<入れ替わり>わたしは物語の中に ~また、あの世界へ~ 序章

読書好きの女子大生が
物語の中の山賊と入れ替わってしまった…!

だが、急に元の世界に戻ってしまった彼女は、
”再び”あの世界に向かおうとするー。

※「わたしは物語の中に」の後日談デス!
 先に本編をご覧ください~!

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読書好きの女子大生・奥村加奈は、
ある日、自分が読んでいた本から放たれた
謎の光に包まれてー
気付いたら、物語の中の登場人物である山賊・ガストンに
なってしまっていたー。

ガストンは主人公である若き騎士・エミールに
序盤で瞬殺される”脇役”だー。

しかも、不運なことにガストンになってしまった加奈は
”間もなくエミールと対峙して、斬られる”場面の直前であることに気付くー

咄嗟にエミールの前で許しを請いー、
なんとか助かったガストン(加奈)は、
自分が物語の世界の中に来てしまったことを自覚し、
”物語の結末まで知っている”知識を生かし、
エミールにこれから起きる事件を助言、
エミールに罪をなすりつけようとした騎士・オディロンによる
”大臣・サロモンの毒殺事件”や
”エミールを嫌う派閥の騎士・マルタンの反乱事件”を
事前にエミールに伝え、
それを解決に導いたー。

一方、現実世界では加奈になったガストンが
加奈の身体で好き放題をし、欲望の生活を送っていたー

加奈の身体で、女の快感を知るガストンー。

そんな中ー
ガストンになった加奈は
”次”の重大な出来事をエミールに知らせようとしたー。

物語の”次”の展開は
エミールの幼馴染でもある姫が
魔物によって攫われてしまい、エミールが酷く落ち込むー…
そんな、展開だー。

しかもーその姫は、魔物に操られた状態で、
エミールを絶望のどん底に突き落とすー。

それを、阻止するためにエミールにそのことを
伝えようと思ったその矢先ー

突然、加奈とガストンは再び入れ替わり、
元に戻ってしまったのだー。

あれから、半月ー…

「ーーー…はぁ」
加奈は大学でため息をつくー。

「ーーどうしたの?最近ー。
 この前も何日か急に無断欠席したしー
 加奈らしくないよ?」
加奈の友人・亜樹美(あきみ)の言葉に、
加奈は「ーー…え、あ、ううんー」と、
苦笑いするー。

”この前の無断欠席”とは、
加奈がガストンと入れ替わっている間のことー
つまり、加奈の中身がガストンだった頃に、
学校などという概念をそもそも理解していない加奈(ガストン)が
大学に行かなかった数日間のことだー。

「ーー(本の中の世界に行ってた、なんて言っても
 絶対に信じてもらえないだろうしなぁ…)」
加奈はそんなことを考えながら
「ちょっと最近、疲れちゃってて」と、微笑むー。

亜樹美は「でも、無断欠席はよくないよ~!わたしも心配するし!」と
まるでお姉さんのように言い放つー

そんな亜樹美を見つめながら、加奈は
「今度から気を付けるね」と、微笑むー。

そんな日常を送りながらも、
加奈は、あることを気にしていたー

「ーエミール様…」
加奈は元々、物語の主人公・エミールのことが好きだったー。

だが、実際に物語内の登場人物・ガストンと入れ替わって
直接エミールと話をしてから、
”物語の登場人物として好き”ではなく
”人間として尊敬する騎士様”に、加奈の中では変わったー

どんな苦難にも負けず、正義を貫いていくエミール。

”本で読む”のと、”実際に会う”のでは大きくその運命は違ったー。

だがーー
エミールは”あのあと”
物語内でもかなり大きな”最初の山場”を迎えることになるー。

それが、幼馴染でもあるリゼット姫が魔物の襲撃により攫われた挙句、
魔物に操られた状態で、城を襲撃するのだー。

「ーー…伝えないと…彼にー」
あれは、夢だったのかもしれないー。
そんなことを思いながらも、加奈は
”もう一度あの世界に”行くことを望んでいたー。

「ーーーー」
本を見つめる加奈ー

本の内容は、変わっていないー。

山賊頭のガストンは速攻で瞬殺されているし、
大臣のサロモン殺害事件は、騎士・オディロンの目論見通り、
一時、エミールを幽閉している描写のままだー。

「ーーー…やっぱり、夢だったのかなー」
加奈はそんな風に思いながら、
少しだけ寂しそうに本を見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー俺様が?ふざけるんじゃねぇ!」

一方ー、
”物語の世界”では、
山賊頭のガストンが、怒りの形相でエミールに対して叫んでいたー。

「ーー俺を助けるために、
 これから先に起こる出来事を、お前は俺に教えてくれたー」

エミールが説明すると、
ガストンは「誰がお前なんぞを助けるか!」と
怒りの形相で叫び、牢屋の隙間から、エミールに向かって
唾を吐き捨てたー。

「ーーーーー」
エミールはガストンのいきなりの豹変に戸惑っていたー。

だがー
ガストンは急に「いや、待てよー」と、呟くと
エミールに対して言い放つー

「ー騎士様には信じてもらえねぇかもしれねぇけどよ、
 俺は、意識のねぇ間、この世界とは違う世界にいたんだー。
 そこでは俺は、美人の女でさー…
 この世界とは全然違う、やべぇもんも色々あったりしてー
 すごかったぜー…」

ガストンが何を言いたいのか分からないー。
エミールは「それで?」と言葉を続けるとー、
ガストンは笑みを浮かべたー。

「ーー騎士様よぉ…
 俺の記憶が飛んでる間ー
 俺の中にはその女がいたんじゃねぇのか?」

ガストンの言葉にエミールは「どういうことだ?」と、
ガストンを睨みつけるー

「ーへへ…騎士様の癖に鈍いもんだな」
そう呟くとガストンは、
「つまりだ」と、言うと、両手を使いながらー
「ー俺と別世界にいた女が入れ替わっていたー…
 かもしれないってことだー」と、
得意げな表情で説明したー。

だがー
その言葉を聞いてもエミールは表情を歪めたままー。

「ーーーー…おかしな奴だー。
 ついこの間まで”未来が見える”などと言っていたのに
 今度は”別世界の女と入れ替わっていた”だと?

 ーー何を企んでいる?」

エミールが言うと、
「ーー待てよ、未来が見えるー?」と、
ガストンは目を細めたー

ガストンは、加奈と入れ替わっている間に、
加奈の身体で”自分たちの世界”が描かれた本を読んでいるー。

そこにはー確かに
”この先の結末”が書かれていたー。

自分自身がこのエミールに速攻で殺されたのには
思わず憤慨してしまったもののー、
ガストン自身も”この先の展開”をある程度見ているー。

「ー(クククー…上手く”嘘”を教えれば混乱に乗じて逃げることができるかもしれねぇ)」
ガストンはそう考えると、不気味な笑みを浮かべたー。

「ーーーー……いずれにせよ、貴様のような山賊を外に出すことは
 できないー。そこで大人しくしていろ」

エミールはそれだけ言うと、
ガストンの前から立ち去りながら首を傾げたー。

”この牢屋に連れて来た時とあいつの態度が違いすぎるー”

ガストンが加奈であったころのガストンと、
今の正真正銘のガストンでは
身体も、声も同じだが、
まるで”別人”だったー。

”もしや、あいつの言う通りー…”
エミールはそんな風に呟くと、
廊下の窓から見える月明かりに視線を向けたー。

「ーーーーエミール」
そんな中ー
偶然廊下で、リゼット姫とすれ違うー。

「ー姫様ー」
エミールが頭を下げるとリゼット姫は
「ーーそんな風にしなくていいのにー」と笑うー。

普段”公の場”では、
姫と臣下の関係を徹底しているものの、
リゼット姫は今でも、幼馴染のエミールと
二人きりになると、こうして昔のように
話しかけてくれるー。

「ーーいつも、遅くまでありがとうー」
リゼット姫はそう言うと、
「いえ、姫様のためですからー」と、エミールは
再び頭を下げるー

「ーーもうー。たまには昔みたいに
 話してくれてもいいんじゃないの?」

リゼット姫が少しだけ頬を膨らませて言うと、
エミールは少し照れくさそうに
「そういうわけにはいきませんからー」と、笑うー。

リゼット姫は、そんなエミールを見つめながら
少しだけ微笑むと
「ーあまり、無理はしすぎないでね」と、だけ言葉をかけて、
そのまま立ち去って行ったー。

「ーーー」

エミールはまだ知らないー
”この物語”の先の展開をー

この数日後に、魔物の襲撃が起き、
リゼット姫が攫われてー
リゼット姫が”洗脳”されてしまうことをー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーえいっ!」
本を持ちながらそう声を上げる加奈ー。

だがー
一向に、あの時のように”物語の登場人物”と
入れ替わることはなかったー。

「ーーー……はぁ」
ため息をつく加奈ー

一体わたしは何をしているんだろうー…
と、そんな風にも思ってしまうー。

一体、何をこんなにムキになっているのかー…とー。

加奈自身、別に今の人生に不満はないし、
毎日、それなりに楽しいー
死に直面しているわけでもないー。

あっちの世界にもしももう一度行くようなことがあれば、
あっちの世界で殺されてしまうかもしれないし、
恐らく、自分があっちの世界に行っている間、
ガストンがこっちの世界に来ているのだろうから、
下手をすれば自分の人生が壊される可能性があるー。

しかしー
それでもー
加奈はもう一度、あの世界に行きたかったー

エミールに、”この先の危機”を伝えるためー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

「加奈の家、久しぶりだなぁ~!」
大学の友達、亜樹美が加奈の家にやってくるー

「加奈の部屋っていつ見ても綺麗だよね」
亜樹美が笑いながら言うと、
加奈は「え~?そうかなぁ…」と、少し恥ずかしそうに笑うー

「綺麗綺麗」
亜樹美がそんな風に呟いているとー
加奈は、ふとあることに気付いたー

”え…”

本が、あの時のように光っているー。

「ーえ…嘘…!?ちょっと…何でいまー?!」

加奈は”タイミング悪すぎ!”と思わず心の中で
叫びながらー
「え!?何!?」と、亜樹美が声を上げているのが聞こえたー

「ーー亜樹美ーーーこの光ーーわた

事情を説明しようとしたー

だがー
それを言い切る前にー

「ーーしが、前に物語の中に入れ替わったときとー」

「ーーーは?」
目の前にいたエミールが表情を歪めたー。

「ーーーーえ」
加奈は思わず瞬きを何度かすると、
「エ…エミール様!よかった!」と声を上げたー

だがー
エミールは表情を歪めるー。

加奈は、周囲を見渡すー

牢屋の中にいないー?

ここは、いったいー

「ーーー…オディロン殿?」
エミールが表情を歪めるー

「お…お…お…オディロン!?!?!?」
加奈は思わず叫んでしまったー

騎士・オディロンー。
エミールのことを良く思っておらず、
大臣のサロモンを毒殺、その罪をエミールになすりつけようとした騎士だ。

加奈が読んでいた”原作”では、
オディロンの策にはまり、エミールは1か月以上
軟禁されてしまうことになるものの、
この前、加奈がガストンと入れ替わった際に、
エミールにその危機を伝えたことからー、
オディロンの計画を事前に阻止、
オディロンは失脚し、現在は館に軟禁状態にあったー

今日はちょうど、エミールがそのオディロンに
尋問にやってきていたのだったー。

「ーーー……わ、わ、わたし…こ、今度は
 オディロンにー…?」

今度はオディロンになってしまった加奈ー
加奈は混乱しながら”ってことはー…”と、
頭の中で考えるー

「オディロンがわたしにー…?」

そう思い浮かべながら、
オディロン(加奈)は
「ーーまぁ…山賊のガストンがわたしになってるより、マシかもー」
と、呟くと、唖然としているエミールのほうを見て、
「あ、エミール様!お久しぶりです!」
と、オディロンの身体で言い放ったー。

<第2章>へ続く

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コメント

「わたしは物語の中に」の続編デス~!
全2話で完結してみて、
物語をもっと膨らませられそうな気がしたことと、
続編のご希望も頂いていたので、
土曜日枠ですが、書いてみることにしました!

土曜日の作品だけは、私のスケジュールの都合上
1週間に1話進行になってしまいますが、
のんびり楽しんでくださるとうれしいデス!

お読み下さりありがとうございました~!

入れ替わり<わたしは物語の中に>
憑依空間NEO

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