<憑依>今夜は性夜①~クリスマス~

クリスマスイブの日ー。

奥手な彼氏は、奥手な彼女の家で
とんでもない”クリスマス”を過ごすことになる…。

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男子大学生の村川 恒夫(むらかわ つねお)は
期待と不安が入り乱れた日々を過ごしていたー。

それもそのはずー。
人生で”初めて”の彼女と、
人生で”初めて”クリスマスを過ごすのだ。

恒夫は奥手な性格で、これまで1度も彼女が
出来たことはなかった。
そのため、毎年のクリスマスは家で家族と過ごすか、
同性の友達と過ごすか、
そのどちらかだったー。

決して友達が多いタイプでもなかったため、
基本的には自宅で過ごすことが多かったー。

しかしー
今年は違う。

大学で、”初めての彼女”が出来たのだ。

同じ大学に通う女子ー、
静川 麻帆(しずかわ まほ)-。
とても大人しく、恒夫と同じように奥手な感じの女子だー。

だが、大学内の図書館や、食堂などで
偶然一緒になることが多く、
さらには”小説が好き”という共通の趣味もあったりして、
次第にその関係は深まっていきー、
ついに、流れで付き合うことになったー。

麻帆にとっても、恒夫が人生初めての彼氏でありー

奥手同士、
初めて同士、
そして、趣味も共通であることから、
互いに意気投合したのだったー

だがー
二人が”超”がつくほど奥手な人間同士ー

付き合ってから既に半年以上が経過しているものの、
エッチなことをしたこともなければ、
お互いの家を行き来したこともないー。

そんな、間柄だったー。

”仲が良い”ことは間違いない。

お互いにとって、ちょうどよい距離感ー
そんな状態の付き合いが続いていたー

だがー
その状況が変わったー。

先週ー
麻帆が、”その状況”を破ったのだー

”クリスマスの日、空いてる?”

その言葉が、全ての始まりだった。

恒夫のクリスマスは、当然空いている。
聞かれるまでもない。
返事など、1秒でYesと言えるぐらいだ。

恒夫も、人生初めての彼女との
人生初めてのクリスマスデートに
胸を躍らせていたー。

問題は、この先ー。
クリスマスの予定がないことを恒夫が告げると、
あろうことか、麻帆は”わたしの家で一緒にクリスマスパーティしようよ”と
言って来たのだったー

この1週間ー
それが原因で期待と不安が入り乱れている恒夫ー。

当然、麻帆のことは好きだし、
麻帆とクリスマスを過ごすことが出来るのは、嬉しいー。

けれどー
恒夫は、今までに一度も
”女の子の家”に足を踏み入れたことなどなかったー

それゆえの、激しい緊張ー

麻帆も、男を家に上げたことなんてない、と
前に言っていたから、
恒夫と同じように緊張しているのかもしれないー。

とは言え、
麻帆がどう思っていようと、恒夫にとっては
女子の家に足を踏み入れる、という行為は、
RPGゲームの世界で、平民が、女王様と謁見するぐらいに
緊張する行為だったのだー。

今日はー
12月24日ー

恒夫は、自宅で深呼吸を何度も何度も繰り返していたー

麻帆は、大人しく奥手だが、しっかり者で、
一人暮らしをしているー。
そんな麻帆の家に足を踏み入れるー
そう思っただけで、緊張してしまうー。

恒夫は、麻帆の部屋の前までやってきていたー
大学生の麻帆は、当然まだ一軒家に暮らしておらず、
アパートの一室に暮らしているー。

「----…」
ゴクリ。

恒夫は唾を飲み込むと、
麻帆の家のインターホンを鳴らした。

「-----は~い!」
麻帆の可愛らしい声が中から聞こえてくる。

「--あ、、え、、えっと、僕だけど」
恒夫が緊張しながらそう答えると、
麻帆は「あ、うん!入って入って~!」と中から返事をしたー。

「----」
心臓がバクバクするー。

恋愛経験のある男子たちは
こんな風に思わないのだろうけれどー…
と、自虐的に恒夫は思いながら、
深呼吸をしてー
そして、麻帆の部屋のドアノブに手をかけたー。

「--おじゃましま~す…」
おどおどした様子で恒夫が部屋の扉を開けて、
中へと入っていくと、

「--待ってたよ~!」
麻帆がーーー
サンタのコスプレ姿で待っていたー。

「ぶふっ」
恒夫が顔を真っ赤にしてしまうー

しかしー
それだけではないー
サンタのコスプレをしているだけではなく、
ミニスカサンタのコスプレをしていて、
さらに、肩まで露出させているー

「---ぎ、ぎ、、ぎ、、ぎあやあああああああ!」
奇妙な悲鳴をあげる恒夫ー

「--え!?!?ちょ!?」
麻帆が逆に驚きの表情を浮かべるー

「---ひ、、、ひ、、お、、大人のサンタクロースぅ…」
恒夫はぶるぶる震えながら意味不明な言葉を
呟くと、麻帆は苦笑いしながら、
「今夜は聖夜だもん!」と、呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ふ~……」
恒夫は冷や汗を掻きながら
麻帆とクリスマスイブのひと時を過ごすー

今日は、麻帆が妙に身体を密着させてくるー

「---今日は、帰さないからね」
麻帆が囁くようにして言う。

「え…え、、そ、、それって…どういう…」
恒夫がたじろぎながら言うと、
麻帆は「今夜は聖夜だよ…ふたりだけの”性”夜にしよ?」
と、にっこり微笑んだー。

「--ぎ、、ぎ、、え…え…」
恒夫は戸惑ってしまうー
ドキドキで心臓が張り裂けそうになってしまうー

麻帆が、身体を密着させながら言うー

「---ど、どうしたんだよ…急に」
恒夫はドキドキしながらやっとの思いで言葉を絞り出したー。

麻帆も、”自分と同じような”奥手な女子大生ー

なのに、今日の麻帆は
まるで”別人”のようだー。

「--ほら」
麻帆が、恒夫の手を掴んで
自分の胸を触らせるー

「うわっ!?あっ…あっ…」
恒夫は、反射的に手を振りほどいて、
「ご、ごめん!」と叫んでしまうー

別に麻帆のことが嫌いなわけではないー
ただ、女子の胸を触る、ということの経験が
そもそもない恒夫にとっては
一大事件…というか、
触れてはならないものに触れてしまったような
そんな感覚になるー

「--ふふ、恥ずかしがっちゃって」
麻帆が顔を赤らめながら笑うー。

麻帆とは思えないような、イヤらしい笑みー。

「--、ま、、麻帆…今日…なんか、変じゃない?」
恒夫が、戸惑いながら聞くと、
麻帆は「ぜ~んぜん」とほほ笑むー。

「さ、たべよ」
麻帆の用意したごちそうー
麻帆が、それを食べて!と促すー。

ご馳走を食べながらも、恒夫はそれどころではなかったー
麻帆が、わざとらしく足を組んで、誘惑するような振る舞いを見せているー
麻帆は、こんなことをする子ではないー。

少なくとも、恒夫はそう思っているー

”いったい今日の麻帆はどうしてしまったのだろう…?”
そんな不安すら覚えながら、恒夫は
チキンやケーキを食べるー

大好きな麻帆と一緒のクリスマスー
大好きな麻帆と一緒の時間ー
幸せな時間のはずなのに、恒夫は気が気でなかったー

「--ねぇねぇ、わたし、今日、サンタさんの格好してるの、なんでだと思う?」
麻帆がクスッと笑いながら呟くー。

「--え…え??!?
 そ、、それは…クリスマスイブだから…?」
恒夫が無難な答えを選び、口にすると、
麻帆は笑ったー

「確かに、それもあるけどぉ~
 でも…
 今日は、」

麻帆が恒夫に近づいてきて、
髪と胸をわざとらしく当てながら囁くー。

「---わたしをプレゼントしようと思って♡」
甘い声で囁く麻帆ー

「ひっ!?!?ま、、ま、、え…!?!?」
恒夫は顔を真っ赤にして戸惑うー。

「---わたしと……一緒に溶け合っちゃお?」
甘い声で囁く麻帆を前に、恒夫はドキドキが
オーバーヒートして、おかしくなってしまいそうになるー

いやー
おかしいのは麻帆かもしれないー

なんで今日はこんな…?

「--ま、麻帆…?どうしちゃったんだよ…?
 いつも、そんなこと、言わないじゃないか…

 それに、僕も、麻帆も、
 そういうの苦手……なはずだろ?」

恒夫が言うと、
麻帆はクスッと笑ったー

「これが本当のわたしー
 今までの大人しくて奥手なわたしは偽物ー」
麻帆が、恒夫のズボンの上から、肉棒を触ってクスッと笑うー

「うわ、、え、、え」
恒夫が戸惑っていると、
ミニスカサンタ姿の麻帆が近づいてきたー

「はぁ……恒夫…ほら、、もうわたし、、我慢できない」
麻帆は、はぁはぁ言いながら興奮しているー

「--ひ、、ちょ、、ちょっと待って!僕の心の準備が!」
恒夫が悲鳴に似た叫び声をあげるー。

「---…焦らさないで…! 
 クリスマスを楽しみに、ずっと頑張ってきたんだから!」
はぁはぁ言いながら麻帆が恒夫を見つめるー

恒夫は「--待って!いいから落ち着いて!」と叫ぶー

麻帆が不満そうな顔をして恒夫を見つめるー。

まるで、麻帆が別人のようだー。
麻帆の部屋に飾られたクリスマスツリーが色とりどりの光を放っているー

とてもきれいな光だが、正直、今はそれどころではない。

「ちょ、ちょっと…待って!」
恒夫は、冷や汗をかきながら、なんて言葉をかけて良いか分からず、
とりあえずそう叫んだー

「----チッ」
麻帆が舌打ちをしたー

「え…い、、今、舌打ち…?」
恒夫が戸惑いながら、麻帆に言うと、
「してないよ」と、麻帆はにっこりとほほ笑んだー

「--え…い、今、確かに…」
恒夫がもう一度舌打ちのことを指摘しようとすると、麻帆は

「してないって」
と、満面の笑みで答えたー

「---え…」
なおも食い下がる恒夫ー。

「してねぇよ!!!!!!!!」
麻帆が怒りの形相で叫んだ。

「---ひっ!?!?」
恒夫が思わず弱弱しい声をあげてしまうー。

麻帆はいったいどうしてしまったのかー
この半年以上の付き合いで、
麻帆のことはよくわかったー、

そう、思っていたし、
異性との交流があまりなく、苦手でもあった恒夫が
心を開いた数少ない女性だった。

だが、しかしー
今日の麻帆は、そんな”恒夫の知る麻帆”ではなくなってしまっているようなー

そんな感じがするー

「-----な~んちゃって」
麻帆がにっこり微笑んだー

怒鳴り声を”取り消し”するかのように微笑む麻帆ー

「え…え…???」
恒夫は、”さっきの乱暴な口調は本気だった”と震えながら
たまらず「ち、ちょっとトイレ」と呟いて、トイレに駆け込んだー。

トイレで荒い息をする恒夫ー
心臓が張り裂けそうだー。

そんな恒夫が駆け込んだトイレの方向を待て
麻帆は静かに囁いたー

「今夜は性夜…
 存分に”俺”を楽しませてくれよー」

とー。

②へ続く

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コメント

明日はクリスマスイブ!
明後日はクリスマス!!
と、いうことで、クリスマス憑依小説デス~!

この季節は毎年クリスマスの憑依(入れ替わりのときも)や
大晦日恒例の体越しなどなど、
書いている私も色々特別感を感じちゃいます~!

今日もありがとうございました!!

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憑依<今夜は性夜>

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