<入れ替わり>君と交わるなんて考えもしなかった③~未来~(完)

2人は、元に戻る方法を探すー。

そんな二人が迎える
意外な結末とは…?

※ツイッターのフォロワー様
 音調津様(@Tabikorai)との合作デス!

第3話は私が担当しました~~!

※本日の小説は
 午前中に投稿済みデス!

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優花と勇輝は学校に辿り着いた。

お互いが、ドキドキしている状態ー

「あ…お、、おはよう」
勇輝の身体で顔を真っ赤にして挨拶する優花

「お、、おは、、おは、、おははょ…」
優花の身体になった勇輝は、
緊張しているのか声にならない言葉で
そう返事をした。

「…って、その格好は…何?」
優花が呆れた様子で言う。

スカートは乱れ、髪は整っていないー
メイクも何もしていないー

「も~!」
優花が不貞腐れたように言う。
勇輝の姿で頬を膨らませているから、
周囲から見たら気持ち悪いかもしれないー

「--ちょっと来て!」
優花にぐいぐい引っ張られていく勇輝。

”俺の身体ってこんな力あったのかー”
などと思いながら、優花に身を任せる勇輝。
男子に引っ張られる女子という貴重な
経験が出来ていることになんとなく、
ニヤニヤしてしまった。

「~~ちょっと!何笑ってるの!?」
優花が勇輝の声で言うと、

「いや、、な、なんか、折原さんに引っ張られてる
 折原さん?なんか、新鮮だな~って」

わけの分からないことを言っている勇輝。
優花の身体でニヤニヤしている勇輝を見て
”あぁ、早く元に戻りたい”と
優花は思うー

助けてくれたことがきっかけで
”ひ弱そうな男子”イメージだった勇輝の、
思わぬ勇気に惹かれ、
優花の中で勇輝は気になる存在になっていた。

けどー
それとこれとは話が別。

早く元に戻りたいし、
早く、メイクをちゃんとさせないとクラスのみんなにもー

「---あ、危ない!」

女の子の声がするー

優花は「?」と思う。
声の主は自分ー
つまり、優花の身体になった勇輝だ。

優花はふと、前を見たー。
ムキになって、勇輝を引っ張っていたら
無意識のうちに階段にまで
辿り着いてしまっていた。

「えっ…!?ええええええ!?」
優花がそう叫ぶと同時に、
二人は、そのまま階段から転落してしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「いたたたたたた…」
しばらくして、優花が起きあがった。

「---う~ん…!」
優花は、痛む身体を抑えながら、
ふと自分の足を見る。

スカート!

優花は、あっ!と思うー

自分の身体だ!と。

「--わわ!?も、元に戻ってる?」
優花が思わず叫ぶ。

周囲には、他の生徒が数名集まっていた。

「折原さん、大丈夫?」
集まっていた生徒のうちの一人が言う。

「--だ、だいじょうぶだいじょうぶ」
優花はそう言いながら立ち上がる。

優花は、やっぱり自分の身体っていいなぁ、と
のほほんとしながら、目の前にいる
倒れたままの勇輝を見つめた。

「------」

「------」

「----って起きなさいよ!?」
優花は思わず叫んでしまった。

周囲の生徒たちがざわつくー

「え…嘘…?」
「やばくない??」

自分の身体に戻ることのできた優花も
思わず困惑するー。

「-ーーえ…ちょ、ちょっと!?」
優花は慌てて勇輝の方を見る。

勇輝は意識を失ったままだー。

「ちょ、、う、、嘘でしょ!?ねぇ…!」
優花は困り果てた様子で倒れたままの
勇輝に呼びかける。

しかしー
勇輝から返事はないー

「ねぇ!起きて!ねぇ!ねぇ!」
優花の目からはいつの間にか
涙がこぼれていたー

助けてもらってからー
勇輝のことが気になっていたー
そのことをまだ伝えることもできていないー

それにー
自分だけ元に戻って、
勇輝だけ死なれたんじゃ、
後味が悪いし
一生抱えることになる。

「ねぇ!」
優花の呼びかけもむなしく、
先生たちがやってきて、勇輝は
そのまま病院に搬送されたー

「----」
優花は、慌てて後を追い、
病院に駆け付けたー

勇輝は、生きていたー
軽い打撲があるぐらいで、
目立った外傷はないという。

だがー
何故だか勇輝は目を覚まさなかったー。

「---どうして…」
優花が困り果てた様子でいると、
ふいに声がした。

”あの…”

「--!?」
優花は驚いて振り返る。

しかし、勇輝は目を覚ましていない。
でもー
今、確かに勇輝の声がしたようなー

優花がキョロキョロしていると
また勇輝の声が聞こえてきたー

”あ、あのさ…”

「--!?」
優花はベットに寝かせられている勇輝の方を見るが
勇輝が目を覚ました様子はない。

”…お、、折原さん!
 お、、俺…”

勇輝の声ー

優花は、その声が自分の頭の中で
響いていることに気付く。

”俺、、まだ折原さんの中に…”

「えええええええっ!?」
優花は思わず叫んでしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自宅に帰宅した優花ー。

「で…どうすればいいの?」
優花が言う。

すると、優花がまた口を開く。

「お…俺にも分かんないよ」

外から見たら、優花が一人で
二役やってるかのような非常に
危ない光景に見えるだろう。

「…も~…
 どうして…?」

優花は困惑していたー

階段から落ちた時、
何らかのはずみで
優花は元の身体に戻れたが
勇輝はずっと優花の身体の中にいたまま、
戻れなかったのだという。

軽い打撲でも勇輝が目を覚まさないのは
中身がないからだろう、と勇輝は分析した。

最初から意識はあったけれど、
なかなか言い出せなくて
病院に到着するまで沈黙していたのだとか。

「---…う~ん」
優花の身体は、優花も勇輝も
どちらも動かせる状態ー。

片方が表に出てると
もう片方は、心の奥に追いやられるー
そんな感じだ。

「---…と、とりあえず」
優花の中の勇輝が口を開く

「元に戻る方法見つかるまで、
 俺は、、その、静かにしてるから」

勇輝はそう呟いた。

「え…でもそれじゃあ」
優花の言葉に勇輝は”だよな”と思うー

心の奥底に行っても、
優花の行動は全部筒抜け状態ー
そんなの、優花は嫌がるに決まっている。

「…ど、どうにかして消えるから…」
勇輝はそう呟いた。

自分の身体に戻るまでのちょっとの間、
この身体にいられるだけであっても
優花からすれば気持ち悪いだろうー

そう…
自分はそういうキャラだから…。

勇輝は、自虐的になって、優花の心の中で
消えようと念じるー

念じれば、もしかしたら消えることができるかもしれないー

「--ねぇ」

優花の声が聞こえる。

「-----」
勇輝は、消えようと、必死に自分で念じる。

自分みたいな男子が
優花みたいな眩しい女子の中にいつまでも
居座るなんておこがましい。

勇輝は思い込んで、
次第に無になっていくー

このまま消えることはできるだろうかー。
本当は自分の身体に戻りたかったけど、
優花に迷惑をかけることはできないし、
仕方がないー。

・・・

勇輝は次第に何も考えられなくなっていくー

このまま、消えるー

「ねぇってば!!!!」

しかしー

ーー!?!?

優花に大きな声で呼びかけられて
勇輝はようやく我に返った。

「え…」
無になろうとしていた勇輝が呟くと、
優花はうんざりした様子で言った。

「ねぇ、、それじゃ不公平でしょ?
 ずっと心の奥底に竹沢くんだけ
 いるなんて」

優花が、少し照れくさそうに言う。

「--お互い様なんだし、、
 半分こしよ?」

とー。

「--は?」
優花の中にいる勇輝は首をかしげた。

半分ことは何かー。

「--今日はわたし…
 明日は竹沢くん…
 明後日はわたし…
 1日ずつ交替でどう?」

優花の提案に、
勇輝はあっけにとられた。

”え…???”

唖然とする勇輝。

”それじゃ、折原さんの時間が
 半分になっちゃうけど…?”

そう聞く勇輝に
優花は溜息をついて答えた。

「--もう!いいって言ってるんだからいいの!」
優花の言葉に
勇輝は思わず”は、はい!”と答えたー。

「--わたしだけが、普通に過ごすなんて
 不公平でしょ?
 ちゃんと、半分ずつ…ね?」
優花が微笑む。

勇輝は”ありがとう”と答えた。

元に戻れる方法はあるのだろうかー。
優花と勇輝は、不安に思うー。

けれど、幸い勇輝の身体に外傷はなく、
体は生きているー。
生きていれば、なんとか方法はあるだろう。

「--がんばろ!」
不安に思う勇輝に優花は笑顔で語りかけた。

”う、うん…ありがとう”

勇輝はそう返事をした。

”そ、そういえばさ、折原さん”
勇輝が、頭の中から優花に語りかける。

「なぁに?」
優花が返事をすると、
勇輝が口を開いた。

”好きですって、、、ホントに?”

勇輝は、ついつい聞いてしまった。
優花の顔がみるみる真っ赤になる。

「え、、、え、、、、え、
 見たの???」

”ご、、ごめんなさい…”

「--……~~~~!!」

優花は顔を真っ赤にしたまま
顔を手で隠して、
そのまま恥ずかしそうに
自分の布団に逃げ込んだ。

”あ…あの…”
勇輝がどうしていいか分からず困り果てる。

逃げても、一心同体だから
逃げれてないけど…と突っ込みたくなったが
勇輝はその言葉を飲み込む。

「---…た、、、た、、竹沢くんは、
 わ、わたしのことどう思ってるの?」

優花がやっとの思いで口を開いた。

”え…え・・・!?お、俺は、えっと、えと…”

突然のことに勇輝もパニックになってしまう。

「--た、、竹沢君のお母さんとか
 お父さんが、わたしのこと好きみたいだって、
 その、い、、言ってたけど…」

優花が顔を真っ赤にしながら言うと
勇輝は、

”す、、す、、す、、、、す~?”

と、意味の分からない言葉を
発し始める。

そしてー
勇輝は、もうどうにでもなれ!と思いながら
”好きです!”と叫んだー。

優花と勇輝がお互いに恥ずかしがって
一人でベットの上でじたばたしている。

そこにー
優花の母親が入ってきたー

が、
母親は見てはいけない何かを
見てしまったと感じたのか、
何も言わずに優花の部屋から
立ち去ってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

”今日は、竹沢くんの番ね”

ふたりは、元に戻れるまで
交代交代で身体を使っていくことにした。

「んん…折原さんの身体で登校なんて…」

勇輝が呟く。

その言葉に、優花が笑う。

”ほら、わたしが振る舞いを教えてあげるから
 だいじょうぶだいじょうぶ”

確かにー
この前とは違う。

今度は優花が中にいるから
困ったときは聞くことができるー。

”あとさ…
 他人行儀な呼び方、もうやめてくれる?”

優花が言う。

「へ?」
勇輝は間抜けな声を出した。

”優花でいいから…”

照れくさそうに言う優花。

通学中に、一人、顔を赤らめながら
歩く優花。

端から見たらおかしな光景ー

「え…え…え、、ゆ、ゆ、ゆ、ゆうか?」
変な発音になってしまった勇輝。

”もう…”

心の中から響く声を聞きながら
勇輝は、顔を赤らめながら言った

「じゃ、じゃ、、、じゃあ折原さんも
 竹沢くんじゃなくて、勇輝って呼んでよ!」

緊張しながらひと思いにそう叫んだ

勇輝。

”こら!もう折原さんに戻ってる!”

優花に怒られながら
優花として学校に向かう勇輝ー。

上手くごまかされちゃった気がしながらも、
勇輝は優花として、学校に向かうのだったー

いつ、元に戻れるかは分からない。
それまで、初デートはお預けー。

本当に戻れるかも分からないー

けど、きっと、元に戻れる日は来るー。
そんな気がする。

昔から、勘はよく当たるほうー

だいじょうぶ、きっと、元にー。

でも、まずはー

「おはよ~!」
優花としての生活に慣れないとな…

そう思いながら
勇輝は、優花の身体で教室へと入って行くのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

音調津様との合作最新作でした~!
ひとりで書くのとは違う、新鮮な発見があって
楽しく書けました~!

前にも同じスタイルの入れ替わりモノを
音調津様といっしょに書いたことがあるので
今回はその時と結末を変えてみました!!

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