クリスマスイブ当日。
奥手だったはずの彼女の様子がおかしいー。
彼女の身にいったい、何が…?
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「--ふふふふ…早く早くぅ」
トイレに逃げ込んだ恒夫が戻って来るのを待ちながら
麻帆は、自分の露出している肩をイヤらしい目つきで
見つめながら手で触っているー
「-ーほらほらほらぁ…こ~んなに可愛い彼女が
誘惑してるんだからさぁ~」
麻帆が舌を出して、ペロリと唇を舐めるー
「早く”俺”を満足させてくれよぉ~♡」
麻帆は、麻帆とは思えないような欲望に満ちた表情を浮かべて
鏡を見つめたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---あ…あ…あ…」
恒夫はトイレに引きこもって頭を抱えていたー。
恒夫は、大学生になるまでー
麻帆と付き合い始めるまで、
恋愛経験が全くない。
当然、奥手なタイプの恒夫が
付き合ってもいない女子に手を出すわけがなく、
恋愛経験も性的なことの経験も全くない状態だったー
そんな恒夫にまるで合わせたかのような
ピッタリな相手ー
それが、麻帆だった。
しかしー
今日の麻帆は何だか変だー
麻帆は普段から落ち着いた服装ばかりだし、
男子を誘惑するようなそぶりも一切見せない。
付き合い始めたばかりのころには、
麻帆の友人から、
麻帆には恋愛経験はなく、
性的な話題も、行為も苦手だから、
優しくしてあげてね
と、言われていたー
その麻帆がミニスカサンタの格好で
肩や胸元まで露出させるような服装をしているー
そして、恒夫を誘惑しているー
「麻帆…ど、どうしちゃったのかな…?」
困惑する恒夫ー
恒夫は激しくドキドキしていたが、
それ以上に、恒夫は”怖い”という感情も抱いていたー。
どうして麻帆が急にこんなー。
「ねぇ~~~恒夫~~!早く気持ちよくなろうよぉ~♡」
しびれを切らした麻帆が、トイレの扉の外から
声をあげるー。
「--今夜は聖夜だよ~!
性・夜!
ふふふふふふっ♡」
麻帆の甘く、狂ったようにも聞こえる声ー
「ね、、ね、、ねぇ、、あのさ…
ぼ、僕…、そういうの、よく分からなくてさ…
その、急に言われても、どうしたらいいのか」
裏返った声で言う恒夫ー。
本当に、どうすれば良いのかわからないー。
と、いう様子でー。
「---…ふぅ」
麻帆がため息をつくと、
「わたしに全部任せておけばい~の!」
と、声をあげたー
「--く、、く、クリスマスイブって、みんなこんなことするものなの?」
恒夫が戸惑いながらトイレの中から麻帆に問うー。
麻帆は「--わたしはしたいの♡」
と、甘い声を出した。
「----…で、、でも…」
恒夫はなおも、トイレの中に引きこもっているー
やっぱり無理だー
僕には無理だー
そんな考えが頭をよぎって支配してしまうー。
男は性欲の塊、みたいなことを言っている女子もいたが、
それは違うー
”僕はそんなことしなくたっていいんだ”
恒夫は、本気でそう思っているー
大好きな麻帆と一緒にいられるだけでいい。
エッチなことをしようなんて考えたこともないし、
想像したこともない。
将来、もしも結婚したりしても、
そういう想像がまるで、できないー。
「ーーぼ、僕…いいよ…そういうの…
麻帆だって、苦手だよね?
だから、ホラ、一緒に、一緒にクリスマスイブの夜を過ごせるだけでいいんだ!」
恒夫が必死に言うー
麻帆が扉の外で「いいから出てきて!」と声をあげるー。
「--じ、じゃあ…もう、普通にいつも通りしてくれるって約束してくれる?」
恒夫がトイレの中から震えながらそう呟いたー。
「-いいから…早く出てきて」
麻帆の声のトーンが少しだけ下がったー
怒りが伝わって来るー
「わ……え、、えっと、だから、普通に」
「いいから出て来いよ!!!!!!!!!!!!」
麻帆が大声で怒鳴ったー
普段の大人しい麻帆とは思えないー
「や、、や、、やっぱ変だよ!麻帆!
どうしちゃったんだよ!?」
恒夫がトイレの中から叫ぶー。
「--あ~~~!も~~~~~~!!
いつまでそこに引きこもってるんだよ!」
麻帆は乱暴に言うと、
トイレのカギを強引に開けて、
恒夫をトイレから引きずり出したー
「ひっ…!ま、麻帆!ぼ、、僕、食べたい…!食べ物を…!」
「--ふふっ、わたしを食べたいんだぁ~♡ 嬉しい~」
麻帆がうっとりとした表情で言うと、今にも恒夫を
襲いそうな目で微笑んだー。
「--ちっがっ!僕は、ここにあるケーキとか、、
ご馳走を早くたべた…むぐっ…!」
麻帆に唐突にキスをされた恒夫は驚いてしまうー
麻帆が身体を密着させて
胸の感触が恒夫にも伝わって来るー
恒夫が慌てて麻帆を振りほどこうとするも、
麻帆は強引に舌を絡めさせてくるー
「あ、、、あぅぅ…」
恒夫の股間の肉棒が大きくなってしまうー
「--んふふふ…身体は正直だよねぇ…
こんなかわいいミニスカサンタを抱けるなんて…
ふふふ、幸せでしょ~?」
麻帆がそう言いながら、さらに恒夫にキスをするー
恒夫は「ひっ!」と叫んで、麻帆を押し飛ばすようにして
振り払ったー。
「チッ」
麻帆が舌打ちをするー。
「あ、ご、ごめん…」
恒夫は困惑しながら、麻帆のほうを見つめたー
「チッチッチッチッチっチッ」
麻帆が何度も何度も舌打ちするー。
そしてー
口を開いたー
「あ~~~も~~~面倒くせぇ」
麻帆が髪を掻きむしりながら言う。
「--え…ま、、、麻帆…?」
戸惑いを隠せない恒夫。
クリスマスツリーが輝く室内で、
麻帆が豹変したー
温かみのある部屋の中の気温が
一気に5度ぐらい下がったような、
そんな錯覚をしてしまうほどに不気味な空気ー
「--ねぇ、恒夫」
麻帆が甘い声で呟くー
「--え…」
恒夫は、麻帆が何を言い出すのか、と
ビクビクしながら麻帆のほうを見つめるー
正直、ここまでの状況になると、
恒夫からしてみれば
”麻帆と一緒にクリスマスイブの夜を過ごしたい”という
感情よりも
”早くこの場から逃げ出したい”という感情の方が
強くなってしまっていた。
こんなところから早く逃げ出して、
解放されたいー
とー。
「--もしも、もしもわたしが
他の人に乗っ取られているとしたら、どうする?」
クスッと笑う麻帆。
「-の、乗っ取る…?え、、どういうこと…?」
あくまでも純粋な恒夫には、
その言葉の意味は理解できなかったー
「--わたしの身体を~」
麻帆が、自分の胸を両手でわしづかみにして
揉み始めるー。
「げへへへへ…他の誰かが乗っ取って好きに
使っているとしたらぁ~???」
麻帆がひひひひひ、と笑いながら呟くー
その言葉に、麻帆の様子がいつもと違う”理由”が
分かった気がして
恒夫は背筋が凍るような思いをしたー。
「--え、、そ、、それって…え?」
恒夫はソワソワした様子で叫ぶー
「じ、じゃあ、君はま、、麻帆じゃないってこと…?」
とー。
麻帆は「へへへ…どうだろうねぇ~?」と
バカにするような笑みを浮かべると、
麻帆は台所の包丁を手にしたー
「えっ…何を…?!」
恒夫は一瞬自分が襲われると思ったー
だがー
麻帆は自分の首筋に包丁を向けてほほ笑んだー
「--わたしを楽しませてくれないと、
わたし、死んじゃうよぉ?
ふふふふふ」
麻帆が笑うー
正気じゃないー…
恒夫はそう思ったー
「や、、や、、やめて!わかった…わかった!言うとおりにするから」
恒夫は泣きそうになりながらそう叫ぶと
麻帆は「へへへ、そうこなくちゃぁ」と、笑いながら
包丁を台所の方に放り投げたー。
「--さぁ恒夫…わたしを抱いて…くふふふふ♡」
麻帆が甘い声で恒夫を誘うー。
恒夫は震えながら麻帆の方に近づいていくー
そして、麻帆を抱きしめるー。
麻帆は、”好きな人に抱かれて嬉しい”-というよりかは
”女として抱かれることに興奮している”
そんな感じの、怪しい表情を浮かべていたー
「ほらほらぁ、わたしの言う通りにしなさい…!
くくっ…わたし、興奮が抑えられない…!
早くわたしを満足させて…!」
麻帆が飢えた声で言うー。
普段の麻帆の声の感じとは、明らかに違うー
恒夫は戸惑いながらも、
「まさか、、本当に…誰かに…」と、
困り果てた表情で麻帆を見つめるー
「--そんなことどうでもいいだろ?
早くしな」
麻帆がイヤらしい笑みを浮かべるー
目の前にいる麻帆が、麻帆とは思えないー。
「--ふふふ…わたしの服…脱がせちゃう?
それとも、恒夫のソレ、わたしのお口で
気持ちよくさせちゃう?
ふふふふ…ふふふふふふふふ」
麻帆が顔を真っ赤にしながら微笑むー
そんな質問、恒夫が答えられるはずがないー
麻帆だって、そんなことーーー
「---早くぅぅぅ!!!!!」
麻帆がイライラした様子で叫ぶ。
「今夜は性夜なの!焦らすなよ!」
麻帆が、恒夫をべしっと叩いたー
「わ、、わ、、わ、、わ、、、わかったけど、、わかったけど!!」
恒夫は半分パニックになっているー
麻帆が憑依されている?
いや、もう、何がなんだか、訳が分からないー。
「--それとも、、、子供、作っちゃう???」
麻帆がニヤニヤしながら言う。
「恒夫の精子、ほしいなぁ~~~♡♡」
麻帆がくひゃひゃひゃひゃ!と、下品な笑いを浮かべながら言うー
そんな様子を見つめながら、恒夫は
「わ、、わかったから!わかったから!と、
まるで命乞いをするようにして言うと、
深呼吸をしてから呟いたー
「--僕が…そういう知識がないってこともー
僕が、そういうこと、得意じゃないってことも、
麻帆は知ってるよね」
恒夫はそう言うと、
麻帆は「まぁね、そういうコ、狙ってるから」と、呟くー
「--麻帆だって、そうだったはずだろ?」
恒夫が言う。
麻帆は「まぁねぇ」と、頷くー。
「--僕、、ホントに分かんないんだ
麻帆には、本当はそういう経験がたくさんあるかもしれないけど、
”何かしろ”って言われても、僕、分らないんだー。
情けないっていうかもしれないし、
童貞野郎って思うかもしれないけど、
分からないものは分からないんだ」
恒夫は、戸惑いながらそう呟くと、
麻帆のほうを見つめたー。
「でもー
僕は麻帆のことは好きだー。
麻帆が望むなら、僕だって頑張るー。
…でもさ、今日の僕には、まだそんな知識はないんだ。
だから、どうしても、どうしてもそういうことしたいなら…
今日は、麻帆に従うから…
麻帆に、全部任せるし、麻帆に、教えてほしい」
震えながら恒夫が言うと、
麻帆は「ははっ!いい返事じゃん!」と呟きながら
恒夫の方に近づいてきたー。
「--じゃあさ…まず、キスしよっか。
深い深いキス」
いつもとはまるで違う強気な麻帆ー
これは”演技”なのかー
それとも”憑依”なのかー
それすらも分からないまま、
恒夫は聖夜ではなく性夜に足を踏み入れようとしていたー
③へ続く
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コメント
メリークリスマス!ですネ!
仕事でもプライベートでも、お出かけされる方は
寒いのでお気をつけて~☆
今日もありがとうございましたー!
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