亜優美が憑依されてから3日が経ったー。
亜優美からの要求はさらにエスカレートしていく。
そんな中、自宅には娘からの贈り物が届くのだった…。
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その部屋にはーー
幸せそうな家族の写真があった。
優しそうなメガネをかけた40代ぐらいの少し白髪まじりの男ー。
同じく優しそうな、女性。
そしてーー
どことなく亜優美と似たような雰囲気を持つ、女子高生ー。
写真には、2年前の日付が刻まれている。
そして、その部屋のカレンダーは、2年前で止まっていた。
ー写真に写る3人はーー
幸せな家族だったのだろうかーーー。
その部屋に、イヤらしい声が響き渡る。
「あぁ…もう、、ダメ、、、
お父さんのせいで、、、
亜優美、、壊れてく♡」
亜優美がうっとりとした表情で、
男にされるがままにしている。
「……亜優美ちゃんは凄いよ、、
そんなにお父さんが嫌いなのかい?」
男は言う。
彼はーー亜優美がついさっき、
夜の街で逆ナンパして家に連れ来んだ男だ。
年齢は大学生ぐらいだろうか。
「ううん…っあ、、ああぁ♡
わたし、お父さんのコト、本当は大好きなの!
本当は、、あぁ、、うっ…
こんなことしたくないの♡
でもぉ、おとうさんがたすけてくれないから、
亜優美、無茶苦茶にされちゃうのぉ!
あ、ああ、もうダメ!
我慢できない~~♡」
その時だった。
亜優美のスマホに着信音が入る。
ーーーさっきから何度もLINEメッセージの受信を
知らせる音がしている
「何よ…うっさいなぁ…」
亜優美が、下着姿でめんどくさそうにスマホを見に行く。
そこには、普段休まない亜優美が学校を休んだことを
心配するメッセージの数々が映し出されていた。
親友の美月からも心配するメッセージが頻繁に届いている
それを見て、亜優美は表情をゆがめた
「ウフフ…私、こんなに心配されてるのに・・・
こ~んなエッチなことしちゃって…
全部お父さんのせい!
亜優美をたすけてくれないから!
もっと、もっと壊れちゃう!」
笑いながらそう呟くと、
亜優美は
「今、気持ちいいところなの!邪魔しないで!」
と美月に返信を送った。
そしてスマホを乱暴に投げつけると、
可愛らしいスマホカバーのついたスマホが
乱暴に音を立てて床に転がった。
「大丈夫?」
男が聞く。
「うん。大丈夫!じゃあ、もっと亜優美を
滅茶苦茶にしてね♡」
色目を使って男に近づくと、
亜優美は再び男との行為を始めた。
ーーー亜優美が好きだった
歌手の着信音が鳴る。
「あ~~~なんなのよ!」
悪態をついてスマホを見ると、
親友の名前があった。
亜優美は電話に出た。
「--何よ、邪魔しないで」
冷たい声で言う。
<亜優美??どうしたの?
大丈夫?本当に私、心配してるんだよ?
LINEも全然返信しなかったし…
そんなに調子悪いの?>
親友の美月の声がする。
亜優美は舌打ちをして言った
「……美月、アンタにも聞かせてあげる。
本当に気持ちいいんだから」
そう言うと、え?という美月をよそに
亜優美はスマホを近くに置き、
男と抱き合った。
「あぁ、、ホラ、美月、、、聞こえる?
私、、、今、、とっても、
あっ、、あっ!イイ、、気持ちいい♡
んっ、あっ、ぁああ!ひゃっ♡」
亜優美は生まれてから今まで出したことのないような
声で喘いだ。
喘ぎ声が部屋中に響き渡る
「あぁあああ~、っあぁ、あ、、もうダメ、、
亜優美、、、壊れる!壊れる~~~~♡」
電話先に聞こえるように、亜優美は大きな声で喘いだ。
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「あ・・・・・・あゆ、、み?」
電話相手の親友、美月は耳を疑った。
電話先からは亜優美の甘い声が聴こえ
続けている。
「ね…ねぇ!亜優美!どうしたの?ねぇ!」
美月は叫ぶ。
亜優美がこんなことするはずがないーーー
これは一体ーー
プチっ…
亜優美の喘ぎ声が止まると同時にスマホの通話が切れた。
「亜優美!亜優美!
…何なの?」
美月は不安そうな顔で、
亜優美と一緒に楽しそうに写っている写真を見たーー
「何が起きてるのーーー?」
彼女は小さいころから亜優美の親友だった。
亜優美の家にも何度か訪れている
「---そうだ……
明日、、、家に行ってみよう…」
美月は不安そうに、そう呟いた。
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翌日。
娘が憑依されてから3日目ーー。
俺は今日も頭を抱えていた。
妻も、「亜優美は大丈夫なの?」としきりに俺を心配している。
あの日以降、
俺は会社にも出勤していないーー。
俺は社長だと言うのに…
ここまで会社を大きくしてきたと言うのに…
全ては”家族の為”
そういえば…今日は俺の誕生日だったっけな…
だが、今の俺にはプレゼントも、祝いの言葉も要らない。
娘が帰ってきてくれればーー
ただ、それだけでーー。
ピンポーン
インターホンが鳴った
「…!!」
俺は背筋が凍る思いをした。
まさかーー
亜優美が直接家に来たのではないかとーーー。
だがーー
インターホンのモニターに写っていたのは、
顔なじみの宅急便の男だった。
「森田さーん!お届け物です」
俺はホッと息をして、
玄関に出た。
すると、顔なじみの宅配員は、
ニヤニヤしながら俺に荷物を手渡した。
プレゼント用に包装された
高級ワイン。
俺が以前「飲んでみたいな」と周囲に漏らしていた
ワインだった。
「いや~森田さん、幸せ者ですね~!」
宅配の男が言う。
ふとワインを見ると、
そこには手紙がくくりつけられていた。
「お父さん、知ってます?
亜優美ちゃんね、
4日ぐらい前だったかな?
バイト帰りに集配センターに駆け込んできて、
「お父さんの誕生日に、これ届けられますか?」って
これ持ってきたんすよ。」
4日前ーーー
亜優美が憑依される前だーー。
「このワイン高いですよね~
亜優美ちゃん、バイトでお金ためて、お父さんのために
これ買ったみたいですよ~!
いや~良い娘さんですね!」
宅配の男が、何も知らずにそう言う。
ワインの方を見る。
亜優美の優しい笑顔が浮かぶ。
自然に目から涙があふれてきた
「---えぇ…
本当に、、良い子です」
涙を流しながらそう言う俺を見て
宅配の男は笑う。
「お父さんに泣くほど喜んでもらえて、
亜優美ちゃんもきっと喜びますよ!
じゃ!」
そう言うと、宅配の男は車に乗り込んで
走り去って行った。
ーーー亜優美。。
俺は、、お前に何もしてやれない・・・
ワインにくくりつけられていた手紙を開くと、
可愛らしい文字でこう書かれていた。
お父さん、
いつも本当にありがとう。
本当は手渡ししたかったけど、
今日私、バイトで遅くなるから宅配にしちゃった♪
面と向かっていうのは恥ずかしいけど、、
お父さんのコト、大好きだからー。
これからも、仲良くしていこうね♪
亜優美
P,S 42歳の誕生日おめでとう!
と…。
「亜優美…」
俺の目から溢れた涙が、
亜優美の手紙にこぼれ落ちるーー。
俺の涙はーーー
止まることを忘れたかのように流れた。
俺は手紙をギュッと握りしめる。
--あ~美味しい~。
あ~あ、また一つ、私、悪い子になっちゃった♪
乗っ取られた亜優美の
タバコを吸う姿を思い出す。
「うっ…うあああああああ!」
俺は泣き叫んで家の壁を思いっきり殴りつけた。
「亜優美!俺が、必ず助けるから…
必ず、、、必ず・…」
その時だった。
電話が鳴ったーーー。
「お父さん~お待たせ~亜優美だよ!」
…亜優美だった。
亜優美は、再び場所を指定してきた。
俺は涙を拭き、
慌てて家を飛び出した。
「お父さん~
今日はね!あるお店に来てほしいの…」
亜優美は電話でそう言った。
告げられた場所に辿り着いた俺は目を疑った。
そこはーーーー
メイドカフェだった。
「-----…」
俺は怒りで握りこぶしを作り、
唇をかみしめた。
まさかーー亜優美に
メイドカフェで……。
俺が店に入ると、
おかえりなさいませご主人様、という
声が店内に響き渡った。
店内を見渡すと、そこには
メイド服を着た亜優美の姿があった。
亜優美がこちらを見て、妖艶にほほ笑む。
「-ーーウフフ…」
そして、俺から目をそらすと、
スケベそうなおじさん客に呼ばれて近づいていった。
「名前なんて言うの?」
おじさんがニヤニヤしている。
「亜優美です♡」
亜優美が色目を使って男に言う。
その仕草だけで俺は我慢ならなかった。
そして、そのスケベ野郎が言う
「なんか可愛いポーズしてみてよ~
えへへ…
たとえば”にゃんにゃん”とかさ~」
何がにゃんにゃんだ…
俺はぶち切れそうになった。
しかし、亜優美は楽しそうに
”にゃん、にゃん”と手の仕草を交えて
男に満面の笑みを振りまいた。
ーーー口に血の味がする。
怒りのあまり俺は唇を血がにじむほどに
かみしめていた。
「--お客さん?」
店主らしき男が俺を不審に思ったのか声をかけてきた。
「ちょっとだけ~」
男が亜優美のメイド服をいやらしく触っている
「きゃ、やめてください♡」
亜優美もうれしそうにしている。
ここは違法営業店か何かか?
「ちょっと触ってもいいかな~?」
男が言う。
「え~~ちょっとだけですよ~。
亜優美の大サービス♡」
「---ふっ…
ふっざけるな!」
俺は大声をあげて、亜優美の元へ近づいて、
亜優美の手をつかんだ
「な、、何するの!」
亜優美が怒りっぽく言う。
「来い!」
俺はそれだけ言うと、亜優美の手を引っ張り店の外に出ようとした
「ちょっと!」
叫ぶ店主に、俺はバッグから100万円の束を取り出して放り投げた
「あ、はい、、、まいど~」
店主は愛想よく俺を送り出した。
なんてヤツだ。
・・・・・・・・
裏路地まで亜優美を連れてきた俺は
手を離した。
亜優美のメイド姿。
こんな格好、俺は見たくなかった。
「---お父さん~?
ダメだよ。。
今日のミッションは、メイドカフェでやる予定だったんだからね」
亜優美がポケットから煙草を取り出した。
俺はそのタバコを手ではたき落した
「…ちょっと!
おとうさん!亜優美、もっと滅茶苦茶にされちゃうよ?
いいの?
調子乗らないで!」
亜優美が怒りっぽく言う。
「---なぁ。
何が楽しいんだ?」
俺は問いかけた。
亜優美が不満げな顔で俺を睨む。
亜優美にーーー
こんな風に睨まれるなんてーー。
「なぁ、言ってみろよ!
亜優美が何をした?
そんな風に、真面目な子を、
滅茶苦茶にして楽しいか?
なぁ!答えてみろよ!」
俺は怒りにまかせて言い放った。
「ウフフ…別に~?」
亜優美がバカにしたように笑う。
「ふざけるな!
俺から娘を奪って何が楽しいんだ!
頼む!返してくれ!
娘を返してくれ!!」
俺は精一杯土下座した。
「金ならいくらでも払う!
何でもする!」
しかし…
亜優美は俺につばを吐きかけた。
「きっ…貴様…~~
どこまで亜優美を汚せば気が済むんだ!
娘を返せ!
この人でなしが!」
そう言うと、亜優美が突然乱暴に俺の胸倉をつかんだ。
亜優美とは思えない力でーー。
驚いて俺は亜優美の顔を見る。
そこにはーー殺気が漂っていた
「調子こいてんじゃねぇよ?あ?
娘を返せ?
テメェにそんなこと言う資格、あんのかよ?
なぁ?あ?」
亜優美が可愛い声で汚い言葉を口にする
俺はうろたえた
「先に奪ったのはテメェだろうが!
奪われたものを取り返そうとして何が悪い!」
亜優美は俺を怒鳴りつけた。
「な…何のことだ」
そう言うと、亜優美が1枚の写真を取り出した。
白髪まじりの男、優しそうな女、
そしてーーー亜優美によく似た雰囲気の子ーーー。
「この子、覚えてるか?」
亜優美が言う。
「し…知らない・…」
俺が言うと、亜優美が大声で怒鳴った
「ふざけんな!」
俺はその声にビクッとして、
もう一度写真を見たーーーー
この子はーーーー。
俺の会社では飲食店も経営していた。
そうだーー
この子は2年前ーー
俺の系列店舗でアルバイトをしていた女子高生。。
その店舗ではバイトを長時間労働させていた。
学業もままならないほどにー。
そしてーー。
高校生の彼女を違法に夜まで働かせていたーーー
当時、この子から直接本社に電話があった気がする。
助けを求める電話がーー。
だがーー
俺は、、、当時の俺は、
”店舗間の問題”として取り合わなかった。
そして3日後ーーー
この子は自殺したーーー。
そうだ、思い出した。。。
「--まさか」
俺が言うと、亜優美が涙ぐんだ目で言う
「今更思い出しても遅いんだよ!
お前は、俺から娘を奪った!
だから、これは復讐なんだよ!
奪われた娘を取り返す!」
亜優美が狂ったように怒鳴り声を
あげている。
「--や、、、やめてくれ!
悪かった!何でもする!何でもする」
俺は泣き叫んで土下座した。
だが、亜優美はヒールで俺の手を踏みつけ、
踏みにじった。
そして言う
「おとうさんさぁ……
私を助ける気ないでしょ?」
また、亜優美の演技を始めたようだが、
その声には怒りがにじみ出ている
「もう、いいよ…
私、もっと壊れちゃうから!
もっと悪い子になって、もっと滅茶苦茶になって!
亜優美が亜優美じゃなくなるまで
壊れてるから!」
そう言って亜優美は微笑む
「やめろ!頼む!頼む!
亜優美は何も悪くない!
悪いのは俺なんだ!頼む!頼む!」
俺は地面に頭をこすり付けて土下座した。
額から血が出る。
そんなことはどうでもいい、
ただ、亜優美を…。
「明日見せてあげる…
わたしのエッチなところ…
お父さんの前でた~っぷり喘いであげる!
私の喘ぎ声、聞きたいでしょ?
あぁ…思い出すだけで感じてきちゃった!」
亜優美の服にいやらしいしみが出来ている。
「子供も作っちゃおうかな~
お父さんの目の前で!」
亜優美が嬉しそうに言う。
「や…めろ…」
俺の目は涙でいっぱいになった。
どうすればいいのか…
「また明日ね…お父さん♪
ウフフ…あはははは!
あはははははははははは!」
亜優美が狂ったように笑い声をあげながら路地裏から
立ち去って行く。
「----亜優美ーーー」
俺は、、、その場に突っ伏した。
このまま、娘は奪われてしまうのかーーー。
俺はーーー
俺はーーーー
「うっうあああああああ!」
今の俺には、その場で泣き叫ぶことしかできなかったーーーー。
④へ続く
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