<憑依>暗黒のショータイム①~招待~

彼女から、突然「ショー」に誘われた。

単純なデートの誘いだと思いながら
その会場に向かう彼氏ー。

しかし…?

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夜道ー

帰宅中の女子大生の背後に、不気味な男が迫っていたー

女子大生も、それには気づいているー。
早足で、人通りの多い道へと向かおうとする彼女ー。

しかし、その逃げ道を塞ぐかのように、黒いワゴンが、行く手を阻む。

彼女が、悲鳴をあげようとしたその瞬間ー。
背後から迫っていた男が、彼女にキスをしたー

次の瞬間、彼女にキスをした男が”消えた”

文字通り”消滅”したのだー

そしてー
キスをされた女がクスクスと笑うと、
車から出てきた男に向かって、笑いながら何かを呟くー

何者かに尾行されていたはずの女子大生は、
笑みを浮かべながら車から出てきた男から
タバコを受け取り、煙を拭かせながら、黒いワゴンの
後部座席へと乗り込んだー

この出来事はー
一瞬の出来事だったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「---今日は休みだ~!」
男子大学生の清田 忠治(きよた ただはる)は、
休日を満喫していたー

今日は特に予定もなく
1日のんびり過ごすつもりだー。

「ふ~、どうすっかな~
 予定のない休日は久しぶりだからなぁ~」

一人暮らしの忠治は、
自分の部屋を見回しながら
「今日は何をするかな~」などと、のんびり考えているー

「あ、そうだ」と、スマホを手にして
スマホを見つめると、
”彼女”からのLINEが届いていたー

彼女の笠松 由愛(かさまつ ゆめ)-。
同じ大学に通う女子大生で、
中学時代に同じ学校だった女子だー。

中学時代は正直なところ、
それほど親しくなく、
”単なるクラスメイト”という感じの間柄であったものの、
大学に入って再会してから
お互いに”同じ中学出身”ということで
意気投合して、1年間かけて親しくなっていき、
今年の春から晴れてお付き合いを始めたのだったー

穏やかな性格で、
気配りやユーモアも併せ持つ由愛と、
優しく、ちょっと抜けているところはあるけれど
いざという時には頼りになる忠治は、
付き合い始めてから半年以上が経過しても、
その絆は健在だったー

”ねぇねぇ、忠治~、今日、空いてる?”
由愛からのLINE

”ん?今日は空いてるよ”
忠治が返事を送り返すー。

すぐに、既読がつき、由愛から返事が返って来るー

”ねぇねぇ、とっておきのショーのチケットを友達がくれたんだけど、
 2枚あるから一緒に見に行かない?”

由愛の言葉に、
忠治は

”なんだよ~とっておきのチケットって笑”
と、返事を返すー。

”忠治が絶対喜ぶやつ!!
 ねぇねぇ、一緒に行こうよ~!”

由愛からの返事を見て、
「はは、またドッキリか何かか?」と
呟きながら、忠治は”ま~せっかくだし行くか”と、答えたー

家でゆっくりしているつもりだったが、
由愛からの誘いとあれば、断る理由はないし、
忠治も”嫌々行く”とかそういう感じではないから、
願ったりの話だったー

「あれ…でも?」
忠治はふと呟くー

今日、忠治が一人で過ごすつもりだったのは、
そもそも由愛が今日はバイト先の人手不足で
1日中バイトが入っているからー

だったのだー。

”あれ?バイトは?”
忠治がLINEを送るとー

”バイト?”
と返事が返ってきたー

だが、すぐにそれを取り消すかのように

”あ~バイトは、代わりの人が来てくれることになったから
 お休みになったんだよ!”
と、追加のメッセージが届くー。

”そっか”
忠治は特に疑問に思わずそう返事を返すと、
”じゃあ、行くよ。由愛の家に迎えに行けばいいかな?”
と、メッセージを送るー

”ううんー
 わたしは先に会場に行ってるからー
 会場で合流しようね”

由愛は、そうメッセージを送って来ると、
会場の地図の画像を添付してきたー

「--へ~ずいぶん寂れた場所で行われるんだなぁ~」
忠治は、そう呟きながら由愛から
送られてきた地図を見つめるー

数年前に廃棄された工場地帯の周辺ー。
あまり人が訪れるようなことがない場所に
ポツンと存在する、

”ふれあいエンジョイホール”という場所で
”ショー”が行われるらしいー

「さてさて、由愛とのデートだぜ」
忠治は、そんな風に笑みを浮かべながら
”これから起きる悲劇”を知らず、
意気揚々と身支度を始めるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

忠治がふれあいエンジョイホールの周辺にやってくるー

だが、忠治はここでひとつ、疑問を感じていたー

”ショー”が行われる、というのに
ほとんど人がいないのだー

手品にせよ、何らかの劇にせよ、
ここで何か行われるのであれば、
忠治以外の人間がこのあたりを歩いていないとおかしい気がするー

だが、それがない。

誰も、いないのだー

”なぁなぁ、ついたけど”
忠治は、由愛の姿も見えないことに不安を感じて、
由愛にLINEを送るー

”あ、待ってたよ~!わたし、中にいるからそのまま入って~”

由愛からの返事ー。

もしかして、イタズラじゃないよなー?
そんな風に一瞬思ってしまう忠治ー

由愛はたまに、友達相手にドッキリを仕掛けたりする
お茶目な一面があるー。

”何もない”
ふれあいエンジョイホールに呼び出されて
遊ばれているのではないかと不安になる。

”人が誰もいないけど、ホントにここであってる?”
忠治がそうメッセージを送ると
”もちろん!小規模なショーだから!”と、由愛から
返事が返ってきたー。

「ーーー」
忠治は、未だ不安を少し感じながらも「わかった」と返事を送ると、
そのままふれあいエンジョイホールの中へと入ったー

中に入るとー
金髪のギャルのような女が受付にいたー

「--あの…今日、ここでショーが行われると聞いて」
忠治が言うと、
ギャル女は「え~~~~~あ~~~~ふぅん、そうねぇ」と、呟くと、
指をさすー

奥に扉が3つあって、そのうちの真ん中の扉を指さした
ギャル女は
「そこで、最高のショーが13:00から行われますよぉ~」と、ニヤニヤ笑ったー

「--あ、、それで、、チケットなんですけど、先に中に彼女が入っていて
 今、彼女から受け取って来るのでー」

忠治が「入場券もなしで入るのはまずいよな」と思いながらそう説明すると
ギャル女は「由愛ちゃんでしょぉ?分かってますよぉ~」と、笑みを浮かべたー。

「--確認はいいので、ささ、中へ」
ギャル女にそう言われてー
忠治は「は、はぁ…」と呟きながら扉に向かうー。

なんか嫌な感じー。
忠治はそう思ったー

自販機の横には、柄の悪そうな男2人が、なにやら
ニヤニヤしながら立っているー。

ショーが行われるホール…
というよりかは、
まるでヤンキーのたまり場のようにも見えるー

だが、この先で、由愛は待っているのだというー

扉を開けて中に入るとー
そこには、小規模なホールが広がっていたー。

舞台と、観客席ー
最低限の設備は整っているー

だがー

中には、由愛はおろか、
誰一人として、人がいなかったー

「あれ…?」
忠治は、やっぱり揶揄われたんじゃ!?だとか、
場所を間違えたんじゃ!?とか、不安に思いながら
”あれ?由愛?どこに?”と
LINEを送るー

すぐに既読がついてー
返事が返ってきたー

”う し ろ”

「--!?」
忠治が振り返るとー

そこには、鉄パイプを手に、それを振り下ろす
由愛の姿があったー。

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

「う……」
忠治が頭の痛みと共に目を覚ますー

「---…!?」
忠治が目を覚ますと、
先ほどのホールの観客席のひとつに、座らされていたー。

「---!?!?!?な、なんだこれ!?」
忠治がもがくー。

観客席に鎖で縛りつけられている忠治ー。

「な、、な!?!?え!?!?」
忠治は意識を失う直前、
由愛に鉄パイプで殴られたことを思い出し、
戸惑うー

そしてー

”お待たせいたしました!
 これより、清田 忠治くんにお送りする
 スペシャルショーをはじめます”

女の声が響くー

受付にいたギャルが、バニーガールの姿で、姿を現すと、
マイクを持って叫ぶー

「それでは、開演いたします!」
舞台の幕が上がるー

「おい!?なんだよこれ!?」
忠治が、ギャル女に向かって叫ぶー

だが、返事はないー

そしてー
舞台の幕が上がるとーー

気弱そうなおじさんとーー
先ほど自販機の前に立っていた柄の悪いふたりの男ー

そして、ラバースーツ姿の鉄パイプを持った由愛の姿があったー。

「--由愛!?」
忠治が叫ぶー

「----ふふふふふふ…忠治…
 最高のショー、見せてあげるから」
由愛はそれだけ言うと、柄の悪い男ふたりに、「ほら!そいつをもっときつく縛りな!」と
乱暴な口調で叫ぶー。

男たちは、まるで”女王に従う働きアリ”のように、
由愛に従い、気弱そうなおじさんを縛り上げるー

「ちょ!?な、なんだよこれ…?おい、由愛!?」
忠治が叫ぶー
忠治の身体は観客席にきつく縛り上げられていて、
どうすることもできないー

「----さぁ本日の最初のゲストはー
 わたしのおとーさん!」
ギャル女が嬉しそうに叫ぶー

「--か、、香帆!っ頼む!目を覚ましてくれ!」
おじさんが叫ぶー

香帆ー
それがギャル女の名前だろうかー

ギャル女が、コツコツとヒールの音を立てながら
おじさんに近づいていくと、
おじさんの頬に強烈なビンタをお見舞いしたー

「--あたしはもうあんたの知る香帆じゃねぇんだよ」
小声で、おじさんに囁く香帆ー。

だが、観客席にいる忠治からは、
ギャル女の香帆が何を言っているのかわからなかったー。

「---ねぇ忠治」
由愛がクスクス笑いながら観客席の忠治のほうを見るー

「---ゆ、、由愛…その格好は…?
 ってか、そいつら誰だよ?」
忠治が戸惑うー

だが、由愛は、いつもとはまるで別人のような雰囲気で、
「忠治…これから始まる”ショー”よ~く見ててね」と、
笑みを浮かべたー

そしてーー
由愛が信じられない行動に出たー。

鉄パイプで、気の弱そうなおじさんを思いっきり
叩き始めたのだー

「ぐあっ!」
おじさんが悲鳴を上げるー

「ちょ!?由愛、何やってるんだよ!?!?おい!?」
忠治が縛り付けられた身体を必死に動かしながら叫ぶも、
由愛は鉄パイプでおじさんを何度も殴っていくー

おじさんが悲鳴を上げるー

ガラの悪い男ふたりと、ギャル女の香帆が、ニヤニヤしながら
それを見つめているー。

「ふふふふ…”裏切者”は、粛清あるのみよ!」
由愛は狂ったように笑いながら、おじさんをさらに殴りつけるー

「お…おい…なんだよこれ…?」
唖然として言葉を失ってしまう忠治ー
目の前で起きていることが、理解できないー

一瞬、演劇か何かが始まったのかとも考えたがー
おじさんからは、どう見ても、本物の血がー
流れているー

「ふふふふ、あはははっ!ほら!!おら!!!おらぁぁあああ!」
まるでヤンキーのように怒声をあげながら
ラバースーツ姿の由愛がおじさんを殴っていくー

ついに、おじさんはぐったりしてしまうー

「---や、、やめろって!!!おい!!その人、死んじゃうぞ!」
忠治が叫ぶと、
由愛はクスッと笑いながら、観客席の忠治のほうを見つめたー

「---ふふ、彼女が目の前で人をぶっ殺すのを見れるなんて、
 最高でしょ?」

由愛の信じられない言葉に、
忠治は凍り付いたー

②へ続く

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彼女の豹変を、何もすることができない状態で
見せつけられる彼氏…

恐ろしいですネ~!

続きはまた明日デス!

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