そんなこと、知りたくなかったー。
入れ替わったことで、彼女が誹謗中傷の犯人だと知ってしまった彼。
やがて、目を覚ました彼女に直接そのことを
問い詰めたものの、彼女が見せた態度はー…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はいはい、わたしですよー これで満足?」
誹謗中傷のことを問い詰められ続けた
則夫(帆乃香)は、ついに、自分自身が
彼氏である則夫に対して誹謗中傷を繰り返していたということを
認めたー。
そんな反応を前に、
帆乃香(則夫)は「ど…どうしてー…?」と、
言葉を振り絞るー。
すると、則夫(帆乃香)は少しだけ表情を曇らせると、
則夫の顔で、いつものように穏やかな表情を浮かべたー。
「ーーごめんね。もうしないからー。大丈夫。
そんなことよりー」
誹謗中傷の件をたったそれだけで終わらせて、
話を変えようとする則夫(帆乃香)ー。
が、帆乃香(則夫)は
「そ、そんなので納得できるか!」と、そう声を上げると、
則夫(帆乃香)は、少し不愉快そうな表情を浮かべてから、
「ー認めたし、謝ったでしょ?」と、そう言葉を返してくるー。
その言葉に、
帆乃香(則夫)は心底悲しそうな表情を浮かべるー。
「ーーーーーー」
彼女が誹謗中傷の犯人だった、ということ自体も
勿論ショックだー。
しかし、それ以上に
指摘された彼女が開き直った態度を取っていることに
より強いショックを受けたー。
「ーーなんで…なんでそんなことをー」
帆乃香(則夫)はそこまで言うと、
則夫(帆乃香)は「ーーごめんね?」と、
再度謝罪の言葉を口にした上で、
「もういい?それより、元に戻る方法を一緒に考えなくちゃね」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーーん…ま、まぁ…それもそうだけどー」
帆乃香(則夫)は自分の身体を見下ろすー。
そこにはー、則夫自身の身体にないはずの胸の膨らみが
イヤでも目に入るし、
髪も、声も、手も、何もかもが違うー。
そんなことは分かっているー
それでもー…
「ーそれもそうだけど、
俺、帆乃香に何か悪いことしたかー?
ーーどうしてあんなことしたのかー、
理由ぐらい教えてくれてもー」
帆乃香(則夫)は目に涙を浮かべながらそう言葉を口にするー。
目に涙を浮かべてしまうぐらいに
帆乃香からの誹謗中傷がショックだったのかー、
それとも、帆乃香の涙腺が、則夫の身体よりも脆いのか、
それは分からないー。
けれど、言葉を発しながら
帆乃香(則夫)は涙が止まらなくなってしまうのを
感じずにはいられなかったー。
「ーーーねぇ…則夫ー
しつこいー」
則夫(帆乃香)は、笑顔を消して不満そうに呟くー。
「ーー…し、しつこいってー…」
帆乃香(則夫)は、唖然としながら
「ーー俺はただー!」と、そう言葉を口にすると、
「ーーいい加減にして!謝ってるでしょ!」と、
則夫(帆乃香)はそう言葉を発したー。
「~~~~~~…な、なんだよー…」
帆乃香(則夫)は呆然としながら
目から涙をこぼすー。
何で、自分が悪者みたいな言われ方をしないといけないのかー。
どうして、逆ギレされているのかー
全く理解できないー。
「ーーお、俺…何か悪いことしたかー?
俺が何かしたから、ああいうことしていたって言うなら、
謝るし、改善もするから」
帆乃香(則夫)はなおもそう食い下がると、
「ーー人のスマホを勝手に見るなんて!」と、
則夫(帆乃香)はそう反論したー。
確かに、それは申し訳ないとは思ってはいるー。
ただ、それは誹謗中傷を始めた理由とは関係ないー。
帆乃香のスマホを、帆乃香の身体で勝手に見てしまったのは
昨日の出来事だし、
誹謗中傷は遥か前から続いているー。
「ーーそ、それはごめんってー」
帆乃香(則夫)はそう言うと、
「ーーうんー」と、則夫(帆乃香)は怒りの形相から一転、
少し穏やかな表情に戻ると、
「じゃ、これでお互いに謝ったし、お互い様ってことだねー」と、
そう言葉を口にしたー。
そして、何事もなかったかのように、
「それで、この状況だけどー…どうすればいいのかなー?」と、
いつものように、穏やかな口調で、
則夫(帆乃香)はそう言葉を口にしたー。
帆乃香(則夫)は「帆乃香ー…」と、そう言葉を口にするも、
それ以上に何か言う気力もなくなって、
大きくため息を吐き出すのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ひとまず、スマホを返却して、
お互いに、元に戻ることができるまでの間、
二人で、今日は”帆乃香の家” 明日は”則夫の家”という形で
お互いの家に行きつつ、生活をしていくことになったー。
「ーーー」
帆乃香(則夫)はモヤモヤした状態のまま、
元に戻る方法を則夫(帆乃香)と共に探していくー。
ただー…
「ーーーーーー」
帆乃香が誹謗中傷を認めて開き直ったあの時から、
帆乃香(則夫)は、帆乃香の身体を自分で
動かしていても、全くドキドキしなくなってしまったー。
お風呂に入っても、トイレに行ってもそうー。
鏡を見てもそうー。
とにかく、”帆乃香”に対して一切ドキドキしなくなってしまったー。
帆乃香の姿を鏡で見ても、ドキドキよりも
嫌悪感のような感情がどうしても膨らんでしまうー。
「ーーーはぁ…」
帆乃香(則夫)は、”この先、元に戻ったとしても、
今まで通りの関係でいられるのかどうか”と、
心配になりながらも、”とにかく、元に戻らないと”と、
そんな風に思いながら
”イヤなことは考えないようにしつつ”
帆乃香と共に元に戻る方法を探していたー。
がー、そんなある日ー…
「ーー!」
彼女の帆乃香の”サブアカウント”であった、
”レッサーライオン”のアカウントが削除されたことを
確認した帆乃香(則夫)ー。
それに気づいた帆乃香(則夫)は、
則夫(帆乃香)の方に向かっていくと、
「レッサーライオン、消したのか?」と、そう言葉を口にするー。
則夫(帆乃香)は
「あ、うんー。もう必要ないしー。わたしが悪かったからー」と、
それだけ言葉を口にして、
「あ、そうだーお風呂入って来る
則夫の身体が汚れたまま大学に行くわけには行かないからねー」と、
そう言葉を口にしながら、
立ち去っていくー。
「ーーーー」
帆乃香(則夫)は、
どこか不満そうな表情を浮かべながら
小さくため息を吐き出すことしかできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー」
浴室にやってきた則夫(帆乃香)は
青ざめた表情を浮かべていたー。
帆乃香は元々、”ネットでストレス発散”をするタイプの人物で、
彼氏の則夫以外に対しても、同じような行動を繰り返していたー。
ただー、それ以外に深い理由があるわけではないー。
恨みもないー。
則夫に対してもそうだ。
不満も恨みもないー。
ただ、やめられなかったー。
”理由がない”
だからこそ、”どうしてこんなことするんだ?”と悲しそうに聞かれても
答えることすらできないー。
そしてー…帆乃香は則夫の前で見せる態度以上に、
則夫に気付かれたことに激しく動揺していたー。
「ーーーーー」
お風呂の中でガクガクと手を震わせる則夫(帆乃香)ー
”則夫と別れることになったらどうしようー”
”則夫から訴えられたりしたらどうしようー?”
そんなことばかりを考えながら、
汗をダラダラと流す則夫(帆乃香)ー
優しくて、しっかり者ー。
周囲からはそう思われていて、自分でもそう思われていることを
自覚している帆乃香ー。
しかし、本質的に歪んだ性格の持ち主で
裏ではストレス発散をせずにはいられない性格ー。
また、彼氏の則夫のように、”自分で困らせている相手に
何食わぬ顔で近付いて、親身になって寄り添っている”ー
”悩んでいる人に寄り添ってあげている優しい自分”に
ある種の快感を感じるという歪んだ一面を持っているー。
普段の優しく、穏やかな自分を維持するために
裏でそんなことをしていないと、
壊れてしまうような、そんな人間だったー。
「ーーどうにかしなくちゃ…どうにかー…どうにかー…」
則夫(帆乃香)はお風呂の中で頭を抱えるー。
このままじゃ本当に、訴えられたりされかねないー…
「ーーーそ、そうだ!」
則夫(帆乃香)はそう言葉を口にすると、
則夫に、とにかく”誹謗中傷”のことから
目を背けて貰おうと”あること”を思いつくのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーねぇ則夫ー」
則夫(帆乃香)が、帆乃香(則夫)に対して声を掛けると、
帆乃香(則夫)は複雑そうな表情を浮かべながら
則夫(帆乃香)のほうを見つめたー。
「ーSNSのことだけどー、則夫が許してくれたお礼と
言ったら変だけどー
あのさー」
則夫(帆乃香)は、
”許してもらってない”のに、強引に”許してくれた”と
既成事実を作ろうとしながら
そう言い放つと、「せっかく入れ替わったんだし、
わたしの身体で色々してみてもいいよ」と、
そう続けたー。
「ーーーは?」
一瞬、ドキッとしながらも、帆乃香(則夫)は
そんな反応を示すー。
「あ、あぁ、ええと、だから、お礼ー。
わたしのSNSでのうっかり、許してくれたでしょ?
だから、せっかく入れ替わってるんだし、
お礼も兼ねてわたしの身体で色々試したいことがあったら
試していいよーってー。
ほらー、そのー、胸を揉んだりするのも
男の人、隙でしょ?」
則夫(帆乃香)がそこまで言い放つとー、
帆乃香(則夫)はドキドキしながらも、
それ以上に”強い嫌悪感”が溢れ出してくるのを感じながら
則夫(帆乃香)のほうを見つめたー
「帆乃香ー…そ、それ、本気で言ってるのかー?」
とー。
「ーーえっ…うんー本気だよー
後から”わたしの身体で変なことしたよね!?”とか
そういうこと言わないから大丈夫!安心して!」
則夫(帆乃香)が笑いながらそう言うと、
「そ、そういうこと言ってるんじゃない!」と、
帆乃香(則夫)は険しい表情を則夫(帆乃香)に向けるー。
「えっ…じ、じゃあ、何ー…」
則夫(帆乃香)がそう言うと、
「ー俺は、誹謗中傷のこと許してないし、
まだ話もちゃんと済んでない!
それなのに、強引に話を終わらせようとして、
しかも、”わたしの身体で好きにしていいから”だってー?」
と、怒りの形相で帆乃香(則夫)が言葉を返すー。
「ーーーふざけるな」
帆乃香(則夫)がそう言い放つと、
「ー決めたよ」と、則夫(帆乃香)を真っすぐ見つめるー。
「帆乃香がちゃんとした態度なら、俺もー…
ショックだけど許そうと思ってたけど、
もういいー。
それなりの対応をするー。
面倒だけど、訴えるとか、そういう対応もすることにしたー」
帆乃香(則夫)の言葉に、
則夫(帆乃香)は青ざめるー。
「ちょ、ちょっと待って!そ、それだけはーご、ごめんってば」
苦笑いしながらそう言い放つ則夫(帆乃香)ー。
がーー
帆乃香(則夫)はもう、許してはくれなかったー。
そんな状況を前に
「ーー最低っ!!!わたしだって、わたしだって苦しんでるのに!」と
逆ギレして、クッションを手に、帆乃香(則夫)を叩きだす則夫(帆乃香)ー
「ーーおいっ!やめろ!」
帆乃香(則夫)が不満そうにそう言葉を発するも、
則夫(帆乃香)が腕を乱暴に掴んで来て、二人はバランスを崩しー、
その場で派手に転倒してしまったー
そしてーーー…
「ーーーあ…」
転倒したはずみで”元の身体”に戻っていることに気付いた帆乃香が
青ざめながら則夫のほうを見つめるー。
則夫も、自分の身体に戻ったことを確信すると、
帆乃香のほうを見つめてから、静かに言葉を口にしたー。
「俺たち、もう無理だー。別れよう」
とー。
「ーえ…嫌だー…何で?
ちょっとSNSで遊んだだけなのに、何でー?」
なおも、開き直るかのような様子の帆乃香ー。
そんな帆乃香を見て、則夫は大きくため息を吐き出すと、
「知りたくなかったよー。こんなことー」と、
そう言葉を口にしながら、心の底から
悲しそうな顔で帆乃香を見つめると、言い放ったー。
「ー今日で俺たちは終わりだー。」
とー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
二人は元通りの関係になることは
できませんでした~…!
でも、入れ替わりがなかったら、
ずっと彼も苦しんでいたので
これで良かったのかもですネ~…!
お読み下さり、ありがとうございました~☆!
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