入れ替わってしまった女子高生と
ラーメン屋の頑固な店主ー。
そんな中、店に予想外の来店客が
やってきてしまい、店内は混沌とした状況に…。
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クレーマーの男が、店内に再びやってきたー。
先日、このラーメン屋・頑麺のラーメンを
まずいと叫び、挙句の果てに難癖をつけて
店内から追い出された男だー。
「ールール守れば客なんだろ?おい、クソまずいラーメン出せよ」
クレーマーの男が言うー。
深雪(角蔵)は舌打ちしながらも
”今は、自分の身体ではない”からだろうかー、
「ラーメンでよろしいですか?」と繰り返すー。
「ーーー」
おろおろとしながら、角蔵(深雪)が
調理場に立っていると
深雪(角蔵)が戻ってきて「キョロキョロするんじゃない!」と、
軽く足を蹴りつけてきたー。
”自分の足に軽く蹴られる”というある意味貴重な体験をした
角蔵(深雪)は、
友達の瑞姫や、常連客のほうを気にしながらー
さっきまでと同じように、ラーメンを”作ってるフリ”をし始めるー。
「ーーそれにしても今日、角蔵さん、なんか顔色悪いねぇ」
常連客が、そんな風に声を上げるー
「ーーあ、、え、、え、、…え~っと、いや、そんなことー」
角蔵(深雪)が困惑しながらそう声を上げるとー
深雪(角蔵)が、
「ーー店長、わたしみたいに、若くてかわいい子がバイトに入ったんで
緊張してるんです!」と、笑いながらフォローを入れたー
「ーえぇ!?深雪ってば、自分でそれ言っちゃう?」
友達の瑞姫がツッコミを入れるー
入れ替わっていることを知らない瑞姫からすれば、
深雪が”初日のバイト先で、わたし可愛いアピールをした”
ようにしか見えないー
「ーーお、、お、、そ、そう!そうなんだよぉ~」
角蔵(深雪)が戸惑った様子でそう常連客に伝えるー。
だが、その顔は真っ赤になっていたー。
”勝手に、わたし可愛いから発言をされて赤面している”のだが、
瑞姫と常連客は”女子高生バイトを前に照れている”と判断したー。
「ーーおい!まだか!」
クレーマー男が叫ぶー
「ー今、できますから、少し待っててください」
ムカッとした様子で、深雪(角蔵)がそう返事をするー
”ちょ、ちょっと!?なんか攻撃的でわたし、怖いんですけど!?”
角蔵(深雪)が、隣にいるムカッとしている”自分”を見て、
ビクビクし始めるー。
「ーーみ、深雪なんかイラついてない?」
瑞姫が塩ラーメンを食べながら呟くー。
”っていうか、瑞姫、そんなスリムな身体で
いつもラーメン大盛食べてるの!?”
角蔵(深雪)はそんな風に思いながらー
”ラーメンを完成させたフリ”をするー。
実際にラーメンを作ったのは、深雪(角蔵)なのだが、
先ほどからの”演技”で、
客からは、”角蔵が深雪に教えながら、角蔵が作っている”
ように、なんとか見えているー。
「お待たせいたしました」
深雪(角蔵)がラーメンを運ぶと、
クレーマー男は「出たよ、まずいラーメン」と、笑みを浮かべるー
この男は何をしに来たのだろうかー。
まずいなら来なければいいんだ、と、
角蔵は深雪の身体で思うー。
その時だったー
「それにしても君は可愛いなぁ いくつ?」
クレーマー男がニヤニヤしながら深雪(角蔵)の向かって聞くー。
「ーーそういうのは、お答えしてないので」
深雪(角蔵)は不愛想にそう呟くー
お答えしていないー…
と、いうか、角蔵は深雪の年齢も知らないー。
女子高生のようだから、
年齢を絞ることはできるものの、
16なのか、17なのか、18なのか、そういう
細かいところまでは、分からないー。
「ーーあ、そうだーちょっとこれさ~」
クレーマー男は、ラーメンの器を指さしながら
深雪(角蔵)を手招きするー。
角蔵(深雪)は調理場から、
ラーメンの器を洗いながら、その様子を見つめるー
ラーメンを作ることはできないけれど、
食器洗いぐらいはできるー、
ということでさっきからできることはしているー
”…それにしてもわたし…元に戻れるのかなぁ…
もう19時だし…
それにー
こんなことさせられて、バイト代とか貰えるのかなぁ…”
「ーもしかしてタダ働き?」などと、
自虐的に呟いていると、
クレーマー男が、手招きに応じてやってきた
深雪(角蔵)のジャージの上から突然、
お尻のあたりを触ったー
「ーーふへへへへ」
クレーマー男が笑みを浮かべるー。
「ーな、何をしてんだ!?」
深雪(角蔵)は思わず男口調でそう叫んでしまうー
「ーーへへへっ、まぁそう言うなよー。
ちょっとぐらいいいじゃねぇか」
クレーマー男が深雪(角蔵)の身体を触りながら
笑みを浮かべるー。
「ーーなぁ…もうちょっと近くにー」
クレーマー男の言葉に
「ー申し訳ありませんが、そういうお店ではありませんので!」
と、あくまでも女子高生のフリをしながら、
深雪(角蔵)は叫んだー。
”なんか今日の深雪、いつもよりハキハキ言うなぁ”
塩ラーメンを食べながら友人の瑞姫が、その様子を見つめているー。
その時だったー
「ケチ臭いこというなよ?な?」
クレーマー男が、深雪(角蔵)の胸に手を触れたー
「ーーえ!?ちょっと!」
角蔵(深雪)は”自分の身体”が触られていることに思わず
反応して声を上げてしまうー。
「ーーへへへへへへ まずいラーメンのおかずにはちょうどいいぜ!」
クレーマー男がそう言いながら笑うと同時にーー
「ーー俺の店でふざけたことやってんじゃねぇぞ!」
深雪(角蔵)がブチ切れて、ラーメンの器を手にすると、
それをクレーマー男の頭の上でひっくり返してー
男の頭からラーメンをぶっかけたー
「ーぐおおおぁぁ!?!?!?!?」
男が驚いて、カウンター席から転倒して、うめき声を上げるー
「ーちょっと!?深雪!?」
友人の瑞姫が、深雪の突然の行動に驚くー
「うぉっ!?やるねぇ!」
常連客の男は、”客にラーメンをぶっかけた女子高生バイト”を見て
喜んでいるような感じだー。
「ーーテメェー…」
頭からラーメンをかけられたクレーマー男が
怒りの形相で、深雪(角蔵)に襲い掛かるー。
しかしー
深雪(角蔵)は、柔道の技のようなもので、
クレーマー男を投げ飛ばすと、
そのまま固め技のような技で、クレーマー男を
身動きできないようにしたー
「ーえ!?深雪 つよっ!」
瑞姫が驚いた様子で叫ぶー。
「ー二度と…おれ…いや、うちの店に来るんじゃないよ!」
深雪(角蔵)は、怒りのあまり、自分が入れ替わっていることを
忘れそうになりながらも
辛うじて男言葉になりそうなのを押さえつつー、
クレーマー男に言い放ったー
「ーーこ、、こ…こ、、このガキがぁああああ!」
クレーマー男が叫ぶー。
「ーー警察!警察を呼んでください!」
深雪(角蔵)が叫ぶと、常連客の男が
「お、、おぅ!梅子ちゃん!」と返事をするー
「ーう、、梅子って誰なの!?」
深雪の友人・瑞姫がツッコミを入れるー。
常連客の前で深雪(角蔵)は先ほど”梅子”と
適当に名乗ったため、この常連客は
深雪のことを”梅子”だと思っているー。
常連客にも取り押さえられて、観念したのか
クレーマー男は大人しくなるー
「はぁ~~~」
髪をイライラした様子でかきむしりながら
調理場に戻ってきた深雪(角蔵)を見て、
角蔵(深雪)は困惑した表情を浮かべるー。
「ーー色々迷惑かけて、悪いな」
深雪(角蔵)はそう言うと、
「元に戻る方法も、早く考えないといけねぇな」と、
苦笑いしながら呟いたー。
「ー…店、手伝ってくれてありがとうなー。
今日はもう、あのクレーマーを警察につき渡したら
閉店すっから、
そしたら元に戻る方法を探そう」
深雪(角蔵)の言葉に、角蔵(深雪)は「はい…」と、頷くー。
「ーー…と、ところで」
小声で角蔵(深雪)は”自分の顔”に、顔を近づけるとー
「なんで”梅子”って勝手に名乗ったんですかー?」と、確認するー
「そ、それはー」
深雪(角蔵)は、
「ーー俺が何十年も昔に初恋した子の名前がたまたま浮かんでー」と
恥ずかしそうに言葉を口にしたー。
だがーー
「ふざけやがって!」
店内でクレーマーの声が響き渡るー
再び、例のクレーマーが暴れ出したのだー
「ーーきゃっ!?」
「うおっ!?」
常連客と、深雪の友人・瑞姫がクレーマー客に
突き飛ばされるー。
「ーーおい!いい加減にしやがれってんだ!」
深雪(角蔵)が咄嗟にそう叫んでしまうー。
突き飛ばされた直後だったからか、常連客たちは
特に深雪の乱暴な口調を気にしていない様子だったが、
クレーマー男は怒りの形相で深雪(角蔵)を見つめたー。
「ー店主が店主なら
バイトもバイトだな!
生意気な小娘が!」
クレーマー男が叫ぶー。
深雪(角蔵)が、クレーマー男を取り押さえようとして、
その腕を掴むー。
だがー
クレーマー男が深雪(角蔵)の手を掴んで、
無理やり振りほどいたー
「ーー!?」
「ーそんなか弱い手で、俺を捕まえられると思ったのか!」
クレーマー男が叫ぶー
そして、深雪(角蔵)の腕をねじりながら笑うー。
「ーーうっ……っ」
深雪(角蔵)が苦しそうにするのを見て、
角蔵(深雪)が「や、やめて!」と、クレーマー男を止めようとするー。
「ちょっと!いい加減にしなさいよ!」
「ーーおい!やめろ!」
瑞姫と常連客も、クレーマー音を止めようとしたー。
5人は、いつの間にか入り乱れて乱闘状態に
なってしまっていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー警察ですー」
通報を受けた警察官2名が駆け付けるー。
だがー
駆け付けた警察官が、目にした光景はー
異様な光景だったー
「ふへへへへへ…♡ えへへへへへ…♡ たまんねぇぜ」
「ーーー…え」
警察官が唖然とした視線の先には、
制服姿で、胸を揉む深雪の姿があったー。
「ーーーた、、助けて下さい!」
男が駆け付けた警察官に向かって叫ぶー。
「ー…ちょっと!深雪の身体で変なことしないで!」
そう叫ぶのは、店主の角蔵ー。
戸惑った様子の常連客と、
顔を赤くして恥ずかしそうにしている瑞姫の姿もあるー。
「ーーー…ク…クレーマーはどなたですか?」
警察官の一人が確認すると、
胸を揉んでいた深雪が「へへ…こいつだよ」と、
”助けて下さい”と叫んだ男を指さすー。
「ーち、、ちがっ!」
クレーマー男が叫ぶー。
「ーーあんたがクレーマーでしょ!」
深雪を指さす角蔵ー。
警察官は表情を歪めるー。
さっきから、”おじいさん”とも言える年齢の
店主・角蔵の様子がおかしい。
おネェ口調で喋っているというかー
そんな感じがするー。
このお店ー
頑麺の店主のことは警察官も知っているが、
こんな店主ではなかったはずだー。
「いいのか?この女が警察に捕まってもー?」
深雪が小声で角蔵に向かって囁くと、
角蔵は「え…」と、戸惑うー
「へへへへ…だよな?友達が捕まっちゃったら辛いよな?」
深雪はそう言うと、再び笑みを浮かべて胸を揉み始めるー。
困惑する警官ー。
5人はーー
乱闘状態になった際に”入れ替わって”しまっていたー。
クレーマー男は、深雪の身体になりー
ジャージから制服に着替えて、制服姿でお楽しみ中ー
深雪は、クレーマー男にー
瑞姫は、店主の角蔵に、
店主の角蔵は、常連客の男に、
常連客の男は、瑞姫の身体になって赤面中ー。
ラーメン屋の混沌はー
解決に向かうどころか、さらに解決から遠のいたのだったー…
おわり
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コメント
最後は複数を巻き込んだ入れ替わりに発展してしまいました~!
お読みくださりありがとうございました!!☆
コメント
なんて素晴らしいんだ…。
シリーズ通して年齢差の入れ替わりと、女子高生の姿で男らしい口ぶりの角蔵が好きだし、それに最後の集団入れ替わりも素晴らしい
これはものすごく続きが気になるなぁ
コメントありがとうございます~!
集団入れ替わり発生後、どうなるのか
いずれ機会があれば
書いてみたいですネ~!