クリスマスイブ当日に豹変した彼女ー
彼女に言われるがまま、
彼は”性”夜を過ごすことになるー
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「---ふふふ…こんなに大きくなっちゃってぇ…」
脱がされた恒夫は、言われるがままにされていたー
もう、何がなんだかわからないー
肉棒を麻帆に咥えられて、
麻帆が慣れた仕草で、恒夫のそれを刺激したー
「どう?気持ちいい?」
だとか、配慮のような言葉まで聞こえてきたが
もはや、何の言葉も耳に入らないまま、
恒夫は麻帆の口にそれを放ってしまったー。
「---……ふふふふ…かわいい」
色っぽく麻帆がそう呟くー
麻帆は、どうして、こんなに急に豹変してしまったのだろうかー。
麻帆がサンタ衣装を脱ぎ始めるー。
恒夫は、思わず目を逸らしてしまうー。
「--ふふふ…ほら、ちゃんとしっかり見なさい」
麻帆が甘い声で言うー
「--”醒める前に”-」
麻帆が、何か意味深な言葉を呟くー
だが、恒夫はそんなことがもう分からないぐらいに
ゾクゾクドキドキしていたー。
賢者タイム…などと言われるものが
はじけ飛ぶぐらいに心臓が破裂しそうな恒夫ー。
麻帆自身も、激しくゾクゾクしながら、
「ほら、これがわたしのぜんぶ」と、笑みを浮かべたー
恒夫は目を逸らしたままー
麻帆の裸を直視することなど、
できるはずもないー。
そんな恒夫にしびれを切らしたのか、麻帆は「ほら!見ろよ!
見ねぇとわたし、どうなってもしらないよぉ!」と台所の包丁を
再び手にしたー
「わ、、わかった!わかったから!」
悲鳴に似た叫び声をあげながら、恒夫が麻帆のほうを見るー
恒夫は真っ赤になってしまったー
人生で一度も、女性の裸など見たことがないー
小さいころに、母にお風呂に入れてもらったことは
あるとは思うが、それだけだー。
それ以上にそういう経験は全くないー
恒夫は、自分の目がそのまま
ダイナマイトの爆発に巻き込まれるかのような感覚になってー
続けて自分の顔が、高熱を持っているような、
そんな感覚に襲われたー
「-わたしが教えてあげるからー
恒夫も服を脱ぎなさい」
自身に満ち溢れた麻帆ー。
「--…ど、、ど、、ど…ど、、、え?」
恒夫は語学力すらも失っていたー
強気な麻帆ー
いつもとはまるで、”正反対”のー。
「---ほら!!!脱げよ!」
麻帆が大声で叫んだー
「は、、はひっ!?」
既に、下は脱いでいたが、上の服も脱ぐ恒夫ー
「--へへ、そうだよ、最初からそうしなさいよ」
麻帆はそう言うと、恒夫に近づいてきたー
「--童貞なんでしょ?今日、卒業させてあげる」
麻帆がクスクスと笑うー
恒夫は
「ま、、麻帆…きみはいったい…?」と呟くのが
やっとだったー。
この豹変はいったいー?
今年の春に付き合い始めてから、ずっと見てきた麻帆とは、
まるで別人のような、立ち振る舞いー。
これは、いったい何なのかー。
まったく意味が分からないー
恒夫の理解の範疇を超えているー。
「---分からないなら、わたしに全てを委ねてー」
麻帆が甘い声で囁くー。
「-ーーわたしは、恒夫と溶け合いたいだけなの」
言い回しに、恒夫はドキッとしながらー
もうここまで来てしまったら
何の抵抗もできないし、
知識のない自分には、何を自分からすることもできない、と
一種の”観念”をするー。
そして、静かに目を閉じると、恒夫は
「---……よろしくお願いします」とだけ呟いた
麻帆は興奮した様子で
「--わたしの魅力に溺れさせてあげる!」と、恒夫をベットに押し倒したー。
甘い声とー
悲鳴のような声とー
興奮した声とー
エッチな声ー
あらゆる声が響き渡るー
”性”なる夜は、終わりを迎えたー。
「---はぁ…はぁ… うぅぅぅ…僕、、、…うぅ…
こんなの…はじめてだよ」
恒夫が疲れ果てた様子で言うー
髪を振り乱した麻帆は、放心状態で
「きもちよかったね~…」と、はぁはぁ言いながら呟いたー。
「----ねぇ……なんで今日は…」
恒夫が、天井を見上げながら言うー
恒夫の横で、麻帆も天井を見上げながら呟くー
「---びっくりさせちゃってごめんね」
とー。
「--わたしも、恒夫も…
こういうことには苦手だし、知識もないし、奥手でしょ…?」
麻帆の言葉に、
恒夫は「うん…」と呟くー。
「---…だから、今日ぐらいしか…
クリスマスの夜に、勇気を振り絞って
先に進まないと…って思って」
麻帆の言葉に、恒夫は戸惑いながらも麻帆のほうを見たー。
「--先月ぐらいから、必死に自分なりに色々勉強してー
今日、恒夫とこういうことしてみようって」
麻帆は、言うー
”わたしも全てが初めてで色々戸惑っちゃったけどー”
と、笑いながらー
「---…急に…急に麻帆が変な風になってるからー。
ホント、びっくりしちゃったよ」
恒夫が言うと、
麻帆は「そうでもしないと、恒夫は逃げると思って…」と、苦笑いしたー。
「それにー
わたしも、途中で逃げたくなっちゃうし」
麻帆はそう言うと、
「大学を卒業して、お互いに社会人になったらー
わたし、恒夫と結婚して、いっしょになりたいって
本気で思ってるんだからねー」
と、つけ加えたー。
「だから、今日のも、お遊びじゃないしー
将来のために、って思ってずっと前から勉強してたの」
麻帆の言葉に、
結婚、という単語が含まれていて、恒夫はドキッとしてしまうー
「---どっちかが引っ張らないと、前には進めないもんね」
麻帆は、そう言いながら、静かに微笑んだー
「--憑依とか…包丁とか…ホント、びっくりしたよ」
恒夫は苦笑いしながら言うと、
麻帆は、ごめんごめん、と笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
クリスマスイブの夜は終わり、
夜明けを迎えたー
12月25日のクリスマスー
これまで以上に恒夫と麻帆の絆は深まったー
今日は、ごく普通の、いつも通りの振る舞いで、
麻帆は、恒夫と最高の1日を過ごしたー
恋愛経験もなく、奥手な性格だった恒夫は、
この1年間で、本当に”夢のような”経験をしたー。
本当にー
心からー
幸せを噛みしめることができたー。
恒夫は、この1年間で変わったー
麻帆は、恒夫の笑顔を見つめながら
”本当に幸せそう…”と
暖かい気持ちになるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
夢、見れたでしょ?
恒夫を送り、雪の降る道を歩きながら、
麻帆はそう呟いたー。
自分が見ることのできなかった”夢”-
この世には、彼女という存在を一度も手にすることなく、
一生を終える人間がいるー。
自ら望んで、恋愛に興味を示さないのであれば、
それも一つの幸せであり、構わないー。
けれどー
”手にしたくても、手にすることのできない”人間もたくさんいるー
”俺”も、そうだったー。
「----……」
麻帆は、クリスマスツリーを見上げるー。
「--今度は、夢を自分で、手にするんだよー」
麻帆は、寂しそうにそう呟くとー
スマホから、恒夫の連絡先も、何もかも削除してー
電話番号もSNSも何もかもを、変更したー
そうー
麻帆は、憑依されているー
それもー
クリスマスイブに憑依されたわけではないー。
今年の春ー
恒夫と付き合い始める直前に、麻帆は憑依されたー
恒夫はーー
”憑依される前の麻帆”と話したことは、一度もないー
大学の図書館や食堂で一緒になることが多かったのは
”偶然”ではないー
「---ーーー悪いな…」
麻帆は帰宅すると、そう呟いたー
恒夫との思い出の品を全て処分してー
”恒夫との1年”の痕跡を全て消し去るー。
俺はーーーー
50代後半彼女なしの男だー。
50になったとき、
俺は突然、霊体になって他人に憑依できる能力を身に着けたー。
何故だかは分からないー
童貞は魔法使いになれるー
そういうやつなのかもしれないー
その能力に気づいた俺は、
女に憑依して遊びまくったー
そして、”ある遊び”を始めたー
それが”1年恋愛ごっこ”だー。
女子大生に憑依して、
春から夏にかけて、”恋愛経験のない男子”を見つけ出し、
誘惑するー。
そして、付き合い、デートをして
”恋愛ごっこ”を楽しむー
最後にはー
”エンディング”代わりに
12月24日の夜に、激しい行為を繰り広げてー
相手がすっかり”この人しかいない”と思ったタイミングで
”終了”-
恋愛のスタートから、クリスマスに身体の交わりを交わす”ゴール”までー。
最後に、乗っ取っていた女の記憶を、
その女がパニックを起こさない程度にうまく”調整”して、
憑依から抜け出すー。
「---うぁっ…」
笑みを浮かべていた麻帆が、うめき声をあげてその場に倒れるー。
麻帆からは白髪交じりの男が姿を現したー。
麻帆が意識を失ってピクピクと痙攣しているー。
1~2時間もすれば、意識を取り戻すだろうー。
男は、”快楽”のために、これをもう10年近く繰り返していたー
女になる快感ー
女になって奥手な男子との恋愛を1年間通して味わう快感ー
自分が手にすることができなかった”女”という存在を手にしー、
さらには自分のような恋愛と全く縁のないような男子に
”1年間夢を見させてやっている”という快感ー
男は、己の快楽のために、毎年、大学に入学したばかりの男女を狙い、
楽しんでいたー
憑依が終わった後の、”彼女”が、そっけない態度に戻ってしまい
絶望する彼氏を見るのも、また、快感だー。
だがーー
時々ー
最近、彼は時々思うー
年々、情が強くなっているとー。
もう、年なのだろうかー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
年明けー
「-----……」
恒夫は、暗い表情で、道を歩いていたー
男は、恒夫の歩く場所を知っているー
1年間、麻帆に憑依していたのだからー。
「--------」
帰り道の自販機でため息をつく恒夫ー
おそらく、正気を取り戻した麻帆は
”彼女モード”ではなくなっていて、絶望しているのだろうー
「---…」
男は、そんな恒夫を見て、何故だかとても胸が
締め付けられる思いになったー
憑依を繰り返せば繰り返すほどー
春から冬までの”おもちゃ”であるはずの相手に
情が湧いてしまうー
「----…どうしたんだい?」
同じ自販機を利用する一般人を装って恒夫に声をかけるー
恒夫は知らない人に声を掛けられたことを警戒しながらも
「失恋」と答えたー。
「----……」
男は、恒夫のほうを見つめながら、
何て言葉をかけるか迷ったー
迷った末に、男はー
「君ならきっと”夢を現実にできる”」とだけ呟いて
コーヒーの空き缶をゴミ箱に捨ててそのまま立ち去ったー
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翌日ー
「----また、あなた?」
麻帆が不思議そうな表情で、恒夫を見るー
麻帆は”1年間”の普通に生活してきた記憶を
憑依していた男に植え付けられているが、
恒夫との思い出は全部消えていて、
自分の記憶にない行為を友達から聞いても、
不安には思わないように、男に”加工”されていたー。
「----……」
恒夫は寂しそうな表情を浮かべてからー
静かに呟いたー
「---僕…君と仲良くなりたいんだー
今度は、本当の意味でー」
恒夫は、そう呟くとー
”何があったのかは分からないけどー
また、1からー”
と、今度は本当の意味で、麻帆と結ばれる日を夢見てー
今日からまた、第1歩を踏み出したのだったー
おわり
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コメント
今年のクリスマスモノの完結でした~!
毎年、なんとなくこの季節には
クリスマスを絡めた憑依や入れ替わりを書いてしまいます~笑
今日もお読み下さりありがとうございました!
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