痴漢被害者の女子大生と
その女子大生から痴漢と勘違いされた冤罪おじさんが
入れ替わってしまった…!
なんとか、冤罪は解決したものの…?
※痴漢X冤罪の続編デス!
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ある日の電車内ー
女子大生・松村 紗奈恵(まつむら さなえ)は
痴漢被害に遭っていたー。
紗奈恵は、電車を降りる際に、
勇気を出して、その男の腕を掴んで
この人が痴漢だと叫んだー。
だがー
それは、冤罪だった。
冤罪被害者となってしまった中年男・三津野 茂(みつの しげる)-
混乱の中でふたりは転倒し、
紗奈恵が茂に、茂が紗奈恵に入れ替わってしまうー。
茂になってしまった紗奈恵は、状況が一変、
痴漢被害者である自分が、痴漢冤罪被害者として
警察に連行されてしまったのだった。
警察官・堤 源五郎(つつみ げんごろう)の厳しい
取り調べを受けることになってしまった茂(紗奈恵)は、
茂が痴漢冤罪であることを知り、
茂のためにも、自分のためにも、源五郎の取り調べに
正面から立ち向かうー
そして、紗奈恵になった茂は、
”真犯人”を見つけ出すことに成功ー
全ては、丸く収まったかに、見えたー。
しかしー
真犯人は見つかりー
入れ替わりのことも信じてもらいー
痴漢冤罪は晴らされー
全ては、丸く収まったーーー
ーーーと、思われたー
だがーーー
警察から紹介された医療研究センターで
入れ替わりの件も解決すると思っていた
ふたりは、唖然とするー
「--元に戻る方法…
色々調べたのですがー
ちょっと無理っぽいですね
ですので、
入れ替わったまま生きていく上での
注意点をまとめさせていただきました」
紗奈恵(茂)と茂(紗奈恵)が、
ぽかーんと口を開いているー
「--ええええええええええええ!?!?!?!?」
紗奈恵(茂)と茂(紗奈恵)の悲鳴にも
似た叫び声が響き渡るー
「じ、じゃあ、俺はずっとこの身体で!?」
紗奈恵(茂)が戸惑いながら言う。
「--も、、元に、、元に戻る方法はないんですか!?」
茂(紗奈恵)の言葉に、
担当医は首を振るー。
「--気を遣って、嘘をついても仕方がないので、
ハッキリと申し上げます。
選択肢は、”3つ”ですー」
「3つ…」
茂(紗奈恵)が呟く。
担当医が説明を続けるー
「プランAー。
入れ替わったまま、お互いとして過ごしていくー
という方法です。
松村紗奈恵さんになった、三津野茂さんは、
紗奈恵さんとして生きていくー
反対に、茂さんになった、紗奈恵さんは
茂さんとして生きていくー。
ただ、これは、今までの人生をある意味捨てることに
なりますし、入れ替わった相手として振舞い続けるのは
ちょっと大変だと思いますー」
担当医が続ける
「プランBは、私たちの方で、”身体は違っても、なるべく今まで通り生活できるよう”
手配しておく、というものです」
担当医の言葉に
紗奈恵(茂)は「それは、どういう?」と首をかしげる。
「--まぁ、簡単に言えば、身体は違っても、今まで通りー。
入れ替わりのことを、紗奈恵さんの大学、そして茂さんの職場、
関係者に、私たちから直接通達しますー。
私たちは一応、国の公式な研究機関ですので、
そういった対応も可能です。
紗奈恵さんの身体のまま、茂さんは、社会人として、
茂さんの身体のまま、紗奈恵さんは大学生としてー
生活していくことができるよう、手配します。
ただ…まぁ、身体が違うので、そこの部分の
トラブルは色々起きるかもしれませんが」
担当医の言葉に、
紗奈恵(茂)も、茂(紗奈恵)も、戸惑いの表情を見せるー
紗奈恵の身体で家族の元に帰るー?
妻も娘はなんていうだろうかー?
おじさんの身体で女子大生として大学にー?
みんな、どんな反応するんだろう?
紗奈恵には、一応、彼氏がいるー。
彼氏は、どんな反応をするのだろうかー。
「--最後のプランCは、
ここに入院して、元に戻ることを目指す、というものです。
ただ、先ほども説明した通り、元に戻る、というのは
現状、かなり困難に思えますので
無駄に時間だけを費やす可能性もありますし、
入院して、ここにとどまっていただく必要があります。
また、投薬の副作用等についてもー
これ以上の方法を模索するとなれば、保証はできません」
3つの選択肢を聞き終えた
紗奈恵(茂)と茂(紗奈恵)-
戸惑うふたりー
プランAは、今までの人生を捨てて、入れ替わった相手として生きていくー
プランBは、入れ替わった身体で、身体だけは違うけど、生活はできる限り元通りにするー
プランCは、安全の保証ができな治療を行い、元に戻るために入院するー
「-----少し、時間をください」
茂(紗奈恵)が言うと、
紗奈恵(茂)も「そうだな…少し話し合ったほうがいい」
と、答えた。
担当医は「えぇ。結論はいつまでも大丈夫ですからー」
と答えたー。
研究施設の自販機の前で話す
紗奈恵(茂)と茂(紗奈恵)-
「ごめんなさい…わたしがあのとき、三津野さんを
痴漢と間違えたりしてなければ…」
茂(紗奈恵)が悲しそうに言うー。
確かに、紗奈恵が、茂を痴漢と間違えて
捕まえたりしなければ、
そのあとの入れ替わりも起きなかったのかもしれないー
紗奈恵になった茂にも思うところはあったー。
痴漢と勘違いされたこともそうだし、
こんなことに巻き込まれていることもそうだー。
だが、紗奈恵と入れ替わった後、
一時的に逃げたフリをして、
紗奈恵の身体にもお仕置きをしてー
痴漢の疑いをかけられた怒りは、もうそれで晴らしたー
「--悪いのは、あのおばさんだ
君は悪くない」
紗奈恵(茂)は、女子大生らしからぬ口調と
仕草でそう呟いたー
「---」
か弱い表情を浮かべる茂(紗奈恵)-
二人は、お互いの様子を見て
苦笑いしたー
「こんなんじゃ、俺が女子大生として
振舞うのは、無理だな」
紗奈恵(茂)が言うー
「確かに、そうですね。
わたしも、三津野さんとして振舞うのは
無理かも…」
茂(紗奈恵)が言うー
相手になりきるのは、
正直、絶望的に難しいー
とは言え、”戻れない可能性が高い”のに
この研究施設にいつまでもいるのも
考え物だー。
と、なればー
”プランB”しかなかったー。
担当医に告げるふたりー
紗奈恵は、茂の身体で、紗奈恵として生きていくー
茂は、紗奈恵の身体で、茂として生きていくー
そういう決断だ。
身体は違ってしまっても
出来る限り今まで通りの暮らしをするー。
例え、外見は違っても、
中身は自分たちであることに変わりはない。
最初は周囲も戸惑うだろうが、なんとかなるはずだー。
「---わかりました」
担当医は、ふたりの決断を聞き、
早速手配を始めたー
”この研究施設はいったいなんなのだろう”
紗奈恵(茂)は一瞬そんな風にも思った。
入れ替わったことを通達し、なるべく普通に生活できるようにする力を持った
国営の研究施設ー。
だがーー
それを知ったことでどうにもならないし、
世の中にはいろいろな”裏”があることを
何十年も生きてきた茂はよく理解していたー。
だから、追及も何もするつもりはないー
「-では……1週間後。
ここから退所という形で
日常生活に戻れるようになりますので、
それまでは、この施設内でお過ごしください」
担当医は、そう告げると、
頭を下げて立ち去って行ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
1週間後ー
紗奈恵(茂)は、ポニーテールにして、
学生のジャージ姿のような姿で施設から出てきたー
「--ごめんな。でも、俺は男として生きてきたから
この方が動きやすくてさ。
髪ももしかしたら、短くするかも」
紗奈恵(茂)の言葉に
茂(紗奈恵)は、「わたしは~…おしゃれしちゃうかもしれないですねぇ…」と
苦笑いするー
「なんか、おしゃれなおじ様みたいなスタイルに」
茂(紗奈恵)の言葉に、
紗奈恵(茂)は「はは、似合わないかもなぁ」と苦笑いしたー。
月に1回、この研究施設で診察を受けることになっているが
それ以外は、普通の日常に戻るー
「-いろいろ、すみませんでした」
茂(紗奈恵)が痴漢冤罪のことも含めて、紗奈恵(茂)に謝罪するー
「いや、いいさ。
それより、俺の方こそごめんな。
俺みたいなおっさんの身体と、女子大生の身体じゃ
釣り合わないだろうし」
紗奈恵(茂)の言葉に
茂(紗奈恵)は「いえ~、まぁ…前向きに行きますよ」と
苦笑いしたー
確かに、年齢も2倍ぐらいで、
人生の時間がかなり減ってしまったのは事実ー
それでも、前向きな紗奈恵は、
今、こうして生きているだけでも、
プラスに考えないと、と、
とにかく、これからの人生を前向きに考えることにしていたー
「----」
紗奈恵(茂)は、少し表情を暗くするー。
人生経験の豊富な茂は、
”わかって”いたー。
この先に待ち受ける苦難をー。
仮に、あの謎の研究施設が、
自分たちの入れ替わりを上手伝えたとしてもー
世間一般で入れ替わりなど受け入れられないだろう。
それにーーー
この身体で…
いいや、考えるのはやめよう。
自分も、紗奈恵も、不安になるだけだ。
「--それじゃあ…」
紗奈恵(茂)が言うと、
茂(紗奈恵)は「その身体、大事にしてくださいね」とほほ笑むー
若い女子大生だったのが、急におっさんになってしまったのだ。
紗奈恵がショックを受けていないはずがないー。
「---」
だがーー
紗奈恵(茂)は、後ろ向きなことは言わなかった。
恐らくーあえて元気にふるまっている。
だから、自分もー。
「--…いかにもおじさんって感じですまないな。
でも…まぁ、健康だけは取り得だから、
その身体も、大事にしてやってくれ」
紗奈恵(茂)はそう言うと
「--そろそろ、女のコらしい言葉遣い
できるようにならなくちゃなぁ」
と、笑うー。
家族や職場では、このままでいいとしてもー
さすがに外を歩くときはまずいだろう。
入れ替わりのことを、紗奈恵さんの大学、そして茂さんの職場、
関係者に、私たちから直接通達しますー。
あくまでも”通達”されるのは、周囲の人間だー。
だからー
外では、女子大生として振舞わないといけないー
「--何かあったら、連絡を」
紗奈恵(茂)が言うと、
茂(紗奈恵)は頷いた。
「--また来月ですね」
茂(紗奈恵)が言う。
月1で、この研究機関で診察を受けるー
それまでは、
”自分の身体”としばらくのお別れー。
こうして、二人の
”入れ替わったまま”の生活が始まったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----はぁ…」
茂(紗奈恵)は、自分の家ー…
アパートに帰宅したー。
紗奈恵は一人暮らしー
両親に連絡を入れると、
男の声の紗奈恵に戸惑ったようで、
泣かれてしまったー
事情は既に説明されていたようだったが、
両親は受け入れられないようだったー
「わたし、大丈夫だから」
茂(紗奈恵)が、おじさんの声でそう言う。
母親は、泣いていたー
茂(紗奈恵)は悲しい気持ちになるー
”親”として、娘が急におじさんになったらー
やっぱりー
受け入れられないかもしれない…
「--大学…大丈夫かな…」
翌日ー
茂の姿のまま大学に向かうー。
学校にも既に”通達”はされていたようだが、
周囲の大学生たちは、茂の姿を見るなり
笑ったり、ヒソヒソ話し始めたり、指を指したりー
写真を撮影したりし始めたー
「---ねぇ、見ないでくれる?」
女子の一人が言う。
「-あんたが紗奈恵だってことは分かったけどさ。
おっさんに見られてるみたいできもいんだよね」
女子の言葉に、茂(紗奈恵)が「ごめん…」と呟く。
「ってかさ、本当に紗奈恵?
実はおっさんが、紗奈恵のふりしてるだけじゃないの?」
他の女子が言うー
茂(紗奈恵)は慌てて自分の個人情報や、
その女子との思い出を語るー
「ふ~ん…でもさぁ、おっさんとは仲良くできないなぁ~」
女子が立ち去っていくー
「-----…」
戸惑う茂(紗奈恵)-
そんな茂(紗奈恵)に、紗奈恵の親友・千乃(ちの)が声を掛けて来るー
「--だいじょうぶ、わたしは、紗奈恵ちゃんがどんな姿でも
友達だからね!」
とー。
「--うん」
茂(紗奈恵)は、その言葉にちょっとだけ救われた気がしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「--すごいっすね、先輩!」
職場ー
紗奈恵になった茂は、
逆に職場から、輝くものを見るような目で見られるー
「そんな見るなよ。
中身は、おっさんだぞ?」
紗奈恵(茂)は、ポニーテールを気にしながら
いつものように仕事をしていたー
「--ほら、手を止めるな」
一応、年齢相応の立場にいる紗奈恵(茂)は
部下も持っているー
今まで通りの口調で、仕事を進めていくー
だがーーー
”身体は女子大生”になった紗奈恵(茂)にはー
”いやらしい目線”が注がれていたー
「---ほう…」
専務の黄川田(きかわだ)は、
紗奈恵と見て、ニヤリと笑みを浮かべたー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
痴漢X冤罪の後日談デス!
今日は導入部分ですネ~!
もう、痴漢冤罪の件は、解決してしまっているので
タイトルはちょっと…、と思うかもですが…笑
今日もお読み下さりありがとうございました~!
コメント
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続き楽しみに待ってましたよ(^o^)
明日の続き気になりますね‼
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コメントありがとうございます~☆!
明日からが本番ですネ~!