<入れ替わり>ラーメンチェンジ②~困惑する少女~

下校中に、頑固なラーメン屋の店主と
ぶつかって入れ替わってしまった女子高生ー。

店主の身体で、少女の身体になった店主に
見張られながら、お店をやることに…!?

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー俺は今日からこのお店で
 働き始めた新人バイトの設定だ。いいか?」

深雪になった角蔵が深雪の身体で呟くー

「は、はぁ…」
角蔵になった深雪は戸惑うー

角蔵(深雪)は、角蔵のフリをしてお店に立ち、
深雪(角蔵)は、新人の高校生アルバイトとしてお店に立つー。

しかし、当然、身体は角蔵でも、中身は深雪のため、
今の”角蔵”にいつものようにラーメンを作ることはできない。

そこで、深雪になった角蔵が、
”新人バイト”のフリをしながら、裏では実際にラーメンを作り、
それをお客さんに提供するー。

そんな風に、やっていくことになってしまったー

「ーーこれ!髪!邪魔だな全く!どうにかならないのか?」
深雪(角蔵)が苛立った様子で呟くー

「なんだこの弱弱しい手は!」
深雪の綺麗な手を見つめながら、深雪(角蔵)がさらに文句を言うー。

事情を知らない周囲から見たら
”自分の身体に文句を言っているおかしな女子高生”という状態だー。

「ーー……そ、そ、そんなこと言われても!」
角蔵(深雪)が呟くと、深雪(角蔵)は時計を見て
「あと20分で開店時間だから早く、早くどうにかしろ!」
と叫ぶー

「ど、どうにかー!?」
角蔵(深雪)は、戸惑いっぱなしー

”弱弱しい手だな どうにかしろ”
なんて言われても、どうにもできるはずがないー。

「ーー髪、切っていいか?」
深雪(角蔵)が、奥からハサミを持ってきて言うー。

「ーだ、、だ、、だめですー!!!」
角蔵(深雪)が思わず叫ぶー。

「ーーーじゃあ、どうしろってんだ?」
深雪(角蔵)が苛立つー。

そんなことで苛立たれてもー
と、思いながら、角蔵(深雪)は
「か、髪を結べば、邪魔にならないと思うので!」と言い放つー。

「ーーー…ったく仕方ねぇな」
髪を切りたくて仕方なさそうな雰囲気の深雪(角蔵)ー

勝手に髪を切られてしまったら、たまったものではないー
角蔵(深雪)はそう呟きながら、
「ふ、普段どんな風に接客してるのか、とか、
 よく来る常連さんとか、教えてくれますか?」と、
質問するー。

しかしー
深雪(角蔵)は、髪を妙に変な感じで触りながら
しばらくしてから呟いたー

「ーむ、結ぶとか、俺には分かんねぇぞ!」
とー。

「ーそ、そ、そうですよね…」
角蔵(深雪)は、そう呟きながら
「わ、わたしがやるので、ちょっといいですか…?」と、
困惑しながら言うー。

確かに、男の人からとってみればー
”髪を結べば大丈夫”なんていきなり言われても
分からないのだろうー。

そう、思いながら角蔵(深雪)は
”自分の髪を他人として結んでいくー”

”店主のおじいさんに髪を結んでもらっている女子高生”
何か、ヤバい光景な気がするー

と、思いながら髪を結び終えると、
「ーーーなんか、しっくりこねぇな」と、
まだ深雪(角蔵)は不満そうだったー。

角蔵(深雪)は”これ以上何か文句を言われても…”と
困惑していると、「まぁ、仕方ねぇ髪はこれでいいよ」と、
結んだ髪を触りながら深雪(角蔵)は呟いたー。

そしてーー
「ーー…こんなヒラヒラしたもん履いてラーメンなんか作れるか!」
と、今度はスカートにケチをつけだしたー

下校中に入れ替わってしまった深雪は、当然
高校の制服を身に着けていたー。

「ーーなんかその、アレとかもってねぇのか?
 ほら、あれだよ、ほらー!」

名前を思い出せないのか、イライラした様子の深雪(角蔵)ー

「ーーえ、、え、、あ、ジャージですか!?」
角蔵(深雪)が言うと、
「そう!それだよ!こんな制服でラーメン作るわけにはいかねぇだろ?」と
付け加えたー。

言われた通りに鞄からジャージを出すとー

「ーーえ?」
角蔵(深雪)は思わず唖然としたー。

いきなり、適当にスカートを脱ぎ始めて
制服まで脱いで、店内で、下着姿になったのだー。

「ーーーん?」
深雪(角蔵)が、下着姿で、角蔵(深雪)を見つめるー

顔を真っ赤にしながら、角蔵(深雪)は
「ちょ、ちょっと!何してるんですか!エッチ!」と叫んでしまうー。

「ーーーん????」
深雪(角蔵)は無意識だったのか、
自分の身体を見下ろして下着が目に入って
顔を真っ赤にするー

「ーち、、ち、、違げぇってんだ!
 この歳になって、そんな下心あるかってんだ!」

深雪(角蔵)は顔を真っ赤にしながらそう呟くと、
慌ててジャージを身に着けて、
ため息をついたー。

「ーーー…もう…わたしの身体のことも少しは考えて下さいー」
角蔵(深雪)が不満そうに呟くとー
深雪(角蔵)は「ジジイになると、そういう下心もなくなるもんでな
何も考えてなかった。すまん」と、鼻血を垂らしながら頭を下げたー

「ーは、、は、、鼻血出てるじゃないですか!?!?」
角蔵(深雪)は叫ぶー

やっぱこのおじいさん、エッチなおじいさんなんじゃー…?と、
不安に思いながらー

女子高生の身体で勝手に鼻血を出してしまった角蔵は、
目を逸らすようにして時計を見つめるー。

あと7分ほどで開店時間であることを確認した
深雪(角蔵)は「ー必要なことだけ説明するから、よく聞けよ」と
前置きしてから、
お店での普段の接客や、注文からラーメンをお客さんに提供するまでの時間ー

そして、今日やってくる可能性のある常連客などについても
簡単に説明を行ったー

「わ…わかりましたー…」
角蔵(深雪)はとても不安でいっぱいだったー

そもそも、
”元に戻れるかどうか分からない”という
この状況は、深雪にとって、とても不安な状況だったー。

「ーーー…開けろ」
深雪(角蔵)が言うー。

店主である”角蔵”が店の入り口を開けるべきだとー。

開けた時の挨拶などについても説明を受けていた
角蔵(深雪)は説明されていた通りに店をオープンさせたー

「いらっしゃいませ~」
角蔵(深雪)が愛想よく言うー。

だがー
奥から深雪(角蔵)に鬼のような目つきで睨まれていることに気付くー。

”ひぃっ!?わ、わたし、目が怖すぎー!”
そんな風に思いながら、その意味をすぐに悟るー

”いらっしゃいませ”が丁寧すぎるのだー。

自分が本当に新人アルバイトであれば
それでも良いのかもしれないー。
しかし、今は”店主・角蔵として振る舞うことを求められている”のだー。

「ーーお!いらっしゃい!」
角蔵(深雪)がそう言うと、深雪(角蔵)は、睨むのをやめて、
調理場の方に移動したー。

「ーーお~~~!お嬢ちゃん、アルバイト?」
男の客が深雪(角蔵)を見て呟くー

「名前は何て言うの?」
もう一人の男の客が呟くー

「あ、、は、、はい~!今日からアルバイトを始めたー
 ーーーー」

深雪(角蔵)は表情を歪めたー

”そういや、名前を聞いてなかったー!”

そう思いながら、咄嗟に出たのがー

「う、、お、、??え…??え、、梅子(うめこ)だ!」
と、いう言葉だったー

途中から口調もうっかりおかしくなってしまったがー
勝手に”梅子”と名乗られてしまった
角蔵(深雪)は「え…えっ…!?」と、困惑の表情を浮かべているー

「ーーへへへ 可愛いねぇ
 あ、で、注文なんだけど」

常連客らしき客がラーメンの注文を始めるー。

「ーーラーメン2つと、チャーハン一つですね~!は~い!」
深雪(角蔵)は、意外にも、深雪の年頃にふさわしいような
振る舞いができているように見えるー

角蔵(深雪)は、調理場に戻ってきた深雪(角蔵)に対して
「ラーメン…とチャーハンってどうやってー…」と小声で確認するー。

「ーお前さんが俺に教えているような素振りをしろ!
 俺が作るー」

小声で深雪(角蔵)が言うー。

ちょうど、調理場は”手元”は見えないような感じになっていて、
客からは二人が並んで立ってさえいれば、
”どっちがラーメンを作っているのか”までは分からないー。

「ーーーは、、はい…」
角蔵(深雪)は戸惑いながらも、
表情や、身振り手振りで”教えているような仕草”をするー。

「もっと手を動かせ!お客さんからは俺が作ってるように見えなくちゃならねぇ」
深雪(角蔵)がそう呟くと、
角蔵(深雪)は「あ、はい…」と、”作ってるフリ”だけをするー。

深雪(角蔵)は、まるで”隣で店主のラーメン作り”を見ているかのような
仕草をしながら、手元では、自分でラーメンの調理を進めていくー。

お客さんから死角になる部分を利用しながら、
ラーメンを作り上げた深雪(角蔵)は、
そのままラーメンをお客さんの元に運んでいくー

「お待たせしました~!」
”女子高生のような笑顔”を無理やり作りながら深雪(角蔵)は
ため息をつきながら、調理場に戻ると、
「お嬢ちゃんも、なかなか演技がうまいじゃないか」と、
笑みを浮かべたー。

「ーーあ、はい、ありがとうございますー」
角蔵(深雪)が戸惑いながら言うー。

”大変そう”
そう思っていた作業は、意外とうまく行くー。

”角蔵になった深雪がラーメンを作っているフリ”をしながら
”深雪になった角蔵が、初日の女子高生バイトを演じながら”ラーメンを
作っていくー

人生で絶対に経験しないであろう、おかしなシチュエーションで
なんとかお客さんにラーメンを提供していくー

「ーーーーー」
角蔵(深雪)が、深雪(角蔵)のほうを見つめるー。

ラーメン店の、調理がどのように行われるか、深雪ははっきりとは知らないー

けれどー
深雪(角蔵)の動きは、まさに”プロ”
”ラーメン作り”が良く分からなくてもー
”このおじいさんはラーメンに命を懸けているんだ”ということが
よく伝わってきたー

「ーーボケっとすんじゃねぇ!」
深雪(角蔵)が、小声で蹴りを入れながら叫ぶー

「あ、はい!」
角蔵(深雪)は、だんだんとこの頑固な店主のことを見直し始めた
その時だったー

「ーーーえ、深雪じゃんー」

「ーー!?」

角蔵(深雪)が表情を歪めるとー
そこにはー
同じクラスの女子生徒の姿があったー

「ーー!」
「ーーー!」
深雪(角蔵)と角蔵(深雪)が、困惑の表情を浮かべるー

最悪のタイミングでー
”深雪の同級生”がお店に来てしまったー!

「ーーあ、、あ、、あ、、こ、こんばんはぁ~!
 わ、、わたし、今日からバイト、ここで始めたの!
 ふふ、うふ、うふふふふふ」

深雪(角蔵)が咄嗟に、角蔵になった深雪の反応から、
”深雪の友達”だと判断して、
ぎこちない口調と仕草でそう呟くー

「ーーーえ…そ、そうなの…?
 深雪、ラーメン嫌いって言ってなかったっけー?」
友達が言うー。

「ーーえ…、、、」
深雪(角蔵)が角蔵(深雪)のほうを見るー

角蔵になっている深雪は
”ちょ…ちょっと、瑞姫(みずき)…やめてよ…!”
と、心の中で呟くー。

ラーメンに命を懸けているこの人の前で、そんなこと
言われると何を言われるか分からーーー…

「ーーえ…?梅子ちゃんじゃないの?」
さっきからずっといる常連客がそう言葉を口にしたー

「ーーーえ?」
深雪の友達、瑞姫が反応するー。

「ーーえ?」
さっきー、深雪になっている角蔵が咄嗟に名乗った
適当な名前ー。

それが、災いの元にー…

混沌とする中ー
更なる混沌が、店にやってきたー

店の扉がバン!と開くー

店に入ってきたのはー
先日、店主の角蔵が

「店の敷地内に入っただけで、”お客様”扱いして貰えると
 思うなってんだ!」

と、追放したクレーマーの客だったー。

「ーーおい!ジジイ!!
 この前はよくもコケにしてくれたな!」

叫ぶクレーマー

唖然とする常連客と、深雪の友人・瑞姫ー。

店内の混沌とした状況を前に、
角蔵(深雪)は、
”え…?どうするの?この状況ー?”と、
頭を抱えることしかできなかったー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・

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混沌としてきた店内…!
次回が最終回デス~!

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