<入れ替わり>知りたくなかった深い闇①~衝撃~

SNSでの誹謗中傷に苦しむ彼氏ー。

そんな彼氏を心配して寄り添う彼女ー…。

しかし、彼はその彼女と入れ替わってしまったことを機に
知ってしまったー。

”誹謗中傷”の犯人は、
その彼女自身であることを…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁー…」
男子大学生の峯島 則夫(みねしま のりお)は、
スマホを見つめながら大きなため息を
吐き出していたー。

彼の持つスマホには、
SNSの画面が表示されているー。

”クソ野郎”
”死ね”
”お前の最大の罪は生まれて来たこと”

「ーーー」
SNSの画面にはそんな辛辣なメッセージが並んでいるー。

”カミツキガメ”
そう書かれたアカウントからのメッセージだ。

「ーくそ…好き放題言いやがってー」
則夫はそう言葉を口にするも、
その表情は強気な言葉とは裏腹に
かなり疲れ果てた表情になっていたー。

何故なら彼は、
ここ最近、SNS上で執拗な誹謗中傷を受けていたからだ。

決して則夫自身が”炎上”するような
問題発言をしたわけではないし、
則夫自身の人間性に問題があるわけではないー。

ただー、ここ最近何故か
”特定の人物”に執着されて
激しい誹謗中傷を受け続けていたー。

相手は、”恐らく”一人だし、
どこの誰かも分からないやつの言葉など、
気にしなければいいー、と、
則夫自身もそう思っていたー。

ただ、あまりにも酷い言葉の数々を
浴びせ続けられると、
精神的なダメージも蓄積されていくし、
気にしないように、と思っても
やはり気になってしまうのも仕方のない話だったー。

恐らく相手は一人だとは分かっていても、
あまりにも誹謗中傷が続くと、
”もしかしたら大勢に嫌われているのではないか”と、
そんな風にも思ってしまうし、
疑心暗鬼にも陥って来てしまうー。

「ーーー…どうせまた来るんだろうなー」
則夫はそう思いながら、誹謗中傷コメントを送って来る相手ー
”カミツキガメ”をブロックすると、
大きくため息を吐き出したー。

”カミツキガメ”をブロックしたー。
これで、終わればいいー。

が、既に何度も何度も誹謗中傷してくる
アカウントはブロックしているー。

その都度、また”次”が出現して
同じように誹謗中傷を続けてくるのだー。

”カミツキガメ”の前は、
”許されざる旅人”というアカウントだったし、
その前は”わくわくドルフィン”という名前のアカウントだったー。

とにかく、1個ブロックすると
すぐに”次”が出現するー。

だからこそ、則夫は相手が”ひとり”である可能性が高いと
そう考えていたー。

「ーいったい、俺に何の恨みがあるんだー…」
則夫は困惑した表情を浮かべながらそう言葉を口にすると、
スマホをしまって、立ち上がろうとしたー。

「ーー大丈夫ー?
 また、”例の人”ー?」

ふと、そんな声が聞こえたー。

則夫が振り返ると、「あー、あぁ、帆乃香(ほのか)ー」
と、そう言葉を口にするー。

背後から、則夫に声を掛けて来たのは、
同じ大学に通う彼女ー、谷原 帆乃香(たにはら ほのか)ー

穏やかな性格の持ち主で、
怒っているのを一度も見たことがないぐらいにー、
いつも優しい雰囲気を醸し出しているような子だー。

そんな帆乃香は、彼氏である則夫が
”誹謗中傷”に苦しんでいることを知っているー。

則夫本人から直接そう説明を受けたからだー。

「ーーあまり、無理はしないでねー?」
心配そうにする帆乃香ー。

そんな帆乃香のほうを見て、
「ははー…俺は大丈夫」と、そう言葉を伝えると、
則夫は今一度、小さくため息を吐き出してから、
「それより、帆乃香の方は大丈夫か?」と、少し心配そうに言葉を口にする。

「え?わたし?」
不思議そうに首を傾げる帆乃香。

そんな帆乃香に対して、則夫は
「いや、ほらー…SNSでも俺たち、普通に会話してるからー…
 帆乃香まで目をつけられちゃったら嫌だなーって」
と、そう言葉を口にするー。

「ーーあ、う~ん、今のところは大丈夫ー」
帆乃香は少し苦笑いしながらそう呟くと、
「ー自分のことで大変なのに、そんな風に心配させちゃってごめんねー?」と、
申し訳なさそうに言葉を続けたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

”レッサーライオン”という名前のアカウントから
辛辣なメッセージが送られてきたのを見て、
ため息を吐き出す則夫ー。

”お前は酸素を吸い、二酸化炭素を吐き出している。つまり毒だ”
”お前は歩くダイオキシンだ”
”自分の存在が地球に迷惑をかけているとか思わないわけ?”
”お疲れ。死ね”

などと、辛辣なメッセージが並んでいるー。

「ーはぁ…相変わらずうるせぇやつだな」
則夫はそう言葉を口にすると、
”しばらく放っておくか”と、そう言葉を口にして、
今回はブロックもせず、”無視”することに決めるー。

ブロックという反応を示しているから
面白がっているのかもしれないからだー。

が、無視しても、ブロックしても、
則夫に執拗に誹謗中傷を繰り返してくる”レッサーライオン”ー。

確実に先日ブロックしたアカウント
”カミツキガメ”と同じ人物であるのは、やはり間違いないー。

「ーーーー」
無視を続けようとは思っていたものの、則夫は
いい加減にうんざりして、
スマホのSNSの画面を表示すると、
”何か俺に恨みでもあるんですか?”と、
そうメッセージを送ったー。

「ーーっ…はぁー」
反応すれば、恐らくは相手の思うつぼだー。

けれども、反応してしまった自分に少し嫌気のようなものも
覚えながら、則夫は大きくため息を吐き出すと、
「ーーあ!」と、何かを思い出したかのように言葉を口にするー。

ちょうど、今は昼の時間ー
今日は同じ大学に通う親友の加納 雄介(かのう ゆうすけ)と、
一緒に昼食を食べる約束をしていたー。

そのことを思い出した則夫は
「く、くそっ!!ダイオキシンライオンのせいだ!」と、
誹謗中傷してくる相手の名前を間違えながら
そう叫ぶと、
慌てて学食のある1階を目指して階段を駆け下り始めるー。

がー
その時だったー。

「ーーー!!!」
突然、目の前に彼女の帆乃香が現れたことで、
則夫は、驚いてバランスを崩してしまうー。

偶然、階段を駆け下りていた則夫が、
階段を上って来ていた帆乃香と鉢合わせしてしまったのだー。

「ーうわっ、ほ、帆乃香、よけっ…」
バランスを崩した則夫は、
”このままだと帆乃香を巻き込んで転落してしまうー”と、
瞬時に判断、慌ててそんな言葉を口にするー。

しかしー…既に時遅く、「えっー」と、そう言葉を口にした帆乃香を
巻き込んで、則夫はそのまま階段から転落してしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー…!」

大学の医務室で目を覚ました則夫は、
目を覚ましてすぐに、自分の身体を見下ろして
「ーーは?」と、そう言葉を口にしたー。

それもそのはずー…
自分の身体には絶対にないはずの胸の膨らみに、
綺麗な色白の手ー、
それに自分がスカートを履いている状態だったからだー。

「ーーーはい?」
困惑した様子で瞬きをしながら、則夫はそう言葉を口にして、
首を傾げると、
ゆらっと、髪が揺れたー。

「ーーーへ?」
自分ではあり得ないぐらいの長さの髪ー。

しかも、声も変だー。
女みたいな声が出ているー。

そう思っていると、自分が横たわっていたベッドの横に
スマホが置かれていたー。

「ーって、こ、これー…、ほ、帆乃香のー!?」
則夫はそう叫ぶと、
「い、いや、待てよーこの服って今日、帆乃香が着てたやつー!」と、
自分の中の記憶を思い出しながらそう声を上げるー。

やがて、スマホの反射を利用して
自分の姿を確認した則夫は
「な、な、な、なんだこれ!?!?!?!?」と、
思わず大声で叫んでしまったー。

そうー…
則夫は、階段から落ちた際に
彼女の帆乃香と入れ替わってしまったもだー。

「う、う、嘘だろー…?
 お、俺が帆乃香にー…?」
帆乃香になってしまった則夫は、
心底困惑した様子でそんな言葉を発するー。

階段から降りて目を覚ましたら
いきなり彼女の身体になっていたのだー。
驚いてしまうのも、無理はないー。

がーー
帆乃香(則夫)は、帆乃香の身体にドキドキするよりも前に
すぐに”あること”が気になって表情を曇らせたー。

それはー…”帆乃香”の安否ー。

一緒に階段から転落してしまったであろう
帆乃香は今、どうなっているのかー。

大切な彼女の安否を気遣うのは当然のことー

帆乃香(則夫)は階段から転落したせいだろうか。
まだ痛む身体を動かしながら少し歩くと、
ちょうどー、医務室の看護師と目があったー。

「ーー!
 目が覚めたのねーよかった」

そう言葉を口にする看護師ー。

帆乃香(則夫)は戸惑いながらも
「は、はいー」と、そう言葉を返すー。

”帆乃香”になった状態で誰かと話すのは
これが初めてだー。

”帆乃香として他人と話す”という状況を前に、
入れ替わった直後とはまた違うドキドキが
帆乃香(則夫)を襲ったー。

「~~~~~~」
困惑の表情を浮かべながら、首を横に振ると、
帆乃香(則夫)は深呼吸をしてから、
「ーーそ、それでーおー…俺ーーいや、あのー
 …わ、わたしと一緒に階段から落ちた人はー」と、
そう言葉を口にするー。

”則夫”と言っても通じないかもしれないと思ったのとー、
何となく、自分の名前を他人のように呼ぶことに
無意識のうちに抵抗も感じたー。

「あ~~~…えっと、峯島くんのことかなー?」
医務室の看護師の女性はそう言葉を口にすると、
少し困惑したような表情を浮かべるー。

そんな反応を見て、一瞬、背筋が凍るような思いをしながらも、
「あ、えっと、無事なんだけどねー。」と、
女性看護師がそう言葉を口にしたことで、
帆乃香(則夫)は、一転して安堵の表情を浮かべるー。

流石に自分の身体が死んじゃいました、という報告を
彼女の身体で聞きたくはないー。

がー

「ーまだ意識が戻ってなくてー
 命に別状はないみたいなんだけど、
 もう少し、意識が戻るまでにかかるかもー」

と、女性看護師はそう言葉を口にしたー。

「ーーそ、そうですかー。ありがとうございますー」
帆乃香(則夫)は戸惑いながらもそう返事をすると、
その看護師に案内して貰って、
則夫(帆乃香)が眠っているベッドの元へとやってきた
帆乃香(則夫)ー

「~~~~~~~~~…」
”自分の身体が眠っているのを、彼女の身体で見る”
そんな、あまりにもおかしな状況を前に、
何とも言えないソワソワした感じを感じながら
思わず息を吐き出すー。

「ーーー……」
幸い、則夫の身体はちゃんと呼吸をしているー。

自分が帆乃香になってしまったということは、
恐らく”帆乃香”の中身は則夫の身体の中にいるはずー。

「ーーーーーーーー」
帆乃香(則夫)は”どうすりゃいいんだー…?”と、
そう思いながらも
ひとまず、まずは則夫になった帆乃香が
意識を取り戻すのを待つしかない、と
そんな風に考えるー。

「ーーーこのまま今日、俺の身体が目を覚まさなかったらー…
 とりあえず今日はー…
 帆乃香の身体で俺の家に帰るしかないかー…」

帆乃香(則夫)はそう言葉を口にするー。

お互いに一人暮らしで、家の行き来もあるため、
帆乃香の身体で則夫の家に帰ることは問題ないー。

流石に、本人の意識がどうなっているのか分からないまま
帆乃香の家に行くのは気が引けたため、
ひとまず今日は、則夫の家に帰ることにするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帆乃香の身体で則夫の家に帰宅した
帆乃香(則夫)は、
「しかしー、自分が帆乃香になるって変な気分だなー」と、
そう言葉を口にすると、
盗まれたら帆乃香も困るだろうから、と、
とりあえず持ってきた”帆乃香”のスマホのほうを見つめたー。

帆乃香のスマホは指紋認証でロックが掛かっているー。

特別、何かを覗こうとしたわけではないー。
が、友達から”大丈夫?”と、メッセージが届いているのを見て、
帆乃香(則夫)は”軽い返事ぐらいしておいたほうがいいか”と、
そう思いながら、
スマホのロックを解除するー。

がーーー
帆乃香が直前に、SNSの画面を表示したままにしていたのか、
ロックを解除すると同時に、その画面が表示されたー。

「ーーーえ」

しかもー、
そこに表示されていたのは、
則夫のSNSに誹謗中傷をしているアカウントー、
”レッサーライオン”にログインした状態の画面だったー。

「ーーーえ……な、なんだよこれ…」
呆然とする帆乃香(則夫)ー。

彼女のスマホを開いたら、
”自分のアカウントに誹謗中傷してきているアカウントに
 ログインした状態の画面が出て来た”のだー。

「ーーー…う、嘘だろー…?」

帆乃香(則夫)は、
彼女と入れ替わってしまったことで、
彼女こそが”誹謗中傷の犯人”であることを
知ってしまうのだったー…

②へ続く

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コメント

入れ替わったことで知ってしまった
彼女の深い闇…!

②以降もぜひ楽しんでくださいネ~!

今日もありがとうございました~!★!

「知りたくなかった深い闇」目次

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