<入れ替わり>入れ替わり犯罪者・室橋

世の中には、
TSFを用いる犯罪者が居る。

室橋 恭司(むろはし きょうじ)

彼も、その一人だ。
彼は”入れ替わり”を駆使して、
悪事を積み重ねていくー。

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とある部屋。

「--最後に、何か書き残すことは?」
男がつぶやく。

疲れ果てた様子の、若い女性が「ありません」と
静かな声で答えた。

お茶菓子が置かれているだけの
質素なテーブル。

そこに男と女が一人ずつ。

20代後半だろうか。
容姿端麗な女性は、笑みを浮かべた。

「--くふふ・・・いよいよ執行の瞬間ですね。
 ぞくぞくします♪」

と。

隣にいた男は、唖然とした表情を浮かべる。

今までに何件か
”死刑執行”の瞬間に立ち会ったことがある。

しかし、
こんな人間は見たことがない。

これから、死刑執行されるというのに、
この女は笑っている。

大利根 康子(おおとね やすこ)
遊園地で12人もの命を奪った人物だ。

それまでの犯罪歴はなし。
遊園地では彼氏とデート中だったようだが、
その彼氏も12人の犠牲者のうちの一人になってしまった。

文字通り豹変した康子は、
12人の命を奪われ、逮捕され、
法定でも、裁判官を侮辱する態度を繰り返し、
最終的には死刑判決を受けたのだ。

近づく執行の瞬間。

康子は笑った。

「--犯罪のゾクゾク感・・・
 そして、このほとんどの人間が味わうことのない瞬間・・・!」

康子のアソコは興奮で濡れていた。

そしてー

「---”俺”は何度でも味わうことができる」

康子はそう呟いた。

康子はーー
体をある男に乗っ取られていた。

その男の名はー
室橋 恭司(むろはし きょうじ)

人と自分の体を入れ替える力を持つ。
瞬間的に、遠くの人間と体を入れ替えることが
可能なのだ。

「--次のターゲットは既に定めてある」

恭司は念じた。

するとーーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----うっ・・・!」

とある高校。
昼休みに廊下を歩いていた女子高生の
文香(ふみか)が低い声を上げた。

そして、笑みを浮かべたー。

「---ふふふ、入れ替わり完了だぜ」
文香は舌で、唇を舐めたー

室橋の魂が、文香に入ったことで、
元の文香の魂はー
今、まさに死刑執行直前の康子の体に
入れ替わらされたー

室橋 恭司は
こうして、今までに8回の死刑を受けているー。

室橋は、40年前に死んでいるー。
連続殺人の罪に問われ、
室橋は逮捕された。

そして、死刑判決を受けた。

室橋はその時思った。

人生は終わりだと。
だが、自分のやりたいように生きたし、
悔いは無かった。

あとは、刑の執行を待つだけ。

しかしー
奇跡は起きたのだ。

室橋が、刑の執行直前、
目を閉じて、
精神を無にした。

そのときー
彼は目覚めてしまった。

死を目前とし、
それを受け入れ、
無の境地に達した
室橋は、人と、入れ替わる力を発現させてしまったー

刑が執行された。
室橋は目を開くー

すると、
自分が、病院の看護婦になっていることに
気づいた。

「ずいぶん変わった地獄だなー」
彼は、そう呟いた。

しかし、違った。
そこは、地獄などではなkった。

現世だったー。

新聞で、室橋は自分の死刑が執行されたことを知る。
そして、室橋の最後の一言は、
「わたしは病院にいたはずなのに!」だったのだと言う。

室橋は可愛らしいナースの姿でほほ笑んだ。

”身体が、入れ替わったのだ”とーー。

それからは、入れ替わった先の身体で、
悪さをしては、死刑判決を受け、
室橋は、これまでに8回、死刑を受けている。

だがー
刑の執行直前になるたびに、不思議な力によって
また新たな身体と入れ替わるのだー

8度、死刑を執行されても死なない男ー
それが、室橋恭司だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

死刑執行直前の部屋ー

遊園地で12人の命を奪った
康子は、まもなく、刑を執行されようとしていた。

しかしー
そんな康子の中に居た犯罪者・室橋は、
入れ替わりの力を使って、
既に彼女の中には居なかった。

それどころか、さっきまで高校の廊下を
歩いていたはずの女子高生・文香の魂が
康子の中に入ってしまっていた。

「---えっ」
康子は突然変な声を上げた。

「--え、、あれ、、わたし、、高校に居たのに?
 こ、ここは・・・?」

状況が飲み込めず、困惑する
康子。

周囲を見渡すが、
状況が飲み込めない。

「--そろそろ時間だ」
男が言う。

「時間?何のですか?」
康子は怯えた様子で言う。

「あ、、あれ?それに、わたし、何か、
 声も変・・・?」
康子が不思議そうに言う。

そして、キョロキョロして、
周囲に鏡がないかを探している。

「--大利根康子。
 これより刑の執行を行う」

男が言う。

「け、刑?」
康子が怯えた様子でとあるものを目にしたー

だんだんと状況が飲み込めてきた。

「--ど、どういうことですか?」
康子が涙目で尋ねると
男は答えた。

「今更見苦しいぞ。
 死刑の執行のときになってわめくのか?
 最後ぐらい、大人しくするんだ」

男が言う。

「し、、、死刑!?」
康子は驚いて大声を出した。

そして、パニックを起こして
泣き喚いた。

「--や、、やめて、、、た、、助けて・・・!
 そ、、それに大利根康子って誰・・・?」

康子はパニックを起こした。
当たり前だ。
中身は、ごく普通の女子高生・文香
なのだからー

しかし、男は冷たい表情で康子を
見つめた。
これもー
当たり前の反応だ。
入れ替わりの力など、信じるものはいない。

「---わ、私は、、私は
 黒下 文香です!ち、違うの!お願い!」

しかしーーー
”こんな虚言に騙されるわけがない”

男が、強引に、
康子を拘束し、
そしてーー
刑を執行したー。

また、一人、
室橋の手によって、
何の関係もない人間が、死刑に処されたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

黒下文香となった犯罪者の室橋は
本性を現し始めていた。

最初に、小さな悪いことからはじめて、
飽きたら大きな悪事を行う。

そして最後には死刑になるような大事を起こし、
死刑が確定するまでじっくりと待ち、
死刑執行の瞬間に、いつもの力が発動するー。

これまでどおりだ。

室橋は思う。
誰にも、俺を裁けはしない、と。

「ねぇ、文香!わたしたち、
 友達だったよね!」

トイレの個室の中にいる女子生徒が叫ぶ。

彼女は、文香の親友だった子だった。

「う~ん、そうね~。
 じゃあ、わたしとエッチする?」

文香は昨日、この友達に
百合エッチをもちかけたが
「女同士で…ごめん、そういう趣味ないんだ」と言われて
断られてしまっていた。

文香は微笑む
”誰の誘いを断ってしまったのか、
 ちゃんと理解できていないようだな”と。

そして、今日ー
文香は、友人を女子トイレに押し込んで
脅迫を始めていた。

「--わたしと、楽しもうよ~♡」
甘い声を出す文香。

しかし、友人は個室の中から叫んだ。

「--わ、、、わたしは、、、無理よ!
 文香、なんだか昨日からおかしいよ!」

少女が叫ぶ。

「ふ~ん」
低い声でそう言うと、バケツに入った水を
トイレの個室の上からぶちまけた。

泣き出す少女。

「--わたしにはむかうとこうなるの。
 分かった?」

その言葉に、トイレの個室に閉じ込めた少女は叫んだ。

「---せ、先生に言うからー!」

と。

文香は不気味にほほ笑む。

言える物なら、言ってみろー

その夜。
文香は下校中の友人を襲った。

「---や、、やめて…!」
人気のない公園で押し倒された
友人は目に涙を浮かべている。

「くへへ…減るもんじゃねぇだろ~!」
昨日まで大人しかった文香が
狂気的な笑みを浮かべて、
笑っている。

「--やめて!やめてよ!文香!」
泣き叫ぶ友人。

「--くっへへへへ♡
 わたしに犯されるなんて、思っても
 みなかったでしょ~」

そう言ってほほ笑むと、
文香は、友人に乱暴をし始めた。

「あぁ♡ あっ♡ ふ、、文香!!どうしたの♡ あぁっ♡」

喘ぐ友達。
心では拒絶していても、あまりの気持ち良さに、
身体が文香を受け入れてしまう。

受け入れてしまっては行けないことのはずなのに、
身体が、受け入れてしまうー

どうすることもできない

「あぁあああああああっ♡」

「--いい声で喘ぐじゃねぇか!」
低い、可愛らしい声で、文香は不気味にほほ笑んだ。

そして、文香は、存分にその友達の
身体をしゃぶりつくした。

放心状態の友達を置いて、
文香は、公園を後にした。

「--くくく、この身体は俺のものだ!」
文香は、自分の手の甲をしゃぶりながら微笑んだ。

そして、言うー。

「わたし、悪いことこれからい~っぱいするの!
 くくく、はははははあ!」

文香はーー
室橋となった。

室橋の憑代として、
これから長い間、利用され続ける。

彼女、元に戻ることはもう、2度とない。

何故なら、文香自身は、
室橋に、死刑直前の身体に入れ替えられてしまっており、
もう、この世にいないのだからー

それから、文香は
転落した。

優等生の仮面を脱ぎ捨て、
学校で好き勝手をし、
最後には、喫煙と同級生への暴行事件を起こし、
補導されたあげく、退学になった。

家では親に暴力をふるい、家庭を恐怖に
落としていれたー。

そんな文香も、22歳になった。

「そろそろ潮時か」
すっかり大人の女性になった文香は、
遊園地を訪れていた。

デートではない。

一人で通園地を楽しむためでもない。

全てはー
死刑判決を受けるため。

室橋は、自由に入れ替われるわけではない。
自分が”死刑”になる瞬間に、何故だか、入れ替わることが
できるのだ。

「--くすっ…」
文香は不気味に笑うと、
あるものを手に、遊園地の賑やかな広場に向かって
歩み始めた。

数分後ー
遊園地は悲鳴に包まれ、
ナイフを嬉しそうに舐める文香は、
そのまま逮捕された。

逮捕された文香は、
反抗的な態度をとり続けた。

高校時代の同級生は、
「まさか文香が…」と言う。

当たり前だ。
既に、中身は文香ではないのだから。

17人を手に書けた極悪犯罪者。
しかも、その犯人が、22歳の女性だと言う事実は、世間に
強いショックを与えた。

文香は、逮捕後も問題を起こし続け、
数年後ー
死刑が確定した。

本当は逮捕された時点で他の身体に
入れ替わり出来れば良いのだが、
室橋は、死刑直前にならないとその力を発揮できない。

最初に死刑が執行される際、
無の境地に達した室橋。

何故だが、あれからは
死刑執行の度に、入れ替わりたい相手を
念じると、入れ替わることができるのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

また、”そのとき”がやってきたー

「--最後に、何か書き残すことは?」
男がつぶやく。

「ありませ~ん!うふふふふ♡」
文香が笑いながら言う。

早く、刑を執行してくれと言わんばかりに。

そして、文香の刑の執行が間近となった。

文香は微笑みながら目をつぶる。
次はー
目を付けておいたOLがいるー。

文香はその姿を思い浮かべながら
いつものように、無の境地に達した。

そしてーーー

目を開いた。

「------!?」
室橋は驚愕した。

「入れ替わっていない…!?」
文香が焦った表情で叫ぶ。

「ど、、どうして…?」
もう一度目をつぶる。

しかし、何故だろうか。
今回は入れ替わることができない。

このままでは死刑執行により、自分は…

「---く、くそっ!やめろ!」
文香は焦った様子で叫ぶ。

「--俺は、俺はーー!死にたくねぇ!」
室橋が叫ぶ。

しかしーー
刑は無情にも、執行された。

室橋はーーー
本当の無へと飛ばされたのだった。

最後の瞬間、
室橋にはこう聞こえた気がした

”いったいいつから、その力を
 いつまでも使えると錯覚していた?”

とー

突然手にした力は、
いつまでも使えるとは限らない。

突然現れると言うことは、
突然消える可能性もあるということなのだからー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

突然手にした力を
過信して使い続けるのは危険ですね!
皆様もある日急に、入れ替わりや憑依の力に
目覚めても、扱いには注意ですよ~!

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