股を広げた。
「---おやおや、エロい御嬢さんですねぇ」
ぽぜもんたが笑う
「やだ!やだ!お金なんていりませんから!
たすけて!お願い!!!たすけてー」
ぽぜもんたはそれを無視した。
「第9問。
次にあなたが自由を失うのは、どれ?
A・両手 B・両耳 C・両目 D・口」
泣き叫ぶ園香。
笑うぽぜもんたー。
「ほらほら早く答えなさいー
”夢の1000万”が近付いてきましたよ~
むふふふふふっ」
”地獄”はすぐそこまで迫っていた…
②へ続く
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コメント
第6問から、もはやクイズではないですね!
ぽぜもんたさん鬼畜…。
コメント
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やはりブラック疑惑が(ry
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> やはりブラック疑惑が(ry
えっ…
私のことですか?(笑