<憑依>受験の悪魔

高校受験当日ー。

とある受験生の少女は、まだ知らないー。
自分の身に起こる”憑依”の悲劇をー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

受験当日ー。

その高校では、来年高校生になる中3の生徒たちの
受験が行われていた。

午前中は筆記試験ー
休憩を挟み、午後からは面接試験が行われるー。

「ーーーー」
教師・山内 敬三(やまうち けいぞう)は、
午後の面接に備えて、午前中の筆記試験も次で最後、という中、
廊下を歩いていたー。

その時だったー

「ーーねぇ、あの先生ー」
ツインテールの可愛らしい少女が、もう一人の同級生と思われる少女と共に
小声で山内先生のほうを見ながらそう、喋っているのが聞こえたー

山内先生は、”地獄耳”だったー。

「ーチャック開いてるんだけどー」
小声でもう一人に向かってそう呟くツインテールの少女ー

「ーーえ~…ほんとに?」
もう一人のポニーテールの少女は続けてそう呟いたー。

「ーーほんとほんと!笑っちゃう!
教師なら、チャックぐらいちゃんとしめておいてほしいよね~」

「ーーー!」
山内先生は、その少女たちから見えない位置まで歩きー、
そして、自分のズボンを確認するとー

本当にー
ズボンのチャックが開いたままになっていたー。

「ーーーー……」
顔を真っ赤にしてぷるぷると身体を震わせる山内先生ー。

彼はー
”器の小さな男”だったー。

高校でもよく”大人気のない対応”を繰り返して
問題になったりしているー

「ーーーーーー……」
山内先生は、廊下の影から
先ほどの少女たちがいる方向を見つめるー

「ーーあ、そろそろ次の数学が始まるよ」

「ーうん!頑張ってね!円香(まどか)ー」
ポニーテールの少女がそう呟くー。

円香と呼ばれたツインテールの少女ー。

そんな、彼女の姿を物陰から見つめながら
山内先生は、歯ぎしりをしていたー。

ただちに、職員室に戻ると、
山内先生は、”自分が面接を担当する部屋”の
面接参加生徒の一覧を見るー

「ーーー!」
その中にー
”北野 円香”という生徒の名前を見つめるー

”俺が面接を担当する生徒かー
あの小娘めー”

チャックが開いていることを笑われた
山内先生は”あること”を決意するー。

”俺を笑ったことー
後悔させてやるぞ”

そう呟くと、山内先生は、昼休みの時間になったことを
確認してからー
”ある場所”へと移動したー。

そこは、男子トイレー。
しかも、少子化により、生徒数が減ったことで、
空き教室が増えて、ほとんど利用者のいない男子トイレだー。

そこにやってきた山内先生は、笑みを浮かべるー。

トイレの個室の鍵を閉めて
「ふぅ」とため息をつく山内先生ー

別にここで弁当を食べるわけではないー

彼が、やろうとしていたのはー

「ーーククク」
服のポケットから、カプセルを取り出す山内先生ー。

”憑依錠”と呼ばれる、
特殊な薬で、これを飲むことにより、
1時間ほど幽体離脱をすることができるー。

そして、その間に”他人に憑依することもできる”のだー。

教師の仕事でストレスをためていた山内先生が
ある時、ネットで見つけた夢のようなアイテムー

山内先生は、定期的にこれを使ってー
”気に入らない生徒”に仕返しをしていたー。

ツインテールの受験生・円香ー

先ほどのチャックの件で腹を立てた山内先生はー
憑依錠を使って、彼女に憑依したー

「ーーぁっ…」
突然ビクンと震えて、天井を見上げるような格好に
なってしまう円香ー

「ーーーえ…?」
一緒に行動していた先ほどの友達が困惑するー。

ちょうど”午後の面接”について雑談している様子だったー。

「ーーーだ、大丈夫ー?」
ポニーテールの友達が混乱しているのを見て、
円香は笑みを浮かべるー

「ーーだいじょうぶだいじょうぶ!ちょっとやること思い出しちゃった!
 じゃあね~!」

円香に憑依した山内先生は、早速
ツインテールとスカートを揺らしながら走り出すー。

”クククー憑依成功だ…ま、いつものことなんだけどなー”
円香に憑依した山内先生は、そう思うとー
”あること”をするために、高校の校舎の外に出たー

そしてー

「あったあったー」
ニヤニヤしながら自動販売機の方に近付いていく円香ー。

「俺をコケにした罰だー…面接で、恥をかいてもらうぞー」
そう呟きながら円香は何かを確認するー。

「ふぅん…まぁまぁだな…ちょうどいい」
円香は、自分の尿意を確認したのだー。

この感じだと”トイレに行ったばかり”ではないー
恐らくは、午後の面接が始まる時間の直前に
トイレに行こうとでも考えていたのだろうー。

だがーーー

「ククククククー」
円香はツインテールを揺らしながら凶悪な笑みを浮かべるー。

自動販売機で、コーヒーを購入する円香ー

高校、ということもあってか、
コーヒーを買うのは一部の男子生徒や、ごく一部の女子、
教師や用務員ぐらいで、他の飲み物と比べると
”回転率が悪い”だとか聞いたことがあるー。

円香はそれを購入すると、
「ー面接前にコーヒーいっぱいごちそうしてやるよ…」
と、静かに呟くー

「生意気なメスガキがー」
円香はそう呟くと、ゴクゴクとコーヒーを飲み始めるー。

”にがっ”
円香に憑依している山内先生は、”このコーヒー腐ってんのか?”と
一瞬思ったがー、
”まぁ、腐っててもいいか別に”と、コーヒーをそのまま一気飲みしたー。

缶コーヒーを空き缶入れに捨てると、
続けて自動販売機を見つめるー

「さ~て…次はーコーラだな」
炭酸飲料を選び、コーラを手にした円香は
再び一気飲みを始めるー。

”んー?コーラも変な味だな”
そう思いながら、円香は「あっ!」と声を上げるー。

「そうか。味覚もこの女の味覚ってことかー」

憑依はこれが初めてではないが、
山内先生が”憑依した身体”で何かを食べたり、飲んだり
することは少なかったー

そのため、味覚の変化に気付かなかったのだー。

「ーーさてさて…」
コーラを飲み終えた円香は、大きなげっぷをしてしまうー

「ーへへ…”わたし、可愛いです!”みたいな子に
 こんなげっぷをさせちまったー」

ニヤニヤしながら円香は続けてー
お茶を飲みー、スポーツドリンクを飲みー、最後にもう一度コーヒーを飲んだー

「やっべぇ……動きにくぅ…」
飲みすぎてお腹がコポコポと音を立てているー。

だがー
”これでいい”ー

円香の身体で、面接が行われる教室の近くまで行くとー。
既に、円香と同じグループの生徒2人が、面接が行われる教室の前で
待っていたー。

円香を近くの椅子に座らせるとー
山内先生は笑みを浮かべながら、円香の身体から外に出ていくー。

そしてー
男子トイレで意識を取り戻した山内先生は、
校内にチャイムが鳴り響くのを聞きながら、
足早に面接が行われる教室の前に向かったー

「ーーー!」
円香は、意識を取り戻したー。

山内先生が抜け出してから、1、2分ぐらいだろうかー

「え…?」
円香はすぐに”自分の意識が飛んだ”ことに
強い違和感を感じるー。

「ーーーー!?」
そして、その違和感をも塗りつぶすぐらいの
”大きな違和感”を感じたー

それはー
自分の尿意が”限界”に近い状態ー、
今すぐトイレに行きたい!と、なってしまうぐらいの
状態になっていたことー

”ど、、どういう…こと?”

円香は戸惑いながら、すぐにトイレに向かおうとするー。

しかしー
その直後ー
山内先生がやってきたー。

”何食わぬ顔”で、
やってきた山内先生は静かに笑みを浮かべるー。

「それでは、面接を始めたいと思いますー。
 どうぞー」
山内先生は”穏やかな男性教師”を装いながら、
円香と、残りの2人の受験生を教室に招き入れるー。

山内先生は、最初の面接グループだけ、こうして
一緒に教室に招き入れるようにしているー。

”お前が、最初のグループに入っていて
 よかったよー”

山内先生は、何か言いたげな円香のほうを見つめるー。

”さっき、俺のチャックのことで
 笑っていた時の威勢の良さはどうした?”

そんな風に心の中でほくそ笑みながら
言葉を続けるー

「ーお手洗いとかは、大丈夫ですね?
 ちゃんと、時間を見て準備してると思うので
 大丈夫だとは思いますけど」

山内先生の言葉に、他の2人の受験生は「大丈夫です」と
即答するー。

そしてー
円香は真っ青になりながら「だ、、大丈夫…です」と答えたー。

「ーでは、どうぞ」
面接が行われる教室に案内されー
先生一人、受験生三人の面接が行われるー。

「ーでは、最初に登校を志望した動機を教えてください」
山内先生が笑みを浮かべながら言うー。

もじもじしている円香を見つめながら
”ククク”と笑う山内先生ー

今にも漏れてしまいそうなのか、
表情には、余裕がないー。

そしてー
時々もじもじと身体を動かしているー。

「ーーーでは、次にー…」
山内先生が円香を指名するー。

「ーーあ、は、、はい…」
円香は志望動機を口にしながらも、
冷や汗をかいているように見えるー

必死に、漏らしてしまわないように耐えているのだろうー。

”クククー
 耐えろー…
 耐えろ…
 耐えろ…!
 それとも、俺に恥をかかせた罰をここで受けるかー?”

心の中で笑いながら、山内先生はわざと”のんびり”面接を進めるー。

そしてー

「ーーうっ… う…」
円香が震えながらうめき声のようなものをあげるー

「どうかしましたか?」
山内先生は穏やかな笑みを浮かべながら呟くー。

「ーーーあなたの長所を教えてください」
質問を円香に向かって投げかける山内先生ー

山内先生は、心の中で笑みを浮かべるー。

”そろそろ限界だろうー
 さァ、ギブアップしちまえよー”

「小物」ー
山内先生は、自分が学生時代の時から、そんな風に周囲に言われていたー
大学時代、学園祭に来た小学生に指をさされて笑われた際に
顔を真っ赤にして、その小学生が泣くまで怒り散らしたー。

周囲からは”器の小さすぎる男”とまで言われたー

だが、人間、そう簡単に性格など変わらないー

「ーーーぁ… ぅ… ぅぅぅぅ」
円香の座っている椅子の下に水たまりができ始めるー

他の二人の受験生が「えっ!?」というような顔で
円香を見つめるー

「おやおやおや、面接中にお漏らしするほどの
 メンタルの強さが、あなたの長所なのかな?」

山内先生はニヤニヤしながら言うー。

相当我慢していたのだろうー。
完全に漏らしてしまった円香は
その場で泣き出してしまうー。

「ー受験生なら、トイレぐらいちゃんと済ませておいてほしいですね」
山内先生はにっこりと微笑みながら、そう言葉を口にしたー

「ーーほんとほんと!笑っちゃう!
教師なら、チャックぐらいちゃんとしめておいてほしいよね~」

さっきー
円香が自分を笑った時に言い放った言葉だー。

「ーーーどうしますか?
 お手洗い、行くなら、どうぞ。」

”面接中にお漏らしして退出”

円香は、それが絶対に”不合格を意味する”ことを
理解しているー。

いやー
もう、手遅れだろうー。

「ーーーぅ…ぅぅぅぅぅぅ…」
泣きながら面接会場から立ち去っていく円香ー

「ーーククククククー」
”小物だろうと構わないー”
”大人気がないと言われても構わないー”

開き直った小物ー
山内先生は、
これからも、憑依の力を使って
大人気のない行為を繰り返し続けるー。

誰かが、山内先生の悪行に気付き、
それを食い止めるまでー。

おわり

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コメント

1話完結の憑依モノでした~!

山内先生に天罰が下る回も…
そのうちあるかもですネ~!

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小説
憑依空間NEO

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