<入れ替わり>くらいふたり①~困惑~

暗い性格の男子生徒と、
暗い性格の女子生徒が入れ替わってしまったー…

暗い二人だからこその
入れ替わり物語が幕を開ける…!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」
昼休みー。

彼女は、教室の窓際の座席で一人、
本を読み続けていたー。

「ーーーーーー」
特に、誰とも喋るような素振りは見せず、
黙々と本を読んでいるその女子生徒ー、
坂浦 美優(さかうら みゆ)は、
とても大人しい性格の女子生徒ー。

眼鏡をかけた大人しそうな美少女ー、と言う感じの
風貌の持ち主だー。

特にいじめられたりはしていなものの、
人と話すことが苦手であるために、友達はいないー。

「ーーーーー」
そんな美優とは正反対の場所の座席ー…
廊下側の方に座っている男子生徒の丸岡 健太(まるおか けんた)も、
同じく暗い性格の男子生徒だったー。

特にイケメンー、という感じでもなく、
オドオドした雰囲気が滲み出てしまっている男子生徒ー。

幸い、彼もまた、いじめを受けたりはしていなかったものの、
とにかく、存在感は皆無だったー。

ある意味、”似た者同士”の二人ー。
ただ、”暗い二人”だからと言って、
それで仲良くなるー…なんてことはなく、
美優と健太の二人は、お互いに相手とほとんど話をしたことも
ないような状態だったー。

がー…
そんなある日ー…
”それ”は起きたー。

「ーーー」
図書委員として活動している健太は、
この日は図書当番ー。

相方の別のクラスの女子生徒とは特に話す様子もなく
黙々と仕事をこなしていくー。

そんな中ー、
同じクラスの大人しい女子生徒・美優が図書室にやってきて、
「あのー…これー…」と、借りていた本を、
図書当番の健太に差し出すー。

「ーーあ、うんー」
借りていた本の返却ー。

健太は、図書当番としての仕事を黙々とこなし、
返却の手続きを終えると、
「はいー」と、図書カードを差し出すー。

可愛い子が来たからと言って、特に愛想がよくなるようなこともなく、
とにかく淡々としている。

「ありがとうー」
美優もそれだけ言葉を口にすると、
それ以上何も言わずに図書室で
”次に読む本”を探していくー。

本を読むのが好きな美優は、
図書室によく通っていて、
図書委員会である健太がこうして対応することも多いー。

ただし、お互いに事務的な会話以上の会話は存在せず、
事務的な会話以外の会話は”したことがない”と言っても
いいような、そんな状況だー。

”あ~~~~~…丸岡くんと一緒だと、空気が暗いー”

同じく図書当番中の別のクラスの女子生徒・
天坂 梨穂(てんさか りほ)は、少し戸惑いの表情を
浮かべながら、
「ーー丸岡くんー。今日はいい天気だねー」と、
そんな言葉を口にするー。

梨穂は”沈黙”が苦手だったー。

「ーーーうん」
健太はそれだけ返事をする。

「ーーーーーーー…」
が、そこで会話は終了してしまうー。

梨穂が気まずそうに
「ーーえ、え~っと、そういえば、今度の文化祭、
 丸岡くんのクラスは何をするんだっけー?」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーーーえっとー…」
健太はそれだけ言うと、
「ーーー焼きそばだと思うー」と、そう言葉を口にするー。

が、やはりそこで会話は終了ー。
梨穂は再び気まずそうな表情を浮かべるー。

そんな中、健太は
「これ、戻してくるー」とだけ言葉を口にして、
返却された本を本棚に戻すため、カウンターの外に出て
図書室内を歩き始めるー。

「ーーふぅ…」
梨穂は、”調子が出ないなぁ”と、内心でそう思いつつ、
健太のほうを見つめるー。

そんな視線もお構いなしで、本を本棚に戻しつつ、
図書室内を歩き回る健太ー。

ちょうどその頃、
背があまり高くない美優は、
図書室内にいくつか設置されている台に乗って
ちょうど、本棚の高いところにある本を取ろうとしている最中だったー。

そこの近くを本棚に本を戻している最中の健太が
通過しようとするー。

がー、その時だったー

「ーーー!」
美優が、掴もうとした本が思ったよりも重かったせいで、
バランスを崩してしまうー。

そしてー…
ちょうど、美優がいる場所の下を通過している最中だった
健太めがけてー、そのまま勢いよく転落してしまったー

図書室内に大きな音が響き渡るー。

図書室を利用中だった数名の生徒と、
健太と同じく図書当番の梨穂が
その音に気付いて、驚いた表情を浮かべるー。

そして、すぐに梨穂が
落下した美優と、巻き込まれた健太の方に駆け寄ると、
「ちょ、ちょっと、大丈夫ー!?」と、
そう声を上げたー。

幸い、二人は大きな怪我をしている様子はなかったものの、
お互いに顔を見合わせて、不思議そうにするような、
そんな表情を浮かべたー。

「ーーーー…え…」
健太がそう言葉を口にするー。

「ーーーぁ…」
美優も、不思議そうな表情を浮かべつつ、
そんな言葉を口にするー。

「ーーーえ? あ?
 ーー大丈夫???」
梨穂は二人の呟いた言葉を繰り返しながら、
そう言葉を口にすると、
”美優”の方が「僕がもう一人ー…?」と、
そう言葉を口にするー。

「ーはい?」
梨穂は、心底困惑したような表情を浮かべると、
健太の方も、美優を見つめながら
「ーーわたし…?」と、そう言葉を口にしたー。

「え?え?どうしたのー?大丈夫ー?
 頭打った??」
梨穂は戸惑いと、心配の表情を浮かべながら
慌てた様子でそう言葉を口にすると、
健太と美優はお互いの顔を見合わせたあとに、
自分の身体を見下ろしてから、青ざめたような表情を浮かべたー。

「ーーちょ、ちょ、ちょっとー…?
 どこか痛いのー?」
梨穂がそんな二人を心配するー。

するとー、
二人は言ったー。

「ー入れ替わったー」
とー、ほぼ同時にー。

「ー入れ替わった???」
梨穂は頭の上に「?」をたくさん浮かべながら聞き返すー。

すると、
「か、身体が入れ替わってるみたいなんだけどー…」と、
美優になってしまった健太が
どこか呆然とした表情でそう言葉を口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ごめんなさいー」
「ごめんなさいー」

美優(健太)と健太(美優)がほぼ同時に
謝罪の言葉を口にするー。

「~~~~~~~」
放課後の図書室の解放時間が終わり、
他の生徒たちを返したあと、
図書室で入れ替わってしまった二人は、
お互いに謝罪の言葉を口にしていたー。

「ーー…あ、あのさー…
 ほ、本当に入れ替わってるのー?」
図書当番の梨穂もその場に残り、
そんな言葉を口にしながら二人を見つめると、
二人とも「うんー」と、そう言葉を口にしたー。

そしてー…
二人は”沈黙”するー。

”ちょ、ちょ、ちょっとー!?何この沈黙ー!?
 身体が入れ替わっちゃったって言うのに、
 リアクション薄くないー!?
 大体、こういう時って男子の方が胸を揉み始めたりして
 女子の方が「やめて!みたいな展開が王道のはずだよねー!?

 あと、元に戻る方法を相談し始めたりとかー!”

梨穂は、頭の中でそんな風に混乱しつつ、
二人を見つめるー。

が、やはりと言うべきだろうかー。
二人は沈黙したままで、
何か話し合いが始まる素振りもなかったー。

「と、と、とりあえずー
 二人とも、このままじゃ困るでしょ?
 元に戻るための方法とか、ほらー、そういうの探して見たりしないの?」
気まずい空気を打ち破ろうと、梨穂がそう言葉を発すると、
健太(美優)と美優(健太)はお互いを見つめてから
「あのー…」
「えっとー…」
と、二人とも言葉に困っているような反応を見せるー。

「~~~~~~~」
梨穂は”これは重症だねー…”と内心で思っていると、
ようやく健太(美優)の方が口を開いたー。

「ーも、もう1回ぶつかったら元に戻れたり、するかなー?」
とー。

その言葉に美優(健太)は
「え…うー、うんー…でも、痛くないかなー…?」
と、オドオドした様子でそう答えるー。

「ーーそ…そうだよねー…ごめんー」
健太(美優)は申し訳なさそうにそう言葉を口にすると、
二人ともまた沈黙タイムに突入してしまうー。

”ーーちょ、ちょっとちょっとちょっとー…”
本当に入れ替わってしまったと言うのであれば、
せめて、色々試して見た方がいいと、そう思っている
梨穂は二人の様子を見つめながら、内心でそんなツッコミを入れるー。

しかし、二人とも沈黙したまま、
どうすればいいのかも分からずに
ソワソワしているー。

”っていうかー、普通、こういう時ってもっと騒ぐものだよねー?
 女子になった男子って、色々触ったりー、
 ほら、その、揉んだりするものだよねー?”

全ての男子がそうとは限らないものの、
梨穂の中では”そういう”イメージなのだろうー。

心の中でそんなことを呟くと、
全くそういう素振りを見せない美優(健太)のほうを
見つめながら、逆に戸惑いの表情を浮かべるー。

そんな二人を見て、梨穂は小さくため息を吐き出すと、
「ー二人とも、本当に入れ替わっちゃったなら
 そのままでいるわけには行かないでしょ?
 ほら、もっといろいろ試してみないとー」
と、梨穂は二人に行動を促すー。

「ーーあ、う、うんー…で、でもー」
美優(健太)は戸惑いながらそう言葉を口にすると、
健太(美優)も「どうしたらいいのか分からなくてー」と、
自信なさげにそう言葉を口にしたー。

「た、確かに、二人の場合入れ替わってても
 あんまり誰も気づかなそうだけどさ!
 でも、そのままだと、色々まずいでしょ?」

梨穂はそこまで言うと、少し悲しそうな表情を二人が
浮かべたー…気がして、
「あ、そのー、誰も気づかなそう!は余計だったけどー」と、
すぐにそう言葉を口にすると、
「とにかく、元に戻れそうな方法、色々言ってみるから試してみて!」と、
そう言葉を続けたー。

暗い性格で奥手な二人に任せていたら
このまま日が暮れてしまうー。

そう思いつつ、梨穂は
「ほら、ぶつかるのが嫌なら、まず手を繋いだりしてみるのはー?
 お互い、入れ替わった人間同士、身体が触れれば
 元に戻るかもしれないし」と、そう提案するー。

その言葉に、美優(健太)と、健太(美優)は
お互いに顔を見合わせて、戸惑いの表情を浮かべる。

「ーーど、どうしようー…?」
健太(美優)がそう言葉を口にすると、
美優(健太)は「え、えっとー…も、元に戻れるならー」と
そう言葉を口にするー。

が、二人とも手を触れようとしたものの、
なかなか手を繋ぐに至らない。

その様子を見て、梨穂は困惑しながら
「ほ、ほら!早く手ぐらい繋いで!」と、
そう言い放つー。

「ーーえっ…あ…じ、じゃあ、ごめんなさいー」
美優(健太)は、健太(美優)に謝罪の言葉を口にするー。

健太(美優)も「ご、ごめんねー」と、
謝罪の言葉を口にしながら相手の手を
指先だけ掴むような感じで、
手を繋ごうとするー。

「あ~!もう!がっつり繋いで!!
 別に繋いだら死ぬわけじゃないんだから!」
梨穂がそう言い放つと、
二人は戸惑いながらも、ようやく、相手に心底申し訳なさそうにしながら
手を繋いだー。

…がー、手を繋いだだけでは、
入れ替わってしまった二人が元に戻ることはなかったー。

数秒後、二人は慌てて手を離し、
顔を赤らめて、申し訳なさそうに「ごめんなさい」「ごめん」と、
お互いに謝り始めるー。

そして、”沈黙”してしまうー。

「ーーーーと、と、と、とにかく!もっといろいろ試してみないと!」
梨穂は二人のあまりの暗い空気に困惑しながらも、
続けて”元に戻れそうな方法”を口にしていくー。

結局、”お互いがもう一度ぶつかってみる”も含めて
思いつく方法を色々と試しては見たものの、
ついに、二人とも”元に戻る”ことはできなかったー。

「ーーー…」

「ーーーーー~~~」

結局、二人は入れ替わったまま、
元に戻ることができるまで、相手のフリをしつつ、
生活することになったー。

がー、二人はロクに情報交換もできないまま、
そのまま相手の家に帰ることになってしまうのだったー。

②へ続く

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コメント

片方が明るい性格だったり、悪い子だったりする
入れ替わりはよく(?)あるので、
今回は二人とも暗い生活デス~!笑

明日もぜひ楽しんで下さいネ~!!

「くらいふたり」目次

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