<入れ替わり>知りたくなかった深い闇②~戸惑い~

①にもどる!

誹謗中傷に苦しんでいた彼は、
”彼女”と入れ替わったことで知ってしまったー。

その誹謗中傷の犯人は
他でもない彼女自身であることをー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「う、嘘だろ…?」

彼女である帆乃香と入れ替わってしまい、
則夫になった帆乃香の方がまだ意識を取り戻していないことから、
ひとまず、帆乃香の身体で一晩を過ごすことになった則夫ー。

が、友達から心配するメッセージが届いていることに気付いた則夫は、
とりあえず、帆乃香のフリをして無難にメッセージを返しておこうと
そう思いスマホを手にしたー。

がー、
帆乃香は階段から転落する前に、SNSの画面を開いていたのか
ロックを解除すると同時にその画面が表示されて、
しかもー、そこには
”レッサーライオン”ー…
則夫のSNSに誹謗中傷を繰り返している人物の
”現在のアカウント”が表示されていたー。

「ーーー……はー、ははー」
帆乃香(則夫)は、そんな画面を見つめると
思わず笑みをこぼすー。

「ーーははははは、そんなわけないよなー。
 きっと、帆乃香も俺のこと心配して、
 俺に誹謗中傷しているアカウントのこと、
 調べてくれてたんだよなー」

帆乃香(則夫)は、現実逃避をするかのように
そんな言葉を口にすると、無理に笑顔を作ってみせるー。

しかしー…
帆乃香の額からは、何故か冷や汗のようなものが
流れ出て来て、それが止まらなくなってしまうー。

「ー~~~あ、あれ、何だこの汗ー…」
帆乃香(則夫)は必死に汗をぬぐうー。

則夫自身が、彼女である帆乃香に”誹謗中傷”
されていたというショックを受けているのかー、
あるいは、”帆乃香の身体”が、
彼氏である則夫に”知られてはならない秘密”を知られてしまったことで、
無意識のうちに焦りを感じているのかもしれないー。

あるいは、その両方か。

いずれにしても、帆乃香の身体からは冷や汗が
止まらなくなってしまったー。

「ーはははー…
 俺を誹謗中傷しているアカウントのことを見に行ってくれるぐらいに
 俺のことを心配してくれているなんてー、
 ホントに、ありがたいよなー」

現実逃避をしながら、なおもそう言葉を口にする
帆乃香(則夫)ー

けれどー、手元のスマホに表示されている画面にはー
”レッサーライオン”のアカウントにログインしている状態で
あることがハッキリと表示されているー。

帆乃香のスマホで”レッサーライオン”のアカウントに
ログインしている状態になっているということは、
帆乃香自身がレッサーライオンーー…と、いうことになってしまう。

つまりは、帆乃香が誹謗中傷の犯人だということになるー。

「ーはははは…何でログインされた状態なんだろうなー…?」
帆乃香(則夫)は汗をダラダラと流しながらその画面を見つめると、
「ーー…そ、そっかー、俺のために、俺に誹謗中傷してくる
 アカウントを乗っ取って、退治してくれようとしたんだよなー?」と、
帆乃香(則夫)はそう言葉を口にするー。

そのまま近くにあった姿見に駆け寄りながら、
「そうだよなー?な?」と、
鏡に映った帆乃香の姿に向かってそう言葉を口にするー。

けれどー、今の自分は帆乃香の身体ー。
帆乃香からは当然、返事があるはずもなくー、
冷や汗で濡れた状態の帆乃香の姿が
写っているだけー。

「ーー嘘ーーだよなー…?」
帆乃香(則夫)は、姿見の前で崩れ落ちるー。

彼女の帆乃香が、
これまで則夫に対して誹謗中傷を繰り返して来た犯人だったー。

そう、認めざるを得ない状況なのは分かっているー。

「ーーー嘘だと言ってくれー」
身体を震わせながら、そう言葉を振り絞った
帆乃香(則夫)は、姿見の前で
目に涙を浮かべることしかできなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

「ーーそうだ…帆乃香になってるんだったー…」
見慣れた自分の部屋で目を覚ます帆乃香(則夫)ー。

しかし、その身体は彼女である帆乃香のもので、
一晩経過したとは言え、まだまだその状況には
慣れてはいないー。

それにー、
昨日の衝撃がまだ忘れられないー。

そう思いつつ、則夫は”自分のスマホ”のほうを確認して、
SNSの画面を開くー。

が、今日は”レッサーライオン”からも、
他のアカウントからも誹謗中傷のメッセージは
一つも届いていなかったー。

それはつまりー、
やはり誹謗中傷をしていた張本人が、彼女の帆乃香であるという
”証”になるー。

今、”帆乃香”は自由に行動できる状態にないのだからー、

「ーーー…はぁ」
帆乃香(則夫)は、
”帆乃香が目を覚ましたら、どういう顔すればいいんだー”と、
内心でそんなことを呟くー。

そう思いつつも、自分の身体の状況も確かめたいしと、
大学に向かう準備をするー。

「ーってー…どうすりゃいいんだー?
 普段通りの帆乃香っぽくするにはー?」
帆乃香(則夫)はそう言葉を口にすると、
髪型からメイクまで、色々なことが分からずに
戸惑いの表情を浮かべるー。

”彼女”であるために、普段どんな雰囲気なのかは
ハッキリと覚えているー。

がー、いざ、そのイメージ通りの彼女を
自分で作り出そうとすると、
なかなか出来ないのも事実だったー。

”いつものあの髪型、どうやってるんだー?”
”なんかー、顔が怖い感じになってるようなー?”
”いや、それはレッサーライオンを見たせいかー…?”

色々なことを考えながら
何とか、”帆乃香っぽい”雰囲気に仕上げると、
「あぁ、もう、時間がないー。行こうー」と
そのまま大学に向かって移動し始めるー。

そして、大学に到着すると
すぐに医務室の方に向かう帆乃香(則夫)ー

医務室に到着すると、
則夫(帆乃香)は昨日と同じでまだ眠ったままだったー。

”ーーー”
帆乃香(則夫)は、
”自分の身体”と、”帆乃香の魂”の行方を心配しながら、
その状態の則夫(帆乃香)を見つめるー。

そうこうしているうちに、
医務室の昨日とは別のスタッフがやってきて、
状況を話し始めるー。

がーー
その時だったー。

「ーーぅ…」
則夫(帆乃香)がそんな声を上げたー。

「ー!」
帆乃香(則夫)は色々な意味でドキッとしながら、
緊張した様子で則夫(帆乃香)を見つめるー。

”自分の身体の中身”は本当に帆乃香なのかー、
この状況を前に、帆乃香はどんな反応を示すのかー、
そしてー、”誹謗中傷の件”ー。
色々なことが頭の中を駆け巡るー。

ちょうど、帆乃香(則夫)がやってきた今、この瞬間に
意識を取り戻した則夫(帆乃香)ー。

帆乃香(則夫)も、心の準備が出来ないまま、
”則夫になった帆乃香”の、反応を見ることになってしまったー。

「ーーー……え……? え…? わ、わたしー…?」
則夫(帆乃香)は心底戸惑ったような表情を浮かべると、
帆乃香(則夫)のほうを見つめたー。

「ーえ?」
近くでその反応を見ていた女性看護師が戸惑いの表情を浮かべるのを見て、
帆乃香(則夫)は「あ、え、え~っと、俺ー、じゃなくて!わたしと彼氏の
二人きりにしてもらえますか!?」と、
慌ててその女性看護師に退席をお願いして、
二人きりの状況を作り出したー。

そして、二人きりになると、
帆乃香(則夫)は少し間を置いてから
言葉を吐き出したー。

「ーー…帆乃香ー…だよな?」
とー。

意識を取り戻したばかりの則夫(帆乃香)は、
まだ状況が分からないという様子のまま
「ーえっ……の、則夫ー?」と、
そう言葉を口にすると、
帆乃香(則夫)は静かに頷いたー。

その上で、帆乃香(則夫)は、
昨日、階段から転落して
気付いた時にはこのような状況になってしまっていた、
ということを伝えると、
則夫(帆乃香)は「そ、そうなんだー…」と、
そう言葉を口にしながらも、
すぐに「でも、二人とも無事でよかった」と、
穏やかに笑いながら、
「わたしと則夫なら、お互いのことも色々分かってるし、
 元に戻るために協力もできるしー」と、
安堵の表情を浮かべる。

がー
帆乃香(則夫)の方は、
表情を曇らせたままだったー。

”誹謗中傷を繰り返していたのが、彼女の帆乃香だった”
そのショックが、どうしても頭から抜けてくれないー。

モヤモヤした気持ちを払拭できないまま、
それでも、帆乃香(則夫)は、
”誹謗中傷ーー…帆乃香だよな?”と、言うことは出来ずに
モヤモヤしたまま会話を続けていくー。

則夫(帆乃香)は、
そんな、帆乃香(則夫)の気持ちには全く気付いていないのか、
”入れ替わったこと”への驚きやー、
則夫を心配する言葉を口にしているー。

「ーーでも、ホントによかったー…
 わたし自身もそうだけどー、
 則夫の身に何かあったら、わたしー…」

則夫(帆乃香)は、穏やかに笑いながら、
階段から転落した自分と、彼氏である則夫が無事だったことを
喜ぶ言葉を口にするー。

帆乃香(則夫)のモヤモヤなど、全く知らぬ顔でー…。

がー、その言葉を聞いた帆乃香(則夫)は
つい、「そんなこと思ってない癖にー」と、
反射的に毒づいてしまったー。

「ーーえ…」
則夫(帆乃香)は驚いたような表情を浮かべるー。

”帆乃香”からは何のことを言われているのか
すぐには思いつかなかったに違いないー。

が、帆乃香(則夫)はもう止まらなかったー。

「俺は歩くダイオキシンなんだろ?」
帆乃香(則夫)は、不貞腐れたような笑顔を浮かべながら
誹謗中傷を仕掛けて来ていたアカウントの一つ
”レッサーライオン”に言われた言葉を口にするー

すると、則夫(帆乃香)は少しだけ苦笑いしてから
「あ、あはははーそれって、誹謗中傷のアカウントから
 言われたことでしょ?
 き、急にどうしたのー?」と、
そんな言葉を返してくるー。

がー、”その言葉”が、
”帆乃香が犯人”だとより強く確信する決定打となってしまったー。

なぜならー、
”レッサーライオン”からの誹謗中傷の話は帆乃香には
していないからだー。

帆乃香に話をしたのは、その前ー…
”カミツキガメ”という名のアカウントからの誹謗中傷まで。

”レッサーライオン”の話をする前に、
階段から転落してしまったためー、その話は帆乃香本人にはしていないー。

「ーー…俺はこの状態で昨日、目を覚ましてたからー
 帆乃香のスマホ、見たんだー」

帆乃香(則夫)は、悲しそうに”昨日のこと”を口にするー。

帆乃香の友達から、帆乃香を心配するメッセージが
届いているのを見て、心配を掛けまいと、
無難に返事をしておこうと、そう思ってスマホを
開いたらー、誹謗中傷アカウントにログインした状態の
画面が出て来た、とー。

「ーーー~~~~~~…」
そこまで言われてしまった則夫(帆乃香)は沈黙するとー、
自分の長い髪を落ち着かない様子で”触るような仕草”をしたー。

もちろん、今は則夫の身体であるため、
そんな仕草をしても、そこに髪はなく、
手が空しく宙を舞うー。

「ーー俺に誹謗中傷を繰り返していたのはー…
 帆乃香なんだろ?」

帆乃香(則夫)は意を決して
単刀直入にそう言葉を口にするー。

則夫(帆乃香)は青ざめた様子で
帆乃香(則夫)を見つめ返すと、
「そ、そ、そんなことー、そんなこと、あるわけないよー!
 あるわけないじゃんー!」と、笑いながらそう言葉を口にするー。

あくまでも、とぼけるつもりの姿勢を見せる
則夫(帆乃香)ー。

素直に認めようとすらしない帆乃香に対して、
帆乃香(則夫)は、さらに悲しい気持ちになって、
声を荒げるー。

「なんでー…何であんなことしたんだよ!
 俺に、俺に何か不満があるなら、直接言ってくれればいいのにー…!

 ーーそれにー…自分で誹謗中傷しておきながら
 親身になって相談してくれる”フリ”までしてー…
 いったい、何のつもりなんだよー…!」

帆乃香(則夫)が、怒りや悲しみー、
色々な感情が織り交ざったような表情でそう言葉を口にすると、
則夫(帆乃香)は少し間を置いてから口を開いたー。

「ー知らない」
とー。

「ーー知らない?
 ーー俺に誹謗中傷を送って来る
 アカウントにログインされた状態だったのにか?」

帆乃香(則夫)が涙目で言うー。

その言葉に、則夫(帆乃香)は
大きくため息を吐き出すとー、
しばらく沈黙してから言葉を口にしたー。

「ーはいはいー、わたしですよー これで満足ー?」
とー。

今度は開き直ったような態度を取り始めた
則夫(帆乃香)ー

信頼していた彼女のそんな態度を前に、
帆乃香(則夫)はショックを受けることしかできなかったー…

③へ続く

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コメント

彼女が誹謗中傷の犯人で、
しかも問い詰めたら開き直り~…!

色々大変なことになりそうですネ~!!

次回が最終回デス~!

今日もありがとうございました~!★

「知りたくなかった深い闇」目次

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